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シンセミア
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【この小説が収録されている参考書籍】
シンセミアの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.38pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全36件 1~20 1/2ページ
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オーディブルで聴取。 構成や最後がきれいにまとまりすぎているがフィクション作品としては問題なし。 面白かった。 ナレーターさんがうまかったこともあるが、青年誌あたりに掲載されている漫画を読んでいる感覚で最後までだらけずに聴けた。 各キャラが立っているというのもあるだろう。 悪い意味でよくある、ほのぼののほほんとした日本の田舎の歴史や日常をリアルに描いてくれている。 最後、〇〇さんは「自分は安全だ」的なことを言っていたが、あの意味はよくわからなかった。 続編への布石なのか、それとも純粋にそういう性格のひとなのか? ゴミ問題がテーマの一つなので、光る物体は当然化学汚染物質的なものだというオチを想像していたが結局なんなのかわからなかったもの残念。 それら一部不明のまま終わった部分もあるが、それら抜きにしても面白い。 | ||||
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アメリカがもたらした戦後日本の歪みを抱えて物語は始まります。 その歪みを背景に俗悪をきわめた登場人物たちが織り成す群像劇が、一つの大きな寓話になっている。 非常に優れた大傑作です。 | ||||
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これは素晴らしい一大文学を立ち上げたな、というのが率直な感想です。 複雑な事件がきれいに結びを迎え、カタルシスを得られます。 しかしこの物語は、それ全体が一つの寓話となっており、いろいろな読み方が可能なのも大きな楽しみです。 | ||||
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近代文学臭さを消して、ある意味、神話的な枠組みで小説を描き続けてきた作者前期の集大成的な作品。 近代文学的な意味での人間の心が描かれている小説ではないので、そういうものを求めて読むと、非常に醜悪な人々ばかりが出てくる気持ち悪い物語、と感じるかも知れない。 (実際、ここのレビューで星1を付けている人たちはそうなのだろう。) だが、そうではないのだ。 これは神話のシステムや物語論の中で動いている小説なのだ。 そしてやはり文学性を剥ぎ取られた批評的な文体が、ここでも正確に機能している。 純文学というジャンルにおいて平成を代表する作品の一つだろう。 | ||||
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アメリカの存在が先ず最初に作品の根本背景として設定され、そこに戦後日本社会の社会状況と風潮が交差する形で作品描写が始まっている。今後の展開を期待させるシンセミア上巻を読み進めています。 | ||||
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単行本、朝日文庫、講談社文庫これらの間でアマゾンレビューの評価がかなりかけ離れているので、購入を迷っている方はそれぞれ目を通すとよいかと思います。 本書の舞台のような田舎町の文化を知る者にとっては、本書に出てるような人物や人間関係にはリアリティがあります。町の中だけで威張っている議員やヤクザくずれ、土建屋など。変態もいるし男女問題も激しい。不良気取りの中高生が元気。 そういう舞台を設定して、多くの人間のトラブルを絡み合わせ、クライマックスの大事件(派手なシーン)につなげていくプロットはうまいと思う。阿部の著作の中で私は大好きな作品です。 ちなみに現実の神町の中心には木村屋というパン屋があって、阿部和重の生家です。その向かいにはあすなろ書店という本屋があります。お椀のような山、空港に近い橋、エスカレーターのあるショッピングセンター、ボウリング場、どれも近くに実在します。 | ||||
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全ての小説から一作だけ選ぶとしたら俺は本作を選ぶ。初めて読んだときの衝撃ったらなかった。 この作品を読んでまず、強烈な既視感に襲われた。俺はこれを知っている。覚えている。というか生まれ育った。 住宅街の側にホテル街が立ち並び、家の隣の草むらはカーセックスのスポットになっていて、路上にはコンドーム が飛散していて、頭のイカレタじいさんが自転車で徘徊している地方都市の風景を俺は肌で感じてきた。 ここ最近地元に回帰する事を良き事として描く作品が大衆に支持されているという。どういうことだろう? 田舎って素晴らしい。都会という砂漠から見るとオアシスのようだ。ということだろうか? しかし俺は田舎のどっかしら狂っているところも知っている。おそらくは阿部氏も存じあげているのだろう。 まず登場人物のキャラクター造形が素晴らしい。おそらくはこのパン屋の長男も妻も警官もみんな「しあわせのトンボ」 を夢見て都会に飛びだしたはずなのだ。でもそんなものは現実にはなく、他に帰るところもない出戻り組の持つ哀愁と狂気、 標準語を口にする彼らに対して方言を喋る「居残り組」との対比の妙、カメラという間接的な媒体が無ければ情欲(リアリティ) を感じられない長男の性癖は主題との一致を見せる実に秀逸な設定である。 文体の革新性については至る所で語られているところなのでこの場で省くが、本作が三人称多元という形で、かの村上春樹氏 が長年夢想している総合小説の試みに肉薄している点は明記しておきたい。 通常の文学のみならずあらゆる物語形式においてシンボリックな読みときから現代社会を読み解くタイプの評論が主流だが、 そうした視点ではおそらく本作は読み解けないだろう。 監視カメラという道具立てから、見る=見られるという関係性が捻出され、それが有機的に物語との関連性を見せて、そこからアレゴリカルに「何もかも見えすぎるためにかえってなにも見えない」(パン屋の長男)「自分の思い描いた物語しか見えない」(警官)「周りを見ようとして何も見えなくなる」(最後の粉塵爆発)というモチーフが展開されて、過去の歴史を掘り出したために「何も見えなくなってしまう」者が現れて終幕を迎える物語が、盛大なズドンで始まり相互に誤送されたガジェットの誤爆で迎える雪崩崩し的なカタストロフィからあっと驚く終幕を迎える本作はおそらくは文学史上においても、画期的な作品の一つに数えられるのではないでしょうか。 ともかく阿部和重才気煥発の大傑作なので、エログロ描写に抵抗が無ければどうぞ。 | ||||
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上下巻含めた感想。 ロバート・アルトマンの”ショートカッツ”のような小説(映画でいうとグランドホテル形式ってやつか)。阿部和重の小説で”神町”を舞台とするのは、ニッポニアニッポン、グランドフィナーレとこの作品を含めて3作ある。 最初は読みにくくて放置していたが、2度目のトライでは上巻半ばから引き込まれた。多彩な登場人物が欲望丸出しで動く様は、露悪的ではあるが、その様々な思惑が連動していく纏め様はなかなのもの。 | ||||
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大作ですが、文体の持つ映画のフィルムが流れるようなスピード感で一気に読み進められました。読むのが遅いと自負していた私ですが、こんなに早く読めたのは驚きです。登場人物のもつ際だった異常性がもつれながら猛スピードで終焉に向かっていきます。多くの方が寄せているように、まともな人間が全く出てきません。 自分と同じ人間として読むと、非常に嫌悪感を持ってしまいましたが、「これは人間の話ではないんだ」と考えてみると、ギリシア神話のように異能の神々や英雄が登場する「神話」に似ているように思います。すさまじい異常性において超越的であり悲劇的である神々が跋扈するステージとしての「神町」。個々のエピソードに死と再生の象徴性を探りながら、神町の叙事詩を読み直してみると、作品の見方が変わってくるはずです。ただの不快な小説では終わりません。 | ||||
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阿部和重氏の本は「アメリカの夜」以降読んできたが、この圧巻のリアリズムの完成度を誇る作品は絶品だ。すべての登場人物のグロテスクな面が余すところなく見事に描かれ、ストーリーテリングの実力も相当なものだ。著者はデビュー作の「アメリカの夜」にて田中康夫氏より『読まずに語る文芸批評』にて「ただの凡人」とこきおろされた。その作品を読んだ僕も同じ印象だった・・・・。その作家がここまで成長するとはまったく思いもしなかった。〜ストーリテリングにエンターテイメントの手法を持ち込む事を「後退」と評す人がたまに散見されるが、はっきり言って、純文学をエンターテイメントのストーリテリングに盛り込む方が単なる描写に徹するよりも遥かに難しい。これは自分で小説を一本でも書いてみればわかる。阿部和重氏は今後の期待が大きく膨らむ。 | ||||
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阿部和重氏の本は「アメリカの夜」以降読んできたが、この圧巻のリアリズムの完成度を誇る作品は絶品だ。すべての登場人物のグロテスクな面が余すところなく見事に描かれ、ストーリーテリングの実力も相当なものだ。著者はデビュー作の「アメリカの夜」にて田中康夫氏より『読まずに語る文芸批評』にて「ただの凡人」とこきおろされた。その作品を読んだ僕も同じ印象だった・・・・。その作家がここまで成長するとはまったく思いもしなかった。〜ストーリテリングにエンターテイメントの手法を持ち込む事を「後退」と評す人がたまに散見されるが、はっきり言って、純文学をエンターテイメントのストーリテリングに盛り込む方が単なる描写に徹するよりも遥かに難しい。これは自分で小説を一本でも書いてみればわかる。阿部和重氏は今後の期待が大きく膨らむ。 | ||||
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”神町”という町の住人の人物たちを多数登場させ、重層的に動かして、俯瞰的に描いている、各々が小心でまたは棒弱無人で善良さは微塵も観られず、人物に感情移入はできない。しかしながら上下二巻にわたって複数のエピソードを連関させることで飽きさせずに書かれており、終盤に向けて繋がっていくのが小気味良く、ちょっとした種明かしもよかった。最後の二行目には少々びっくりさせられましたが。とにかくストーリーでよくある「犯人が誰だ判らない」的な無理な仕掛けもなく好感が持てた。ただ、グロイ描写(例:ハメ撮り)や詳細な名称の羅列(例:日産グロリアY34型300アルティマVパッケージ)、難しい漢字の多用(例:悉く・纏る)、不必要な登場人物(阿倍和重と称する男)や人物の突然の死については疑問を感じ、文章表現も素人くさい。しかしながら、日本人としてこのような大作シンセミア”神町サーガ”に挑んだのは意義があると思うし、この作家の他の作品も読んでみたいと思わずにいられなかった。 | ||||
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”神町”という町の住人の人物たちを多数登場させ、重層的に動かして、俯瞰的に描いている、各々が小心でまたは棒弱無人で善良さは微塵も観られず、人物に感情移入はできない。しかしながら上下二巻にわたって複数のエピソードを連関させることで飽きさせずに書かれており、終盤に向けて繋がっていくのが小気味良く、ちょっとした種明かしもよかった。最後の二行目には少々びっくりさせられましたが。とにかくストーリーでよくある「犯人が誰だ判らない」的な無理な仕掛けもなく好感が持てた。ただ、グロイ描写(例:ハメ撮り)や詳細な名称の羅列(例:日産グロリアY34型300アルティマVパッケージ)、難しい漢字の多用(例:悉く・纏る)、不必要な登場人物(阿倍和重と称する男)や人物の突然の死については疑問を感じ、文章表現も素人くさい。しかしながら、日本人としてこのような大作シンセミア”神町サーガ”に挑んだのは意義があると思うし、この作家の他の作品も読んでみたいと思わずにいられなかった。 | ||||
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大作ということで、出来る限り先入観を避けたく、予備知識には触れずに読み始めたのだが、正直最初はかなり退屈であった。 ところが、登場人物もかなり出揃い、複雑な人間模様などが明らかとなるにつれ、物語が面白くなってきた。特に、中山正の美少女性愛嗜好が記述されたあたり(152頁)から、一気に視線が頁を這うようになってきた。 テーマは共同体の消長ということになるのであろうか、大作の予感を感じつつ、続巻以降の世界に浸るのが楽しみである。 | ||||
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同じ作者の「ピストルズ」を読む前に、以前から評判の高かった本作からということで読んでみました。神町という田舎町を舞台にした群像劇で、登場人物60人以上ほぼ全員がエグい性癖・性格のダメ人間、文庫にして全4巻という長丁場中爽快感なし、にもかかわらず一気に読み終えることができたのは何故かと考えてみるに、この小説はあれですね、今時のゲームと同じなんですよ。分野でいえばGTAとかSaints Rowに代表される”箱庭ゲー”。またはシムズ。限られたフィールドの中で多くのキャラクターが自由に生活しているのを神の視点から観察したり干渉したりするタイプのゲームをプレイするのと同じ感覚で読んでいたような気がします。 で、ゲームに飽きてきたらせっかく育てた町を破壊することに快感を感じるところも同じ。 | ||||
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阿部文学に初めて接触するにいたり、どうせならばと、これが著者の渾身の力作と思われるものからと、 わかりやすく、分量で選択した『シンセミア』。 俺が東京に上京した頃、彼を筆頭とする若手小説家の一体をくくり、渋谷系文学なんて言われているもんだから、あまのじゃく且つ自称による文学青年気取りの俺としては、なんや文学がやたら軽ーくなってませんかあ? フン。興味わきませんですわあ、自分っつって、敢えて手に出すにおよぶにいたらなかった。のです。 時が経てば、やはり、消えゆくモノはその姿を薄らげ、残るべきモノがそこに、ある、わけ、ならば、 名をとどめるにいたらなっかった渋谷系諸作家ら数知れず、いまある和重ならばと、我、一読の価値、 勝ち、ありかなと思ふにいたらん。 そう純度抜群のマリファナ<=シンセミア>のごとく、阿部和重の構築する文字が言葉として残り、その世界を表出させる。のか。 と期待しつつ読書すると、いたって普通にすっきりする作品じゃないですか、これ。 きっちり、たくさんの登場人物による物語がベタにすっきり収まった作品。のスタイル。 ひとつの世界を描ききる筆力をもった、もっていた阿部氏に星四つ、いかがでござんしょ。 | ||||
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洪水が起こって、そのせいで死体が見つかってからですね。それから後は、神町の過去や、今までの布石がどんどんまとまって、運命の8月28日、一気に10人も死ぬなだれ込みが起こり、事後経過は終章で説明されて終わり。 だから、1巻2巻はとりたてて面白いとは思いませんでした。文体工夫を狙っているようではないらしいので、フォークナーや大江健三郎に比すると、その点はやや物足りない。 汚い話が多いけど、わりとドライな視点から書いているので、そんなに嫌な気分にはなりません(特に純文学に慣れていれば)。文体にドライな態度を貫いたのも、その点ではよかったのかもしれない。 やっぱり、布石がつながるところに面白さのある小説ですね。あるいはスリリングな感覚という良さもあるだろうし。 この小説のような終わり方を見るたびに、つくづくブルガーコフを思い出します。 | ||||
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著者の小説は『アメリカの夜』以来ずっと読み続けてきている。 正直な感想は、そんなにすごいのか、ということだった。 阿部の作風は「知的武装したスラップスティック」とも 呼べるものだ。だがこの「知的武装」のほうが、ハスミとか 批評空間あたりを意識しているのがみえみえで、たとえば 「ABC戦争」で「エクリチュール」なんて言葉が出てくると、 もういけない、ということになる。 本作にもあざといガジェットは色々とある。 パン、小麦粉、麻薬、米国、占領軍の話は 興味深いが、別にこの小説で読まなくても いいように思う。 だが、地方の陰湿な利益共同体が、一部の人物の 「退屈」と「倦怠」から崩壊していく様を ドタバタとして描き切る著者の筆力が勝り、 読者としては飽きずに最後まで読める。 阿部には、もうオシャレなんてせずに、この路線で どんどん書いてもらいたい。 | ||||
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人物を描く小説は多いけれど、一人一人の人間で町を描き出し、その町に生きる 人を再びクローズアップさせている。 町の歴史と登場人物が持つ性格・位置付けが重層的に織りこまれ、作品に緊張感 を与えていて長い作品なのに読む側を飽きさせない。 難しいことは考えずに、おもしろい。壮大な構想に、筆力が追いついている。 いろいろな角度で読むことが出来るだろうけれど、傑作だと思う。 | ||||
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登場人物たちは皆いかれた人ばかり.まともな人なんて 出てはこない.そんな人達の織り成す物語なのだから当然のように混沌を極めている.最後まで読んでみた所で得られる読後感は「一体何だったんだ?」といった様なもの. こんな話なのに読ませる力は持っていた.一例を挙げるならば,いかれた人達に時折使われる難解な用語.著者が作為的に用いているのは明らかで,違和感や嫌悪感と同時になんとも言えないリアリティを感じさせてくれた.この本の登場人物達は皆いかれているかも知れないが,実際の現実世界は案外似通った物なのかも知れない. | ||||
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