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音もなく少女は
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音もなく少女はの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 21~29 2/2ページ
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評価が高かったのでとびつきましたが、途中から主要登場人物たちの人間関係にうんざりしてしまい・・・(苦笑)。 第一章は秀逸だとは思います。 緊迫感があって絶望感もただよっていて、その中にも一条の光がさしている、という、ね。 ですが、ヒロインが成長して、青春しはじめてからは、どうも・・・・ 自分が年をとりすぎて、若者が主人公の作品に感情移入できなくなっているだけなのかもしれません。 でも、そういえば「神は銃弾」もちっともおもしろく感じなかったんですよ。 単にボストン・テランが体質に合わないってことか? ちなみに、残念なことにジェフリー・ディーヴァーもグレッグ・ルッカもダメなんです(苦笑)。 北上次郎さんとは仲良くなれそうもないなぁ〜 | ||||
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本作の内容については他の方のレビュー通り。 私が言いたいのはとにかく言葉、文章が素晴らしい!の一言。 映画シアターの場面、屋上からキャラメルショップへの場面、凄く素敵です。 紡ぐ言葉の一言一言がとても考えられて書かれているような気がします。 圧倒される言葉の連続です。本当に。 | ||||
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本作はミステリー作家であるボストン・テラン氏による長編小説(本作はミステリーではない)。 聾者である主人公を中心に、苦難から逃げずに健気に生きる女達の姿を描く。 1950年代、舞台はニューヨークの北端に位置する移民の街、ブロンクス。 主人公は生まれつき耳が聞こえない少女、イヴ。 イヴの母クラリッサは信心深く、娘の耳については自分の責任であると思い込む。 二人が教会で出会ったのは、ナチスの迫害を逃れてアメリカへ渡ってきた女、フラン。 フランはイヴに手話を教え、聾学校へ入学させる。 そんな三人に、イヴの父であり薬物の売人であるロメインの存在が常に黒く付きまとう… 本作の中心となる女達は、常に苦難に見舞われている。 卑劣な男達がもたらす苦難をまともに受け、女達が傷つく姿には目をそむけたくなる。 しかし女達は逃げなかった。なぜこれほどに強くなれるのか。 フランは、男達の暴力は弱さの証明であると言う。 少なくとも彼女は、矮小な俗物としての男達の本質を見抜いていたに違いない。 さらに、自分が受けた傷と同じ傷を、愛するものには消して受けさせたくないという気持ちが、 守るべきものを徹底的に守るという信念の根源になっていたのではないだろうか。 しかし本作で描かれているのは「男に立ち向かう女」ではない。「苦難に立ち向かう女」である。 本作で描かれた「男」はあくまでも苦難の象徴に過ぎない。 苦難に打ちひしがれつつもそれに立ち向かい、自らの道を切り開こうとする女達には誰もが胸を打たれるに違いない。 尚、本作の原題は「WOMAN」である。 これほど本作を表したシンプルなタイトルは他に思いつかない。的確すぎる。 邦題もすばらしいが、原題も頭において読みたい一冊。 | ||||
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とてもボストン・テランらしい小説だと思った。 彼は書こうとするテーマから絶対に逃げない。 どこまでも苛酷な現実を、これでもかと仔細に描き出そうとする。 だから読むほうも、覚悟を決めて彼の紡ぐ物語につきあわなければならない。 でも彼は、絶望の果てでしか見えない希望や癒しも描いてくれる。 神から偶然に与えられたものではなく、(たいていは)女たちが自力で掴んだ希望を。 それがわかっているから、辛くて目をそらしたくなっても、 彼の小説を読むことをやめられないのだ。 | ||||
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ボストンテランの小説は、国内デビュー作の「神と銃弾」以来、結構時間が経過した後の一冊でした。「神は銃弾」はとにかく、疾走感満点の謀略、犯罪小説として今思い出しても印象にん残る一冊であったし、恒例のこのミステリーでもめれたく第一位を取った傑作との評判でした。 但し個人的には、荒々しい文章、物語の展開に評価を与える部分が足りなかった作品であり、ものすごいインパクトを認める作品であったけれど、次以降の作品には手が伸び、購入を検討するといった作家ではなかった。(恐縮でした。) しかし、本作に関しては某文芸評論家絶賛?の一作であり「ボストンテランの作品とは考えず読んでほしい」といった前評判から、久々に購入、読みました。本当、文体、作品の印象が180°違うような、こんなにシリアスな小説を描ける人とは思っていなかったし、主人公の三人の女性、そしてボストンテランの一連の作品に統一する「復讐」のテーマをもとに、本当に読ませる作品に仕上げ、本当久々に予想を翻し、絶賛できる作品です。こんなに上手い作家とは思っていなかったし、今年一番の文学ミステリーと言っても過言ではないと思う。絶対、お勧めです。 | ||||
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ボストン・テランといえば、まさに、狂気と狂騒の追跡劇・デビュー作『神は銃弾』が’00年度「CWAニュー・ブラッド・ダガー=ジョン・クリーシー記念賞(最優秀新人賞)」、’01年作品「第20回日本冒険小説協会大賞・外国軍大賞」をそれぞれ受賞して、’01年「このミステリーがすごい!」海外編で堂々第1位に輝いたことで知られているが、’04年発表の第4長編である本書は、これまでとは一転して趣の異なる作品である。 この物語の主人公格のヒロインは3人ではないかと思う。 ひとりは、駆け落ちに失敗し、堕胎手術を受けさせられたドイツ系のキャンディストアの店主フラン。 ひとりは生まれつきの聾者で、カメラで世間を撮り続けるイタリア系のイヴ。 そしてもうひとりはイヴの母親で夫に痛めつけられても死ぬまでイヴに無償の愛情を降り注いだクラリッサ。彼女たちは、ロクでなしの男たち、イヴの父親ロメインとイヴの恋人のチャーリーの義妹の父親ボビーに対して一歩も引かず相対する。特にフランとイヴは、クラリッサやチャーリーの悲劇的な死を乗り越えてたくましくも生きるのである。 圧巻は、ついに銃を手にイヴがボビーを殺しに行くシーンだ。 時代設定は1950年代から70年代半ばまでの、イヴが生まれてから大人の女に成長する四半世紀。本書は、原題の『WOMAN』からうかがえるように、前3作の作風から≪暴力の詩人≫と称されるボストン・テランが、その激しくも美しい筆致で「創造者」「保護者」「破壊者」・・強い女たちを描ききったその生き様を目の当たりにする、魂が震える感動作である。 | ||||
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三種類の女がでてくる。 ナチスの迫害を生き抜いたものの、女としては致命的な傷を心身に負った孤高の女・フラン。暴君のような夫に虐げられる生活の中でも良心に根ざす信仰を失わず、障害を持って生まれた娘に無償の愛情を注ぐクラリッサ。 そんな二人に慈しまれ、銃の代わりにカメラを武器にしなやかに成長していくイヴ。 女と女の友情の話である。 イヴと名付けられた希望の種を巡る、女たちの静かで激しい戦いの記録でもある。 中でも魅力的だったのはクラリッサ。横暴な夫の虐待を耐え忍び、幾多の悲劇を乗り越え強く在ろうとした姿が感動をよぶ。 立場と性格は違えど同じ逆境を体験した者同士、相通じるものがあるフランと共に屋上で鳩を抱く場面の無垢なる美しさは言葉にできない。 文章は類稀な詩情に溢れ繊細で美しく、灰色の現実の中でも決して色褪せない真実の宝石を写真の如く切り取っていく。 撃鉄を落とすようにシャッターを押し、自分を弾圧する人生への対し方を学んでいくイヴ。 冒頭、イヴと恋人が手話で交歓するシーンに溢れた素朴な信頼と愛情は、物語を追ってイヴという少女の過酷な前半生を知ればこそ、それがどれだけ得難き価値のあるものか得心がいく。そしてイヴが撮った写真、肌の色が異なる家族が食卓で手を繋ぎ輪になる情景にこそ聖俗併せ呑む愛の核心が集約されるのだ。 本作には素晴らしいもの、尊きものが散りばめられているが、それらを脅かす唾棄すべき悪の存在もまた容赦なく描かれる。しかしだからこそ、弱き女たちが自分よりさらに弱きもののために戦いに挑む姿は、精神の気高さから生まれた崇高な美しさを保ち得るのだ。 「自由の女神が聾唖でもいいじゃないの」 これは母と子と希望の物語だ。 | ||||
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陰湿な迫害を繰り返す肝の小さい男たち、それに耐えながら強く立ち向かう女たち。でも、安直なフェミニストの話じゃない。この女たちの強さは「耐える」粘り強さだ。だからすごく説得力がある。我慢して、我慢して、ついに行動に出たあとも、ちゃんと責任を取る。この小説のすごさは妥協しないところ。イヴが自分の作品に妥協しないように、作者も感傷をそぎ落として直球勝負で迫ってくる。魂をゆさぶられる、すごい小説! | ||||
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ボストン・テラン最新作とは知らずに手を出した。読み始めると止まらない面白さ。ミステリーとはちょっと違うような気がするけれども,凄い小説だ。 聴力障害者が主人公になる作品としてはディーバの「静寂の叫び」があるけれども,それを凌駕する。女性陣たちの魅力が作品をあでやかにしている。主人公イブの母親クラリッサは夫に殺されてからイブの記憶によみがえり,そのたびに魅力を増していく。どうしてここまで微細な部分にこだわり思考をめぐらしていけるのかテランの脳を覗いてみたくなる。テランが現在最高水準の書き手であることは疑いない。 | ||||
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