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ニコラス刑事 さんのレビュー一覧
ニコラス刑事さんのページへレビュー数154件
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あの坂口安吾が探偵となって、造り酒屋で起きた密室殺人事件を解決する物語。昭和の始めを舞台に京都伏見の下宿屋に居候する安吾が、ワトソン役の鉄管小僧と碁仲間の刑事からの問わず語りの情報と、関係者に会い証言を取っていく様子が読んでいるこちらにそのまま情報として示される。しかし、一筋縄ではいかない謎に包まれた家族。雪が止んだ後の現場では行ったきりの足跡。線盤時計や蝋燭時計が示す犯行時間。誰かがウソを吐いている。時代にあった人物などがさりげなく登場して物語に花を添える。造り酒屋としての、日本酒を造るという作業の難しさや理にかなった作法などもウンチクめいて描かれていて、本格的なミステリのスタイルに則ったストーリーは楽しめる。時間トリック、毒殺トリック、そして帰りの足跡がない密室トリック。さあ安吾とともに探偵をしよう。
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眼球堂と呼ばれる館に招待された六人と一人。二日目の朝、死体が発見される。館の主人驫木煬が無残な姿で。その後次々に四人が。天才数学者、十和田只人が一連の事件の真実を証明する。そんなストーリーです。この手の館物は以前に読んだことがありますが、そっちはまぁ良いでしょう。しかし、天才と呼ばれる人間の思慮と云え凡人にはとても理解出来ない行動原理です。犯意がまるでわからず、そこはちょっと付いて行けません。フーとホワイとハウがそろう殺人現場。その胡散臭さはミステリの彩りとして有効です。ただ、やはり一人の登場人物が最後まで現れませんでした。そのために最後のドンデン返しが読まれてしまいます。ここはもう少し考えて欲しかったと思います。しかし、放浪の天才数学者というキャラクターは面白くこの後の活躍に期待したいです。
▼以下、ネタバレ感想 |
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呪術は心理戦という文化人類学者の主人公仲澤大輔と砂倉真由のコンビが、文献にも出ない隠れた呪術師たちを追って四国や東北を旅し、その土地の念仏を探っていく物語である。何者かに祖父を殺された真由が家の軒下から見つけた呪術符。それは50年も前のもので、強力な呪いを込められた本物の札であった。殺された祖父の過去と影の陰陽師たちとの係わり合いはどの様なものだったのか。謎を追ってわずかな手がかりから真相に迫っていく二人の行動が、犠牲祭祀や陰陽道に関するウンチクを絡ませながら描かれていて興味深く読み進む。かなりマイナーな事柄であると思う呪術についても、昔の人々の暮らしの中で根付いていた理由とかその役割なども解かりやすく主人公の口から語られていて新鮮であった。クライマックスの緊迫した事態も中々迫力ある描写で読ませる力があり、刑事コンビや関係者の動きなども無駄が無く展開を変えていくホンの小さな発見などが上手く描かれ、始めから最後までテンポ良く進むストーリーは読みやすく楽しめる。
この後もどんな作品を見せてくれるのか興味ある人である。同時受賞の完盗オンサイトとはまったく違った毛色の物語だけれど個人的にはこちらの方が断然面白いと言える。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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ひとつのトリックと云うか仕掛けで固められたミステリと言えます。作者の徹底したミスリードにより読者は真相に気付くことなくラストに至ります。四つの時間軸でストーリーが語られます。それぞれのエピソードの中で沙保里の話しに重点が置かれていますが、この女性の生活観と言うか生き様に余り共感出来ず、子供を怖がる理由もイマイチ不明で意味が良く解かりません。駿のエピソードはどうも読んでいて不快で気分のよいものではないのが難点です。と云うか全体的にどんよりとした暗いイメージで彩られているストーリー構成です。殺人事件の真犯人に迫る役割の人物にしてもあまり好感の持てる人物ではなく、本当のラストの様子もどうも違和感を覚えます。両者の気持ちのすれ違いといったところなんでしょうが、だからといってあのラストはどうなんでしょうか、まるでホラー小説的なオチに感じます。でも時代背景に合ったエピソードを使っているところは面白く感じました。ビデオ屋で借りるツイン・ピークスの話とか、灰とダイアモンドとかローズマリーの赤ちゃんや羊たちの沈黙の話などが出てくるところはニヤリとしました。まぁ、さらりと読める内容ですのでボンヤリ読み進み最後の意外さを楽しむのも良いでしょう。
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ストーリーは展開も上手く読ませる。特に後半はページを捲る手が止まらない。サイコ・サスペンス的な要素のあるストーリーだが、梶間勲の人生の皮肉さもひとつの問題提起を表わしており多様な見方の出来る物語といえる。雪見の活躍が手に汗握るところで、作者の人物の動かし方の上手さが良く観れるところでもある。俊郎のノー天気さは読んでいてイライラするが、大半の人はこの様な反応と見方で隣近所との付き合いを考えているんだろうなと思ってしまった。というか一歩離れたところで実情を知らないものにはこの様な反応しか出来ないものだと納得する。そういった気持ちのすれ違いがいろいろな問題を生み出していく訳で、人の世はすべからずそう出来ているのだと今さらながら気付いた。武内真伍はかなりデフォルメされた異常さを持った人間に描かれているが、程度の差こそあれこういった人物は居る。実社会に確実にいる。それが世間の荒波のひとつであるわけだ。自分ならどうするか、深く考えさせる物語だった。エンターティメントとしても面白い読み物だった。
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カッパノベルス版で読んだので、著者名はクィーン兄弟となっており、真の著者を当てるクイズになっていた。文体だけで著者を当てるのは至難の業と思うけれど、解る人っているのだろうか。
さて、ミステリのガジェットをふんだんに使ったこの作品。猛吹雪に閉ざされた山荘が舞台で、このシチュエーションにチャレンジする精神にとりあえず敬意を表したい。おかしな招待状で集められた六人。山荘の主は高校の恩師で事故に会い車いすに乗っている。導入部分は興味津々で、並行して謎の突き落とし魔の事件を調べる刑事の様子が描かれている。新進推理作家の本郷の視点で語られ、彼が山荘の出来事を記録した日記を読む形になっている。つまり倒叙形式になっているのだが微妙な部分もありそう簡単には真相に近づけない。捻りのきいたストーリーだが、唯一地下二階はいただけない。最後に山荘に現れる人物との本郷との対決は読ませるところで、伏線の回収もここで行われるが本当のラストはさらに読み手の想像を裏切る形になっている。クローズド・サークルものとしては及第点の出来栄えではないかと思う。自分としてはこういったものは好きで楽しく読めた。こういった閉ざされた館ものは現代ではある一点が問題になる。それは携帯電話。外部と連絡が取れない状況が、より緊迫感を生むわけだが携帯電話というツールがある現代に於いてこれをどう処理するかがネックであるわけです。でもこの作品はそこの部分も上手く処理しているので、従来の閉じ込められた山荘ものとしての面白さが充分楽しめる内容でした。 |
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カーの作品の中ではこれが一番とされているのが通説です。当事にはこういったオカルト的な要素は違和感なく、また新鮮でもあったのでしょう。埋められた死体が消えた謎。覗き見た部屋のなかには古めかしい洋服を着た女がいて埋められた壁のドアから出て行き部屋から消えた。このふたつの謎がメインのストーリーです。そしてこれだけではなく、マークの友人エドワードの妻マリーにそっくりな女性の写真が預かった原稿の中にあったが、写真の女性マリー・ドブレーは1861年殺人罪によりギロチン刑に処されている。しかし、その写真はどうみても妻マリーに見える。こういった不思議な話を織り交ぜて死んだ当主マーク・マイルズの甥マーク・デスパードが、その友人エドワード、トムたちと事件解決に動き回る様子が描かれている。しかし、話を膨らませているのは登場人物たちの多彩な個性とその役割です。謎解きの部分を忘れるほど個性的な人たちの様子が上手く描かれています。けっこうストーリーテラーとしての一面もカーには感じます。読んでいて気付いたのは島田荘司です。彼の原点はこれだなと思いました。さて、肝心のメイン・トリックふたつですが、いまどきのミステリを数多く読んでいる身としては「フーン」としか云えません。これは残念なことですが古典の宿命でしょう。当事の人たちはどうだったのでしょうか、アッと驚くトリックだったのでしょうか。それにしても解決後のエピローグはどうなのでしょう。「火刑法廷」という本のタイトルはその意味だったのでしょうか。自分的にはオカルト的な要素が入った内容のものは余り好みではないので、残念ながらとても面白かったとはいえない気分です。
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乱歩が評した無邪気な悪人が、伯母を殺害し父母の遺産を手にして彼の云うぞっとする土地を離れるため、あれこれと書き留めている彼の日記を読むという形式の倒叙ミステリーである。エドワードとミルドレッド伯母さん
の確執の部分は彼の日記に書かれているところは多分に彼の主観によるもので鵜呑みにするのはどんなものか、と少し身構えながら読み進めたがそれでも彼エドワードの言い分は面白くもあり、その対立の構図がユーモラスなところもあって 彼の意図する完全犯罪がはたして成功するのか先を読み進むのが楽しみであった。クルマの事故と発火装置による殺害が失敗に終わるが、その後の毒殺を考えるあたりからエドワードとミルドレッド伯母さんの対立が緊張を増していく様子を見せ始め最後の意外な結末へと結ぶわけである。全体にやんわりとした感じの文章と言葉で表わされているのでユーモア感さえ伺える。ミステリーらしからぬミステリーとして面白い内容で忘れ去られるのはもったいない本といえるのではないのかな。 |
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いろいろなピースがひとつになると何が起きていたかハッキリと解る。それまでが謎めいていて非日常の世界になる。ハルカにとって弟のサトルの予言めいた話は町の民話にあるタマナヒメの物語と重なり次第に新しい町の隠された部分に興味を抱く。導入部分から読者を引っ張る作者の巧さでつい読み耽ってしまう。いろいろな謎が答えを出すまでのハルカとサトルの生活を描いたところもすんなりと胸の内に入り二人の行動を親しみを持った眼でみてしまう。おどろおどろしたミステリではないもののこんな物語も米澤穂信らしく好感の持てる内容で楽しく読み終えることが出来た。コージーミステリーであるが面白い物語になっている。母親の最後の方の現実的な態度も甘くない世の中を示すスパイスの役割なんでしょう。
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横浜在住の現在大学生が書いたミステリーで、鮎川哲也賞受賞作。
けっこう本格との評判なので興味津々で読んでみたが納得した。事件そのものはシンプル。体育館で一人の男子学生が刺殺される。人の眼や扉が閉められていたりして現場は密室だった。遺留品といえるのか併設されたトイレに一本の傘があった。これだけで推理をすすめ犯人に迫るアニメオタクの名探偵。傘一本で展開するロジック。圧巻の展開で堂々と警察の捜査をリードするその面白さ。つまらないタイトルと思っていたが有名作品のパロディとはね。論理がすべて、その先にあるのが真実。そこだけを追求したストーリー展開であるが、それが嫌味にならずけっこう読ませる筆力で面白おかしく進む構成もよく出来ている。次作が楽しみであり真価を問われることになるでしょう。 |
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落語に興味がない人でも楽しめる落語をモチーフにした本格ミステリーです。見立て殺人を解くカギが村を閉鎖状況にした大雨とは凝っています。普通の思考では思いもよらないことですが、名探偵の思考回路は違うんですね。ミステリーのアイテムがてんこ盛りのストーリーで中々楽しめます。ありきたりのミステリーに食傷気味でしたらお口直しに一読をおススメします。
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米澤穂信の「古典部シリーズ」や、その他の青春ミステリーのジャンルの中で良くあるパターンの主役とか設定自体はありきたりだ。しかし、物語を読ませるその著者のスタンスや思考が他とは一線を画している。
ミステリーとしてのアイテムなども意外なものを使い、話の奥も深いので読み応えがある。軽いチヤラチャラした青春ミステリーと思ってはいけない。二話目の「クロスキューブ」などは手が込んでいて、云ってみれば人情話しなのだけれどアプローチと切り口の上手さに素直に感激する。文章も簡潔にして的確で非情に読み易い。やはり他の作家に無いものを持っている人で、つまりはそれが個性なんだろう。私にとってはそれは好ましい個性なのでこの後も楽しみな作家だ。 |
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死体の手に握られていたカフスボタン。覚えのない事態に殺した中条夏子は混乱する。倒叙小説だけれど一味違った展開で読ませるミステリーだ。夏子の視点でストーリーが始まり、死体発見の後はディスカッションから論理的な考察により事件の犯人を考えるメンバーの様子と、夏子の心情をモノローグで読ませ事態の収拾を図ろうとする各人の思惑が描かれる。肝心なのはカフスボタンだ。何故そんなものを姫乃が握っていた。理解できない夏子はさりげなく会話をリードしてカフスボタンの謎を解き明かそうとする。用心しなければいけないのはゲストの碓氷優佳だ。彼女の考えが読めない。気を付けながら夏子は場をリードして混乱させる。明かりの点いていたロッジ。時間のあいまいさ。大丈夫、逃げ切れる。夏子はそう考えていた。
しかし、ポケットから出てきたもの。殺人者と殺された者。その構図が大きく変わるラストまで一気読みでした。石持 浅海、楽しませてくれる作家だ。 |
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好きな作家です。ですからポイントは若干高めです。相手との心理的な駆け引き。こういった描写はこの作家の得意とするところなんでしよう。友人宅で丁度子供の誕生パーティを始めようとしていた中に主人公が着いたところから始まります。彼は殺人を犯しました。手土産はカバンの中にあります。ここから相手との心理戦が始まります。つまり、友人は急な仕事のため書斎にこもってしまった。友人の妻と友人の妹、そして社長でもある友人についている秘書。この三人と何気ない世間話から誕生パーティの仲間入りをしていると、彼の不在がだんだんと気になりだします。何故顔を出さないのか。主人公にも事情があります。手土産は時間に対して融通が利きません。日を改めて訪問する訳にはいかないのです。何気ない会話からフト不審を覚えます。彼は意図を隠して様子を探り出す事にします。彼、石持浅海はこういった描写が秀逸でページを捲る手が止まりません。考えすぎだろう、何故そう思う、と読んでいても事態は彼の云う方に流れていきます。面白いです。駆け引きと心理戦。こういった地味な内容でも充分読むものを惹き付けて離しません。本当の最後のサプライズには賛否両論でしょうが私は気にしません。だって面白かったのですから。「探偵スルース」と云う映画がありました。あの映画はたった二人しか登場しません。全篇二人の心理戦を描いたものですが、この本も似たような感じでとても楽しく読み終えました。
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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Confidence Game 略してコン・ゲーム。有名な話ですが、通信販売の詐欺広告です。「いま輪ゴムの需要が多く供給が追いつかないほどです。あなたも簡単な道具で輪ゴムを作ってみませんか。当社の輪ゴム製造機を六ヶ月十ドルであなたに預けます。原材料も一緒です。出来上がった輪ゴムは当社が高値で買い取ります。」広告に釣られて十ドル送ると、ハサミと自転車の古チューブ一本が送られてきたそうです。製造法はハサミで幅0・五ミリに切り刻むこと。と説明文が付いていたそうです。
この様な松田道弘氏の解説も楽しいこの本は1980年新潮社から単行本で出版された。プロローグのショートストーリーが枕としてエピローグのサゲに繫がるという洒落たスタイルで、テレビ局をクビになったディレクター。タレントに逃げられた弱小プロダクションの経営者。いまひとつ何かが足りないタレント志望の男。中々芽が出ない放送作家志望の三十路手前の女。それぞれ訳ありの四人が出会って必要に迫られ車椅子の老コン・マンの知恵を借りてコン・ゲームを仕掛ける。目標は二億円。さて、その結果は・・・。テレビ界の楽屋話や裏事情などがユーモアたっぷりに描かれて、俳優や歌手が実名で出てきたりと笑わせる。アノ手この手のトリックと騙しの仕掛けが面白く、騙される地方の名士といった人間のとぼけた欲も滑稽だ。 明るくユーモアに溢れたコン・ゲーム小説として貴重な一冊である。 |
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彼は、計画したすべてを遺漏なく完璧に仕上げた。
何の物証もない。だから城田理会警視は見抜いた真相を彼に話すときに一個人の立場で会った。 彼を名指して犯人とする推理は完璧で、西澤保彦はその過程を遺漏なく読者にも示して、間違っても読者から不満の声が上がらないように二重に傍証の補強に努めている。犯行に至る動機も、その経緯も彼の姉と云う存在を示し、姉弟ならば似通った性質でもあり、そう違和感もなく納得させられる様に計算されている。不可思議な犯行の意味も最後の城田警視の指摘で納得がいくが、さらに彼の思いもしなかった結果を警視に知らされる。それが「彼女はもういない」と云うこと。タイトルの意味はそこにあった。これは西澤保彦らしいすべてが計算された話で、とても巧妙なストーリーでありミステリーとしてのエンターティメントを追及した作品である。もっと多くの人に読まれるべき作品であると思う。西澤保彦のファン以外の人にも是非読んでみて欲しい。ただ、映画で云えばR-15の内容なので若い人や女性の方には注意していただきたい。彼の云う謎と論理のエンターティメントを味わって下さい。 ゴメン、ちょこっとネタばらし。木を隠すなら森の中だねワトソン君。 |
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交換殺人がテーマのミステリーです。良いタイトルですね。でも、本を手にした時からすでに作者の術中に嵌まっている事に後で気がつきます。とても読みやすい文章で書かれていてサクサク読み進めます。でもそれが武器になっているんです。さりげない伏線も何気なく読み流してしまいます。交換殺人を目論む4人と綸太郎と法月警視の親子による推理。そのつばぜり合いがこの本のすべてです。まさに「謎と論理のエンターティメント」です。ちょっとした綻びから4人の計画が危うくなり、逆転を賭けて奇策に出るのですが・・・。この本に限って、たら、れば、のつまらない無粋な粗さがしは止めましょう。
綸太郎の名推理を堪能すべきです。 ただ、重厚なミステリーといった印象はありません。そういったところで8ポイントとしました。 でも、法月綸太郎のファンの人も、そうでない人も充分楽しめる一冊であることは間違いありません。 |
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五つの話が収められていて、ジャーナリストの斎木という人物を主人公にしたミステリー集となっている。始めに収められている「砂漠を走る船の道」が高い評価を得て第五回ミステリーズ!新人賞を受賞して作家デビューを果たす結果となった。
アフリカ大陸のサハラ砂漠やスペイン、南ロシア、アマゾンなどを舞台にしたジャーナリスト斎木が遭遇する出来事が新人離れした文章で綴られている。思い込みや価値観の違い、それらを上手く扱ったミステリーに仕上げている印象を受ける。つまり、料理は同じでもレシピが違うと云ったところか。 個人的には二話目の「白い巨人」が一番好きかな。これも読み手の思い込みを逆手にとって爽やかにうっちゃるオチをみせる物語で友人達の行動も清々しい。こう云うハッピー・エンドの物語は読んでいて気持がよい。とにかく視点と文章に惹かれる。今後も注目していたい作家だ。 |
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