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シンセミア



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シンセミアの評価: 3.38/5点 レビュー 68件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.38pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全23件 1~20 1/2ページ
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No.23:
(2pt)

何が言いたいのかよくわからない小説

とにかく込み入って複雑な物語を書きたい。そういう作者の「こういうものが書きたい」「立派な作品だと思われたい。」という思いばかりが先行してしまっている感がする。登場人物が多すぎる。前兆もなく急に表れて紹介もないまま、さっきから居たかのような書き出しになっているところもある。結局、途中で人物が散らかって、誰が主人公なのかもわからなくなる。そして誰にも焦点は合わないまま。

第三章 畏怖する人間たち P377 そのページ付近での中心人物である田宮博徳が、大人なのにおねしょをして恥じらうシーンだけは妙に描写がリアルだと感じた。「ティッシュペーパーを取ろうとして、ベッドから起き上がった博徳は、股間に冷たさを感じて不吉な予感を抱いた。即座に下腹に手を回し、股間や臀部を触ると、ブリーフがじっとり濡れていた。もしやと思って蒲団を捲ってみると、シーツに大きな染みが出来ていた。おねしょをしたと判り、博徳は苦笑いした。」とある。比較的近年といえる2000年代の小説ながら、田宮博徳はブリーフを付けている。独身の男性なら今の時代でも、オープンにこそしていないものの、白のブリーフが持ち合わせのパンツの中にある人も多いだろう。当方も白のブリーフを穿いているが、白ブリーフでのおねしょはとても恥ずかしい。おねしょをしてしまって明け方に目を覚ましても、最初はどうして妙な時間に目が覚めたのか気付かないことが多い。そして体を起こし、腰を反らしたときに、べったりとブリーフがあそこの先っぽ、袋、鼠径部のあたりにへばりつくのを感じ、もしや・・・と思いヒヤっとして、パジャマのズボンに手を入れて、白ブリーフに手を触れると、じっとりと濡れた感触。身体にブリーフの布がくっついてしまっていることで、姿勢を変えるまで気付かず、身体を動かした瞬間に生まれる焦りと、ブリーフが濡れていることが手指に伝わった瞬間と、ブリーフの白い布が濡れて黄色く染まっているのを見たときの羞恥。したことがある人でないと表現できない感覚がここでは妙にリアルに描かれていて、読んでいてこちらも恥ずかしい気持ちになった
シンセミア(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:シンセミア(上) (講談社文庫)より
4062775484
No.22:
(1pt)

読んでみたが不快

芸術、なのかもしれないが、露骨な性的描写、暴力の表現は読むのが苦痛、不快で、無理やり最後まで読んだものの後味の悪さしか残らなかった。魅力的な人物も出てこなかった。最後に伏線回収かと思いきや、登場人物がみな死んだだけ。
伊坂さんが好きで、キャプテンサンダーボルトが好きで、本作も読んでみたが(他にも2作品読んでみた)、もうこれ以上はいいやと思った。
シンセミア(上)Amazon書評・レビュー:シンセミア(上)より
402257870X
No.21:
(1pt)

ひたすら俗悪なだけ

本書は、文庫本で上下1000頁にわたる大作である。
山形県の神町という田舎町が舞台になっており、登場人物は60人以上という多数に上る。
時代はちょうど2000年だが、第二次大戦後米軍により進駐がなされたことが、物語の発端になっている。

本書に登場する60人以上の登場人物は、老人も若者も、男性も女性も、ひたすら俗悪・醜悪であり、凶悪である。
常識のある人物や親切心のある人物が一切登場しないのは、作者である阿部和重氏にとって一つの試みなのかもしれない。
しかし、登場人物たちの人物の造形は驚くほど一致しおり、性格の描き分けはなされていない。
文体は読みやすいものの弛緩しており、描写は醜悪な場面以外は浅いという他はない。
結末は物語の途中で予想できるものであり、読後感もいいとは言えない。

下巻の池上冬樹氏による解説を読むと、阿部氏は本書において構成の緻密さとか構築力を意識したことが分かる。
だが構成にしても、例えば東野圭吾氏のミステリとか、伊坂幸太郎氏のエンターテインメント小説と比べて、
特に緻密というわけではない。いや、東野氏や伊坂氏の方が上だろう。

評者は本書を読了して、俗悪さだけがこれでもかこれでもかと強調された低俗・醜悪な小説というだけという感想を持った。
本書は毎日出版文化賞・伊藤整文学賞をダブル受賞したとのことだが、全く解せない話である。
シンセミア(上)Amazon書評・レビュー:シンセミア(上)より
402257870X
No.20:
(2pt)

みーんな同じ

大きな物語を書きたい。そういうたくらみがひしひしと伝わってくる。
いろんな人がでてくる。
いろんな性癖やイベント出てくる。
でもどれもとっちらかって、ついに最後まで誰にも焦点があわないまま、
読後に浮かび上がってくる登場人物の人物像は不思議とどれも似通っていて、
同じ価値観や思慮の深度でできた1種類の人間に思えてくる
(ひいきめに細分化しても「イライラしている中年オヤジ」「性癖の強い青年」「自暴自棄の女」の3タイプ)。
ちなみに意図的なものか、書けないのか、魅力的な女性はひとりとして出てこない
(皮肉だがほとんど説明のない佐藤百合が一番謎めいていて奥行きがある)。

エログロは一辺倒で幼稚、中学生の女の子がいくら性の犠牲になっても起伏や落差にとぼしい。
得意げに書かれている「熊女」はもともとがどういう人だったか曖昧。気の毒だが心は傷まない。
この退屈な露悪趣味は、中高生(の男子。女子ではない)がセックスを覚えて「すげーだろ!」と周囲に自慢しているのと大差ない印象。
これだけ滑稽だとさすがに白々しく、この作者は幼稚なのではなく、
サービス精神の強いお人好しなだけなのかもしれない、とすら勘ぐらせて、
やっぱりキライにはなれない。

郷土史っぽさは水上文学(この話の場合、「道具」はビデオカメラですね)、軽さはビートニクを足して割った感じでしょうか。
でも読み進めるうちに、ああ、このエログロは
ひょっとして野坂昭如『死人葛』を作りたいんだなと思ったりして、でもそれなら野坂さんを読めばよく、何より冗長すぎる。

この作者が得意な薄っぺらさをともなうユーモアは、
『アメリカの夜』が唯一成功して、やっぱりそれ以降は全て自己模倣の延長戦を続けている。
今はもうファンの冷笑が行間から広がる感じ。
無理に思わせぶりなフルコースの壮大な話をかこうとせず、
胡散臭い三文記事的なストーリーを誠実に書くこの作者が好きだった。もう20年近く前の話なんですね。

表紙は朝日から出ていた少女が写ったハードカバーの方がよかった。
もう二度とこの作者の作品を読むことはない。
シンセミア(上)Amazon書評・レビュー:シンセミア(上)より
402257870X
No.19:
(1pt)

読み易さだけが取り柄の「俺頭いいだろ」的三文小説

何やらすごい賞を二つも獲ったらしいので読んでみたが、本当にひどい。
意識の流れだかメタフィクションだか何だか知らないが、活字がでかくなったり作者が登場したりするところは本当に痛々しい。
去勢の恐怖がどうのこうのというところもダサい。巻末の謝辞もダサい。
そもそもパン屋が町を牛耳ってるという設定自体スケールが小さい。そこに薄っぺらい歴史を無理に絡めてくるところといったら・・・。
こんな中二病みたいな小説を褒めてしまって大丈夫なのか、この国は。
無名の新人がこれを発表したらタコ殴りにされることは間違いない。世の中は摩訶不思議、まさに冥利に尽きるということか。
褒めるとすればただ一点、すごく読み易いということだ。
俺頭いいだろという感じの小説なのに辞書を引かなくて読める、というところ良いのかもしれない。
帯の宣伝文句は今回も大袈裟、もはやこの作家の特徴といってもいいだろう。
出版のもつハッタリ商売という一面がこれほど露骨に感じられる小説もなかなか無いと思う。
シンセミア(上)Amazon書評・レビュー:シンセミア(上)より
402257870X
No.18:
(1pt)

今まで読んだ中で一番くだらない本

今まで読んだ中でいちばんくだらない本。
まずページを開くと全登場人物の名前が数十人分羅列してある。まずここでげっそりする。
そして物語が始まるが、不自然な展開、魅力がない人物ばかり、魅力がないどころか嫌悪感を催す人物ばかり。
そして小説とよぶのも腹立たしいほどの程度の低い読み物が延々2冊も続く。
ある意味拷問に近い。
才能のない人間は本を書いてはいけない。
本が好きな人間として嫌悪感を覚える。
シンセミア(上)Amazon書評・レビュー:シンセミア(上)より
402257870X
No.17:
(1pt)

要らないね

単行本で買ったのですがすぐ売りました。反芻するつもりでしたがいらんで。グランドフィナーレはなんども読んだけどな。
 阿部氏の作品にはエロネタが散りばめられるんだが、村上春樹もこんな感じで手法を使う。これって単にただの自己満足やろが。退廃したエロチシズム。そんな内容はいらんで。おれは官能小説はきらいなんや。
シンセミア〈1〉 (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:シンセミア〈1〉 (朝日文庫)より
4022643773
No.16:
(1pt)

お金と時間の無駄

どうせ長くて読めなかったんでしょと言われると悔しいので一応全巻読んではみたものの、何が面白いのかさっぱりわからなかった。

この作家の誇大広告には腹が立つ。

薄っぺらい登場人物とか気色悪い話を描いたところで全然面白くないし。

天皇とか戦後とかいってる書評もあるが、はっきりいって馬鹿馬鹿しい。

字がでっかくなるところとか、去勢の恐怖がどうのこうのとのたまうところとか、ありとあらゆる部分が素人くさくて痛々しい。ダサい。

読んでる最中に感動がない。

誉めてる奴は長い作品を読んだという達成感で高揚しているだけの阿呆だ。

こういうレビューを投稿している自分も阿呆だしダサいに違いないが、つまらんものはつまらんというべきだ。
シンセミア〈1〉 (朝日文庫)Amazon書評・レビュー:シンセミア〈1〉 (朝日文庫)より
4022643773
No.15:
(2pt)

よくわかりません。すいません。

コーラを女子中学生の肛門につっこんで、そのにおいを嗅いで喜ぶ男が世の中にどれだけいるんでしょうか?
恋人のためにコーラのビンを肛門に突っ込む女子中学生がどれだけいるんでしょうか?
露出狂の市議会議員がどれだけいるんでしょうか?
コカインが好きな田舎の女性がどれだけいるんでしょうか?
UFOに連れ去られたと主張するおばさんがどれだけいるんでしょうか?
いまだにUFOを信じて撮影する人がどれだけいるんでしょうか?

こういう人たちが田舎にいて、まだまだこれ以上醜悪な人間が出てきます。
この話を信じろと言われても信じられません。
現実の話なのかファンタジーなのかわかりません。

よくわからないが僕の感想です。ごめんなさい。
影響を受けたというフォークナーはもっと人間の根源的な欲望を書いていたと思います。
こんな話ではないと思います。
シンセミア(下)Amazon書評・レビュー:シンセミア(下)より
4022578718
No.14:
(2pt)

評価が難しい

これはかなり評価に迷いがあった。
かなり分厚い本な上、上下巻。その厚さにも関わらずかなりの短時間で読み切ったというのは、要は「それだけ読者を惹きつける魅力がある」といえると言えば言えるからだ。
果樹栽培が盛んで牧歌的な田舎町。観光客は「のんびりした田舎と美味しい果実に素朴な人々〜」なんて思い込んでいるが、その実態は変態警官にろくでもないヤクザまがいの議員に覗き屋集団をはじめとした、ただれた人間関係。きめ細かい心理描写などは非常によくできていると思う。UFO、殺人・・・と読者を引き込むのもうまい。
でもその反面「盛り込みすぎた」という印象がある。最初こそ面白いと思ったのだけど、登場人物の誰もが常軌を逸した変態行為、違法行為、背徳的行為をしているという話を読みすすめるうちに「これじゃ低俗な風俗雑誌のネタの物珍しさ、エグさで読者を釣ってるだけ」という気がしてくる。
だからとても惜しい。もしまっとうな登場人物がもっと沢山いて、その上で異常性がスパイスとして利用されているのなら素直に☆3つか4つだったと思うのだが、異常性、不道徳性(変態性?)だけで構成されると、たんに誰もが有する「こわいもの見たさ」を刺激されただけなのを「文学として面白い」と誤解したのではないかと自問自答してしまうからだ。あと正直な話、作者が登場する意味がやっぱり意味ない気がしてしまう・・・(^^;)
シンセミア(上)Amazon書評・レビュー:シンセミア(上)より
402257870X
No.13:
(2pt)

評価が難しい

これはかなり評価に迷いがあった。
かなり分厚い本な上、上下巻。その厚さにも関わらずかなりの短時間で読み切ったというのは、要は「それだけ読者を惹きつける魅力がある」といえると言えば言えるからだ。

果樹栽培が盛んで牧歌的な田舎町。観光客は「のんびりした田舎と美味しい果実に素朴な人々〜」なんて思い込んでいるが、その実態は変態警官にろくでもないヤクザまがいの議員に覗き屋集団をはじめとした、ただれた人間関係。きめ細かい心理描写などは非常によくできていると思う。UFO、殺人・・・と読者を引き込むのもうまい。

でもその反面「盛り込みすぎた」という印象がある。最初こそ面白いと思ったのだけど、登場人物の誰もが常軌を逸した変態行為、違法行為、背徳的行為をしているという話を読みすすめるうちに「これじゃ低俗な風俗雑誌のネタの物珍しさ、エグさで読者を釣ってるだけ」という気がしてくる。

だからとても惜しい。もしまっとうな登場人物がもっと沢山いて、その上で異常性がスパイスとして利用されているのなら素直に☆3つか4つだったと思うのだが、異常性、不道徳性(変態性?)だけで構成されると、たんに誰もが有する「こわいもの見たさ」を刺激されただけなのを「文学として面白い」と誤解したのではないかと自問自答してしまうからだ。あと正直な話、作者が登場する意味がやっぱり意味ない気がしてしまう・・・(^^;)
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4062775484
No.12:
(1pt)

☆なし…

初めて本を読んで、感情ではなく、生理的に吐き気をもよおしました。読み返すきもおきず、すぐ人出に渡しました。思い出したくない二冊でした。
シンセミア(上)Amazon書評・レビュー:シンセミア(上)より
402257870X
No.11:
(1pt)

☆なし…

初めて本を読んで、感情ではなく、生理的に吐き気をもよおしました。読み返すきもおきず、すぐ人出に渡しました。思い出したくない二冊でした。
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4062775484
No.10:
(2pt)

エログロ長編大衆小説

全体的に浅い。人物描写も
人間関係も伏線の張り方も。
エログロ嗜好をこれ程描かないと、各登場人物の矮小さを表現できないのか疑問。
また各人物のエピソードが、終盤に向けて一つに繋がっていくものの、
単にそれだけで、そのことで生み出される余韻やドラマは何も無い。
冒頭の殺人のシーンも、その後のストーリーに殆ど影響はなく、
終盤、なんの重みもないまま種明かしがされる。
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4022578718
No.9:
(2pt)

エログロ長編大衆小説

全体的に浅い。人物描写も
人間関係も伏線の張り方も。
エログロ嗜好をこれ程描かないと、各登場人物の矮小さを表現できないのか疑問。
また各人物のエピソードが、終盤に向けて一つに繋がっていくものの、
単にそれだけで、そのことで生み出される余韻やドラマは何も無い。
冒頭の殺人のシーンも、その後のストーリーに殆ど影響はなく、
終盤、なんの重みもないまま種明かしがされる。
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4022578718
No.8:
(2pt)

現代スター作家・文壇と批評家の生理

大西巨人が褒めているそうなので、刊行より2年遅れて読了。構想力の大きななおかつ錯綜したストーリーを上手くまとめた力作であることに疑いはないが、古い言い方ながら「通俗小説」「中間小説」「大衆小説」そのものという印象だ。構想力なら同じ通俗小説の『半島を出よ』の方が話だけはでかい。警察官の倒錯的な少女性愛にしても、ほとんど図式的な描写に終始しているし、戦前・戦後の歴史的な堆積の過程で街を牛耳るようになってきたファミリーとその関連群像劇にしても、先行する大衆小説の大家たちの手練手管に及ばないのではないか?

先の『半島』にしても、出すもの全てが絶賛の桐野夏生にしても、どうしてこの人が褒めるのかと首を傾げるような人たちが褒めているのが解せない。『神聖喜劇』の大作家が本作を褒めるのはなぜなのか?

『半島』は毎日出版文化賞まで取ったらしいが、これは文壇力の故か?

何よりも中条省平が、この緩みきった文体の与太話を絶賛していることが解せないのである。安原顕ならけなしまくるだろうに。

ついでに言えば、桐野の諸作品も褒めすぎである。福田和也の鑑賞眼は、都知事のエッセイに毛の生えたような「小説」を持って世界文学とするような甚だ困ったものだが、慧眼とする向きもあろう。しかし、その桐野評も困ったものだ。きっちり批評して欲しいものだ。その都知事の手遊びに対して、真っ向から「否」を突きつけた豊崎由美は現今稀なブレない評者だが、その桐野評は「?」だ。文体・構成とも、近作はいずれも通俗小説としてさえ緩みきっていると思われるのだが。『ママ、アイムソーリー』なんてとくに・・・・。
シンセミア(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:シンセミア(上) (講談社文庫)より
4062775484
No.7:
(2pt)

現代スター作家・文壇と批評家の生理

大西巨人が褒めているそうなので、刊行より2年遅れて読了。構想力の大きななおかつ錯綜したストーリーを上手くまとめた力作であることに疑いはないが、古い言い方ながら「通俗小説」「中間小説」「大衆小説」そのものという印象だ。構想力なら同じ通俗小説の『半島を出よ』の方が話だけはでかい。警察官の倒錯的な少女性愛にしても、ほとんど図式的な描写に終始しているし、戦前・戦後の歴史的な堆積の過程で街を牛耳るようになってきたファミリーとその関連群像劇にしても、先行する大衆小説の大家たちの手練手管に及ばないのではないか?
先の『半島』にしても、出すもの全てが絶賛の桐野夏生にしても、どうしてこの人が褒めるのかと首を傾げるような人たちが褒めているのが解せない。『神聖喜劇』の大作家が本作を褒めるのはなぜなのか?
『半島』は毎日出版文化賞まで取ったらしいが、これは文壇力の故か?
何よりも中条省平が、この緩みきった文体の与太話を絶賛していることが解せないのである。安原顕ならけなしまくるだろうに。
ついでに言えば、桐野の諸作品も褒めすぎである。福田和也の鑑賞眼は、都知事のエッセイに毛の生えたような「小説」を持って世界文学とするような甚だ困ったものだが、慧眼とする向きもあろう。しかし、その桐野評も困ったものだ。きっちり批評して欲しいものだ。その都知事の手遊びに対して、真っ向から「否」を突きつけた豊崎由美は現今稀なブレない評者だが、その桐野評は「?」だ。文体・構成とも、近作はいずれも通俗小説としてさえ緩みきっていると思われるのだが。『ママ、アイムソーリー』なんてとくに・・・・。
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402257870X
No.6:
(1pt)

困惑してしまいます

~小さな町の住人達の濃密で複雑な人間関係が、これでもか、という程濃厚に描かれていて、読んでいる間息苦しくなってしまいました。たくさんの登場人物がいるのですが、誰もが見事なまでに小心な悪意の持ち主として存在し、誰一人として感情移入できないまま、終わってしまいました。前評判の高い作品だったので、期待をこめて読み始めたのですが、上下2~~冊は正直きつかったです。~
シンセミア(下)Amazon書評・レビュー:シンセミア(下)より
4022578718
No.5:
(1pt)

困惑してしまいます

~小さな町の住人達の濃密で複雑な人間関係が、これでもか、という程濃厚に描かれていて、読んでいる間息苦しくなってしまいました。
たくさんの登場人物がいるのですが、誰もが見事なまでに小心な悪意の持ち主として存在し、誰一人として感情移入できないまま、終わってしまいました。
前評判の高い作品だったので、期待をこめて読み始めたのですが、上下2~~冊は正直きつかったです。~
シンセミア(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:シンセミア(下) (講談社文庫)より
4062775492
No.4:
(2pt)

やはり、失敗作というほか・・・

 さまざまな書評で絶賛されていたので、この大冊を読んでみる気になった。しかし、そのような評判にもかかわらず、失敗作だという印象はぬぐえない。 本書の前半を通して、「盗撮」「監視社会」「ヤクザ」「ロリコン」といった過激なキーワードを満載した急テンポな物語が、たたみかけるように炸裂する。そこまではなかなか読ませるし、興奮させる。 そのいっぽうで、膨大数の登場人物がつつがなく配置されていくこの物語は、込み入ったストーリー展開のみに主眼がおかれ、それらの登場人物にほとんど人間味が感じられなくなってしまっている。読者がそう感じ始めたとたん、スリリングであるはずの本作は、ただただ長く退屈な、そして予定調和的な物語と化してしまう。 阿部はフォークナーの「ヨクナパトーファ・サーガ」にならって本作を構想したそうだが、フォークナーに比べて本作は、雄大なアメリカ南部と矮小な山形県神町(本作の舞台)がかけ離れているくらいに、似ても似つかぬものである。
シンセミア(上)Amazon書評・レビュー:シンセミア(上)より
402257870X

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