夜の海に瞑れ



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初公開日(参考)1992年07月
分類

長編小説

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夜の海に瞑れ (角川文庫)

1997年10月01日 夜の海に瞑れ (角川文庫)

癌に冒された老ヤクザを故郷の淡路島まで運べ。舞いこんだ依頼はたやすいはずだった。だが、謎の追手の襲撃によって、老人と親友が拉致される。しかも、その老人は、五十年以上前にシベリアの捕虜収容所で、凍土に葬られたはずの男だった。組織を裏切った老ヤクザの本当の狙いは何か。殺し屋、ロシアンマフィア、そして日本の闇権力の陰謀と裏切りが交錯しあう中で、探偵碇田が執念の追跡の果てに見たものは…過去の傷痕に引きずられ、闇に蠢く男たちの吐息。信義なき世界でぎりぎりの誇りを全うする孤独な闘いを、壮大なスケールで描き切る、冒険小説の逸品。(「BOOK」データベースより)




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No.1:
(7pt)

30歳のハードボイルド宣言

久々に真っ当なハードボイルド小説を読んだ気がした。
香納諒一氏デビュー作の本書はハードボイルド小説を書く事に真摯に向き合っている姿勢が感じられ、作者の作家になることに対する並々ならぬ決意という物を感じた。

第1作目にして、作者は結構複雑なプロットを用意している。暴力団の影がちらつく余命幾許も無い老人の頼みとその老人が記録上、シベリア抑留者の死亡者リストに上がっていること、老人が何故麻薬と金を持ち逃げしたのか、逃亡する老人を複数の暴力団のみならず、ロシア人もなぜ追いかけるのか、などなどなかなか読ませる。
物語の進め方も一つ一つ手掛かりが解るたびに更に謎と新たな関係者が登場し、事件の裾野がどんどん広がっていく構成になっており、飽きさせない。

そしてこの作者の魅力として、しっかりとした描写力と人物像の造形深さが挙げられる。主人公碇田の一人称描写で語られる本書において視線のブレがなく、また時折挟まれる自然描写の雅さなど、物語を形成する風景についても筆を緩める事がない。一つ一つの言葉を慎重に選んでいるのが実によく判る。
そして魅力ある登場人物の数々。付き添いの看護婦の弥生、悪友ともいうべき安本兄弟の兄、兵庫県警の綿貫刑事、敵役の恩田庄一など、それぞれに癖があり、物語に膨らみを与えている。
特に碇田の敵役である安本兄弟の兄と恩田のキャラクターが際立っている。河合組側の人間、安本と敵対する森田組側の人間、恩田。しかし、その2人は吉野老人を中心に動いており、それぞれが違った形で主人公碇田をサポートする(いや正確には、サポートを余儀なくされるのだが)。この辺の敵味方が入り乱れる構成がそれぞれのキャラクターを惹き立てる事に成功している。

さて、結局のところ、本作は『血の収穫』を思わせる構成となっている。
『血の収穫』といえば、ハードボイルドの始祖ダシール・ハメットの代表作である。このことからも作者が、自分はハードボイルド作家としてこれからやっていくのだと宣言している風にも取れる。俺はこういう小説が書きたいのだ!と声高に叫ぶ声が聞こえてくるかのようだ。

傑作とはまで行かないまでも佳作であることは確か。語弊があるように聞こえるだろうが、正に典型的なハードボイルド小説、プライヴェート・アイ小説である。
しかし、これがデビュー作であるのならば上出来の部類だろう。この時、作者香納諒一氏30歳か。また一人応援したくなる作家が出来てしまった。



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