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回廊亭殺人事件



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【この小説が収録されている参考書籍】
回廊亭殺人事件 (光文社文庫)

回廊亭殺人事件の評価: 6.75/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.75pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(7pt)

この設定には無理を感じるが

この頃の東野作品には『宿命』や『変身』といった人間の心や過去の因果によって引き起こされる運命の皮肉を扱ったミステリと、片や『白馬山荘殺人事件』、『仮面山荘殺人事件』など、昔からのトリッキーな舞台設定でペンションや館といった閉鎖空間で繰り広げられるオーソドックスなミステリと、2つの大きな流れがあったように思うが、本書はその題名から連想されるように後者の流れを汲むミステリだ。

かつて愛した人を、その男が実業家の隠し子で遺産を相続する権利があるという理由で無理心中という形で殺された元秘書が、実業家一族と懇意である老婆に変装し、遺言公開が行われる回廊亭という旅館で、犯人を見つけ出し、復讐するというプロットがメインだが、やはり東野氏はそんな通り一辺倒に物語を展開せず、容疑者の目処が付いた時点でその容疑者を殺し、復讐者が警察と一緒になってその犯人を探し出すという物語の転換を見せる。つまり倒叙物に犯人探しを織り込んだ作品だといえる。

実にさらっと書いており、しかもその流れが実に淀みが無いので普通に読んでしまいがちだが、限られた登場人物で捜査が進むに連れて判明する新事実に容疑者が二転三転するこの物語運びはなかなか出来るものではない。

特にその淀みない筆致こそが曲者であり、読んでいる最中、どうにか作者の術中に嵌らないことを念頭に読んでいたが、今回もすんなりと騙されてしまった。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

倒叙にしてフーダニット

東野圭吾氏の作品の中では人気知名度ともにあまり高くはないですが、個人的にはそこそこ好みの話でした。

回廊亭と呼ばれる、一風変わった旅館で起こった過去と現在、二つの事件の謎を巡る物語で
主人公の女は、自身が巻き込まれ全てを失った火災に関し、調査と復讐のために一切の過去を捨て、事件の現場であり当時その場にいた人物たちも集まる、「回廊亭」に老婆に変装して潜入します。

主人公は過去の事件の真相を追い、犯人を探るとともに、自身も復讐者として犯人となる、いわば一作で倒叙にしてフーダニットな作品です。

決して長くはない話ですがその中に複数の謎、真相、仕掛けが絡み合い、濃い内容でした。
ただ、せっかくの面白い建物である回廊亭の設定はさほど活かされているとは感じず、建物を利用した面白いトリックなどを期待する話ではありません。

▼以下、ネタバレ感想

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マリオネットK
UIU36MHZ
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

回廊亭殺人事件の感想

本間菊代は回廊亭へ訪れた。
亡き夫の親友、一ケ原高顕が死去したためだった。
高顕は一代で莫大な財を成したが、妻子がいなかった。
そのため、遺産は一族に相続されることとなり、回廊亭にて遺言書を公開することとなった。
その場に菊代は関係者として招待された。
しかし、菊代の目的は別にあった。
半年前、回廊亭にて高顕の女性秘書が恋人に無理心中を図られ、火事が起きた。
秘書は一命を取りとめたが、その後自殺した。
警察はあっさり捜査を打ち切ったが、不可解な点がある事件だった。
菊代は心中事件の真相を探りに来た。
また、菊代にはもう一つ重大な秘密があった。
莫大な遺産相続にあたり、一族誰もが白にも黒にも思えた。
その夜、新たな殺人事件が起きた。
はたして菊代は自身の秘密を隠したまま、真相に辿りつけるのか―・・・

主人公の設定は面白いです。
秘密がばれる危険を抱えつつ、真相究明のため一族と接する展開は緊張感があります。
犯人が二転三転する展開や、少しずつ心中事件と遺産相続の問題が明かされる展開も面白いです。
しかし、わざわざ回廊亭という舞台を用意した割に、回廊亭自体には面白味はありません。
また、終わり方は微妙です。
途中緊張感があって面白いだけに、最後の急な駆け足展開は残念で、興奮も冷めてしまいます。
そのため、作品の印象が面白いミステリから、通俗的なドラマのようになってしまいます。
東野圭吾氏の作品は読みやすく、そこそこ面白いです。
しかし、私には微妙に合わないのか、すごく印象に残るものでもないかなと思います。

▼以下、ネタバレ感想

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あんみつ
QVSFG7MB
No.1:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

回廊亭殺人事件の感想

醜い姿になった女性が老婆に化けて復讐をするという設定が、東野圭吾らしくなく新鮮でした。
タイトルにもある回廊亭の魅力的な舞台設定を、そこまで上手く使えなかったのは少し心残りです。
主人公視点の記述の巧みさには感心しました。犯人が解った状態で読み返したくなります。

判子
9NSL6FZ2

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