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フランキー・マシーンの冬
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フランキー・マシーンの冬の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21~30 2/2ページ
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ストリート・キッズからのファンです。初めて電車の中で読み始めたのですが、頁毎に可笑しくて吹き出してしまいました。ぴちぴちとした切れのいいユーモアが軽快な機関銃のように乱射されているのです。 それから20年近くになります。紆余曲折を経て今日の姿となったのでしょう。殺しが少し多すぎます。しかし気にしないことにしましょう。 そうするとこんな美しい場面に出会うことができます。 かつて駆け出しのころ、ボスの愛人なので思いを遂げることはできないけれど、熱い想いを抱いていた女性を40年後に訪れた場面です。多くの記憶は失われています。しかし小間使いのように彼を使うことは記憶されています。買物はちゃんとしたの? 作家はここぞとばかりに執拗に書き込むことはしません。さっと刷毛をはくようにすりぬけていきます。 淡い基調の画布に、薄い青と緑の霧がすっと流れるなか、どこかの片隅に小さく深紅の牡丹が描かれているようです。音楽でいえばリヒャルトシュトラウスの薔薇の騎士の一節が流れてきます。時間の切片がきらきらと宙に浮いているのです。 あと10年も待てば、殺しのない本を読むことができるのではないかと楽しみです。一人の作家と長い間付き合うことの醍醐味なのかもしれません。 なお翻訳がとてもいいです。原文のニュアンスが理解できていないので、こんな偉そうなことはいえないはずなのですが、日本語そのものとしてよくこなれているように感じます。感謝いたします。 | ||||
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「このミス」で1位に輝くなど、すこぶる評判の良かった前作「犬の力」。しかし個人的には物足りないものでした。ストーリーも壮大で、確かに面白いのですが…ウィンズロウの作品の中にある個人的に大好きな部分をあまり感じ取れなかったからだと思います。それが何であったのかを、本書「フランキー・マシーンの冬」が教えてくれました。ふとしたしぐさや、他人にはどうでも良いこだわり、本筋とは関係のない会話など…キャラクターや街の小さな描写、ディテールをユーモアを忘れずに描く。それこそウィンズロウが他の作家より私好みの作家な理由だと気づきました。この作品には、そんな「ウィンズロウらしさ」が前作より詰まっています。もちろん、導入部から読者を魅了する上手さや、後半の真相が明らかになっていくスリリングな展開も全く見事で、本筋の方も抜かりはありません。殺伐として、救いようが無い印象の前作より、殺伐とはしていますが、どこかユーモラスで楽しい本作の方が個人的には好きでした。映像が浮かぶ作品づくりが上手い作家ですが、本書は特に「映画化して欲しい」ものでした。次の作品が待ち遠しいです。 | ||||
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オリジナルは2006年リリース。邦訳は2010年9月25日リリース。あの『犬の力』に続く作品である。ぼくは新作を読まずにいられない作家が二人いて、ひとりはジェフリー・ディーヴァー。もう一人がこのドン・ウィンズロウだ。そしていつも期待を裏切られたことがない。ドン・ウィンズロウの作品を『ミステリー』に分類するのかは悩ましいところだ。正しくは『クライム・ノヴェル』というのに分類されるのだろう。そうは言っても今年の『このミス』で本作がトップ3入りすることは間違いないと思える。前作『犬の力』では完成に5年を要したが本作は1年で書き上げた。正に充実しきった筆は遊び心が随所に感じられる。そう感じるのは音楽や映画に対する『素養』である。本作に登場する『幸運な息子』や『グリーン川の殺し屋』というのはクリーデンス・クリアウォーター・リバイバル(いわゆるCCR)ヒット曲だし、主人公『フランキー・マシーン』もフランク・シナトラ主演の『黄金の腕(1955年)』に登場する。黒帯のビック・マックがトレーニングしながら聴いているのをマイルスの『ビッチズ・ブリュー』と言い切る元マフィアというのはちょっと遊びすぎな気もするが(ビッチズ・ブリューを一度でも聴いたことがある人ならそれは音楽通でも至難の業と理解してくれるだろう)、出てくる食事にしても一切妥協がない最上級の『遊び心』が読むものをシビれさせるのだと思う。『犬の力』の時と違って時に短く章を区切り、自由自在に描く『フランキー・マシーン』のカッコよさに読んでいる間夢中にならない男がいるだろうか。本好きには絶対に外せない作品である。 | ||||
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あいかわらずのストーリー展開で読者を全く放しません。ほんのしばらく前に「犬の力」に引き込まれた私は、あっという間にウィンズロウ全作品の読者にされてしまいました。どの作品をみても即座に映画のシーンが目に浮かびます。誰が彼の作品を映画化することになるのでしょう・・・ あのタランティーノをしてもレナードの作品を仕上げるのは難しかったようで私には若干キャストに違和感を覚えざるをえませんでした。 ウィンズロウの作品はその完成度の高さと、読者を引き込む筆致によって現代のベストセラー作家(のはずですが)担ったのです。 はやく次作が読みたくてたまりません。 | ||||
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冒頭に出てくるフランキーの1日は事件とは直接関係しませんが重要な部分だと思います。ハードボイルドにおいて(本作がハードボイルドかは別として)主人公の生き方、気質の描写がストーリーの厚みを増す要素だと思います。その点本作のフランキー・マシアーノは数ある主人公の中でも指折りといえましょう。自分に対する掟に限りなく忠実で、決して筋を曲げない、諦めない、愛するものを守る。唯一の欠点は自分の(元)妻にやさしくできなかったこと、だがこれも男の琴線に触れてしまいます。 平穏な日常を暮らしているフランキーが急に命を狙われることになることは書いても問題ないでしょう。彼が数々の危機をどう乗り越えていくかが読みどころのひとつです。狩る側がめまぐるしく入れ替わり殺戮が繰り返される描写は卓越していますが、広く読者に愛されるのには不向きであることも確かです。行間にあるメロウさや、ユーモアをどのくらい感じることができるかが試される作品です。柔軟な倫理観と少しの読書経験をお持ちであれば読むべき1冊でしょう。 | ||||
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’09年、「このミステリーがすごい!」海外編で話題作『ミレニアム』をおさえて断トツ第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門では第2位に輝いた『犬の力』の次に発表した、前作とはガラリと趣の異なったドン・ウィンズロウの10作目の邦訳作品。 サンディエゴで「釣り客のための餌屋」「魚介販売」「リネン・レンタル」「不動産賃貸」と忙しく複数のビジネスを営み、朝夕にはサーフィンを楽しみ、愛する娘や恋人と付き合い、別れた元妻とも交友する62才のフランキー。“餌屋のフランク”として地元住民に親しまれている彼には、元凄腕の殺し屋“フランキー・マシーン”と呼ばれた知られざる顔があった。 ある冬の日、ロサンゼルスのボスの息子に懇願され、デトロイトマフィアの大物との交渉に出向いたフランキーは、襲われて危うく命を落としかける。彼を罠にはめ、命を狙うのは誰なのか・・・。その謎を解くため、フランキーは殺し屋稼業に手を染めた1963年から回想をはじめる。ストーリーは、彼を付け狙うギャングの若者や、逮捕するべく追いかける20年来の友人・FBI捜査官デイヴの動きが挿入されながら、過去と現在が激しく交錯する。そして、最後の戦いが・・・。 かつての、そして現在の、“殺し”の数々。ハンパでない死者の数。老いを迎えつつある男の苦闘。これだけの「殺し屋」ものを題材にしながらも、重苦しく非情なノワールになることなく、遊び心さえ感じさせ、思わず一気読みさせる軽快さを醸し出している。東江一紀(あがりえかずき)の名訳によるところも大きいが、本書を一大エンターテインメントに仕上げてしまったウィンズロウの筆さばきと手腕には感嘆してしまう。 | ||||
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今回の作品もリアルで迫力がある暴力シーンが展開されるが、読んでいて前作「犬の力」とは違ったミステリーが漂い全体を飽きさせない展開となっている。 アメリカに移住したイタリア系マフィアの「家庭的な部分と黒い影の部分」とを明確に折まぜており、一気に読んでしまった。この作品は、近々に映画化されるという話もありあの「ロバート・デ・ニーロ」が「もう二度とマフィア物はやらない」言ったそうだがあまりにも主人公 フランク・マシアーノがカッコ良くて、また主演すると言わせた作品でもある。所々にジョークも交えた展開は読みながら「ニヤリ」とするシーンが早くも映画化されるのを期待する1冊である。洋書ではこの著者ドン・ウィンズロウと今は亡きスティーブン・ハンターは私の好きな作家である。 | ||||
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本作品の前半、マフィアの殺し屋フランキー・マシーンが敵だろうが、友だろうが、パンパン撃ち殺してしまう姿に違和感を感じていた。ウィンズロウの他の作品の登場人物のように、信念に基づいて行動し、ある時は逡巡しながらも、前進しているように見えなかったからなのだろうか。 読み進めていくうち、標的の最期の瞬間に、フランキーが感情を表現しないことで、彼にまとわりつく哀しみみないなものが、かえって伝わるような気がしてくる。”ゲーム”の参加者 という覚悟に潔ささえ感じるようになったりして。 何故、老境に入りつつあるフランキーが狙われるのか、が興味の中心となるのだが、ラストに向かっての盛り上がりのおかげで、久々の徹夜本に出会ってしまった。62歳のタフなフランキーにぴったりのイタリア系俳優は誰?なんてことをつらつら考えたり。 一気読みではあるが、アクションシーンは、テンポが良いとはいえ、短いセンテンスで、ページ数をかせぎすぎなんでないの?上下分冊でなくてもいいんでは ・・・ | ||||
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ペレケーノスの<俺たちの日>以来だ! 下巻は上巻から続く、何故狙われるのかという<謎解き>も然る事ながら、 親友マイク・ペッラ&FBIディヴ・ハンセンを巡る友情と数々の裏切り譚のオン・パレード。 フランクの逃避行と敵との戦いは熾烈を極め、さすがのマシーンも次第に追い詰められ、 ついにミスを... 最後の最後に幾重にもどんでん返しが用意されており、<読む手を置く事アタワズ> なのは前作「犬の力」同様だが、物語の完成度は本作の方が上ではないかと思える程、 素晴らしい幕切れ。 これまで年一回の次作を首を長くして待つ作家としては、ジェフリー・ディーヴァ、マイクル・コナリー だったが、最早ウインズロウ中毒状態。次はいつなんだ? 下巻は、上巻を凌ぐ殺戮編なので、苦手な人はくれぐれも間違えて、読まないように 注意してください。本書の評価に☆2とか付くのを見るのは忍びない。 ところで、2009年刊行に'The Gentlemen's Hour'とあるが、これって”紳士の時間”? んっ?と言う事は続編あり? | ||||
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本書を読まないほうがいいだろう。そういう人は本書に☆3以上は付ける気にならないだろうから。 しかし、そういう描写も気にならず(というか、そういうのが好きで、)冒険活劇好きにとっては、 たまらんぐらい面白い本だ。老サーファー、フランクのくそ長い一日の紹介が終わるや、物語は怒涛の展開を 見せて転がり始め、いったい何処へ行き着くのか、予想もつかない。 前作「犬の力」と違い、今回は<謎>を追うという趣向となっており、フランク自身がその謎をかかえたまま、 疾走し、なんでこんな目に遭うのかと思案の為、今を生き抜きながら、過去を回想する形式となっており、 そのマフィア絡みの回想話が面白いのは当然か... とにかく、ちびちびケチりながら読んでも3日で上巻読了。前作同様、今回も下巻にすぐに取り掛かりたい という誘惑と戦っている。どうなるか不明だが、フランクには生き延びてほしいのだが... 話が全く違うのだが、主人公フランクの生い立ち(ベトナム従軍)、年齢がコナリーのボッシュに似通っていると 思った。しかし最近のボッシュがヘマが多いのに比して、この主人公は、年はとっても、正しく<マシーン> 精密機械の緻密さで、前半では危機を切り抜けていき、敵に畏敬の念すら抱かせていきます。 この調子で下巻も切り抜けて欲しいのだが、果たして | ||||
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