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逃亡のガルヴェストン
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逃亡のガルヴェストンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.58pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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欲情はあれど恋愛はなく、愛情はあれど性行為はない。絶望はあれど救済はあまりない。 肺癌で死期の近い中年の殺し屋と、若い娼婦&幼い妹が、ギャングに追われながらの逃避行。残り少ない命の中で自分の人生を振り返り、人生ガチャで貧困底辺徘徊を強制される若い娼婦を少しでも堅気に戻そうとするが、そこは暴力と理不尽が支配するギャングの世界。自らもその中で生きてきた暴力のルールから逃げ切ることは難しく… 情景描写が巧みで、色彩や情景が鮮やかに浮かびます。心理描写も丁寧。佳作。 | ||||
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冷酷な悪党でありながら、人情の切れ端を持つ矛盾した主人公の姿が実に素敵だ。ひよんなことから拾ってしまったこれまたアウトローの女を捨てきれず、人情のはざまで揺れながら悲劇に向かって進んでしまう過程はスリリングであり、とても怖いものがある。僅かに心和む描写もいくつかあり、全編を覆う哀しい雰囲気との対比は際立っている。最後は悲劇的な結末を迎えるのであるが、悲しみだけでない僅かな光が見えるシーンも映画を見ているようで素晴らしかった。 | ||||
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封切り時に観賞できなかったのでリバイバル観賞し、原作が読みたくなり購入しました。 予想通り原作も細部にわたり書かれているので良かったです。 | ||||
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トゥルー・ディテクティヴを見て、アメリカは広く、田舎はいろんなことがあるなー、と思いましたが この物語も、クライム・ノベルだから当たり前でしょうが、 さまざまな大変な状況が出てきますけれども、どうなって行くのか先が知りたくなる物語でした。 アメリカって、日本よりもすべてが利益のために回っていて、 その時の相手に対する思いやり、優しさによるサービスは、日本ほどはないんだろうなー、と想像されました。 男性は女性に対して自分の性欲を表向き、あらわにしないようにしてると、だんだんわかってきましたが、 この物語は男性主人公の語り口で語られるので、 中年男の若い娘に対するそういう視点が、ちゃんと言葉にされていて、 女性の私からすると、あんまりいい気はしないのですが・・・主人公男性が、 最初のころに缶ビールの空き缶を切って折って、兵隊みたいに作って遊ぶことが書かれていて、 それが、トゥルー・ディテクティブのマシュー・マコノヒーが、ロングヘアをポニーテールにして やっていたのを思い出して、マシュー・マコノヒーくらい、なんというか セクシーさのある男性なら、若い娘にそういう視線を向けても、それはそれでいいかも、 と思えるので、女の側も勝手なもんだなー、と我ながら思ってしまいました! 文章がうまく、いろんな情景が、魂を揺さぶるような語り口で語られるときがあって、 さすがな人だ、と思いましたが、特に、死を覚悟して、昔の恋人のところに行き、 すごく迷惑がられるのに、自分は人生に起こったことが、いろいろ素晴らしく思い出されている、 というところが、感動してしまいました。死ぬとなったら、きっと、自分が元気に生きていた時の 楽しい部分の思い出は、本当に宝物のように思い出されるのかもしれない、と。 この男性はあまりにも語り口が素晴らしく、 チンピラ稼業なんかやめて、文筆家になれば成功できるのでは、と思うほどでしたが、 それは、作者がうまいから、なのですが・・・・そんな風に思ってしまう、 クライム・ノベルではありますが、詩的で文学的で心揺さぶる描写と 飽きさせないストーリー、だったと思います。 | ||||
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海外ドラマのトゥルーデティクティブの脚本の方が書かれているということで本書を購入しました。 ドラマでは厚みのあるセリフの良さにしびれましたが、やはり文章もすばらしかった。 暴力を生業とし、頭は悪くないものの、野心家でもなく、友もなく、孤高の男。 その主人公が若い女の子と逃亡する数日間。 男の言葉で語られる、ガルヴェストンの風景が鮮やかです。 骨太な男の物語を読みたい人にオススメ。 私は非常に面白く読めました。 男の人生を彩る女性が何人か出てきますが、それぞれ趣の違う花のようでいい。 翻訳も非常に読みやすいです。 トゥルーディティクティブを楽しめた方なら、満足できること間違いなし、 また逆もしかりですので、本書を気に入られたら、ぜひ見てみてください。 とにかく〆の一行が最高すぎる。 | ||||
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「卵を巡る祖父の戦争」で、がつんとやられて、まとめ買いした新装ポケミスですが、ハズレはなくても、そうそう大当たりもないなと思っていたところで、これを読みました。 じつに、よかったです。 途中で、うわあっ、なんでこうなるか、と文句を言いたくなるのも、感情移入できたあかしです。 読書の楽しみを存分に味わえました。 | ||||
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まるでハリウッド映画のようなストリーで、すっきりした読後感です。楽しみで読む本に理屈はいりません。ガルヴェ ストンがどんなところか、登場人物たちのイメージとかさなって、潮風の匂いまで届いてきそうです。それぞれの家族にイタミを抱え、偶然巡り合った中年のやくざな男と、道をはずした若い女が、小さな妹を連れてさびれたモーテルにたどりつく。逃げようと思えば逃げられたのに、男はずるずると結論を伸ばし、結末へ向かっていくというストレートな展開です。淡々とした描写がいい。悪人もいるけど、いい人もいる。ホロっとさせられる場面もあって、デビュー作らしいこの本に、星5つです。 | ||||
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ガルヴェストンとはメキシコ湾に浮ぶ細長い島の名前である。港湾都市であるが、風光明媚な観光都市でもある。邦訳タイトルはそこに「逃亡」がつくが、原題は「ガルヴェストン」だけである。たしか刑事コロンボも原題は「コロンボ」だけだった。味も素っ気も無いが、それが米国流なのだろう。「逃亡のガルヴェストン」はいいタイトルである。 一人称語りのクライムノベルやハードボイルドはその主人公に肩入れ出来るか否かでほぼ評価が定まるが、シリーズものであれば安心して読めても、本書のような新人作家であれば用心してかからねばならない。しかし冒頭、末期癌の掴みは驚きで、知らず知らずの内に引き込まれて行った。 ただこの主人公、見かけによらず女には未練がましいところがある。中盤あたり、昔の女に会いに行くのだが、その言動には正直、何しているんだよと突っ込みたくなる。 このように、不細工な面と非情な面とが混在している主人公がどうしても気にかかり、一緒に逃亡することになった家出娘で若い娼婦のロッキーの行く末も気がかりで、知らず知らずの内に、この小説の術中に嵌っていった。しかも逃亡はこの二人だけではなく、ロッキーの実家から幼いティファニーも連れ出すのだ。 そして、20年後の現在の章と交互に描かれ、終末に行くまで淡々と話は流れるのだが、やはり強烈なパンチが待っていた。 交互に描かれていた章も自然に融合し、ラスト、大型のハリケーンの襲来とティファニーとの邂逅・・・。舞台が揃いすぎなのだが、着地の感動は充分に堪能出来る。 | ||||
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いろんなサイトで買おうとしましたがここが一番安くて状態もよかったのでとても満足です。この状態でこの価格は感謝です。 | ||||
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人生の裏街道を歩いてきた男の、土壇場の悪あがき、崖っぷちの大勝負、そして、尽きせぬ未練・・・ なかなか痛いお話なのですが、文章にキレがあって、キラリと光る名文がいくつも。 この作者、なかなかの詩人とみた。 (訳が東野さやかさんだし?) うん、わかる、わかる! 標語カレンダーに載せたいような、人生の機微を凝縮したつぶやきなども。 ラストは、「そうきちゃうのォ〜?」という感じでもありますが、そこがまたなんだかリアルで納得してしまいました。 最後の一文もとてもイイ♪ | ||||
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ラストがあまりにも誰もがまず予想する終わり方で、一番倒して欲しい悪役も 無傷で生き延びており、読み終わってカタストロフィーが得られないもどかしさ... 話自体は、昔の彼女が今も忘れられない結構気のいい40歳がらみのマフイアの取立屋が病を抱えながら、 ボスのリストラの罠を辛くも逃れ、その罠がらみで助けたティーン・エイジャー育成の為 金が必要になり、 なんとかボスに意趣返ししてやろうとするんだが、相手のほうが一枚上手でボコボコに、それなら裁判で、と決意したら、 さらにボコにされ、堪忍袋もこれまで....てな話なんだが、前述の様な終わり方なんで読後感が私にとっては ひどく苦い(悪い、面白くない、つまらん)ものだった。 最後の章なんか、視点を一変させティファニーの視点で、彼女にロイの行動を解き明かさせるとかして<実は彼はヒーローだったんだ!> と感動を盛り上げさせても良し、ティファニーがロイの行方を追う事で最後の事実が明らかになるハードボイルド・ミステリー色を強く打ち出しても良し、 色々工夫出来たと思うのだが、結局 叙情風の最も詰まらん終わり方だった気がする。 まァ、そういった物語の構成力も作家の資質であろうし、今後改善を期待したい。 | ||||
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本書にも描かれるアメリカ・ニューオーリンズに生まれ、優れた短編小説の書き手として注目を集めた後初めての長編小説がアメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞にノミネートされた新鋭ピゾラットの話題作です。〈ポケミス新世代作家〉企画の第3弾となる本書も既訳の第1弾「二流小説家」も残念ながら2011年度のアメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞の受賞は惜しくも叶いませんでしたが、それぞれにタイプは違ってもどちらも現代ミステリーを代表する堂々たる力作である事は間違いないでしょう。本書には甘くて手ぬるく思える部分が多々あり、完璧に非情なハードボイルドを愛好する方には不満が残る出来かも知れませんが、それでも中々に味わい深い人間ドラマを内包した渋い大人の小説に仕上がっていると思います。 「取立て屋」というヤバイ闇の稼業で生きて来た四十歳の中年男ロイがある日突然苦境に立たされる。不運にも医者から癌を宣告された上に、どうも胡散臭い仕事を任されたと思ったら案の定ボスに裏切られ、辛くも死の一歩手前で踏み止まり修羅場を乗り切る。死体が転がる現場に居た唯一の生き残りの家出娘ロッキーと行き掛かりで二人連れとなったロイは追われる身となりあてどない逃避行へと旅立つ。 本書にはミステリー的な仕掛けはごく少なく、わずかに1987年に起きた過去の出来事とその約20年後の2008年の今時点を平行して描き、長い間平和だった穏やかさが破られ心が動揺する緊張感の高まりとその意外な結末の印象的なシーンが読ませ所となっています。後半に迎えるロイの敗因は十分に賢明でなく敵を甘く見て急に欲を出した事だとは言えますが、何れ遅かれ早かれ強大な組織の力により同じ結末を招いただろうと思います。前半と後半の何れでも普通は呆気なくジ・エンドとなりそうな場面で信じられない偶然の要素が働いてしぶとくロイが生き残るストーリーは甘くはありますが、著者が物事は全てが筋書き通りには行かないという運命の不可解さを示しているのでしょう。ロイが見出した人生最後の死に甲斐であるロッキーをまともに生きさせようとした試みが却って凶事を呼んだのかも知れませんが、もし二人が別々の道を歩んだとしても彼女は娼婦に身を堕す惨めな人生となったに違いなく、結局は必然の運命だったのだと思えます。ロイはまさに最期に自分の行為にも意味があったと知る事が出来て心穏やかに逝けそうなしみじみとしたラストですが、でも「二度ある事は三度」と言いますしまだ一縷の望みは残されていて、今度は冷淡な女ロレインはもういいとしてもう一度情ある女カーメンに会わせてやって再び新たな人生に踏み出して欲しいと思います。 完全に非情に徹し切れずやや甘さはある物の深みのある確かな人間性を感じさせるドラマチックな物語の書き手として今後も著者には注目して行きたいと思います。 | ||||
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