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濡れた魚



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【この小説が収録されている参考書籍】
濡れた魚 上 (創元推理文庫)
濡れた魚 下 (創元推理文庫)

濡れた魚の評価: 7.00/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

濡れた魚の感想

読んでいて、これはないだろう!とか、こんなのあり??と思うところは多々あるものの、先が気になり読む手が止まりませんでした。
ケルンでの事件がもとでベルリン行きを余儀なくされたラート警部。しかも殺人課ではなく風紀課の配属で本人は全然納得がいかずくすぶっていたところに殺人事件が発生します。偶然から被害者を知っていたラート警部は、被害者の身元を突き止められない殺人課の刑事達を横目になんとか花形部署へ行きたいゆえに勝手に単独捜査をはじめます。

ナチス台頭直前の1929年と言うあまりなじみのない時代ですが、あの頃の混沌としたヨーロッパの雰囲気が非常によくわかります。
同じ警察官の中でも考え方はそれぞれ違い、警察のありようも時代を考えると非常にリアルな感じがしました。

ミステリーの結末としてはしっくりこないところもあるのですが、きっとあの時代ならばこんな風にしか解決できなかっただろうと思います。
警部でありながら結構若い?ラートですが、かなり自意識が強い上に勝手な行動で墓穴を掘るようなタイプですが、彼なりの正義感は好感がもてます。

ナチスが完全に政権をとるまでこのシリーズが続くそうですが、何故民族至上主義に走っていったのか、そう言った歴史的な側面も含めて続きが非常に楽しみです。

たこやき
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No.1:
(7pt)

歴史好きの方にはおススメ

現在のドイツ・ミステリーの巨匠と目されているフォルカー・クッチャーの日本デビュー作。ラート警部を主人公にした全8作のシリーズの第一作である。
1929年のベルリンを舞台に、ある事情でケルンから左遷?され、意に沿わない風紀課に配属されたてきたラート警部が思いがけなく殺人事件に遭遇し、希望する殺人課への異動のチャンスとばかりに独自の捜査を開始する。
第一次世界大戦の痛手から回復し、建設ラッシュに沸くベルリンでは共産勢力と民族派、台頭し始めたナチスが勢力争いを繰り広げ、そこに亡命ロシア人が絡んで、複雑で暴力的な謀略が渦巻いていた。誰が敵で、誰が味方なのか? はぐれ刑事のラートは疑心暗鬼に陥りながら鋭い推理で事件の解明を進め、やがて巨大な悪の存在に気づき、必殺の大芝居を打つ。時代が時代だけに、捜査手法は科学的な捜査より、聞き込みと推理が中心で、オーソドックスな警察小説の展開だが、途中で禁じ手ではないかというエピソードもあり、なかなか波乱にとんだ展開で飽きさせない。
警察小説ではあるが、舞台がワイマール時代のベルリンということで、史実と虚構が入り混じった歴史小説という側面も強い。好みが分かれるところだが、私としては現在のドイツを描いたネレ・ノイハウスの方が好みと言える。

iisan
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