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死刑執行のノート



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【この小説が収録されている参考書籍】
死刑執行のノート (集英社文庫)

死刑執行のノートの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

あの時、別の選択をしていたら、違う人生を生きているだろうか?

28歳、しかも長編2作目となる本作で2023年のエドガー賞最優秀長編賞受賞という快挙を成し遂げた、新進女性作家の傑作ミステリー。死刑執行直前の死刑囚と、死刑囚に関わった三人の女性の過去から現在までの人間ドラマを描いた心理サスペンスである。
4人の女性を殺害したアンセルは死刑執行の12時間前、女性刑務官を抱き込んだ逃亡計画を実行に移そうとしていた。脱走に成功したら、獄中で書き継いできたエッセイを出版し世間の注目を集めるつもりでいるのだが、死刑へのカウントダウンは止まらない・・・というのが、死刑囚のパート。そこに、幼いアンセルを遺棄して逃亡した母親・ラヴェンダー、アンセルの元妻の双子の妹・ヘイゼル、アンセルと同じ里親の下で育った州警察捜査官・サフィという3人の女性の回想のパートが重なってくる。4つの視点からの物語が絡み合い、積み重なることでアンセルの人間性、事件の誘因、事件が引き起こした波紋が徐々に浮き上がってくる。構成は複雑だが主要人物がくっきりと書き分けられているので、リーダビリティは悪くない。
シリアル・キラーの犯行と逃亡、警察による追跡のミステリーではなく、アンセルという殺人犯が誕生したのはなぜか、どこで歯車が狂ったのか、どこかの時点でアンセルが違う選択をしていたらアンセルや3人の女性は違う世界を生きていたのだろうかという人間ドラマとして評価したい作品である。
人間性にこだわったノワール、心理サスペンスのファンにオススメする。

iisan
927253Y1

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