逆転のアリバイ 刑事花房京子
- 完全犯罪 (68)
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初めての作者。シリーズものらしい。 刑事コロンボみたいに,最初に犯行(妻と情夫を殺す)が描かれ,完全犯罪的にアリバイも完璧で,妻を殺された悲劇の夫を演じていたが,主人公の女刑事にアリバイを覆され,結局捕まってしまうという話。 犯人の奥さんは有名な宝石の専門家。テレビなどにもいっぱい出演中。ただ旦那の方は地味で奥さんの仕事の手伝いなどをしている感じで,奥さんはどんどん浮気をしてしまう。その浮気相手の一人がイタリア人で,コロッと騙されて偽の鑑定書付きの宝石を仕入れさせられて,それをお客様に売った後に偽物だというニュースが流れ,奥さんは店のブランドを守るためにすべて買い戻す。すると莫大な借金が残るわけで,それを解決するために,そのイタリア人を殺し店舗に火を放って保険金で何とか穴埋めしようと夫婦で完全犯罪の計画を練り,実際に実行に移すのだが,途中で旦那がその犯罪では絶対に行き詰ると判断し,自らが再度計画を練り直し,まず奥さんを殺し,次に外人を殺す。筋としては,外人が奥さんを殺し宝石を奪い,さらに旦那も殺そうとしてもみ合っている最中に,ピストルが暴発した感じで外人が死んでしまう…旦那は正当防衛という感じ。 完璧に実行したので,一般の警官は全て信じて旦那を被害者として丁寧に扱ってくれるのだが,主人公の女刑事は色々な疑問点がどんどん浮かび,結果的にアリバイを崩して真犯人を捕まえる事になる。 読む方からすると,最初からから犯人はわかっているので,どうやってそのアリバイを崩していくのかだけが焦点になる。この本は事件自体はとても面白く伏線もいろいろ貼ってあるにもかかわらず,アリバイに決定的な欠陥がなく,そんな事は普通は思いつかないというかどうでもいいんじゃねぇ?という枝葉末節的なネタで崩れていくのがどうもなんだかなあ…となってしまう。 Amazon見たら私以外の評価はとても良いので私の読み方が皮肉れているのだろうと思いました(笑) | ||||
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『刑事コロンボ』ファン必読の花房京子シリーズ、2018年6月以来の第二作が登場。倒叙ミステリーの代表とも言われるコロンボですが、これを日本に置き換えての作風で綴るのが、まさかの香納諒一とは驚くけれど、かといってハードボイルドや警察小説の名手が、突然本格に目覚めたということでもなく、コロンボの風味にチャレンジしながらも、香納諒一のオリジナル作風はきちんと残されていて香納ファンをやっぱり裏切らないのが素敵だ。 この作者は若手の頃から地理をよく調べて書く作家だと思っていた。小説の舞台となる土地について、現代の都会であれローカルな田舎街であれ、しっかりその土地の陽と陰、風の匂いなどが感じられてとても好感を懐いた記憶がある。マーローやハメットなどハードボイルド作家が大切にきた街の描写がしっかり継承されているように思うのだ。この日本に。 本作では田園調布界隈と三浦半島の二か所が事件の舞台なので、ぼくとしてはさほど詳しくない場所なのだが、他の作品でぼくの心当たりの土地を舞台にしているときはかなりリアルな描写をされていて感心したものだ。本作でも生き物のように、あるいは凶器や仕掛けのように土地の具体的な高低、建物周辺の道路までが材料として使われる。 無論倒叙型ミステリーなので、コロンボのTVシリーズと同じく完全犯罪を目指す容疑者側と、あらゆる現場・人間行動の矛盾に鼻の利く特殊な刑事との対決構図は楽しい。しかし、そこに物欲と情欲、人生とそれを取り巻く経済環境、生活環境などの条件が重なって、時間的リアリティと空間的奥行きを幾重にも備えた犯罪トリックとそれを暴く名探偵=花房京子の駆け引きが息を抜く間もなく連ねられる。 ぼくが思うにコロンボ以上と思える犯罪の意外な罠を、本作ではタイトル通りアリバイというところに持って行くクロージングがまた味わい深く、そこに本格推理ミステリーの面白さというだけではなく、人間の愚かさや葛藤を練り込んで描く辺りが、やはりトリックよりも人間重視で貫いてきた香納諒一という人ならではのビターテイストが利いている辺りが、実に憎い。 TVのコロンボよりも一層大人の、そして身近な日本の土地に材を取った本作の魅力と、巻置く能わずの面白さを是非とも味わって頂きたい。 | ||||
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