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悪と仮面のルール
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悪と仮面のルールの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 1~20 1/2ページ
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久しぶりに小説を読みました。飽きずに一気に読めたので面白かったのだと思います。 ただし、ノンフィクションと異なり知識がつくというわけではないですが、時間は潰せました。 | ||||
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この小説の主人公・久喜文宏は、先祖代々悪人を輩出してきた「邪」の家系の息子です。文宏は凶悪な父親を殺害しますが、人間を殺した罪悪感と悪のDNAを背負い、悪意の連鎖を引き継ぎます。文宏は整形し、自然法則のように連続する悪のルールから逸脱していきます。しかし文宏のルール違反も、マクロな目からみたら案外自然の流れに沿っているのかもしれません。 この小説のストーリー展開は、DNAや無意識に物凄く支配されています。DNAや無意識とは、人間を操る潜在的な必然性でしょう。そしてこの小説では悪人や加害者が主人公で、善人や刑事は脇役です。大江健三郎の小説では被害者が主人公になることが多いですが、中村文則の小説では加害者が主人公になることが多いと感じます。 この小説のラストはかなり恋愛小説っぽいし、生の祝福に満ちていました。この小説は殺伐とした物語でしたが、『悪意の手記』と同じように、咎人を許していると思います。「悪いことをした人や、間違えた人でも、生きていいんだよ」と。 | ||||
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中村文則さんの作品は絶望的な感じだけに終わらないところが好きなのですが、この作品はそれに加えて心が温かくなるものでした。 前半や中盤はかなりグロい感じも漂いますが、後半は雰囲気が変わってきます。 きっとそれは、主人公を取り巻く登場人物に、人間味溢れる人達が現れるからだと思います。 それぞれのセリフが、さり気ないものかもしれませんが、主人公に沁みわたっていきます。 個人的には、主人公の彼女と医師の言葉が温かく好きでした。 迷われている方は、ぜひ読んでみて下さい。号泣とかではいかないと思いますが、ウルウルすると思います。 | ||||
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我が子に邪悪な体験をさせる父親から香織を守る為、殺人を犯してしまう文宏。香織との幸福な時間を持てた事で邪にはなれなかた。 この作家さんの話はありえなさそうだけど妙にリアリティーがあって話に引き込まれる。 | ||||
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妻が映画化されるとのことで読みたったようです。私も映画に付き合わされたのですが・・・ | ||||
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以前、出版されたときに読んだのだが、文庫化に伴い再読することにした。 最初読んだ時の感覚とは、また違った感覚で読み直すことができた。 それはその後の「教団X」や「あなたが消えた夜に」、「私の消滅」「R帝国」など、この小説がひとつの下地となって新たに生まれた小説たちを読んだからかもしれない。 <なぜ人を殺してはいけないのか>という問いを常に中村文則さんは書き続けている。 「悪意の手記」がその出発点だとすると、「悪と仮面のルール」はその先ということになる。 人を殺すことで損なわれる自分の中の何か、それがなんなのか、それを抱えて生きるとはどういうことなのか、 中村さんはまたこの作品で新たにアプローチする。 ただ、「愛する人のため」という前提が今回は導入されるため、この小説はある種の純愛小説とも言える。 主人公が整形しているため昔愛した人だと知らずに言葉を交わすヒロイン、 彼女は最後、彼が昔愛した人だったということにおそらく気づいたのではないだろうか。 二人は互いの存在だけが生きる支えだった。 どんな暗闇の中でも、生きにくい世界でも、そんな存在があるということは一つの希望だろう。 テロや戦争のこともここでは描かれているが、本当に世界は危うい糸の上に成り立っているように感じる。 主人公の生きづらさは私には他人事ではない。 悪を成さなければならなかった彼が、それでもそれを背負って生きていくことを選んだ強さに今は感銘を受けている。 「生きる」ということは、誰だって簡単なことではないのだ。 映画化されるということで、どのように描かれるのか楽しみである。 そこにはまたひと味違う「悪と仮面のルール」を希望したい。 どのような解釈がなされるのか、監督や役者さんたちの力量に期待する。 | ||||
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玉木宏さんが主人公を演じるので、事前にストーリーを知りたくて読み始めましたが、内容が深いので、もう一度読み返しても良いかな?? | ||||
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ノワール的な雰囲気の、『教団X』以前の中村文則さんの小説ではもっとも長編の作品です。 この小説の最大の問いは、タイトルから連想するような単純な善悪の問題というより、今でもよく〈善悪〉や〈正義と不正〉などの二項対立で語られる人間の行為や思想それ自体を支える『価値』なのではないかと思いました。 すべての価値をゼロにしようとするテログループの若者が、爆弾テロを辞めるようにさとす主人公に語る、 『自分は暴力を受ける度に大したことはないと思うことで今まで耐えてきたのに、いまさらテロのような暴力を大したことだと思えと言うのか』という意味の言葉に集約されていると思います。 自分の受ける暴力(虐待)を「どうでもいい」と自分に言い聞かせることで乗り越えた人間に、世の中に溢れる暴力を「大問題」だと思えというのは、むしろその方が一種の暴力なのではないでしょうか。 善悪や生命の価値などを含め、あらゆる価値を根本的に否定することで出現する徹底的な破壊行為に向き合うことで、ある意味で必然的に、現代思想のニーチェやバタイユ、『悪霊』のドストエフスキーの文学に通ずる人間存在の本質を描き出そうとした、とても現代的な作品だと思いました。 あと、この作品の前後から中村さんは思想を極端化させた寓意的あるいは戯画的な人物をよく登場させる海外文学的な作風になってゆきますが、そこだけを取り出して作品のテーマや思想性を判断するのは少し単純な読み方なのではないかな、と1人の読者として思いました。 他の読者の方はこのことをどう思われているのか、作品自体とは関係ありませんがその事が少し気になりました。 | ||||
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主人公が不運な生い立ち故、殺人を犯し、顔を変え、少年時代に心を通わせた少女のために殺人を犯していくストーリー。 ひょっとして作者は殺人を犯したことがあるのではないかというくらいの心の葛藤が見事に描かれ、殺人についての哲学がすっと入ってきて、とても読みごたえのある作品だった。 ただ、主人公の気持ちの葛藤が延々と続き、暗い気分になったり、大人になった少女と主人公との会話に涙したりと、大きく感情が揺さぶられるので、読み終えるまで結構しんどくはなった。 | ||||
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読み終わった後、しばらくぼーっとしてしまいました。 その後、大切な人の幸せを願わずにはいられなくなりました。 人を殺すことの是非に対する答えが書かれた小説だったとは思いますが、不思議とそんな気持ちにさせてくれる話でした。 私は好きです。 『何もかも憂鬱な夜に』と似たセリフがあり、またそれは角田光代さんの『八日目の蝉』の主人公のセリフともリンクしているように感じました。 人を殺すという非日常の自分にとってありえない行為だけでなく、人を憎んだり、悪口を言ったり、ということも、自分の枠を狭めてしまうことなのだと思いました。 | ||||
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「スリ」と「王国」を読んだ後で購入し、一気に読みました。 点数低い評価者もいるようですが、ブンガクとしてではなくラノベとして評価すれば5点です。 ただ、マンネリになる前に、悪を描くのはやめたほうがいいような。 他のテーマでも、面白い世界を描ける作家さんだと思って期待しています。 | ||||
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外れの可能性も十分あるなと予想しつつ、 それでも女優兼脚本家の中江有里さんのおすすめ本なだけに、 読んでみましたら、冒頭から最後まで小説の世界に浸りっぱなしでした。 人間とって悪とは何か、そういったお堅い議論もいいですが、 とても優良で、有意義で面白い作品でした。 世界観も最後までブレが無く、丁寧かつ文学的な文章、とても好きな作家さんです。 この作品をもって2011年このミステリーがすごい!中江さんのおすすめ三作品を全て読み終えました。 全てハズレなしの佳作ばかりでした♪ | ||||
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長時間の飛行機の中で何か読もうと思って羽田空港の本屋を物色していてこの本を見つけた。昨年来この著者には興味を持っており、他の作品も読みたいと思っていたのでちょうどよかった。 内容は、著者特有の刺激の強い毒々しい内容ではあるが、その伏線が結末に反映されていて、著者の作品としては珍しく爽やかな恋愛小説の感を抱かせた。また、文中で述べられている開発途上国の戦争に関する話は、作者の思うところを小説に託して述べたのだと思うが、その思想にも触れることが出来た。 筋書きは、金持ちの親に歪んだ生活を強いられた男が、同居していた美しい少女を忘れることが出来ず、自身の顔を整形手術までして、大人になって美しく成長した少女(今は女性)を護る、という話である。読後感を爽やかにするための途中のおどろおどろしさだったのではないか、と作者の巧みな演出に脱帽したものである。 | ||||
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『カラマーゾフの兄弟』のゾシマ長老「赦しておあげなさい。すべてを赦すことです」。 「邪」の道を歩まされ、殺人、顔整形までして他人になりすます文宏。武器売買、テロ支援他ルール違反 を繰り返し悪の限りを尽くしても赦されるのか。主人公の久喜文宏(別名・新谷弘一)が辿る「神」との 戦いである。『カラマーゾフの兄弟』の次男イワンいわく「神の世界を認めない。存在は知っているが 許せない」。 父久喜捷三から文宏は「邪」を子孫に残し、邪悪の連鎖により世界を不幸にせよ、と十一歳で宣告される。 同時期に、愛の対象となる香織が養女として久喜家にやってくる。文宏は香織が父や兄幹彦(久喜家の 相続者で武器ビジネスで莫大な利益をあげている。)に損なわれようとしていることを知る。 邪の道の第一殺人は、邸宅の地下に封じ込めて父を殺害する。顔まで整形し文宏は新谷弘一になりすます。 「僕(文宏)は消えたのだ」と自分の過去を抹殺したのである。そして、第二の殺人。高級クラブ勤めの香織 に付きまとう薬密売人(矢島)に付きまとわれていることを聴き殺害する。 兄幹彦は「悪の本物のモンスター」であり、武器売買で「どんな戦争にも必ず利権がある」「人類史上、世界 は常に戦争で人間を殺しながら経済を活性化させてきた」と嘯きながら狂気に走る。また、久喜家の一族が 「JL]というテロ集団の支援者であることも解ってくる。そして、この兄も爆弾で自殺にみせかけ殺害。 第三の殺人である。 「悪」すなわち、久喜家の情欲の虜、武器売買利権、テロ支援等。「仮面」すなわち文宏が弘一へのなりすまし。 それぞれ「ルール」違反承知のえで物語がすすんでいく。香織との関係は、文宏であっても、弘一でも変わりなく 過去の二人の「愛」が続いていく。「あなたは、本当に幸せなのですか」と香織から問われ、「どちら」の答えを 求められたのであろうか。 中村文則作品の「愛」と「神」という大きなテーマが本作品でも問われている。そして、作品冒頭の「刑事の日記」 (紙片)が大きな意味を持つ。会田刑事の執拗な追究は『罪と罰』の予審判事ポリフィーリーがラスコーリニコフ を追い詰めるような迫力がある。「あなたが久喜文宏であれば全てがしっくりくる」と云わせ読者をドッキリさせる。 本作品は会田刑事の「自分の人生を生きていないで脇役的な存在」だったとの告白文でもある。 新谷も同じような思いで海外へ旅立つ。「神」は愛する人のためにはすべてを赦し給うのか。 | ||||
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漠然と伝わってきていた、人を殺してしまった後の苦悩が 実感を伴うように伝わってきます。 なぜ、人を殺してはいけないのか。 その理由が明確に表されている物語だと思います。 読んだ後も脳に残る物語でした。 本能を乗り越えて、人を想う気持ちに救われた物語でもありました。 | ||||
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少女が出てくるまでは面白かった。 それ以降が長くていつまでもおわらない、いつになったら終わるんでしょうか?という疲労が出てしまいました。 さくっと終わりにできるのも小説家の文才を使ったらできるんじゃないかな。 もったいないです。 | ||||
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奇妙な題名が印象的だ。「ルール」は悪にかかるのか、悪と仮面の双方にかかるのか(ちなみに英訳 タイトルはEvil and the Mask)。内容から判断すれば「仮面のルール」だが、「悪のルール」とい ってもいいのだろう。絶対的な悪があるとすれば、悪を体現する個人を内包する社会は「悪のルール」 によって機能している。この「邪」に抗ってルールから逸脱した代償として、主人公は「仮面のルー ル」に従わざるを得なくなる。 幼い主人公の「僕」と父の対決、同じ屋敷で暮らす幼馴染の少女、莫大な財産、整形。下手をすれば 中2病的誇大妄想となりかねない現実離れした設定が、主人公を拘束する「仮面のルール」の息苦し さと相まって、物語全般にいびつな印象を与えていることは否めない。『掏摸』が同じようにドスト エフスキー的な悪の問題を取り上げつつも、スマートで緊迫した筋展開を繰り広げていたのとは対照 的に、本作の物語のリズムはどこかしらぎこちない。また、思弁的な深みも掘り下げられているとは 言いがたい。 本作はそれでも、幼児期の傷と歪みを抱えながら大人になりきれない青年という中村文則の他の小説 と同じテーマを取り上げながら、ファンタジー的な装いをまとうことによって、明るい光の差しこむ ような解放的な答えを提示することに成功している。 | ||||
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奇妙な題名が印象的だ。「ルール」が「悪と仮面」の双方に係るのか判然としないからだ(ちなみに英訳タイトルはEvil and the Mask)。内容から判断すればもちろん「仮面のルール」だが、「悪のルール」とも解しうる。「悪のルール」で機能する社会は、絶対的な悪を体現する個人によって動かされ、それに反逆した主人公は代償として「仮面のルール」に従うことになる。 「邪」の父との対決、同じ屋敷で暮らす幼馴染の少女との関係、莫大な財産、整形後の仮面の人生。下手をすれば、中二病的誇大妄想となりかねない現実離れした設定が、「仮面のルール」による息苦しさと相まって、物語全般に閉塞感をもたらしている。『掏摸』がやはりドストエフスキー的な悪の問題を取り上げつつ、スマートで緊迫した筋展開を繰り広げていたのとは対照的に、本作の物語のリズムは、主人公の生き方を反映するかのようにぎこちない。思弁的な深みも掘り下げられているとは言いがたい。 本作はそれでも、幼児期の傷と歪みを抱えながら大人になりきれない青年という中村文則の他の小説と同じ設定に立脚しながらも、非現実的な装いをより一層まとうことによって、他の作品にはあまりみられない、明るい光の差す答えを示すことに成功している。 | ||||
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中村文則の小説には一種独特の雰囲気と我々読者の心に訴えてくる強いメッセージを持っている。この作品もまた現代社会の寓話的な側面があり、読みながら様々な思いが頭の中をよぎった。 主人公・久喜文宏は父親から『邪』を植え付けられるのだが、我々が幼い頃に親から与えられた幸せな暮らしを裏返しに表現しているように感じた。中村文則は、決して『悪』を描こうとしたのではなく、与えられることの窮屈さ、親の束縛から逃れようとする人間の成長過程を逆説的に描こうとしたのではないだろうか。 最初に読んだ『掏摸』が素晴らしく、続けて『何もかも憂鬱な夜』を読み、中村文則の作家としての力量を感じた。 | ||||
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ちょっとどうかと思うけど…。 このタイトルと装丁は。 表紙だけ見たら、中学生向けの作品か?って思いますよね。 どちらもあまりにもあまりにもベタで…。 本屋でも、普通の精神状態なら手に取ろうとは思わないよう な表紙です。 (図書館で借りたので、面白くなくても時間潰しになれば… くらいの軽い気持ちで借りました。) でも、中味はしっかりとした筆致で、人物描写もしっかりと できています。 ストーリーもなかなか面白いし、作者の世界観も伝わって きます。 流れからすると、破滅的なエンディングを迎えると予想させ ておいて、程々のハッピーエンドに仕上げているのも好感が 持てます。 タイトルと装丁でマイナス1点の、4点という評価でお願い します。 | ||||
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