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ピストルズ
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ピストルズの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.37pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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徹底して表層的。 | ||||
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人気作シンセミアの続きですが、シンセミアはアメリカから流れてきた利権と政治とロリコン警官同盟と、それに対抗するフリーター盗撮集団が衝突して街が壊れましたとかでキツイので、今度は女性のみなさんなんとかしてほしいですという感じか。女性ばかりの一族が裏山に竹の子を取りに行くとか、ヒーリングサロンをやっているとか、前作の続きで読むと白すぎて肩すかしです。 女子向けか、よくわからないけど、シリーズものということで、多分意図的に文体とか扱うテイストを変えたようですが。A面、B面で全然違うというか。 監視はヒーリグサロンみたいな内面性にどこまで食い込めるのか、みたいな監視ディストピアを扱うジョージ・オーウェルの1984に似たテーマはあるかもしれません。 女性だと、カメラの被写体にされる人はもう負けてるんだよ、ニュートラルなポジションには立てない、とかいうのはよくあります。 センシミアの町の男は、互いの下半身をあばきあって自滅しましたが、 女同士よりあつまったときに、自分の浴室などをのぞかれかねない、監視カメラを、互いに利用するかどうか。 その間に男は男社会を維持する陰謀を巡らせたりするので、使わないという仮定は甘いです。 女は男性とのピロートークを拾う能力、女性同士の井戸端会議というツールを持ち、本書は、そこへ忍者というアナクロなツールもでます。 家系図が付いていて、源氏物語とか、マルケスの百年の孤独とかが好きな人向けか。ピストルズは雄蕊、男性は種に過ぎない、という諦観か。 で、ケンカの原因をつくる男性が、あんまりいないです。女性の花園を汚すセクハラ男には、天誅が下ります。 男がクズで女が女神なんて都合の良い世の中は無いので、遺伝的特質や環境が同じなのだから、女性も男性と同じだけの割合、クズ化も神化もし、この本は、女性陣がゆるすぎて、刺激が足りん、と思うのですが、それで彼は女性の本能を暴く、桐野夏生などをリスペクトしているようですが、自書へ取り入れることはしないようです。 こういうものを書いている、東紀之とか阿部和重はロリコンのオタク属性なんだろうか。消費者戦略上、そういうのを装っているだけなのか。情報オタクは恐怖心が強く、本当にそうかもしれないですが。 | ||||
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小説。ピストルズ(阿部和重・講談社文庫・(上/648円、下/762円)+消費税)。 前作「シンセミア」が面白く、これはその続編ということでワクワクの読書スタート。されど、登場人物も文体も激変し、これはもはや「シンセミア」と別物。 「シンセミア」は「三人称・大人数・多展開・山形弁の会話」に圧倒されたものの、今回の作りはその対極に位置し「一人称・少人数・標準語」に加え、上下巻で展開されるストーリーも前作に比べれば地味なもの。うっすら香ったユーモアも今作には感じられず、振り子は完全に真逆へ振り切った感あり。 数名が独白の形で語る作りは、最近でいえば湊かなえさんの「告白」に似た形で、しかし「告白」のもつストーリーの牽引力や怒濤のクロージングとは異なる。 主要人物の語りは村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」のように連綿と続くが、こちらには「長電話をひたすら聞かされる逃げ場のないストレス」に似たものがあり、終わりそうで終わらず展開がありながら地味という構造に、窮屈な窒息感と閉塞感がある。 巻末の解説を読むと、どうやらこの「地味目のストーリーにエンドレス語りがもたらすネガティブ。ストーリーでネガティブにさせるのではなく、読書という行為自体を不愉快にさせるネガティブ」が、この小説の狙いだったようで、その意味ではその狙いが完全にあたっている。 ただ、通常は「この本ダメだ」となった場合、僕の場合は「読書中止、次の本へ」となるのに、結局この本は最後まで読んでいる。これは上巻第二部の文体の影響で、この日本語には何か「読み続けさせるもの」がある。 なお、この小説はある賞を受賞しているが、その際、賛否両論がはっきり分かれたとのこと、納得。「なんか面白い小説ない?」という期待には答えられないものの「なんか変な小説ない?」の期待には確実に答えられる(←誉めています)。 | ||||
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『シンセミア』程の傑作ではないがこれはこれで一気に読ませる佳作。特殊能力を持つ一族という、半村良『産霊山秘録』のような設定。一族とその末裔の家族の歴史≒偽史に関する語りの部分が大半を占めているので、ここを面白いと思うか退屈と感じるかで評価は変わってくるであろう。 神町サーガはそれぞれが単独の作品として読めるように書かれているが、『ニッポニアニッポン』/『シンセミア』→『グランド・フィナーレ』→『ピストルズ』の順で読めばネタバレなしに読める。『ニッポニアニッポン』と『シンセミア』は直接の関係はないのでどちらを先に読んでもよい。 『グランド・フィナーレ』で『ニッポニアニッポン』と『シンセミア』が繋がり、『ニッポニアニッポン』『シンセミア』『グランド・フィナーレ』のそれぞれの後日談や裏話を含む『ピストルズ』で全体が緩く繋がる。 | ||||
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とにかくあの『シンセミア』に続く作品であり、谷崎賞受賞作である。しかし、導入部からあと、前半しばらくの説明のところが長い。だれる。蓮實先生が何と言おうと、そりゃ蓮實先生だってかわいがっている作家だから褒めますしそういう人です。さらに、『シンセミア』はもとより、『ニッポニアニッポン』、特に『グランド・フィナーレ』の主人公が再登場するのだが、それは阿部の読者でないと面白くないだろう。バルザックやゾラは、知らないと面白くないという人物再登場はさせなかった。それでクライマックスはなるほど面白いのだが、さてこれは純文学なのかということになると、「少女忍者小説」ではないかと思える。猿飛佐助とか、よくこんな感じで敵に催眠術掛けたりするんだよね。 本来なら『シンセミア』で谷崎賞とるべきだったのだし、谷崎賞には愕然とするほどひどいのもあるから、受賞するのはよし。しかし、やっぱりこれ、純文学じゃないんじゃないか…。 | ||||
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閉塞的な1人遊び小説で終わっているのかどうか、微妙な作品だ。 私には判断が付かない。 社会に何を問いかけ、提示しているのだろうか。 これまでの阿部作品よりは、やや外界に開いている感じがする。視点人物を複数にして、客観化・対象化の力が働いているからだ。 1人語りは、言葉が大仰になればなるほどホラ話に聞こえてくる。 ホラ話は、愉快でなければつまらない。 少女ミズキの活躍する部分が面白かった。 反面、カイト君は思わせぶりな存在だったのに、何事もなくフェードアウトしてしまって拍子抜け。 | ||||
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660ページの長編大作。著者らしいしょうさいなディテールとともに、かつて出版された自身の作品と紐付けて構成されている。内容は8割がた説明的な内容となっており、読者としては飽きがこなくもない。もう少し簡単にわかりやすい内容で描かれていれば評価もまた異なったかと思う。総合的に残念な作品だった。 | ||||
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文春の書評につられて読み始めたが、好き好きはそれぞれと痛感した。ノンフィクションはいざ知らず、フィクション(小説)は立ち読みでも最初の30ページを読んでから求めるべしと再認識。凝ってはいるが、この作品世界に最後まで入ることができなかった。 | ||||
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川上未映子さんの新聞書評をきっかけに読みました。 分厚い本だし、出だしはむずかしい言葉が飛び交い、複雑な家族関係がうかがえるミズキ父とカイトのチョウチョ議論の始まりに 大丈夫かなー最後まで読めるかなとも思ったけど、その後、展開は、小説家である菖蒲家次女あおばの長い長い語りがお話になってゆき、 ミステリーを読む気分でスイスイと読み進める事が出来ました。 菖蒲家の抱えているもの、一族の歴史のような長い長いお話です。 この話は、あおばの本の販売促進(のような)の為、かねてより謎であり興味津々であった菖蒲家をたずねた書店主石川が 自分の娘麻弥と同級生の4女みずきとの不思議な関係の謎の問いかけをきっかけに、石川に対して応えるあおばの語りになっています。 と言っても、石川の問いかけがきっかけというよりは、すでに石川は受け身の存在であり、巻き込まれるべくして巻き込まれたのであり・・ これもラストちょっと驚きにつながりました。 菖蒲家4人姉妹のそれぞれ違う母親の話に興味を引かれたし、ヒーリングサロン菖蒲のアロマな香り、植物のみずみずしさ、神秘的な雰囲気に惑わされながら 不思議な感じのする小説に浸っていたのだけど、途中から中だるみ感もあり、またみずきの取り返しのつかない事件(インパクト弱かったけど)や それにつながる女子中学生変死事件とか、何だろう、いい意味とっつきにくいと思っていたのが、マンガチックな感じになってしまって、それが残念ではありました。 でも、つづきは読みたいな。 | ||||
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同じ山形県の神町を舞台にした前作『シンセミア』とのあまりの作風の違いに戸惑った読書も多かったのではないだろうか。かくいう私もその戸惑いを解消できないまま読了したのであった。しかし、そのあと読んだ著者と蓮實重彦の対談(『群像』所収)をヒントにして本書が書かれた意義を理解した次第。その要点をここにまとめておきたい。 ・次々とよからぬことが起こる『シンセミア』の展開速度との違いを出すために、まず本作を「ゆるやかな時間の流れと語りの形式を一致させ」ることによって「徐々に様々な物語上の真実が浮かびあがってくる」ように構成した。この「ゆるやかな」展開にイライラした読者も多いはずだが、この意図的な読みの遅延はなかなかに戦略的である。 ・『シンセミア』の世界を描くのに使われた攻撃的で硬い言葉遣いからの「転調として、とにかくやわらかで、どこかフワッとちょっと浮世離れしたような、幻想的なといいますか、ファンタジーの作品かと思わせるような」言葉遣いを意図的に採用した。そのために女性の登場人物を中心に置き、植物を作品全体のモチーフにすることは必然であったというわけだ。 阿部和重にとって『シンセミア』のような小説を書くことは得意とするところだろうが、「語りの問題、フィクション的な言説の形式の問題を何度も実践的に試みて」きたこの作家にとって同じような作品を再び書くということは考えられず、『ピストルズ』ではあえて異なる作風に挑戦してみたということだろう。小説家にとって「選択された形式がどこまで通用するのかという試みはきわめて重要」であるという蓮實重彦の言葉に私も同意する。 すでに着想を得ているらしい次作でのさらなる飛翔を期待したい。 | ||||
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この作品の内容は,誤解の余地なくミステリアスファンタジーである.しかし作者はこのジャンルの世界を甘く見ているのか,掟破りが目立ち,あまり楽しめない.まずなぜ菖蒲家に女の子が4人もいる必要があるのか,判らない.3人で十分ならば,余分な記述をしている訳で,作品の冗長化を助けるばかりである.オンラインで確認できる限り,山形県東根市の地名はすべて実在するが,若木山は作中の記載ほど大きくはないし,この世界で起きた事件と神町で感じとられた事件は合致しないので,この物語はもう一つの世界での出来事と解釈するのが妥当で,本文最後に置かれた補遺と称する文章はその見方を支持する.要するに,実在の地名に固執するあまり,ファンタジーとしての完成度が犠牲にされた不満足なお話に思われる. | ||||
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阿部和重と言う作家は饒舌な作家である。 寡黙な作家というのもまたあって、文章がもともと寡黙な上に、 いらないと思ったところはキリキリと削っていくがために、 それは見た目にもよくわかる寡黙さになってしまうのである。 それとは反対の意味で、阿部和重は、見た目にもよくわかる 饒舌な作家である。先ず、この本自体が厚い。 その饒舌さはどんな饒舌さであるか。 対象を見つめる目が精緻すぎるが故に、描写せずにいられなくなった饒舌さか。 それとも、空想がどんどん湧いてくるが故に、語らずにいられなくなった饒舌さか。 「ピストルズ」冒頭、若木山のくだりは、腐った太宰治のような饒舌さであった。 なお、全編を通してぼくが感じた饒舌さは、高校の文芸部に所属する 早熟を装う文学青年のような饒舌さだったのである。 | ||||
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