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世界推理短編傑作集4

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あらすじ

2019年02月12日 世界推理短編傑作集4【新版】 (創元推理文庫)

珠玉の推理短編を年代順に集成し、一九六〇年初版で以来版を重ね現在に至る『世界短編傑作集』を全面リニューアル! 第四巻にはコッブ「信・望・愛」、ノックス「密室の行者」、バーク「オッターモール氏の手」、ハメット「スペードという男」、ダンセイニ「二壜のソース」、ウォルポール「銀の仮面」、セイヤーズ「疑惑」、クイーン「いかれたお茶会の冒険」、ベイリー「黄色いなめくじ」の一九三〇年代以降の名作九編を収録!(「BOOK」データベースより)

評判

世界推理短編傑作集4の評価:

0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク

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世界推理短編傑作集4の総合評価:

8.31/10点 レビュー 13件。

感想一覧

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Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.13
(5pt)

極めて質の高い作品集。新版との比較も面白いだろう。

初版は1961年で、はや60年以上前になる。編者は御大=江戸川乱歩で、さす
がというべき選集。一つ一つの収載作の質が高く、ゆっくりと味わうことができ
る。旧版の本作品集では2作品だけは読んだことがあったが、あとは初めて読ん
だ作品だった。
 一作品ずつ簡単にレビューをする。

 「殺人者」は複数の訳者がいるが、本書では評価の高い大久保康雄。別書では、
沼澤洽治(こうじ)訳が気に入っている。本書の訳はどうにもリズム感が私には合
わず、引っかかりがある。この名作短編のスピーディさが少しだけ失われている
ような気がする。まあこれは好みか。この作品は現行の選集にはない模様。
 「スペードという男」。ハメットの代表的短編。アメリカではごく普通に私立探
偵という職業があるのだろう。コンチネンタルオプよりも小粋なスペード。ハー
ドボイルドらしく内面描写を抑えて描く。田中小実昌の訳で、最後はありきたり
だが、格好のいい台詞がきく。

 「三死人」。謎めいたイギリス植民地での殺人。複数の事件が絡み合う。ストー
リーテリングの才か、読みやすく理解しにくい箇所もない。19c半ばから20c
半ばにかけて活躍した作家。謎解き自体はあっけない、ご都合主義的でもあるが、
これが現在から100年近く前に描かれたことには驚く。
 「キ印~」。今となってはこの表題自体がアウトだろう。現行の選集では表題を
「いかれた~」としている。作者自身が作中に登場し、てんやわんやの騒ぎをする。
なるほど「不思議の国のアリス」へのリスペクトだろう。私には少し煩すぎる作品
だった。

 「信・望・愛」。初めて知った作家。三人の悲劇、というよりも喜劇的な最期を
軽妙に描いた作品。描写が上手で随分とリアリティもありユーモアもある。最も
怖れた最期に行き着くのがお洒落。面白い。
 「オッターモール氏の手」。乱歩の評価はもとよりクイーンやカーなどの評価も
高い。ロンドンにふさわしいような一種朦朧とした雰囲気のストーリーだが、恐
怖感がある。登場人物の言葉に説得力があり、今でもこの「オチ」はいい。

 「いかさま賭博」。よく錬られているプロットで、最後も小気味よい。題名から
内容は想像がつくが、さすがと思われるひねり。ただ読み直してみると、「アラ」
が一つだけあった。これがおさまりが悪く少し残念。
 「疑惑」。まさにイギリス社会そのもの。形式ばり感情を表出することを避け、
そして心の中では近しい人にも不信感がある。麗しい夫婦愛なのだが、そこに徐
々に違和感が生じる。このあたりの細やかな心の襞と、そこに投げかけられる無
気味な影がある。本作ではイギリスの文学に珍しく、食事のシーンと会話のシー
ンが多い。ラストは恐怖そのもの。

 「銀の仮面」。この作品も一種の恐怖小説。誰かが不意に家の中に侵入し、やが
ては主人公の人生そのものを食い尽くす。このようなストーリーは昨今ではいく
らでもあるが、1930年代にこのプロットを考え出したのは素晴らしい。少しずつ
少しずつ蚕食され、財産・家・心そのものが失われる。短いページでよくきれい
にまとめられている。老人(とはいえないか)の混乱した、破滅へと向かう意識の
乱れは秀逸。

 全体を通して。
 再度書くが、1961年の版。それにしても質が異常に高い。これほどの短編を編
集できたのはやはり乱歩だからだろう。当時の版権はどうなっていたのか、いさ
さか気になる。それらを超えて自由に編纂した短編集。
 推理もの好き、恐怖もの好き、双方に相応しい作品集。
 おすすめもおすすめ。新版もすぐに注文した。
世界短編傑作集〈第4〉 (1961年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 世界短編傑作集〈第4〉 (1961年) (創元推理文庫)より
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No.12
(3pt)

推理小説の多様化

世界短編傑作集1〜5巻の第4巻です。1930年前後の作品が収録されています。バラエティに富んでいて、ハードボイルド物では、ヘミングウェイの「殺人者」、ハメットの「スペードという男」、スリラーはフィルポッツの「三死人」、風刺の効いたコッブの「信・望・愛」(知名度は高くないと思われますが、面白かったです)、サスペンスはセイヤーズの「疑惑」、クイーンの本格「は茶め茶会の冒険」、古典短編推理の筆頭に挙げられる「オッタモール氏の手」(古さは否めませんが・・・)、げに恐ろしきは人間の欲望なりを描いた‘妙な味’の「銀の仮面」など、読めばお気に入りが見つかるはずです。
世界短編傑作集〈第4〉 (1961年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 世界短編傑作集〈第4〉 (1961年) (創元推理文庫)より
B000JB4E2K
No.11
(5pt)

「オッターモール氏の手」は傑作

世界短編傑作集全5冊は,誰が読んでも,どの巻も,すべての作品が気に入るということはないと思われる。江戸川乱歩氏もそう考えて選んだものではないはずで,ミステリ・ファンの趣味が多様だから仕方がない。それでも,私は,「オッターモール氏の手」を読んだとき,新鮮な感動があったし,今でも傑作だと思っている。このプロットが面白くない人は,おそらく,この作品の模倣も含むいろいろな作品を先にお読みになっていたため,詰まらなく思われたのではないかと思う。翻訳の好みはあるかもしれないが,読む価値を十分感じられる方もあると思うので,私はお勧めします。また,「信・望・愛」は,かつて探偵クイズ本が流行ったときに,トリック紹介で必ず出てきた作品なのですが,読んでみると,トリックに主眼のある作品ではないことが分かり,やはり,ダイジェスト物やクイズ本で見て読んだ気になるのは良くない,作品そのものを読むことが重要であると,ショウペンハウエルの言葉ではないが痛感した次第。個人的には,4巻が一番好きです。
世界短編傑作集〈第4〉 (1961年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 世界短編傑作集〈第4〉 (1961年) (創元推理文庫)より
B000JB4E2K
No.10
(5pt)

極めて質の高い作品集。新版との比較も面白いだろう。

初版は1961年で、はや60年以上前になる。編者は御大=江戸川乱歩で、さす
がというべき選集。一つ一つの収載作の質が高く、ゆっくりと味わうことができ
る。旧版の本作品集では2作品だけは読んだことがあったが、あとは初めて読ん
だ作品だった。
 一作品ずつ簡単にレビューをする。

 「殺人者」は複数の訳者がいるが、本書では評価の高い大久保康雄。別書では、
沼澤洽治(こうじ)訳が気に入っている。本書の訳はどうにもリズム感が私には合
わず、引っかかりがある。この名作短編のスピーディさが少しだけ失われている
ような気がする。まあこれは好みか。この作品は現行の選集にはない模様。
 「スペードという男」。ハメットの代表的短編。アメリカではごく普通に私立探
偵という職業があるのだろう。コンチネンタルオプよりも小粋なスペード。ハー
ドボイルドらしく内面描写を抑えて描く。田中小実昌の訳で、最後はありきたり
だが、格好のいい台詞がきく。

 「三死人」。謎めいたイギリス植民地での殺人。複数の事件が絡み合う。ストー
リーテリングの才か、読みやすく理解しにくい箇所もない。19c半ばから20c
半ばにかけて活躍した作家。謎解き自体はあっけない、ご都合主義的でもあるが、
これが現在から100年近く前に描かれたことには驚く。
 「キ印~」。今となってはこの表題自体がアウトだろう。現行の選集では表題を
「いかれた~」としている。作者自身が作中に登場し、てんやわんやの騒ぎをする。
なるほど「不思議の国のアリス」へのリスペクトだろう。私には少し煩すぎる作品
だった。

 「信・望・愛」。初めて知った作家。三人の悲劇、というよりも喜劇的な最期を
軽妙に描いた作品。描写が上手で随分とリアリティもありユーモアもある。最も
怖れた最期に行き着くのがお洒落。面白い。
 「オッターモール氏の手」。乱歩の評価はもとよりクイーンやカーなどの評価も
高い。ロンドンにふさわしいような一種朦朧とした雰囲気のストーリーだが、恐
怖感がある。登場人物の言葉に説得力があり、今でもこの「オチ」はいい。

 「いかさま賭博」。よく錬られているプロットで、最後も小気味よい。題名から
内容は想像がつくが、さすがと思われるひねり。ただ読み直してみると、「アラ」
が一つだけあった。これがおさまりが悪く少し残念。
 「疑惑」。まさにイギリス社会そのもの。形式ばり感情を表出することを避け、
そして心の中では近しい人にも不信感がある。麗しい夫婦愛なのだが、そこに徐
々に違和感が生じる。このあたりの細やかな心の襞と、そこに投げかけられる無
気味な影がある。本作ではイギリスの文学に珍しく、食事のシーンと会話のシー
ンが多い。ラストは恐怖そのもの。

 「銀の仮面」。この作品も一種の恐怖小説。誰かが不意に家の中に侵入し、やが
ては主人公の人生そのものを食い尽くす。このようなストーリーは昨今ではいく
らでもあるが、1930年代にこのプロットを考え出したのは素晴らしい。少しずつ
少しずつ蚕食され、財産・家・心そのものが失われる。短いページでよくきれい
にまとめられている。老人(とはいえないか)の混乱した、破滅へと向かう意識の
乱れは秀逸。

 全体を通して。
 再度書くが、1961年の版。それにしても質が異常に高い。これほどの短編を編
集できたのはやはり乱歩だからだろう。当時の版権はどうなっていたのか、いさ
さか気になる。それらを超えて自由に編纂した短編集。
 推理もの好き、恐怖もの好き、双方に相応しい作品集。
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No.9
(5pt)

ハードボイルドや心理サスペンスといったさまざまな企みに満ちた秀作が満載の第4巻。

本格推理一辺倒だった黄金時代を経てハードボイルドや心理サスペンスといったさまざまな企みに満ちた秀作が台頭して来た事で時代の移り変わりを感じさせる第4巻です。本傑作集もここまで来ると奇想天外なトリックよりも人間心理に重きを置いた作風の秀作が増えて実人生に近いリアリティーがあり読後に何とも言えない深い余韻を感じますね。
『殺人者』アーネスト・ヘミングウェイ著:田舎町の食堂にギャング風の二人の男が入って来て店主に物騒な話をし始める。実際に殺人シーンは無いのですが、殺人カンパニーの様な冷酷無情な請負殺し屋の存在にはぞっとさせられますね。『三死人』イーデン・フィルポッツ著:私立探偵マイクル・デュヴィーンが西インド諸島のバルバドス島で起きたイギリス人他三人の死の謎を故人の弟から依頼され本人に代わって部下の私が調査に赴く。物証ではなく被害者の心理分析によって難解な謎を解き明かすこの手法は著者にしか書き得ない独創的な素晴らしい発明ですね。『スペードという男』ダシール・ハメット著:私立探偵サム・スペードが依頼人から何者かに脅迫されているとの電話を受け急いで駆けつけると家には刑事達がいて既に部屋の主は殺されていた。単純だが効果的なトリックでスペードが気のいいお人好しではなく鋭い推理能力を備えた実力者だという事実を強烈に証明して見せます。『キ印ぞろいのお茶の会の冒険』エラリー・クイーン著:友人宅に招かれてやって来た名探偵エラリー・クイーンはやがて主の突然の失踪事件に端を発する奇妙奇天烈な事件に巻き込まれる。著者クイーンの遊び心が炸裂した少々おふざけが入った一編で、実際の捜査ではこんな事はあり得ないでしょうが、読者の意表を突く仕掛けが楽しめる凝った趣向の滅多に読めない逸品です。『信・望・愛』アーヴィン・S・コップ著:列車で移送されていた三人の囚人が捜査官の隙を突いてまんまと逃走に成功するのだが・・・・。劇作家である著者が悪党どもに下される神の裁きの結果とも取れる非情で憐れな末路を描き出しています。『オッターモール氏の手』トマス・バーク著:ロンドンの街に突如として出没した戦慄すべき無差別連続絞殺魔の正体とは?得体の知れない恐怖感を醸成する語りの魅力と読者の盲点を突く仕掛けと異常心理サスペンスの味わいが結実した傑作です。『いかさま賭博』レスリー・チャーテリス著:聖者(セイント)と呼ばれる義賊サイモン・テンプラアが列車内に乗り合わせた手品師からいかさまトランプの種を教えられるのだが・・・・。弱者の味方の心優しい義賊セイントなのですが、常に冷静さを失わない百戦錬磨の強者ですから、悪党どもはなめてかかると痛い目に遭いますね。『疑惑』ドロシー・L・セイヤーズ著:病弱な妻を持つ夫が自身も明らかな体調不良になって最近世間を賑わす毒殺魔の家政婦が家で働く女なのではと疑惑に駆られる。ベテラン女流の流石の実力を示す見事な一編で、どんでん返しの騙される快感が味わえる最後の一行が何とも言えず恐ろしく胸に一気にぞくぞくする戦慄が込み上げて来ますね。『銀の仮面』ヒュー・ウォルポール著:心臓が弱い独身女が貧乏な絵描きの男につきまとわれる様になり、つい生来の人の良さから親切にしてしまう。怪奇小説作家の著者が実際に起こりかねない救いのない無慈悲な恐怖の物語を冷酷に描いていますね。人の好さが命取りになり恩を仇で返されるという人情が薄れた厳しくも世知辛い現代社会の教訓でしょう。
世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4) Amazon書評・レビュー: 世界短編傑作集 4 (創元推理文庫 100-4)より
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