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(短編集)

空飛ぶ馬



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空飛ぶ馬の評価: 7.20/10点 レビュー 10件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.20pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(8pt)

地味ですが

深いものがありました。

わたろう
0BCEGGR4
No.4:
(8pt)

空飛ぶ馬の感想

「私」は19歳の女子大生。
文学部所属で読書を愛する典型的な文学少女である。
落語も好きで、機会があれば見に行っていた。
梅雨のある日、「私」はたまたま早起きし登校するも、講義はあいにく休講。
思わず欠伸をした瞬間、タイミング悪く、近世文学概論の加茂先生に見られてしまう。
少し気まずく思いつつも、加茂先生に誘われ、彼の研究室でコーヒーをいただくことに。
そこで「私」は雑誌「卒業生と語る」の聞き手役を打診される。
卒業生は「私」が追い掛けている噺家春桜亭円紫。
勿論「私」は引き受け、無事雑誌用の座談会を終えた。
その後「私」、加茂先生、円紫師匠の3人で打ち上げをすることに。
ほどよく酔いもまわる中、加茂先生が幼少期の謎「織部の霊」について話し出す。
さっぱりわからない「私」。
しかし、円紫師匠には真相がわかった様子。
北村薫氏デビュー作にして、「私」と円紫師匠シリーズ第一作目。
「私」を取り巻く日常の謎を、「私」の成長と共に解いていく―・・・。

「私」の19歳から20歳にかけての成長を全5編の日常ミステリと共に見守る構成です。
5編はそれぞれ異なる独立した日常の謎である一方、梅雨から冬にかけての一連の流れもあります。
何気ない話の中にしっかり伏線があるといえばありますが、少し想像力も必要かと思います。
日常を「私」の視点で辿りますが、彼女は物事への感想や気付きを、文学作品の引用で表現することが多いです。
探偵役も噺家なので、落語の引用も多々あります。
引用の多さが鼻につくような文体ではないのですが、私自身の教養不足から、想像や共感がしにくいときがあります。
また、「私」は1980年代の昭和の女子大生なので、時代の違いを感じる箇所が多々あります。
女性の社会進出の過渡期なのか、現代より「女のあり方」についての認識や理解が複雑な様子がうかがえます。
「私」は社会に大人と認められる20歳を目前とした19歳の少女です。
知識は豊富でも経験は少なく、初心なところがあります。
大人は子どもと違い、甘くもなければ汚いところも多々あります。
しかし、そればかりでもありません。
5編はそれぞれ異なる色があり、酸いも甘いもあります。
「私」は5編を通じてそれらを噛みしめ成長していきます。
ミステリとしても「私」の成長記としても面白く、「私」の成長を円紫さんと見守りたい一冊です。

▼以下、ネタバレ感想

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あんみつ
QVSFG7MB
No.3:
(7pt)

空飛ぶ馬の感想

北村薫さん初読了。登場人物の会話が「文系版森博嗣」な印象を受けました。「砂糖合戦」は噂どおりの快作でした。

水生
89I2I7TQ
No.2:
(7pt)

空飛ぶ馬の感想

 元祖(?)日常の謎の物語。日常の謎は地味だという印象が抱かれがちですが、本書はそんなことはなく、不可解な出来事に対するヒロインの真摯な好奇心、そして円紫師匠の鮮やかな推理が物語を彩り、本格の醍醐味を見せてくれる一品です

 収録されている5作品の中の私的ベスト1はやっぱり「砂糖合戦」です。序盤から円紫師匠の推理が展開され、すっかりと物語にのめりこんでしまいましたし、真相もチェスタトンのブラウン神父シリーズを思わせるような、あっと膝を打ってしまうすばらしいものでした。

聖水卿
EM682PQJ
No.1:
(8pt)

日常に潜む謎の短編集

普段何気なく生活している中に潜む謎。しかしそれを目にしたときに、謎として捉えるかどうかで探偵になれるかが決まるみたいです。
きっと謎はたくさん散りばめられているけれど、この主人公のようにそこに気がつく人は少ない気がしませんか?
すべてを読んだ後に、ちょっとお腹いっぱいになった気がします。
日常の謎ばかり追い続けるのも疲れてしまう、ということなのかも知れません。
とはいえ、ミステリというジャンルの中で、死体やら殺人やら、と言った単語が一切出てこないこのシリーズ。
どうしてもグロテスクな表現が苦手な私にはぴったりです。

花筏
12TTSXT9

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