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出星前夜
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出星前夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.21pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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タイトルのリズムの悪さとは他のレビューにもあるが反復の多さである。 実際のやりとりを再現したいのだろうが無駄と思える箇所が多い。 端折れるところは端折らないと流れに水を差す結果になる。 また医療に関する情報もあまり多いと話の腰を折る。 唐突感というのも、前半にあれだけチカラをいれた人物の後半での行動に 心理の変化がいまいち見えないというか上記の情報量に比べ描写が弱いからだろう。 特に寿安の扱いに対しては「それでいいの?」と思わなくもない。 またところどころに作者の戦争に対する考えが散見するが、それも 共感できる部分もあればステレオタイプ的な部分もあり説明くさく これまた話の腰を折る結果に繋がっている。 レベルは違えど最近読んだ「永遠のゼロ」になんとなく似ている気がする。 正直言うと期待はずれの感も大きいが、色物扱いになりやすい乱への 真摯に向き合った内容そのものは悪くないと思う。 | ||||
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天草四郎ではなく矢矩鍬之介にスポットライトを当てて島原の乱を描くという発想は非常に興味深い。本書によると鍬之介は島原の乱のきっかけとなる教会堂跡での騒動を起こした少年であるが、蜂起の虚しさにも気づいていた。人々を救うための薬を求めて長崎に行ったがために、島原の乱には加わることができず、また、結果として、薬を届けることも出来なかった。最後は代官所の警備と刺し違えて死のうとするが、死に切れなかったらしい。誰もが平常心を保てない一揆の中で、鍬之介は自暴自棄であるけれども命の重さも受け止める人間味ある存在として描かれている。人間味ある鍬之介であればこそ、島原の乱をどう捉えていたか、非常に興味のあるところであるが、鍬之介の描かれ方は中途半端で不満が残る。特に、安っぽいドラマみたいに『それから10年後』が語られるくだり。ここには書かれていないが、島原の乱の後、代官の鈴木重成が天草の石高半減の願書を残して切腹し幕府に抗議。二代目の代官重辰も石高半減を訴え、ついに1659年に石高半減が認められる。すなわち、著者が締めた『10年後』も島原の乱は現在進行中だったはずだ。数少ない生存者である鍬之介が10年間何を思ったのか?もう一歩踏み込んで欲しかった。 | ||||
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ある時期わたしは、陳舜臣の歴史小説に夢中になっていたことがありました。それらには、阿片戦争からの中国の激動がひとりの人物に焦点をあてながら、多面的にそして壮大に描かれていて、その迫力に圧倒されながら読み続けていたと記憶します。本書を読んで、日本の時代小説もやっとそれに比肩するところまできたかなと思いました。 島原半島有家村の庄屋の甚右衛門(鬼塚監物)、同じく有家村の若者、矢矩鍬之助(寿安)と長崎代官末次平左衛門(二世末次平蔵)の三人を軸に、島原・天草戦争の勃発から終焉までが展開します。中でも戦闘の記述は、詳らかで臨場感に溢れ、出色のものでした。そして同時にそれは、この戦争の遠因になっている徳川幕府の大名政策の理不尽さを際立たせることにもなりました。 時間があるときに、じっくり腰を据えて読むことをおすすめします。 | ||||
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