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わたしを離さないで
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わたしを離さないでの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全544件 261~280 14/28ページ
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ここ10年多くの本を読んできましたが、唯一読後に涙が零れた作品です。 主人公が語る、丹念に折り重ねられたタペストリーのような記憶(殆ど過去形で語られます)は、 握った手の指の隙間からさらさらと零れ落ちていく砂のようで、 それがこの小説の読後の『切なさ』を生み出していると思います。 『主人公達が何故運命に逆らわないのか理解出来ない』との意見も多いでしょうし、 実際当方の海外の友人もそう言っていました。無条件に愛や命の大切さを謳いあげ、運命を切り開く・・・ そういった作品は世界に山ほどありますが、この『わたしを離さないで』のテーマは他にある、と思います。 内容に少し触れてしまいますが、『提供』に関する様々な事柄は単に物語を牽引する役割に過ぎない、と思います。 作者が読者に考えてもらいたがっている大きなテーマだとは、個人的にはどうしても思えません。 『提供』へ向けて育てられ、人生を終えるという極端な設定、 それによって際立つ『人間ではない』とされた者達の心の動き、 それこそがこの作品で最も追うべきもので、生の美しさと儚さではないでしょうか? とても美しく、そして哀しい、私達の限りある命への優しく暖かい眼差し、 そしてそんな想いすらも過ぎ行く時の中にやがて埋もれ消え去る哀しみ、 この小説は自分の中のそのような想いを大きく引き出される、大切な一冊になりました。 | ||||
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とても良い買い物をしました。 わざわざお店やさんへ足を運ばなくても購入できるところが最高です。 | ||||
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翻訳された本は読みにくいと言われますが、ドラマ化されたので今ならスルリと入ります! テレビと原作を比べてみたり、異国の配役を考えてみたり楽しみ方がたくさんあります。 切ない思いもあり、近未来の悩みかも?って深く考えてみたりして。 世界の中の日本人に思いをはせます。 | ||||
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この小説には、定められた短い命を生きた仲間への哀悼、私も同じ道を歩むことへの悲しさと静かな怒りを感じる。 私の生を自ら定めることができるならば、希望は今日を生きる源となる。 しかしそうでないならば、私はただ漆黒の闇に引きずり込まれる。 闇の中で生きる縁(よすが)は、重ねる体の温かさ、子供の頃の思い出、友との語らい…。 日常の仕草が私の生きた証。 Never Let Me Go. これは使命を終えた仲間から聞こえてくる、細い小さな声。 | ||||
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ちょっとやそっとでは泣けないタイプですが、やられました。 映画版もよかったですが、原作の方が断然すばらしいです。 | ||||
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ドラマを見てから、原作を読む方は物足りなく感じるかもしれません。 ドラマと原作ではあまりにも解釈に隔たりがあるというか 原作の設定だけが同じで、あとは別物だと思ったほうがいいでしょう。 設定は、とても衝撃的だけど 途中まで読み進めて、これって、特別なことじゃないのではないだろうか? 私たちだって、限られた運命の中で生きているじゃない、と思いました。 つまり、主人公たちが背負っている運命は、 だれもが持っている宿命のメタファーではないかと。 主人公たちは、限られた選択肢の中で、せいいっぱい生き、楽しみ、 人間関係を築いていく。 どんな状況にあっても、与えられたものをせいいっぱい 生かして、絶望せず、前を向いていく勇気を 与えられた気がします。 | ||||
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大変良いものでした。 予想以上と思われます。 皆さんにもお勧めしたいと思います。 | ||||
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ドラマ化もされるとのこと、以前から気になっていたので、これを期に読んでみました。 一言で言ってしまうなら、主人公の幼少期、青年期、その後、までが語られるというだけの話です。 子供のころは恋や、先生への憧れや不信、といった、普通の子供達が送るような青春が淡々と過ぎていくというだけですが その背後、というより主人公たちが生まれつき背負う運命については、ひっそりとしか語られません。 恐らくこういうことが、彼らの身に起こっているというのが、匂わされる程度です。 それが随所の単語や、主人公が日々の出来事で思うあれこれに漂っていて、そういう出来事に気づければ、とても暗い話である、ということがわかります。 万人受けするような話ではなく、ストーリーとして起伏がこれといってあるわけでもない印象でしたので、読む人は選びそうです。 私はこの手の暗い話が好きなので、気に入りましたが ドラマでは、どういった感じに演出がされているのでしょうか。。 個人的な解釈としては、 本人の意思とは関係なくもうどうすることもできないまま、受け入れるしか他に方法がなく、 ただ受け入れるという選択肢こそが最終的な 道の先にあるもの、という結論に主人公が達したのではないか、と私は受け止めました。 この表紙のデザインからもある程度の察しはつくので、そういうことを踏まえ、購入されるのであれば、読んで損はないとても良い本かなと思います。 | ||||
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テレビで見て是非にと思い読んで見ました。 内容は外国設定なんですがテレビの内容と極端に変わらないのでわかりやすいかな。 | ||||
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『日の名残り』で英国文学の最高のブッカー賞(1989年)を受賞したカズオ・イシグロが2005年に発表した第六作目の長編で、世界的なベストセラー。2006年に邦訳出版、2008年に文庫化。 2010年に英国で映画化され、2014年には日本で舞台化、2016年1月からTBSテレビでTVドラマ化される。 本作品は、ヘールシャムで子供時代を送った主人公・キャシーらの出生に隠された秘密が、iPS細胞の発見などの生命科学の目覚ましい進歩により空想の世界の話ではなくなり、かつその倫理問題が大きくクローズアップされるテーマであるために、イシグロ氏がそこに込めたメッセージは何なのかを、読中も読後も深く考えさせられるものであった。 しかし、読後しばらくして目にしたイシグロ氏のインタビューによれば、本作品は、普通の人間が辿る運命をメタファーを使って象徴的に表現したものなのだという。ヘールシャムの閉ざされた世界は、外界で起きていることの多くが理解できないという子供時代のメタファーであり、主人公たちが逃げることなく短い運命を受け入れていく展開は、実際に多くの人間が自分に与えられた運命を受け入れているという、イシグロ氏の感じている世界観のメタファーなのである。そして、そうした世界の中でも、愛は死の恐怖を相殺できるほど強力な力になることを、合わせて描いているのだ。イシグロ氏は、この最大の仕掛けを思いついたのは、本作品を書く試みを始めて暫く経ってからだったとも語っている。 確かに、『日の名残り』の主人公である執事のスティーブンスも、与えられた運命を実直に生きた、イシグロ氏の世界観の中の典型的な人物であった。 隠されたモチーフと、イシグロ氏の持ち味である抑揚を抑えた淡々とした文章が相俟って、全篇を重たい雰囲気が覆っており、好みの分かれる作品かもしれない。 (2013年4月了) | ||||
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あらすじで分かることですが、切ない小説です。 なので、そういう系統が苦手な方にはオススメしない…という訳ではなく、万人に進めたい小説です。 とにかく描写が緻密なんです。 キャラクターや人間関係は元より、主人公が育った施設のルールや日常の風景… フィクションであることを忘れそうになる程、物語の中に入り込ませてくれます。 また、最序盤から一般的な使い方では無さそうな「提供」という言葉が出てきて、 その意味を説明されずに話が進みます。 それを知りたくてページを繰っていくと、どんどん謎が増えていき、そこでも引きこませる構造になっています。 | ||||
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テレビでもやるみたいですが、たのしみです。 21世紀の文学としてこれからもいろいろな形で表現されて欲しい内容です。 演劇、映画、そして日本の連続ドラマ、人間て何だろう、、こうした疑問をさらに深め裏作品です。 | ||||
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人間が真空から生まれ育ち、無のままに生死するのでないとするならば、わたしたちにはなにが残されるのか。 この物語の主人公、キャシー、トミー、ルースに限って言えば、三人には抱きとめて離れない子供時代の大切な思い出、「記憶」があった。幼い頃にともに過ごした寄宿学校での時間、大人たちに注意深く保護され守られた安全な世界のなかで交わした、友情、愛情、赦し。時間を経て大人となってそれらを思い返すとき、思い返されるとき、記憶は過去の正確な情報としてではなく、決して存在しない理想的な記憶、ノスタルジアとして立ち顕われる。 著者はある対談番組で、記憶とは「死に対する部分的な勝利、死に対する慰め」だと語っていた。大人たちに保護された安全な世界の外では、例えば否定することのできない自らの死も、例えばかけがえのない「あなた」の死も隠し難い。保護された世界に描いた虹色の夢も水泡に帰す。そんな世界をこれまでもこれからもたった一人で歩まなければならないとき、時間を経過した記憶が、ふと、子供時代の理想的な世界を映写してくれ、世界の手触りをやさしくしてくれる。イシグロは語る。「大人へと成長する過程で子供たちはある種の失望感を覚えるのではないでしょうか。世界がやさしい場所だという記憶がまだ残っているのですから。ノスタルジアは決して存在しない理想的な記憶なのです」と。 死に抱かれた困難な世界を生きるなかでも、記憶を離さないで、理想の世界を。そこには、友情も愛情も赦しも、確かに、ある。ともすれば、物語全体が悲しいようなそんな感じも受けてしまうストーリーには、人生には、ささやかな、本当にささやかな慰めが残されている。 | ||||
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TVでドラマ化されると聞いて、ある休日の午後、一気に読みました。 本を閉じ、とても感想を書ける気がしなかったので、暗くなっていましたが散歩に出かけました。 そしてたどり着いた答えがこれ。本作に描かれるのは、 「逃れられない運命の中でどう生きるか」 誰もが思春期に、自分の運命が他の人とは違っていることに気が付く。思春期の心の動きが繊細に描かれます。運命は自分の力でどうにでもできるという考えもあるでしょう。 しかし、本作で語られる運命は、どんなに努力をしても逃れられないものです。 人間として生きる運命、必ず死を迎える運命は決して変えられません。私たちは、その所与の条件の中で生きるしかありません。主人公たちは、私たちとは少し違う運命の中で懸命に生きます。逃げればよいではないかと思うかもしれませんが、それは私たちが人間とは違う生き方をすることを望むのと同じように、見果てぬ夢なのです。例えば、自分がライオンであれば、ライオンとして生きるしかありません。そう理解したとき、以下の言葉が心に沁みます。 (p.415)古い病気に新しい治療法が見つかる。すばらしい。でも、無慈悲で、残酷な世界でもある。(中略)心の中では消えつつある世界だとわかっているのに、それを抱き締めて、離さないで、離さないでと懇願している。 自分とは違う逃れられない運命を背負って生きる人がいる。その人たちに寄り添うやさしさを失ってはなりません。 しかし、運命を逃れられないという点で、ここに描かれた主人公たちと私たちに違いはありません。 ドラマが始まるまでに読むことを薦めます。 | ||||
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(失礼を承知でいうならば、)彼が「なんとなく読んでいて心地よい作家」から、「特別視すべきすばらしい作家」へ変わった作品 日常の下に、和やかさ•幸福感に覆われた、残酷さがある。そして人は普段、それを忘れなければ生きていけない。; そのことが、穏やかなで、しかし同時に張りつめた雰囲気のなかで語られる。 例えば、原発があるから日頃安定して電気を使え、他国の労働があるから多様な食べ物が買え、誰かの親切があるから自分が生きている、でも それら一つ一つに痛みを感じていたら、とても毎日を生きていけない。だから今は目をそらしている。 そんな、ドキドキする雰囲気が、作品全体を貫き、主人公達の境遇が徐々に明かされる過程で胸が締め付けられる様な差し迫った思いがする。 SFでありながらも、臨場感あふれ、普遍的なテーマを扱い、文章の切れをもった、逸品です。 | ||||
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この作品を読み進んでいるうちに以前読んだことのある二つの作品を連想させられました。一つは神林 長平の一連のSF作品、とくに「完璧な涙」です。もう一つは夏目 漱石の「こころ」です。なぜ提供者は逃亡したり、告発したりしないのか不思議に思います。想像するに完全に洗脳されているか、社会的に監視をうけ(体にチップなど埋め込まれていたり)物理的に不可能なのか、そのあたりの社会の背景がほとんど書かれていません。 唯一、提供者たちは社会から人間としての情緒や感受性に欠けた似非人間だと認識されているというくだり(会話)があるだけです。そしてそのことがこの作品がSF小説にならず、ブッカー賞にノミネートされたり、他の数ある賞を受賞し、かつ英米でベストセラーを記録した要因のひとつになっていると思います。わたし(主人公)の記憶や感情の移り変わりで終始させていることによって、つまりわたしを常にとおして物語が進んでいるところが高い評価を受けたのだと思います。「こころ」を連想したのはそのせいだと感じます。 本を読む前に以前、たまたまつけたテレビでなんの予備知識もなく(カズオ イシグロのことも知らなかった)観る気もさほどないのに映画を先に観てしまったのがくやまれます。そのときは映画の題名も気に掛けず、荒唐無稽な映画だななどと思いながらみていたのです。 小説を読んでいる途中に、あれっ、これって前に偶然観てしまった映画じゃないか と気がついたのでした。 無意識の変形逆自己ネタバレという大技やってしまいました。 みなさんも映画化された小説にはお気を付けください。あの映画さえみてなければもっと深い何かがつかめていたはずです。 | ||||
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読了は映画鑑賞後になってしまった。 映画では描ききれない細かい感情の機微をキャス、ルース、トミーにそれぞれ偏りのない役割を与え、縁の糸が切れそうになりながらもか細く続き、運命は止められなくても最後には和解する。 その大いなる救い。 映画ではひたすらおとなしい印象のトミーがここではサッカーも上手く丈夫で、キャスにきちんと別れを告げる。 その残像は底抜けに明るくそんなところが却って涙を誘われる。 この小説も映画も素晴らしい作品だった。 | ||||
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小さいときから小説が好きで日々必ず読んできましたが、この本を読み終わって以来、どの小説も物足りなくなり、しばらく読めなくなってしまいました。 小説好きには一度は読んでほしい…と思う、すごい本です。 | ||||
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引き込まれるように読み切って、再読、再々読し、しばし打ちのめされました。 映画化された作品は見ておりませんが、この世界観を目で見えるものにしたいという映画制作者の気持ちはわかる気がします。 もし可能であれば、萩尾望都先生の手で漫画化していただけたらどんなにいいかと。 萩尾望都先生の作風にぴったりきて、また素晴らしい世界がさらに広がるのではないかと思います。 静かで謎めいた学校、寮生活。 子供達の関係や不思議な習慣、先生とのやりとり、先生達のふるまい、そこを出た後の世界とのやりとり。 萩尾望都先生にこの願いが届いたらぜひとも描いていただきたい、と思いました。 | ||||
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「目的を知らされないまま誕生し、生き、そして必ず死が訪れる」 本小説の世界は現実にはあり得ない。 にも関わらず、登場人物達が他人毎とは思えないのは、 筆者の丁寧な描写に依るものだけでなく、 私たちの生も似たような初期設定を持っているからか? 過酷な運命に翻弄される彼らに感情移入しつつ、 自分ではコントロールできない「最期」を常に意識さざるを得ない読書体験は、 自らの人生を俯瞰し、フレームの外から見る視点をもたらしてくれた。 しかし、内容が辛すぎるのには変わりない。 映画を見る勇気は私には...無い。 | ||||
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