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罪深き緑の夏



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【この小説が収録されている参考書籍】
罪深き緑の夏
罪深き緑の夏 (角川文庫)

罪深き緑の夏の評価: 1.00/10点 レビュー 1件。 Eランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点1.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(1pt)

自分には全く合わなかった。

横溝正史賞受賞後第1作の本書はなんとも幻想味溢れるミステリ。

熱海にある「蔦屋敷」と呼ばれる洋館をひょんなことから訪れた画家の山崎淳はそこで百合という美少女に出会う。12年後、淳の腹違いの兄の婚約者として百合と再会して以来、奇怪な事件が続発する。画廊で火事が起こり、淳の絵が焼失し、画廊の主人が焼死してしまう。さらに百合の兄はドライヴ中に事故を起こし、百合を半身不随にしてしまう。

全編貫かれるのはデビュー作『時のアラベスク』の世界観を更にもっとディープに耽美の方向へ推し進めた幻想的なミステリ。『時の~』はちょっとBL系の香りが漂っていたが、本作ではロリコン趣味を巡る兄弟の狂気の愛という味わい(すみません、こっち系の世界は疎いので、独断と偏見で書いてます。大いに勘違いしていたらゴメンナサイ!)。
森に佇む洋館にそこに住まう美少女という設定からして禁断の匂いを感じさせるし、その彼女に恋する腹違いの兄と父親の弟子と主人公の三つ巴というのも既にカタストロフィの予兆の足音が聞こえてくるのが解る。一種毒気ともいえるこの怪しい世界はなんとも現実離れしている。綺麗なバラには棘があるというが、本書はまさにそれ。
こういうのが好きな人には本書は堪らないかもしれない。秘密の果実の味わいに加えて、ミステリとしての謎と真相が盛り込まれているのだから、没頭すれば没頭するほど、陶酔感とカタルシスが得られるだろう。

しかしやはり私はこういうのはダメ。どうにものめりこめなく、生理的に受け付けない。好きな作家トレヴェニアンでさえ、同趣向の『バスク、真夏の死』は受け付けられなかった。
従って本書の評価は完全に私の趣味と嗜好の違いによる物だ。
本書の表紙も天野氏であるが、既に絶版である。私も既に売ってしまい、手元にない。作者もすでに亡くなっている事から、本書もまた出版界の奔流に飲まれて消え去る1冊になっていくだろう。もし持っている方がいれば、もはや手に入らない1冊なので、私の評価を参考せず、新しい目で読むことを願っている。

Tetchy
WHOKS60S

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