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本好き! さんのレビュー一覧
本好き!さんのページへレビュー数329件
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大藪賞の受賞作ということで、内容も濃いし女性作家とは思えないほど骨太な作品。
連作短編集とはいっても、必ずしも佐方検事が主人公ではない短編もあって、なかなか考えてるなと思いました。 「本懐を知る」など、スピンオフ的な作り方をしているのはポイント高。 後は、デビュー作もそうでしたが、佐方貞人シリーズ以外のテーマ・題材の全く違ったミステリーも書いていただいて どれだけ書ける作家なのか見てみたいと思います。 |
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大輔くんと栞子さんの恋の行方も気になりますが、今巻では「ブラックジャック」や寺山修司なんかを扱っているところがニクイ。
4巻までも太宰治や江戸川乱歩、初めて聞いた作者も私的にそそられる作品をテーマにしてきていますが、このチョイスが大変気に入ってます。 さすが、古書マニアの著者だけあってなかなかいい素材を見つけてきますよね。 次回作も当然期待です。 |
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構想~完結実に20年、著者渾身の超大作。平賀源内が活躍する歴史ロマン小説。
龍の骨といわれるものを発見し、その謎を追って困難を越えながら真相に迫っていく壮大なストーリー。 第一巻はその序章ともいえます。 謎の龍骨にまつわる伝承や、漂流の末謎の生物に襲われる猟師たちの話など、この後どう展開していくのかが気になって仕方がなくなる第一巻です。源内のほか、鬼平こと長谷川平蔵や上田秋成、円山応挙なども登場。 全五巻、歴史ロマンあふれる展開が期待できます。 第二巻に入り、話が徐々に核心にせまってきます。龍掌の謎を探ろうとする源内の周りには火鼠の一味なる不穏な陰が。 また、それにまつわる「判じ物」を解読するシーンも楽しいところです。 ニルヤカナヤに向けて出航する第三巻では、立ち寄った琉球での神女(ノロ)たちとの対面など、謎の解明に向けて徐々にストーリー展開されてきます。この辺は「龍の掌」はちょっと置いておいて…との印象ですが。 第四巻ではいよいよニルヤカナヤに上陸、そこでこの物語のクライマックスといえる局面を迎えます。特に戦闘シーンは圧巻。そして龍が本格的に登場してきますが、まさに和製ジュラシックパークの様相!?源内さんは最大のピンチに!? クライマックスを迎える第五巻は江戸の町を龍が暴れまわるさしずめ「江戸時代版ゴジラ」。 当初龍を見世物にしようとした源内の思惑は思わぬ方向へ向かうことに。 著者本人が映画化を希望しているように、ビジュアル面でも見ごたえある迫力満点の超大作です。 原作に忠実に映画化するなら、映像化に消極的な私でも満足のいく映画になるのではないでしょうか。 |
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【ネタバレかも!?】
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なんだこの軽さは。「悪党は千里を走る」を遥かにしのぐ軽さではないか。
北関東の田舎町をモデルにしたと思われる月影という架空の町を舞台に繰り広げられる連続殺人(?) ひとつの依頼をもとに探偵くんが調査に乗り出すも、次から次と難題が降り積もり、まさにドミノが次々倒れるがごとく。。。 著者の特徴はその作風の重さにあると思うのだが、本作は異様に軽い。 結末もなんだか消化不良ぎみだが、たまにはこういうのもあっていいかと。こういう作品を書けるのも 著者の力量の確かさと思います。 あまり量産してほしくはないけど。 |
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久々にミステリ色の濃い作品。
電車の順番抜かしを注意したばっかりに嫌がらせを受けるようになる主人公。会社での架空取引の真相を暴く池井戸さんお得意のストーリー。この二つが融合してワクワク感満載となっています。 ミステリ色が濃い(殺人未遂も発生!?)こともあり、半沢シリーズとは少々趣の異なる一冊になっています。 池井戸さんの作品はどれも読みやすく、銀行や会社の経理事務の流れがわかりやすく描かれているところがイイですね。 |
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京都を舞台に人の「思い出」を探す思い出探偵シリーズ第2弾。
ポイントは、依頼人の要望に応えるストーリーだけでなく、探偵側そのものの人間的な部分が描かれているところ。 探偵も人間だから、悩む。これがこのハートフルミステリの奥深いところ。 連作短編の作品のうち、役者志望だった探偵のうちの一人が、探偵事務所をやめ、念願かなって役者の道に進んでいくのですが、 行方不明になった役者仲間を探す章は本作本来の主題から少し外れているような印象が残ったのが残念です。 最後の「思い出をなくした男」の章は泣ける作品だと思います。 |
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【ネタバレかも!?】
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冒頭から期待を持たせてくれる作品です。
法廷ミステリはどうしても法廷での検察側と弁護側のやりとりが大半を占めてしまうものですが、 本作は飽きさせず間延びさせず、面白く読み続けさせてくれます。 終盤のドンデン返しもある程度予測はつくとしても、キャラ設定は際立っているし。 一番考えさせられたのは、警察組織のウラの部分。 身内かわいさで身内をかばう体質は現実にもあるのは疑いないところで、警察がキライな理由の大きな部分です。 似たようなケースが現実に起こっているのはまちがいないのでは?という感想も持ちました。 |
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明智光秀を主人公にした小説はなぜこれほど面白いのでしょうか。
光秀(十兵衛)と僧・愚息と剣人・新九郎との友情物語の色濃く、彼らの性格描写は格別です。 また光秀に妻・熙子に対する愛情もよく出ています。 数学の問題の部分がかなりウエートを占めていますが、出てきたときにはもう時間も忘れて読みすすめました。 「本能寺」後における彼らの光秀に対する推測も十分うなずける内容でした。 信長も出てきますが、意外とイメージよりやさしい人物に描かれている? 真保裕一「覇王の番人」と併せて読むとより楽しめるかも。 |
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読んでる最中、読み終わってなんだか既視感を感じずにはいられなかった。
冒頭の殺人現場、終盤の”格闘”シーン。「カエル男」によく似たシーンが。。。 ”格闘”シーンがなんともクドかったなぁ。 でも終盤に向かっての高揚感とラストの衝撃はやはり著者ならではの迫力がありました。 いわゆる「ウラ七里」の作品はこういったエグイシーンが持ち味の作品が多いのでしょうね。 「ウラ七里」のあとに口直しに「さよならドビュッシー」を始めとする「オモテ七里」を読むのがよいようで。 |
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前作「おれバブ」に続けて読みましたが、負けず劣らず痛快なストーリーで時間を忘れて読み進めました。
同作は半沢はもちろん、出向先で奮闘する近藤や金融庁のオネェ検査官・黒崎といった個性的なキャラも登場してきますが、 特に近藤には思い切り感情移入でき、思わず「がんばれ!!」と声をかけたくなりました。 半沢の活躍ぶりはもはや言うまでもないこと、徹底的にやり返す(「倍返し」と言う言葉が小説にも出てくるんですね)様が気持ちいいくらい痛快です。 近々「ロスジェネの逆襲」も読みましょう。そして4作目になる「銀翼のイカロス」も今は週刊誌に連載中とのこと、単行本で刊行されるのが楽しみです。 |
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あの大ヒットドラマの原作ではありますが、元来原作と映像は別物と認識しているので、ドラマは全く見ていません。(某出演者がキライというのもあって。。。)
元銀行員であらせられる池井戸さんならではの痛快な作品。銀行をやめたのは実際にひと悶着あったからで、それでここまで銀行組織の闇の部分を書いているのでは?と思わせますが、勧善懲悪的な展開になっていることや、半沢直樹君の活躍ぶりがみごとにハマッています。 ここに起こっていることは、決して小説の中だけではなく、多かれ少なかれ現実の銀行組織でも起こっていて不思議ではないことであり、「銀行の常識は世の中の非常識」をまざまざと体感させてくれる”半沢直樹シリーズ”第1作目であります。 ますます銀行組織と銀行員がキライになります。。。 これを読んで銀行に就職したいと思う学生がいるのでしょうか? |
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代理出産ビジネスの闇を描いた、女性作家ながらなかなかに骨太なミステリーです。
いわくありげな中国人を巧に動かしている点もいい。 しかしながら、サブタイトルにある「蛭川タニア」のキャラクターがイマイチ解せない。 謎の女捜査官として、そのキャラはあまりにクールで共感が得られない。 サブタイトルに名前を出すならもっと前面に出せばいいのに。 テーマがよかっただけに少々残念なキャラ設定です。 |
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ミステリ作家の新人賞の意味合いを持つ乱歩賞は、基本的に受賞者の処女作であることが多く、従ってその内容などは欠点も多く見受けられる。刊行にあたって修正を施されてはいても、それは完全になされているとはいえない部分がある。
本作は、内容としては既存のミステリ作品とそう見劣りするものではなく、十分及第点をとっていると感じた。処刑された死刑囚に傾倒し、同じ手口で犯罪を犯していく者、そのストーリーはミステリとして十分なものと思いました。凄惨な殺人現場や状況はもっとエグク描いてもいいと思いました。もっとグングン迫ってくるものがあってもいいかなと。 今後どのような路線でいくのでしょうか。次回作以降が楽しみです。 |
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正義、いわゆる正しいことを貫こうとしているはずなのに罠にかけられる。
正義とはいったい何?と考えさせられる一冊。 真保作品ならではのストーリー展開が(少し地味めだけど)心地よく読めました。 こういうテーマは真保作品にピッタリ合っているような気がします。 |
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「トリアージ」という言葉は、聞いたことはあってもその意味まではよく知りませんでした。
本作はその意味と問題点を提起しつつ、救命活動に携わる救命士の葛藤を描いています。 ストーリー展開は少々地味ではあるけど、爆弾事件の真相を探っていく二人の刑事のキャラがいい味を出しており、警察小説としてよみ応えのある作品です。 大きな災害が起きる頻度が増してきている昨今、トリアージという言葉がより一般化していくのでしょうか。 |
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私もかつて犬を飼っていたことがあります。
小型犬でしたが、エサやりや散歩は私の役目。きっと彼らは私をボスだと認めてくれていたと思います。 私のような犬好きに必読の、犬と人間とのつながりを描いた短編集です。 冒頭に犬の十戒なるものが掲載されていますが、まさにそのとおりで、犬を飼うからには小さくても尊い命があることを忘れず、最後まで責任をもって接していくこと。 いうことを聞かないとか、一緒に住めなくなったとか言って捨て犬にするなんてもってのほか、ぜひとも命ある犬たちの一生を人間が見守ってあげる、ある意味あたりまえのこととも言えるメッセージを感じました。 |
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「さよならドビュッシー」とともに最終選考に残ったという話題性の高い作品で、読むのを楽しみにしていました。そして読後感は。。。
「ドビュッシー」の印象そのままに読むと結構度肝を抜かれます。まずもって、殺害シーンや暴力シーンの描写がエグイ!「さわやか系」と言われる「ドビュッシー」と同じ作者とは思えぬドぎつさ! それだけ完成度も高いということなのでしょう。 せめてもの救いは、ピアノの演奏シーンが出てくること。エグイシーンが多数出てくる中で、心洗われる場面が出てくるのは、やはり七里さんならではです。 |
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昭和20年代、日本はGHQの統制化にあり、混乱状態から抜けられないでいた時代に起きた数々の事件の謎を清張さんが独自の観点から推理する。
有名な下山事件、松川事件に帝銀事件などは、事件の概要は良く知っていたが、そこにはGHQの影がうごめいていた。。。 聞いたことのある事件から、初めて耳にしたような事件まで、清張さんの名推理が展開され、戦後間もない頃の日本国内の混乱の様がよくわかった。真相はいかに、という感じですが、真犯人に突き当たりそうになったら急に警察が捜査を終えてしまうところなど、似たような事件は現代にもあるような。。。 本作に納められた事件については、当時も今もその推理について物議をかもしているようで、本作の影響力の大きさを知らされますが、特に伊藤律の章などは、伊藤の遺族から大きな間違いを指摘され、場合によっては発禁もありうるという記事を最近読んだことがあるくらいです。なんといっても、事実は小説より奇なり、歴史は生き物なんですね。 |
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正統派の医療ミステリと思いきや、障害者を題材になんともいえないダークさというか、
ここまで書いて大丈夫か?というくらいエグイ小説です。(特に最終盤) ストーリーは割合ミステリの王道を行っていて、キャラクターもそれぞれ持ち味を出してます。 司の特殊能力もミステリらしくでいいじゃないですか。 美帆や友人警察官もいいキャラです。 障害者の描き方云々が言われてますが、私はこのくらいエグくてもいいのでは?と思います。 さすがに終盤のシーンはそのエグさに「!?」が目の前をユラユラしながら読んでいましたが、 これまで読んだこのミス大賞作品野中でも、レベルは上位だと思います。(このミス大賞の受賞作には結構エグイ内容の作品が多いと思うのは私だけ!?) 評価の高い柚月氏の他の作品も楽しみです。 |
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