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血の咆哮



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【この小説が収録されている参考書籍】
血の咆哮 (講談社文庫)

血の咆哮の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

厳しくて味わい深い、ミネソタの大地のハードボイルド

ミネソタの保安官、コーク・オコナーシリーズの第7作。もっとも、本作ではコークは保安官を辞めて私立探偵のライセンスを取っているので、私立探偵コークシリーズと呼ぶべきかもしれないが。
今回は、これまでシリーズの重要なサブキャラクターを務めてきた、オジブワ族のまじない師メルーが病に倒れ、いまわの際の願いとして「まだ見ぬ息子を探して欲しい」と依頼するのが、メインストーリー。70年以上前に、生まれる前に別れた息子が、カナダのオンタリオ州にいるらしい。手がかりは、年齢、母親の名前、母親の写真が入った金時計だけだという。コークは、メルーの話に合致する男を探し出すが、その男はカナダ有数の大企業を育て上げ、現在は社会的なつながりを一切断って隠遁生活を送っている奇人だという。コークはメルーの願いに応えるために単身カナダに乗り込むが・・・。
メルーは、なぜ、今ごろになって息子に会いたがるのか? メルーと息子の間には、どんな事情があったのか? メルーがコークに語ったのは、70年前のインディアンが置かれていた過酷な社会状況だった。
さらに、家族を再建するために保安官を辞めたコークだったが、現実の家庭は彼が夢見たような平穏無事なものではなかった。
物語は三部構成になっており、全体を貫くテーマとして家族とは、父親とは何かという問いが設定されている。家族思いでありながら武骨な中年男コークの不器用で懐の深い生き方が、ミネソタからカナダまで広がる厳しくて優しい大自然の情景と相まって、厳しくても清々しい共感を呼び起こす。
シリーズファンはもちろん、初読の人にもオススメだ。

iisan
927253Y1

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