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内なる罪と光



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【この小説が収録されている参考書籍】
内なる罪と光 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

内なる罪と光の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

殺人から始まるが、魂の再生の物語である(非ミステリー)

2021年のエドガー賞の最優秀新人賞にノミネートされた、女性新人作家のデビュー作。愛する息子を殺害されたクエーカー教徒の中年男と突然現れた身寄りのない16歳の妊婦である少女が奇妙な共同生活を通して宗教的な救済と魂の浄化を得ていく、スピリチュアルな物語である。
一人息子のダニエルを、息子の親友として息子同然に可愛がっていた隣家の長男・ジョナに殺害された高校教師のアイザックは世間との付き合いを避けるようになり、老犬との侘しい生活を送っていた。そんなアイザックの屋敷にある夜、エヴァンジェリンと名乗る16歳の少女が現れた。帰る家もなく、行くあてもないというエヴァンジェリンに同情したアイザックが彼女を招き入れると、エヴァンジェリンは老犬・ルーファスともすぐに仲良くなり、アイザックは彼女を自分の家に住まわせることにした。こうして始まった二人の奇妙な共同生活だが、崩壊家庭に育ちさまざま秘密を抱えているエヴァンジェリンと規律を重んじるクエーカー教徒であるアイザックはことあるごとに衝突し、互いを必要としながらも心から打ち解けることはなかった。特に、エヴァンジェリンが隠そうとする妊娠、生まれてくる子供の父親は誰かを巡ってはお互いに疑心暗鬼になり、それぞれに孤独感を深めていた。それでも妊娠期間は過ぎて行き、お腹の子供は容赦無く育っていた…。
息子が殺害され、犯人は隣家の幼なじみと分かり、苦しむアイザック、路上生活を余儀なくされ、妊娠までしてしまったエヴァンジェリン、さらに殺人者となり、遺書を残して自殺したジョナの三者三様の心の闇、魂の救済を求める葛藤が延々と繰り返される物語は、正直、読み疲れる。同じような心理描写が何度も何度も繰り返され、ただただ救いのなさだけが残る。680ページを越える物語だが、500ページぐらいにまとまっていれば、もっと読みやすく、インパクトがあったのではないかと惜しまれる。
ミステリーを期待すると裏切られる作品であり、魂の救済、再生の物語として読むことをオススメする。

iisan
927253Y1

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