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Tetchy さんのレビュー一覧

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レビュー数889

全889件 781~800 40/45ページ

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No.109: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

気付いてしまいました。

大学2年から数十年ぶりに読み返した今回は、分析的な読み方を心掛けた甲斐もあって、数々の粗、都合の良さや強引さが目立った。

しかし、数十年経っても色褪せぬ内容と、抜群のリーダビリティは確かに存在した。
読者を愉しませんがための過ちと受取ろう。

▼以下、ネタバレ感想
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眩暈 (講談社文庫)
島田荘司眩暈 についてのレビュー
No.108:
(7pt)

女の狂気は怖い

冒頭、登場人物表にも載っていない人物の失踪が案外しつこく語られていること自体に「?」マークが頭に浮かんでいたのだが、最終的にこれほど致命的に機能してくるとは。久々に「あっ」となっちゃいました。
今回は珍しく男の狂気じゃなく、女の狂える愛。故にいつもなら狂気がしんしんと降り積もっていくのに、男が正気に戻りかけた途端、突然の大破局が訪れた。
そう、フローラよ、貴女は結局、幸運の女神だったのか?
石の微笑 (角川文庫)
ルース・レンデル石の微笑 についてのレビュー
No.107:
(7pt)

失恋男にこの話はツラい!

おいおい、どうしてこうなるの?なぜこの作家はハッピーエンドがこうも嫌いなのだろうか?たまには素直に物語を収束させてもいいんじゃないの?
しかし、レオノーラはひどい!最低の悪女だな。
ガイは、つい最近までの俺を見てるようでとても痛ましかった。だからこそガイにはハッピーエンドを迎えて欲しかったのに。
しかし、レンデルは冗長すぎるぞ!丹念に心の動きを積み重ねていこうとしているのは判るがくどくど意気地の無い愚痴に付き合わされるのにはまいったぞ!
求婚する男 (角川文庫)
ルース・レンデル求婚する男 についてのレビュー
No.106:
(7pt)

こういうレンデルもいい!

いやいや、ルース・レンデルがこんな小説を書くとは、ねぇ。
2つの物語のうち、一方は振られ男のうじうじした日常の根暗な生活が淡々と綴られるのはいつものレンデル調なのだが、もう一方はスパイごっこに興じる少年たちの、云わば青春物語だなんて!!これがもう、おいらの少年心をくすぐるから、ジョンの話が鬱陶しくて、却ってそれが俺にとっては仇になった。
そして、2つの物語がハッピーエンドなのもまたレンデルらしくなく珍しい。
死を誘う暗号 (角川文庫)
ルース・レンデル死を誘う暗号 についてのレビュー
No.105: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

色んな話がてんこ盛りの贅沢な作品

重厚長大という四字熟語がぴったりの、まるで辞書のような小説であったが、少しも疲労を感じさせなかった。リーダビリティに関してはもう云うことはないだろう。冒頭のエピソードから、結局事件には直接関係は無かったのだが、物語に幻想味を持たせるためのファクターとなる古代エジプトの挿話とタイタニックの挿話がそれ自体1つの短編として機能するほどの質を備えている。
よく考えてみたら、なんと贅沢な一冊なんだろう、これは!!
水晶のピラミッド (講談社文庫)
島田荘司水晶のピラミッド についてのレビュー
No.104:
(7pt)

精神病院が舞台なのに明るい。

ここ続けて読んできた『鬼女の鱗』、『びいどろの筆』、『蔭桔梗』といった時代物、もしくは職人の世界を描いた恋愛物と、侘び・寂びを感じさせる日本情緒豊かな作品に親しんできたため、この作品は現代本格物ということで、どこか別の人が書いたような違和感を感じたが、やはり随所に泡坂らしさを覗かせ、小さいながらも驚きを提供してくれた。
精神病院を舞台にしたにも拘らず、重く暗くならないのは主人公海方のキャラクター性と、泡坂の筆の軽さゆえか。
毒薬の輪舞 (講談社文庫)
泡坂妻夫毒薬の輪舞 についてのレビュー
No.103:
(7pt)

これって実は女性を口説いているだけぢゃあ…

前評判の高い作品ではあったが、評価は上のように落ち着いた。
内容は、確かにヴァラエティに富んでいる。物的・心理的トリックを駆使した本格物から、サイコ・スリラー物まで、アイデアもいい。まあ、でも大人になった現在、かなり苦しいものがあるなと痛感した。
大人になって読んで実感できるものと云えば、この八つの物語、全てリュパンがオルタンスを口説くためだけの前工作に過ぎないという点だ。いやはや、ここまで投資する恋があるとはねぇ…。
八点鐘―ルパン傑作集〈8〉 (新潮文庫)
モーリス・ルブラン八点鐘 についてのレビュー
No.102:
(8pt)

これぞ泡坂風時代小説だ!

いやぁ、やっぱり泡坂妻夫はこういった江戸物、とりわけ職人物を書かせると上手いわ。『鬼女の鱗』の時は自分にとって初の時代物だった事、間に盆休みが入った事が期待外れの要因だったが、この『びいどろの筆』は市井の人々の生活の匂いが立ち上ってくるかのようだ。
あと、特徴的なのは夢裡庵が主人公でない所。各エピソードの主役は各々異なるが、その誰もがまた、人間臭くて実にいい。
びいどろの筆―夢裡庵先生捕物帳 (徳間文庫)
泡坂妻夫びいどろの筆 についてのレビュー
No.101:
(7pt)

不要な登場人物が多すぎるのでは?

よく出来た小説だと思う。何一つ過不足無く終末へと向かうし、文章も格調高い。しかし、目くらましのために容疑者を増やしすぎたのではなかろうか?
以前に比べると登場人物の特性がそのために希薄になってしまっている。未だにどんな人物だったのか区別がつかない人物が3~4人いる。
また、読書とは関係ない部分、つまり私事に於いて想い煩う事があり、時折、文字を追うだけになってしまったことも付け加えておこう。
ある殺意 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
P・D・ジェイムズある殺意 についてのレビュー
No.100:
(7pt)

登場人物に魅力がない。

プロットはいい、というより水準レヴェルである。ただ、登場人物が今一つ抜き出てなかった。各々の描き分けられ方は確かに上手く成されているが、どうもステレオタイプに留まっている感がある。
やはり結局小説を生かすのはあくまでその中の登場人物であり、たった一人の個性的な人物が脇役であっても、そこにいれば、忘れ得ぬ一編となるのだ。
絵に描いた悪魔 (角川文庫)
ルース・レンデル絵に描いた悪魔 についてのレビュー
No.99: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

なぜか印象に残る短編集。

文庫の裏表紙の紹介文から多大な期待をしてしまった「奇跡の男」から始まったこの短編集は、全体的な印象から云えば、別段心に残るような意外な真相、プロットは無いものの、何故か気になってしまう。それは各々の短編に出てくる人物たちがやたらと存在感をアピールしているから。純文学の香気漂う「狐の香典」、「密会の岩」の糀屋五兵衛と安里に代表される飄々とした物腰は何とも堪らない。また他の作品から懐かしい顔が出ていたのも嬉しかった。
奇跡の男 (光文社文庫)
泡坂妻夫奇跡の男 についてのレビュー
No.98: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

横溝風?

まず題名からして横溝正史へのオマージュという感じだし、ジェイムズ・ペインの地下室は明らかに乱歩のエログロ趣味を意識したもの。この作品を以ってして島田は本格の巨匠として名を残すことに挑戦したのか?
そうだとすればこの一作が未来永劫読み継がれていく名作だとは思わないが、面白かったのは事実。
しかしメインのトリックが大掛かりであればあるほど、陳腐な印象を受けるのが現代の本格である。その一点のみで10点をつけられないのがどうにも勿体無い。
暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)
島田荘司暗闇坂の人喰いの木 についてのレビュー
No.97:
(7pt)

中学生にお勧めします。

これ、多分、私が中学生の頃に読んだら、かなり面白かったのではないだろうか?
連続活劇とも云うべき場面転換の巧みさは、ここ最近読んだリュパン物の中では随一。原題を『アルセーヌ・リュパン』のみで打ち出していることからも、モーリス・ルブランの本作に対する自信の程が窺える。
ただ、やっぱり物語の構成は他の傑作及び凡作と変わらないのが惜しい。

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ルパンの冒険 (偕成社文庫―アルセーヌ・ルパン・シリーズ)
モーリス・ルブランルパンの冒険 についてのレビュー
No.96:
(7pt)

腑に落ちない部分がたくさんあります。

最初の2編「ルビーは火」及び「生きていた化石」は不可能趣味に溢れていたのだが、それ以降はなんか大味だったなぁ…。
夜勤中で疲れててうつらうつらしながら読んだため、頭に入んなかった部分もあるのだが…。


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妖盗S79号 (文春文庫)
泡坂妻夫妖盗S79号 についてのレビュー
No.95:
(7pt)

タイトル『ジャッキー・ブラウン』で映画化

2回続けてのレナード。
前の『タッチ』と違い、こちらはレナード得意の、そして私の求めるクライム・ノヴェル。
が、しかしちょいと物足りない。
レナードにしては主人公の「貌(かお)」が見えなかった。悪役のオーディルの方が存在感があった。いや主人公はマックスでも良かったのだが、パートナーであるウィンストンが魅力的な設定にも拘らず、ストーリーの原動力に何ら寄与していなかったのが余りにも惜しい。
前に読んだ『ゲット・ショーティー』のチリ・パーマーが出色のキャラだっただけについつい較べてしまうのだ。
ラム・パンチ (角川文庫)
エルモア・レナードラム・パンチ についてのレビュー
No.94: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)
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二人称叙述ミステリの佳作

実に興味深い設定だった。作者自身が探偵役となって物語の主人公を演じるシリーズの根底を揺るがすようなお話だった。
清原奈津美は正しく法月綸太郎である。彼は自分の存在意義を一度は否定し、虚構の中で踊る道化師までに貶めし、だがそこから見事復活してみせた。
しかしそれでもなお、彼は本格探偵小説の明日を見出してはいないだろう。
そう、この中で何度も作者が云っている「物語は終わらない」ように、このジレンマもまた終わらないのだ。
二の悲劇 新装版(の3-5) (祥伝社文庫 の 3-5)
法月綸太郎二の悲劇 についてのレビュー
No.93: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

シリアス路線で密室がそぐわない。

“意外な犯人”というものにどうやら私は免疫が出来てしまったらしい。というよりも誰が犯人でもおかしくないなと思っていると、衝撃の結末も自分の中ではトーン・ダウンしてしまう。
あと、全体的に何だかアンバランスだ。やはり第二の殺人は密室殺人にする必要性はなかったのではないか?
叙述を緊迫したムードで、いわばロス・マク風悲劇を語っているのに、時代錯誤な密室殺人はどうしても宙に浮いてしまうのだ。
カタルシスまではもう少し届かなかった。
一の悲劇 新装版(祥伝社文庫 の3-4)
法月綸太郎一の悲劇 についてのレビュー
No.92:
(7pt)

受賞作にしては物足りない

もっとストーリーに起伏があるのかと思っていたが期待していたほどではなかった。アーサー・ジョンソンが己の基盤から逸脱し、途轍もない恐怖を纏うのかと思えば、そうでもなく、終始劣等感を抱いた小心者だった。結末も読者を突き放すように唐突に終わり、カタルシスを得ることがなかった。
そう、題名の“わが目の悪魔”が誰の心にも巣食っているというのは判るのだが、それが暴走しなかったのが物足りなさの根源か。
わが目の悪魔 (角川文庫 赤 541-3)
ルース・レンデルわが目の悪魔 についてのレビュー
No.91:
(8pt)

冒頭の2編は傑作!

収録作品7作品中4作品はトリックもしくはプロットが解ってしまった。後半の沢田穂波とのコンビのビブリオ・ミステリ4作品は最初のエネルギーを持続させるには少々物足りないし(「緑の扉は危険」はこちらの期待が大きかったせいか、巷間で云われているほど、素晴らしいとは思わなかった)、「黒衣の家」はその呆気無さに唖然とした。
が、しかし「死刑囚パズル」と「カニバリズム小論」がその不備を補って余りある光彩を放ってくれた。これぞ法月綸太郎の真骨頂であろう。よって8点!
法月綸太郎の冒険 (講談社文庫)
法月綸太郎法月綸太郎の冒険 についてのレビュー
No.90:
(7pt)

あのシーンは本書から

評価は少しサーヴィスした。ラストの湖から遺跡が登場するシーンが胸を打った。これは恐らく宮崎駿があの名作『カリオストロの城』のラストシーンで採用したのではないかと推測される。
そう、このシーンを読んだ時、映画のあの場面が目に浮かんだから。好きな映画のモデルになっていることが解り、思わずニヤリとしてしまいました。

緑の目の令嬢 (創元推理文庫 107-10 アルセーヌ・リュパン・シリーズ)
モーリス・ルブラン緑の目の令嬢 についてのレビュー