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虹を待つ彼女



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【この小説が収録されている参考書籍】
虹を待つ彼女
虹を待つ彼女 (角川文庫)

虹を待つ彼女の評価: 5.67/10点 レビュー 3件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.67pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

全体的に浅くて面白味に欠ける作品。

人工知能をテーマとした近未来ミステリー小説ということで、横溝正史賞というイメージとはかなりかけ離れたものになっています。それでいながらこのような賞を取ったからにはよほど面白いのだろうと期待しましたが、読んでみるとあまり面白いものではなかったというのが正直な感想です。

主人公は人工知能の開発に関わる研究者の工藤という若いという男です。ある時彼の所属する会社が新しいソフトを開発することになりました。そのソフトとは、今は亡き謎の美少女ゲームクリエイター水科晴の人工知能を作ること、そしてそのソフトを会社として売り出すのが目的です。 人工知能とはご存知のように自ら学習して賢くなっていくそんなソフトのことを言います。この本を読んで納得がいかないのはこの工藤という男が人工知能というものをあまり信用していないということです。 人工知能は人間を超えるような知性でもなんでもなく時には予想を超える行動をすることがあるが、それはあくまでも説明可能な範囲での行動であり、単なる道具に過ぎない。そんな考えを彼は人工知能に対して持っているわけです。言ってみれば人工知能を否定しているという、そんな感じすらします。その彼が会社としての開発が中止になった後も、水科晴の人工知能を個人的に作ろうとするということ自体非常に矛盾した感じがいたします。しかもその人工知能を作るモチベーションとなるのが晴に対する恋愛感情だということなのです。この工藤という男は恋愛というものに関しても非常に否定的な考えを持っている男で、そんな男がすでにこの地球上に存在しない晴に対して恋心を抱くというのも非常に矛盾した感じがします。

一言で言うと全体的に浅い、そんな印象を受ける小説なのです。ミステリー小説としても謎が非常に浅いという感じがします。ドキドキするような展開もなく大きなスリルもサスペンスもなく、淡々と話は進んでいきます。そして終わってみればあーやっぱりそうか やっぱり着地点はそういうことか、というがっかり感がハンパないのです。ミステリーとして非常に底が浅いし、近未来のSF小説というそんな感じもない,また恋愛小説としてみたとしても中途半端な感じがいたします.とにかくどのような読み方をしても基本的に全てが浅い,それがこの小説だという気がします。本の最後に載っている選評を読むと、他の作品を圧倒した内容で、短時間で選考が終わったという有栖川有栖氏のコメントが載っていますが、果たしてそうなのでしょうか。これが他を圧倒していたというのであれば他はよほどひどかったとしか、言いようがないのではないでしょうか 。もっとちゃんと選んで欲しかったと思います。

いわし雲
78XRDN1A
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

「虹を待つ彼女」の感想

第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞した作品です。
表紙の絵が、何とも言えないほど良い感じです。裏表紙も良いですね。
ミステリと言うよりは、甘い恋愛小説をイメージさせる表紙になって居ますが、手に取られた方は、帯を取って、裏もしっかり見て欲しいと思います。

さて、本書ですが、いくつかのエピソードが書かれていますが、それがラストにどう繋がって行くのかがわからないまま終わってしまいました。
話としては面白いのですが、なにか取って付けたようなエピソードになって居ます。

また、舞台が2020年という、近未来に設定されていますが、数年後という近未来を話の舞台に設定する理由がイマイチわかりませんでした。
「現在(いま)」と言う事でも、全然違和感が無いような気がしました。

一つのエピソードとして、囲碁のプロと人工知能との対決という場面が登場します。
人工知能については、グーグルが開発した囲碁ソフトが韓国のプロ棋士に勝つなど、チェスや将棋の世界でも、人工知能がその道の最高峰の人間に勝利すると言う時代になってきました。
これからは逆に、人工知能を使ったトレーニングで、人間の能力を高めていくというような、共存の時代になっていくと思うのですが、それにしても、最新の人工知能に囲碁で勝てる棋士って、2020年にはホントに現れるのでしょうか?

本書では、この人工知能についての解説があり、中盤にサスペンス風の展開になり、最後には恋愛小説になってしまうという感じの流れです。
「横溝正史ミステリ大賞」を受賞したと言う冠を考えると、肩すかしを食いそうです。

いろんな人の書評を読むと、本書はそれなりに評判が良さそうですが、ミステリとしてはいろんな疑問点が残ってしまい、未消化の部分が多いような気がします。
まぁ、退屈しないで読めたのは良かったですが、人間と人工知能の恋愛物と考えれば良いのかも知れないですね。

トラ
WFY887SY

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