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(短編集)

顔のない男



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【この小説が収録されている参考書籍】
顔のない男―ピーター卿の事件簿〈2〉 (創元推理文庫)

顔のない男の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

旨味はあります。でも…

作家というのは長編タイプと短編タイプという2種類に分かれるとよく云われる。勿論、どちらも得意―というかどちらも読ませる作品を書く―作家というのもいるが、セイヤーズに関して云えば、私は彼女は長編向きの作家だという結論を出す。
だからといって本作に収められた作品が駄作というわけでは全然無く、寧ろ佳作ばかりだといっても過言ではない。
特に作中に自作のクロスワードパズルを盛り込んだ「因業じじいの遺言」などは短編にするのが勿体無いくらいアイデアを積み込んでいる感じがする。また約30ページの作品の中に15人もの人物が登場する「白のクイーン」も仮装パーティという特殊な状況を活かした好品でアイデアが抜群である。

しかし、それでもやはりセイヤーズは長編向きだと思う。たった1つの単純な事件に300ページ、そして『学寮祭の夜』に至っては700ページと膨大な原稿を費やすことにシリーズを読み始めた当初は無駄が多いのではないかと思っていたが『学寮祭の夜』まで読むに至り、これだけの原稿を費やして描く事件やそれに纏わる人間たちの機微がたまらなく面白く、物語のエッセンスとなっていることに気付かされた。
短編では同じワンアイデアで勝負しているのだがそこら辺の小説部分が省略され、何か物足りない。私が「推理」小説ではなく推理「小説」をセイヤーズに求めているのが今回よくわかった次第である。

Tetchy
WHOKS60S

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