■スポンサードリンク


埋葬された夏



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
埋葬された夏 (創元推理文庫)

埋葬された夏の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

「被害者はだれか?」で読ませる、珍しい趣向

イギリスの新鋭女性作家の本邦デビュー作。音楽、カルチャー系の雑誌のライター、編集者出身で、イギリスのポップミュージック、特にパンクやゴスを背景に置いた作品を発表しているとのことで、本作も1980年代前半を舞台にしたノワール小説である。
1984年、イギリスの海辺の小さな観光地で16歳の少女コリーンが同級生殺人の犯人として逮捕され、治療のため精神科の施設に収容された。20年後の2003年、新たなDNA検査によって、殺害現場に第三者がいたことが判明。再審をめざす弁護士の依頼によって私立探偵が再調査のために町を訪れ、関係者に話を聞いて回り始めた。すると、終わったはずの事件が蘇り、隠されていた真実が暴き出されることになった。
ストーリーは、事件当時の少年少女たちの友情や葛藤のドラマと、現在の謎の第三者探しおよび犯行動機の解明プロセスを行き来して展開される。つまり、20年前の部分は青春ノワールであり、現在の部分は私立探偵ものであるという二重構造で、しかもどちらでも犯人は分かっているのに被害者が不明という、このジリジリさせる構成が実にうまいサスペンス効果を上げている。さらに、事件関係者の20年前と現在とのつながりが、見事なクライマックスを演出するところも印象的である。
ノワールよりミステリーに比重が置かれているので暗過ぎるということは無く、多くのミステリーファンにオススメできる作品である。

iisan
927253Y1

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!