霧たちこめる釧路で生まれ、貧しく苛烈な少年時代を経て、男は、自らの過剰な指を切り落として、夜の支配者へとのし上がる──。

北海道の道東を舞台とし、普通の田舎町とは一味違う渇いた閉塞感と、北の大地の生活感あふれる性を描く。

芸能界の先駆者にして伝説。その孤高の闘いを描く怒濤の長篇小説。

愛する女性を失い、己を罰するように生きてきた鷲田完治。

北海道最東端・根室は、国境の町である。戦前からこの町を動かしてきた河之辺水産の社長には、三人の娘がいた。

アイヌの出自を持ち、独自のスタイルで地位を確立したアーティスト・ミワ。彼女との出会いが人に与えるものは。

道東・釧路で『ホテルローヤル』を営む幸田喜一郎が交通事故で意識不明の重体となった。

下を向いても上を向いてもこの町は銀鼠色だ―― 17年前、弟を行方不明で失った松崎比呂は、刑事となって釧路に帰ってきた。

北海道の東の街から流れ流れて沖縄にやってきたツキヨは、那覇の路地裏にある「竜宮城」という店で体を売っていた。

１９９５年３月某日。渋谷駅で毒ガス散布事件が発生。

人間関係につまずき、ひとりぼっちを選んだイチコ。

道東釧路で図書館長を務める林原を頼りに、25歳の妹純香が移住してきた。生活能力に欠ける彼女は、書道の天才だった。

新たな刑事の名は、大門真由―― 寒風吹きすさぶ釧路の海岸で他殺体が発見された。

思い出して、思い出して、忘れて行くこともある── 釧路で書道教室を営む夏紀は、軽い認知症を患った母がつぶやいた、聞き慣れない地名を 新聞の短歌の中に見つける。

妻を失った上に会社を追われ、故郷を離れた五十四歳の亮介。十年所属した芸能事務所をクビになった二十九歳の紗希。

人生の岐路に立つ六人の女の運命を変えたのは、ひとりの女の“幸せ”だった。

鷲田完治が道東の釧路で法律事務所を開いてから三十年が経った。

夢に生き、夢に死ね―― 昭和の北海道。 己の城を求め、男は見果てぬ夢を追う。

夫婦になること。夫婦であること。

さあ、今こそ物語で旅に出よう。 豪華作家陣が贈るホテルを舞台に繰り広げられる珠玉のアンソロジー。

男として生まれた。でも、あのおねえさんみたいな、きれいな女の人になりたいな――。

１９８６年春。二人の女が福岡の証券会社で出会った。

「金がないことがこんなに心細く、息苦しいとは思わなかった」。

僕が恋したのは、美しい80代の女性でした…。

三十歳まで女を抱いたことがない牧場の一人息子・秀一が、日本語を話せない中国の娘を嫁に迎え入れる表題作「恋肌」ほか五編を収録。

少年の命を救うのは、どちらの正義か。 大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。

奔放な母親とも、実の娘とも生き別れ、昭和から平成へと移りゆく時代に北の大地を彷徨った、塚本千春という女。

大手銀行に勤める４１歳の安達は、無差別大量殺傷事件のニュースに衝撃を受ける。

夕闇迫る江戸の町で、懐の大金を失くし茫然と橋から川面を眺める同心。

「日本は戦争に勝った!」 無二の親友を引き裂いた「もう一つの戦い」の真実。

いい気味だ…… 予測不能の展開、予想外の読後感。

第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作! 戦慄のノワールサスペンス 26歳の守は生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。

洞察力に優れるが、やる気はゼロ。無責任で、捜査中でも定時で帰りたがる。

生き延びろ。地獄を。

ある３月の週末、ＳＮＳ上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。

おまえのために死んでもいい。危険な目に逢い続ける男が最後に見たものは。

本当に「あの日」に戻ることができたなら。そんな切実な思いが叶えられる――それが鎌倉一条神社。

怪異の裏になにがある!? 人間の〈死への恐怖〉をテーマにした異色の傑作怪奇譚。

甘くてスパイシーで苦くてしょっぱい、人生の味わいを詰めこんだ17の物語。

誰もが口を揃えて「人格者」だと言う、仙台市の福祉保険事務所課長・三雲忠勝が、身体を拘束された餓死死体で発見された。

南シナ海の烈風。眼下で砕ける三角波。

念願かない警察広報職員から刑事になった森口泉。記憶力や語学力を買われ、希望していた機動分析係へ配属された。

外回り中の営業部長・山縣泰介に緊急の電話が入った。

「あんたは、俺から花をもらってくれるのか」 虫も殺せぬ優男、結婚詐欺師……？ 77歳で孤独死した老人の、誰も知らない波瀾に満ちた意外な人生とは？ 『52ヘルツのクジラたち』町田そのこの新作は、一人の男と美しい花を巡る物語。

絵本作家として活躍する高城好子はかつて美弥子の継母だった。

最初の1行は全員一緒。 1編6ページ、24種の「最後の仕事」。