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幻の女



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幻の女の評価: 7.50/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

幻の女の感想

五年前に不意に姿を消した女性と偶然再会した主人公。しかし、翌日には事件の被害者として殺害されたことを知る。弁護士の主人公には、父の自殺という出来事がありそれも自分のせいではないかと云う
心の負担が彼を悩ませていた。事件そのものは痴情のもつれといった形で終止符が打たれそうな感じだったが、犯人が暴力団関係者であり夜遅く彼女のマンションの部屋にどうして入れたのかといつた疑問から
主人公は彼女がなぜ黙って自分の前から消えたのかも知りたくて事件を調べ始める。しかし、調べを進めると名乗っていた人間とは別人である可能性が浮上する。彼女はどこの誰だったのか、事件の起きる前日に留守電に入っていた頼みたい事とはどのような事だったのか。あのウイリアム・アイリッシュと同じタイトルをして同様に序盤から読者を物語の中に引きずり込む展開はこの先を期待させてくれます。
でも、全体の構図としては産廃業者、市の役人との癒着、陰にうごめく暴力団、といったありきたりのパターンで書かれていてその分興醒めになるところがあります。もう少し違ったプロットで書かれていたらと
残念に思います。それは、この著者を初めて読んだのですが思いの外筆の立つ人で、主人公の屈折した心情もとにかく理屈っぽく多角的に説明していたりと予想外の筆の確かさに驚いたからです。全体においても各人物のセリフや生き方とそのポリシーもしっかりと書き表し、ぶれない人物像の人達が話の展開にもその役割として上手く作用しています。浮ついた描写や軽い雰囲気になることなく、むしろハードボイルドタッチで事件の背後と殺された女の実際の素性を探る主人公の姿が描かれています。やくざに手ひどくやられ満身創痍の身体でも調べを止めない主人公に先の展開が気になって読み進むことになります。
主人公の過去とその影響を受けた生き方。それらを描きながら女の謎を追う展開のミステリとしては上出来でしょう。ただ、残念なのは背景のありきたりさとだと云えます。

ニコラス刑事
25MT9OHA
No.1:
(8pt)

幻の女の感想

『贄の夜会』を読むまでこの作家さんを知らなかったのですが、すごい筆力のある方ですね。
最初はなんとなく辛気臭い感じで、あまりスピード感のある展開ではなかったのですが、真相が少しずつわかっていくにつれて、ぐいぐいと引き込まれていきました。
開発にからむ汚職なんてのは現実にも一杯あるだろうし、産廃がからむあたりは非常にリアリティーがあったような気がします。
終章は男性好みの終わり方だなと思いましたが、救いのある終わり方だったのでよかったです。
ページ数は多いですが、読み応えがありました。

たこやき
VQDQXTP1

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