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沈黙博物館
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沈黙博物館の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 1~20 1/2ページ
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私には合わないスタイルの小説だった。終わり方もスカッとしない。不可思議な世界にひたりたい人は好きかも | ||||
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簡単な言葉で淡々と語られる文章が美しい。 物語は静かに進んでいくが、途中から不穏な空気が流れる。 博物館と、沈黙の修道院という、二つのアイテムの組み合わせが、物語を奥深くしているようだ。 | ||||
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ある博物館技師が、依頼主の老婆や少女、沈黙の伝道師らと出会う物語 どこか幻想的な世界観が魅力的で、先が気になり一気に読んでしまいました | ||||
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「その人が生きた証」となる形見 その形見を収蔵する沈黙博物館 沈黙の伝道師 シロイワバイソンの毛皮 登場人物全てに「名前」がない 静かな世界観 | ||||
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この村はそもそも死後の世界だった? 主人公は既に死んでいるのか? 犯人をなぜ警察に突き出さない? いろいろ謎があります | ||||
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ドイツのアルプスのふもとみたいな小さな村。不思議な村人たちと、村の思い出を守る老婆。村を訪れた僕が巻き込まれる、どんどん閉ざされていく世界。言葉を失っていく修道僧たち。小川先生のカフカ的な不思議な世界が広がります。どんな風に読んでも良いでしょうね。 私は、「アンネの日記」のイメージで読みました。隠れ家を見守るゲシュタポのような警察官。あの少女はアンネかも知れない。爆弾の時、少女にダビデの星のような傷が・・。小川先生がアウシュビィッツでみた虐殺されたユダヤ人の人達の遺品の博物館がこの作品のイメージの元かも知れませんね。 そして、クライムがからむから、サスペンスの要素も楽しめます。一つだけ、私に雰囲気が合わなかったのが、野球の描写。自分が描いたヨーロッパの小村の雰囲気に、どうしてもなじまなかった。文学作品の一つの例として高く評価できる作品です。 | ||||
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この作品をあらすじで伝えるのは難しいです。「あらすじ」が意味を成さない作品かもしれません。この作品の静けさの中に身を浸すのがなんとも心地がよくて、生活の雑多に心が荒れると手にとりたくなります。 | ||||
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小さな村の博物館技師となった「僕」が、村の記憶全体に取り込まれ、世界からずれていく様を妖しく幻想的に描いた、小川さん2004年発表の作品。 誰もがどこかに隠し持っている許されない欲望が、底深い響きを持つ台詞やモチーフで淡々と語られ、比較的初期の小川作品にしては筋の展開も明瞭。 「沈黙は自分の外側にあるのではなく、内側に存在すべきもの」という言葉がすべてを語っているようだ。己の存在を沈黙の中へ収蔵するため、自ら扉を内側から閉めてしまうような、名状しがたい恐怖と不安に、ページをめくる手が止まらない。虚構性が高いのに、この世の果てには、こんな村や博物館が実在するのかもしれない、と思わされる異色の魅力作。 | ||||
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死者の形見を奪い、展示する博物館を作るために1人の技師が雇われる。雇用主の老婆により収集された収蔵品を展示品としての規格に合うように整理し、資料としての体裁を調えるのが技師の第一の仕事。そのためには老婆からその資料についてのデータを聴取しなければならない。つまり、形見の元の持ち主についての記録を採る作業である。驚くべき記憶力で老婆はそれぞれの死者について詳細に語る。死は雄弁なのである。この死者の博物館とでもいうべき〈沈黙博物館〉というテーマを設定して作者が読者に提示したのは「死は何をもって完結するのか?」という重い問いではないだろうか。従って、登場人物の誰にも固有名詞が与えられていない。 | ||||
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著者の作品には、生と死・過去・記憶が様々な形で関わってくるが、本作はそれらを真正面から受け止める物語だ。博物館技師の「僕」がアンネ・フランクの日記を傍に置いていることから、著者がアウシュヴィッツで見たユダヤ人のメガネの山、靴の山、髪の山を見たことや、アンネ・フランクの日記自体拾われた形見であることが本書執筆の動機になったのだろう。アウシュヴィッツのような極限状態でなくても、人は必ず死に、一見価値がないものでもその人が生きた証を残すはずで、そのような「形見」は永遠にこの世に記録されるべきであるという信念の下、「僕」たちは、この世とあの世を隔てる沼の渡し船の漕ぎ手であり続けることを甘受したかのように行動する。描かれるのは死と隣り合う不思議な世界で、本書は日常的な死を巡る冒険談だ。なお、ミステリーの要素があるが、多くの人は途中で犯人がわかるだろう。しかし、犯人がわかっても予想外の展開を求めて最後まで読ませる筆力はさすがだ。 | ||||
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正直、今まで読んできた小川洋子作品の中で一番読みにくかった。小川作品のいいところは、荒唐無稽とも思われるような設定に、読者をうまく引き込んでいくところにあると思っている。しかしこの作品はいまいち入り込むことが出来なかった。私の集中力のなさが原因だったのかもしれない。しかし、今までの作品と比べるとやはり読みづらかったのは事実だと思う。描かれているモチーフは基本的に他の作品と同じだ。なので、小川作品独特のグロテスクさを求めている人は十分楽しめることが出来ると思う。 | ||||
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物語の舞台は非現実的な仮想空間である。町には人が住んでいるリアリティがない。多くの人が生活しているがその人たちにリアリティがない。主人公と主人公を取り巻く人たちだけが生き生きと活動している。リアリティがあるのだ。主人公が成し遂げるように命ぜられていることは、あまりにも馬鹿げていてありえないことなのに。その主人公の行動をすぐそばで眺めている僕がいる。まるで幽霊のように。彼らはすぐそこにいるのに話しかけることも、触れることもできない。映像でたとえるなら、背景である町全体はモノクロームだが、主人公たちだけが総天然色なのだ。何故こんな印象を持つのか。なぜ彼らを通して自分自身を見つめてしまうのか。ちょっと不思議な作品でした。 | ||||
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村人たちの形見を保管・展示する博物館作りのために雇われた技師の「僕」。その名は「沈黙博物館」。依頼主は偏屈な100歳近い老婆だった。収蔵庫には彼女が11歳の時から盗み集めてきた多数の品々があった。一般的な意味での形見ではない。肉体が存在した証拠を「最も生々しく、最も忠実に記憶する品」。ある死者にとっては糸巻き車、または金歯、手袋、避妊リング、犬のミイラ、臍の垢の塊・・・ 展示に先駆け、それら膨大な量の形見を整理・記録する作業が行われた。老婆は驚くべき記憶力で「文脈の乱れも、矛盾も言い間違いもな」く、形見の背景を物語っていく。沈黙の対極にあるような饒舌さ。老婆に完璧に語り尽くされることによって、形見は真の沈黙を獲得し、博物館に収まることを許されるかのようだ。一方この村には、「沈黙の伝道師」という人たちがいる。完全なる沈黙の中で死ぬことを理想とし、村人に敬われる存在。形見に沈黙を与える老婆の饒舌は、伝道師の行う「沈黙の業」の代替行為にも思われてくる。沈黙に敬意が払われる村・・・。沈黙博物館は死者が出る限り拡大する。別に言えば村人(形見)は沈黙博物館の展示品の予備軍であり、さらには博物館のために村人が存在するような奇妙な混乱さえ覚える。技師は一度逃亡を試みるが失敗し、結局は村に留まり老婆の後を継ぐ。この閉じられた世界。饒舌と沈黙、至極現実的な博物館作りの工程と展示物の特異さ、冷ややかさと牧歌的な面をあわせもつ村、様々なものがないまぜになった世界をぜひ覗いていただきたい。読み終えたとき、何が残るだろう。わたしは難物の老婆が愛しくてたまらなくなっていた。 | ||||
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舞台は、主人公が博物館技師として面接に訪れた長閑な村。そこで館長たる老婆の面接を受け、無事技師としての任を命じられる。しかし、そこに収蔵され展示を待つ物は、持ち主の存在を最も生々しく、最も忠実に記憶するような品。つまり、他の博物館のそれとは存在の理由が大きく異なっていた。過去、村で起きた殺人事件は一つだけ。そんな村である日一人の死者が出た。技師に老婆からの命令が下される。死者、外科医の遺品としてメスを取ってくるようにと。こうして沈黙の収集、蓄積が始まりを告げる。主人公が降り立った無人駅。秋の終わりを悲しみ、穏やかな春の訪れを願う泣き祭り。大事な秘密を語ると絶対にばれないと言われる、自身は黙して語らない沈黙の伝道師。それらの存在が浮かび上がらせる村の静かな佇まいは、「密やかな結晶」に近いものがあります。物語は「沈黙博物館」というタイトルが表すように、静に、そして展示品を扱うように酷く丁寧に紡がれて行きます。作中にこんな一節があります。「博物館は増殖し続ける。拡大する事はあっても、縮小する事はありえない。まあ、永遠を義務づけられた、気の毒な存在とも言えよう」老婆が語る博物館論なのですが、言われてみればもっとも。それまで考えた事も無かった博物館のあり様について意識させられる、興味深い捉え方だと思います。 | ||||
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小川洋子の作品で,主人公が男性のものは珍しい.彼女の小説は主人公が女性であるがゆえに,物語を包み込んでいる冷たい空気が独特のものであった.本作にはそれがないが,その分,他の作品よりも物語が凝っている.仮想と現実.一体真実は何処にあるのだろうか? | ||||
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現実なのか夢なのかわからない、幻想的な雰囲気でした。死の世界の話かもしれないし、亡くなった人に対して敬意を表して博物館を作ったという話かもしれない。物に対するしっかりとした感触と現実離れした展開で、すっかり私は混乱してしまったが、読後感はそれほど悪くない不思議な作品でした。 | ||||
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はじめは現実にもありそうな情景から始まりますが、読み進めていくうちに不思議な非現実味を帯びてきます。出てくる登場人物もみなそれぞれのキャラクターとしては濃い人々なのに、どことなく蜃気楼のような危うさがあります。全体的に話がサクサク進んで引き込まれていく話なので、どんどん読めて気が付くと終わってしまっています。また、読み終わった後も落ち着いた気分になっていて、とても後味が良い本でした。 | ||||
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最初は何も知らない不思議な世界に迷い込んだような気がするのに、読み進むうちに無意識に物語の結末を知っているような錯覚に陥る。そして、それが錯覚ではなく、正解だったと知るとき、落胆よりもむしろ安堵を感じながら読み終わる。そんな物語でした。 物語は全く非現実的なことを描いているのに、結局人の人生というものは、人の想像をそんなに超えないとことに存在し、死もまた、想像どおり訪れるのです。だからストーリーを楽しむというよりは、このどうしようもなく物悲しい世界観を楽しむべきなのでしょう。 | ||||
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彼女の作品には「物」とその断片がよく出てくる。作品の中の物やその断片は、それが眺めて来た歴史に浸っているように見える。彼女の書く「物」たちからは、過去の風景や思いが少しずつ滲み出て、暖かく発熱しているみたいだ。美醜に関係なく、ただあるがままに受け入れているような物たち。そして、作品に登場する人々は、その滲み出る記憶を耳と肌で沈黙の中に感じ取ろうとしているようだ。そこには無生物を介した人間に対する愛情を感じる。 『沈黙博物館』は主人公がある村にやってくるところから始まる。博物館を建てるために技師としてやってくるのだ(まだ採用は決まってないが)。その村は、どこにでもありそうな特徴の無い村だった。依頼者は老婆。描写から「ヘンゼルとグレーテル」の魔女を思い浮かべてしまうような老婆だ。言葉も辛辣。彼は、面食らうばかり。なんだか分からないうちに、(無理だと思っていたのに)採用が確定し、どんな博物館かわからないままに、屋敷の離れで暮らすことになった。 問題の博物館は、老婆の言葉通り、世界に一つだけの、増殖し続ける運命にある博物館だった。そしてそれは「物」と「物」が内包する過去とに最大の敬意を表した博物館であった。 舞台となる村は、日本の何処にでもありそうな町のように見えたのに、読み進むうちにいったいどこのことなのか分からなくなっていった(もっとも、『寡黙な死骸 みだらな弔い』の舞台の町とこの村は同じ場所ではないかという気がしたが)。情景はありふれているのに、だんだん、非現実味を帯びてくるのだ。しかもするりと非現実的なことが起こるので、こちらもするりと受け入れていて、気がつくとよくわからないところに放り込まれてしまっている。ひきこまれている。話は淡々と進むのに、次の展開にハラハラする。いつ誰が消えてしまっても不思議じゃない危うさがある。どちらが現実なのかさえわからなくなる。ゆっくりと読みたかったのに、一息に読んでしまった。 | ||||
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博物館を作りたいという老婆を主人公の青年がサポートしていく物語です。何を陳列するか・・そこがこの物語のポイントになります。それは、タイトルから判るように沈黙しているものになります。それを収集するために少しの苦労と少しの冒険?が展開していきます。収集したものには、さまざまな意味があり、思い入れがあります。小川洋子さんの作品は、8割方読んでおりますが、この本はとても小気味よい小川ワールドが繰り拡げられれた素敵な作品だと思います。読み進めていくうちに世界に引き込まれ、自分も何かを収集したくなるかもしれません(笑)実際に私は、図書館で”博物館”に関する資料を閲覧してしまいました。”物”に対する考え方が少し変わる本かもしれません。 | ||||
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