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黒い谷



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【この小説が収録されている参考書籍】
黒い谷 (ハーパーBOOKS)

黒い谷の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

同工異曲の感があるが、凝った仕掛けが読みどころ

2020年のフランスでベストセラーに輝いた警察ミステリーの傑作。セルヴァズ警部補(警部)シリーズの第6作である。
停職処分を受け、拳銃も警察バッジも取り上げられて身動きがままならないセルヴァズ警部補(警部から降格された)のもとに8年前から行方不明になっている最愛の恋人・マリアンヌから「お願い、助けてほしい」との電話があった。にわかには信じられなかったセルヴァズだが、違法を承知で元の部下に依頼して発信元がピレネー山地であることを確認すると、即座に駆けつけた。だが何の手掛かりも得られず焦燥を深めるうちに凄惨な殺人事件に遭遇し、捜査の指揮を取る憲兵隊大尉・ジーグラーと再会した。ジーグラーから、この地で以前にも同様な猟奇殺人が起きていたことを聞かされ、マリアンヌの失踪との関連を疑って捜査を始めた矢先に、外部へ通じる道路が爆破で通行不可能にされ村は孤立してしまった。停職中で何の権限もないセルヴァズはもどかしい思いに苛まれながらジーグラーに協力し、殺人の捜査とマリアンヌ救出をめざす。だが、追い討ちをかけるように新たな猟奇殺人が発生し、村は不穏な空気に包まれていく…。
まさかまさかの過去からの呼びかけに慌てて走り出したものの、停職中で十分な捜査ができないセルヴァズの焦りが強すぎて、警察ミステリーとしては展開が重苦しい。だが、切れ者のジーグラー、妖艶な精神科医、世の悩みを一身に引き受けたような修道院長、さらには全霊を掛けても守りたい息子、新たな恋人など、さまざまな登場人物が絡み合うヒューマン・ドラマとしての多彩さが物語を盛り上げている。その背景にあるフランス現代社会の分断に対する嘆きも、日本の読者にアピールするものがある。
謎解きミステリーとしては傑作ではないが、さまざまな読み方ができる社会派ミステリーとして一読をオススメしたい。

iisan
927253Y1

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