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ニコラス刑事 さんのレビュー一覧
ニコラス刑事さんのページへレビュー数50件
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『砂の器』が頭に浮かんだのは読み始めてすぐの事。
プロットとしてはそれだろうと思った。そんなところが評価できない。 刑事二人もキャラクターづけがいかにもって感じでため息が出る。 ただ、読ませどころはある。それは真剣師と呼ばれる賭け将棋で生きる男たちの世界を見せること。 このあたりの描写は見事だと思う。 母親父親との関係性が芯になっているのだけれど最後のサプライズ的な事実の暴露は どうなんだろう。幼いころからのエピソードと合わないのじゃないだろうか。ちょっと疑問に思った。 起業家として成功するプロセスも曖昧で良く分からない。実際そんな立場なら守ろうとすると思う。 関わり合っていく心情が読んでいて理解できない。そうすると話が続かないというご都合主義にみえる。 全体に底の浅い物語で賭け将棋の世界をもっと掘り下げて見せてくれた方が面白かったりしたのではと思う。 |
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トリックを成立させるために特異なシチュエーションを当てる。そのやり方はOKです。
ゾンビが街を徘徊する世界。どの生物もゾンビウィルスが体内に入り込んでいて、死ぬと発症してゾンビとなる世界。 そんな世界で、ある建物の中で起きる密室殺人。その事件を警察とは別に調べる私立探偵。 理屈を突き進めればそうなるだろうと云う世界観。その構築は納得です。 しかし、ほとんどセリフだけで物語が進行するのは如何なものかと思います。そういえば『アリス殺し』もそうでしたね。 「それが俺のスタイルだ」ということなんでしょうか。 パーシャルゾンビなんて発想は面白いですが、如何せん会話だけでは中身が薄くなるようですがどうなんでしょうか 編集者はどうしたのでしょうか気になります。 |
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お茶の間で見るいろんな年代層向けのテレビの2時間ドラマと言った程度。小説作法+ミステリの書き方といったテクニックのみで出来上がっている小説。中学生向けかな。
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やっていることは分かるんですが、如何せん長い。もっとまとめて書いても良いのじゃないですか? いわゆるムダに長いという印象です。時系列を無視した色んなエピソードを本筋に挟み込んでくるのは良いのですが、どうも読者が置いてけぼりになっていく気がします。後半も半分過ぎたあたりから、今度はいきなり刑事たちが登場して何か事件の捜査の様子が描かれた章が挟み込まれます。それまでは何か事件があったという記述は一切ないので唐突感が拭えません。何だこれはと思うばかりです。
強いて言えば農場に現れた男が記憶を失くしたと言っているので、この男の過去に何かがあったのかと想像するだけです。しかし、だらだらといろんなエピソードを挟み込んだ部分にはそんなことを思わせることは書かれていません。 誰かに追われていると思わせるところがチラッとあるだけです。ですからもう少しそれらしいことをチラチラと見せておくべきでしょう。農場主の女と(過去に傷のある女)、突然現れた男とのギクシャクした関係から、だんだん好意を寄せていく女の心情を長く見せておいて、急に異常な展開に入っていくのは戸惑うばかりです。 伏線らしいところも弱いので、ああ、そうなのかと納得する事が出来ません。ひと言でいえば粗削りで独りよがりです。文章は上手いです。薫り高い文学の匂いがします。ですから男と女のお話かと思って読み進んだのです。 そういうサイコパスのお話とは知りませんでした。しかも、その人物の言うことも意図も良く判りません。ラストも実験的で消化するのは読者だというのはどうなんでしょうか。この手の話しは日本のミステリでも他にあります。 残念ですが好みではありませんでした。 |
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シチュエーションとしては紛れもなく「雪の山荘」もので、これはもう期待して読みます。今さらながらこの難しいジャンルに手をだそうという姿勢に感心します。が、しかし、本書はこういったジャンルにおいて成功例として認めるかと問われるとう~ん、と唸ってしまいます。あ、個人的にはってことですが。まず冗長だと思います。もっと切り詰めてサスペンス感を盛り上げるべきでしょう。犯人は意外でもなく何となくそうだろうなと読んでいて感じてしまいます。クリスティに対してのリスペクトでしょうが、すこし幅を広げ過ぎたのではないでしょうか。それよりもこのページにある外部リンク、アンネ・ホルト/枇谷玲子訳『ホテル1222』ここだけのあとがきWebミステリーズ!の方がよほど楽しめます。こちらをクリックしてぜひご覧になってください。なるほど『スターウォーズ』のねえ・・・・・・。
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歴史上の人物や史実のあいまいな部分を別の解釈で解き明かすというスタイルで書かれた内容です。このやり方は他にも義経=ジンギスカン伝説とか写楽に関してあれこれ想像を逞しくした物語などがあって、それほど目新しいわけではないと思います。
バーの常連客が激論を交わすという設定で読ませる内容ですが、目からウロコといった斬新さは感じられず(宮田六郎の話し)史実の隙間を自由に解釈したという程度で、それほど彼の話しに引き付けられる様なことはなかった。 「講釈師見てきたようなウソを言い」という言葉があるように、広げる風呂敷はもっと大きくリアリティーをもって書かれなければ説得力は生まれない。単なるこじつけ程度では新解釈とは言えないし小話程度に収まってしまう。 まぁ、軽く読めるところは良しとして話題性があって著者の名が売れたのは成功と言えるだろう。 |
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初めて読む作家です。著者経歴を見るとけっこうな学歴の持ち主でいらっしゃる。そんな経歴で何故物書きの道にと不思議に思ってしまった。大きなお世話ですが。さて、タイトルに興味を惹かれて手にしたわけですが、ちょっとクセのある文体で読んでいて余り楽しくない。結論から云うと飛ばし読みをしてしまった。最後のページに目を通して結局そのような話しかと、ありきたりの内容なんだと思った。著者独自のアイデアというか設定で近未来の社会を舞台にしているが、独特の比喩もあまりこっちの心をくすぐらないし、早い話がどうもこちらと肌が合わない感じだった。コンゲーム小説の面白さを味わえるかと期待していたのだが、どうも退屈だった。もっとアイデアを煮詰めた方が良かったのにと思う。ありきたりのラストに繋げる意味でもそこまでのドラマがあまり面白くない。残念でした。
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知らない作家だがタイトルと帯に書かれた荒筋に惹かれて読んでみた。うーん、結論から云うと狙いと云うかお遊びの趣旨は解かるんだけれど物語そのものにやや無理があると感じた。そんなミステリに淫した物語は自分には
ちょっと受け入れられない。架空世界とはいえ「密室殺人ゲーム王手飛車取り」の方が遙かにとっつき易く受け入れやすい。そしてお遊びとして究極の世界感の中でのミステリゲームを楽しむというスタンスが面白かった。 これは乱歩や横溝のほか数多くのミステリの内容やトリックに関して登場人物から語られるというお遊びのほかに、館で起こる不可能殺人の謎を探偵が解き明かすというオーソドックスなストーリー展開の物語だけれど、内容に 見合わない軽い文体と薄っぺらな人物達の行動や思考にどうも付いていけない。動機も解明もとおりいっぺんと云った印象で共鳴も何もない。本当にミステリが好きで書いているのか?と感じるほどで分厚さの割りにさーっと読み終えて さしたる感想も沸かないほどだった。 こういった内容の本はもういいだろう。 |
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タイトルはオドロオドロしいが、内容はそれほどでもない。好きな作家なのだがこの作品はイマイチ楽しめなかった。それはつまり話しのとっかかりである、行方不明の子供たちの親等が週刊誌などに書かれた不審人物の館に乗り込む、といったシチュエーションがしっくりこないからです。そのために初めから物語の中に入りづらい感じがして、読み進むのが楽しいといったそんな気分になれませんでした。なぜ警察といった捜査機関を排除して自分達で怪しいといわれた人物の館に行くのか
?その辺が一応もっともらしい説明で彼らの行動を理解させようとしていますが、読んでいる自分には違和感が残ります。例えば「煽動者」は主人公があるテログループの一員で、対警察のセキュリティが完璧なアジトの中で起きた殺人をその時アジトにいた数名の証言を検証し各人の行動を考察して論理を重ねた結果殺人者の特定に至る、そんなストーリーです。対警察のために監視カメラなどでアジトへの出入りは完璧に監視されていた。部外者の侵入はありえない。こういったシチュエーションはパーフェクトですんなりこちらの頭に入ります。物語世界がスッキリと確かなものになっています。でもこの作品は違和感が付きまといます。もしこの物語の中に警察官が一人でも登場すればそこで話は終わります。つまり穴が大きいと云う事です。ストーリーがどうこうの前に物語世界をもっとしっかり構築するようでなければその世界に入っていけません。また保護者たち被害者の会のメンバー達をすんなりと館に入れる人物の意図も良く解かりません。1の殺人はともかく2の殺人はあいまいな動機で警察に通報しない理由が私には納得できません。それらしい主張をくどくど言ってますが無理があると思います。先に書いたようにここでも警官がひとり入り込めばもう話は終わってしまいます。そのための説明文なんでしょうがイマイチです。狂気に付かれた人物の行動もあいまいな感じで凄さ怖さが伝わってきません。残念ですが私にはイマイチといった感想しかない作品でした。 |
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大仕掛けのトリックもの。遊園地のような家が実際にあるのか、とツッコミを入れたくなるような類の物はそれ自体の是非はともかくどう読ませるかが肝心だと思う。要は物語が面白ければそっちはまぁいいだろうとなる訳だ。
周木 律の「眼球堂の殺人」シリーズなどもそうだけれど建物に大仕掛けのトリックを施したものは物語がつまらなければ興醒めでしかない。どこまで許容できるかは物語次第だ。物理の北山と云うフレーズは自称か他称か知らないけれど 「アリスミラー城殺人事件」はbravo!だけれど(動機は苦しい)、これは個人的にはイマイチな印象だ。どうも殺人の動機が良く解からない。そんなことで大勢の人間を殺すか?無理が多いな。シチュエーションも変だしバランスが悪いのが 目立つ。やはり私は心理トリックのものが好みだ。 |
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初めて読む作家です。始めに短編って難しいと思うんです。作家のなかには短編の名手と呼ばれる人もいますが・・・。タイトルが意味深で面白かったので手にしました。五つの作品が収められていますが、テーマは旅とのことです。表題作の
人間の尊厳と800メートルは推理作家協会賞受賞作だそうですが、自分としてはそれほどの作品だろうかと言った感想です。妙な話を持ち出しズーっとその話でああだこうだと引っ張ってオチはそれなのかといったところです。残念ながら短編集なら他にもっと面白い本があります。ミステリ色が唯一強い「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」にしても倒叙ものとしてはそれほどのインパクトを感じません。むしろ「北欧二題」のほうが自分的には面白かったです。 近年のもので短編の面白さが抜群なのは北村薫の「空飛ぶ馬」などの女子大生と円紫師匠のシリーズものが最高だと思います。 |
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三つの事件が起きるが、その裏には悪意を持った人間の巧妙な犯行が隠されていた。そんなストーリーである。廣田家の殺人が発端で殺意は否認したが犯行は認めた男の逮捕で一件落着の簡単な事件と思われた。小さな齟齬があるが刑事も
読んでいるこちらも気づかずスルーしてしまった。そこから第二、第三の事件が起きるがタイトルとは無縁の事件のように見える。何故か?それは事件を調べていた興信所の探偵によって明らかにされる。一本の線によってつながりをみせる時 タイトルの意味が解かってくる。まぁ手の込んだ構成とは云えるが話そのものに余り面白みがないようにも感じる。女性らしからぬ男性的な筆致で書かれているが、発端がジャンボ宝くじの3億円というのもなんだかなぁと云う感じで、物語に ロマンがないって気がしてしまう。弁護士から齢60歳を過ぎてからの執筆とのことですが、刑事コンビのやり取りとか証拠調べや事件を追う様子の描写は経験の裏打ちなのかリアルさがあり読ませる部分ですが、肝心の『物語』がいまひとつと云った印象でした。 |
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乱歩賞で好きなものは「アルキメデスは手を汚さない」。「透明な季節」。「ぼくらの時代」。「焦茶色のパステル」。「浅草エノケン一座の嵐」。「顔に降りかかる雨」。そして「テロリストのパラソル」。
これは皇居に侵入して550年の歴史を持つ盆栽を盗み出す、そんな突飛なアイデアをもとにした作品だが。 文章は女性とは意識させないしっかりした書き方で、会話や場面の状況などを描写して読むものを引き込んでいく確かさはある。 でも、イマイチ話の持っていき方が強引と云うか、もと彼女の金銭面の窮状を救うといった心情などが書き込み不足気味で彼の行動心理などにあまり共感できない。子供のことなどにしてもそんな感じで何故そうするのかといったところが、こちらには上手く伝わっていない。人物造形は可もなく不可もなしと云ったところで魅力的な人物といえば医師の瀬尾貴弘ぐらいか。主人公にはどうにも感情移入しずらくて醒めた目で読み進んだ。単行本の値段が税別で1500円。商品として妥当な値段かどうか。ミステリー色も薄く乱歩賞と云う冠が無ければ読むのを敬遠していたことだろう。 |
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うーん、タイトルから面白そうな予感を持って読み始めたが、全体的にもラストの意外性もイマイチって感じだった。特殊な環境を構築するデボラ・シウォード博士の言葉も説得力が無いように感じられる。部分的な記憶を失くしている少年マモルは、他の仲間たちと自分たちの居る施設≒学校についてあれこれと推理を巡らせるが、そう謎めいた雰囲気も無く少々退屈だ。それは最後への伏線であるからで本格的な謎解きの様相を呈していないせいだろう。起きる殺人もそう不可思議な状況ではなく読んでいてワクワク感もない。途中言葉や表現などにオイオイと思ったが、それはそれで周到な計算だったわけだ。だがしかし西澤流のレトリックは不発だったと云う印象だけれど、他のレビューにあるように仮にアノ作品を読まずにこっちを先に読んでいたら、それはそれで違った感想になったと思う。そういったところでは少し残念な気もする。
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コン・ゲームと云うジャンルがあり、有名な映画ではヘンリー・フォンダの「テキサスの五人の仲間」。ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォードの「スティング」。ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピットの「オーシャンズ11」など。小説ではジェフリー・アーチャーの「百万ドルをとり返せ」。94年海外ミステリー1位の「シンプル・プラン」小林信彦の「紳士同盟」。道尾秀介の「カラスの親指」等など。読む方とすれば騙される爽快感が楽しみで読むのであり、そのカタルシスの高い作品ほど面白い本と評価されるのでしょう。これはトランプのポーカー・ゲームの勝負で、自分達を騙した相手を逆に引っ掛けて10億円を騙し取ろうとする話しだが、ラストのオチはさてどうだろう。万人がなるほどと唸る様なオチは中々難しいと思うが、「カラスの親指」にしたって自分的にはあのオチはそれほどでもない感じだし。しかし、ポーカーの達人と自負する相手、しかも非情な男という設定の人物との対決は中々読ませるところである。場を読む、相手の手を読む事に驚異的な実力を持った男。表の顔はビジネスマンだが裏の顔はヤクザで冷酷な男と云う、主人公にとって絶対的な敵の造形が良く出来ていてゲームのシーンは面白い。とっかかりの始めに主人公たちが騙されるところは、入試をカンニングで突破するというプランそのものが「そうか?」と云う感じを持つが全体的にはまぁ、良く出来ているとは思う。でも主人公の人間性にあまり魅力がないせいで6ポイントとした。このジャンルは最初から敷居が高いので生半可なオチでは評価を得られないと云う特質があるが、全体とすればラストのドンデン返しまで読ませる内容だ。ただし「カラスの親指」のような人情的な爽やかさのオチではないので、「カラスの親指」が好きと云う人にはどう採られるか。コン・ゲーム小説が好きな人には読んで見るのも一興と思う。
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密室の中から消えた夫。失踪事件から五年後に、妻とその友人達たちの間で続けて起きる密室殺人事件。プロットには興味が湧きます。物語りも読ませる筆力があり、六人の人物たちの大学からの友人としての係わり合いから、現在の境遇や身の回りの事情を汲んだ一定の関係なども解かり易く語られながら話は進みます。人物たちの何気ない仕種やセリフも読み返せば伏線としてあったことが解かります。探偵役は誰なのか、失語症の少年真之助かと思っていたがこの辺は見事に裏切られました。始めの密室とその後の密室。図を示したりしてかなり本格的ですが、最後の種明かしではこれまでのパターンのものと同様で独自の斬新さは有りません。密室にする意味と意図はつまり犯人の復讐であったわけですが、それらを見せない人の心の内と秘密があって、そういったことは友人として付き合っていても気付かなかったという現実。そこがキーポイントとして作用したストーリーであったのですが、謎が散りばめられた割にはあっさりした裏側で主人公の麻美の凡庸さが苦笑を誘います。第14回鮎川哲也賞受賞作品ですが、それなりには読めます。
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このページにある「BOOK」データベースよりのあらすじを読むと、食指が動き手に取ってみようかと思わせる内容だが、読み終えた感じはどうもいまいちの感想になる。最初にこの作家と波長が合わない。物語に入り込めないし人物たちにも感情移入できない。浅い文章。警察も見放した謎って・・・。格好は本格ミステリーを気取っているが、そのトリックにしても陳腐。「館」ものとしては評価しているものを目にしたことがあるが自分としてはそれ程でも・・・。
数年前の作品と云う事を割り引いても低評価になる。 |
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氏の作品は最近はあまり読まない。「秘密」が98年、「白夜行」が99年。このあたりから作風が少し変わったように思う。自分の好みから少しずれていった感じのせいだ。去年「聖女の救済」を読んだが面白さは感じなかった。さて、これは2002年の作品。驚くほどの軽い文章と云うか、文体が今とまるで違う。他の誰かの本を読んでいる様な気がした。トリックというか、メインの仕掛けは直ぐ推察されたけど、物語の進行が犯人の視点のみというのは少し変わっている。でもね、結局最後はどうなるんだろう。あの後二人の関係はどうなるのか、何か腑に落ちない。警察が本格的に捜査したらどうなるのか?完全犯罪成立?そうだろうか・・・?まぁ誘拐物としては身代金受け渡しが最大の見せ場で過去に名作が色々あるが、本作も知恵を絞ったやり方で金を奪うという方法を考えている。しかし、読後感がどうもすっきりしない。何故だろう。
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初、辻村深月としては選んだのが拙かったか平凡な作品だった。この人のはどれもタイトルが洒落ていて、そういったセンスからも好ましいのだけれど、この本はありきたりの内容に終始しただけで特別この作家らしい
オモシロさは無かった。地方の村とそこに住む少年。多感期特有のオトナへの不信と軽蔑。未来へのあやふやな憧れと意味のない恐れ。揺れ動く気持ちとはうらはらな怠惰な日常。やがて芸能界に身を置くひとりの女が出身の村に帰ってきた。母親は亡くなり親族は誰一人居ないと云うこの村に。フトしたきっかけで知り合うが彼女が帰ってきた理由は村への復讐のためと知る。そんなストーリーだけど、二人の関係と村の有力者たちが行ってきたひとつの便宜に対する少年の子供らしい怒りが波紋を広げていく展開になる話である。しかし、こういった内容の作品は他にも色々あり、狭い村社会に閉塞感を持つ少年の心の葛藤などが描かれたようなものはありきたりとしか云えない。ミステリー要素もさほど無くこの作家らしい色合いも無いとなると平凡な作品と思わざるを得ない。予備知識なしでタイトルで選んだがこちらの選択ミスだったのだろう。 |
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