■スポンサードリンク


鉄の枷



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
鉄の枷
鉄の枷 (創元推理文庫)

鉄の枷の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

鉄の枷の感想

『遮断地区』が非常によかったので、別の作品もと手に取った『鉄の枷』
小さな村で暮らす一人の老婦人が自宅の浴槽で遺体となって発見されます。手首を切り自殺かと思われるものの、頭には口うるさい女に嵌める拷問具?のスコウルズ・ブライドルが嵌められており、そこには野菊や刺草などが飾られていたことから、主治医であるセアラ、担当の刑事のクーパーが他殺ではないかと疑問を感じるのですが、実の娘や孫ではなく遺産相続人に他人であるセアラが指定されていたことから、否応なく事件に巻き込まれていきます。

イギリスは今も上流階級という感覚が残っていて、ヨーロッパあたりではその上流階級での躾としての虐待と言うのはよく聞く話ですが、それにしても想像もつかないような拷問道具があるもので、愕然とさせられます。
かくあるべきと言う体裁を保つためには個々の人権などありえないような上流社会の有様には驚きますが、何よりもその犠牲となる弱者である女性の不遇をまざまざと感じられる物語でした。

虐待の連鎖とでもいうようなマチルダ、ジェイン、ルースの三世代の親子、孫。
気が重くなるような話なのですが、非常に筆力のある作者で個々の人物描写が抜群に上手いし、それなりに救いのある結末で、シェイクスピアの作品とマチルダの日記を巧みに取り入れながら話が展開していきます。
特に女性の葛藤を描くのがすごく上手いですね。

虐待の報道が日々新聞を賑わす日本でも、もう少し色んな面で母親を支えるシステムがあればあんな悲劇は起こらないのではないかと思わずにいられません。



たこやき
VQDQXTP1

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!