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銃
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銃の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21~30 2/2ページ
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久しぶりに再読してみましたが、やはりとても楽しめました。個人的には筆者の最高傑作に思えます。 主人公は大学生で、施設に入った経験があり、意識と無意識の境がときどきわからなくなるような人物です(その点でカミュの異邦人の主人公を想起させます)。主人公は偶然銃を拾い、彼の生活は銃を中心としたものに変わります。 主人公を取り巻く登場人物はセックスをさせてくれる女や大学の友人であるケイスケやナカニシ、あるいは主人公に興味をもつヨシカワユウコなどですが、ヨシカワ以外はあまりセリフもありません。しかしながら、この作品の主要な部分は主人公の内面描写にあり、周りを描かないことは対比という点で効果をあげていると思います。 圧巻なのが主人公の内面描写です。銃に関係する心理描写は特に面白く、それが最後まで徹底され、持続している点が秀逸だと思います。この内面描写を気に入った人は、最後まで楽しめると思います。 ここからは個人的な意見なのですが、最近筆者は内面描写が控えめというか簡潔になり、作品の構成やイメージに力を入れている感があります。ただ、やはり持ち味は内面描写にあると思いますし、今度はこの内面描写にこだわった大長編を読んでみたいと思いました。 | ||||
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私の読書量が少ないからでしょうか? この作者の人間の内面描写は三島由紀夫に匹敵するように思えた。確かに文章は三島の方が断然巧いが(人それぞれ好みはあろうけど)主人公が銃を手に入れ、それが彼の心理、日常にどのような変化をもたらしたのか。読み手にひしひし伝わってくる。私も主人公と同じ学生であって、苦悩すること多々あるためか、読んでいて共感できる部分が随所にあった。私ももし銃を手に入れたなら、主人公と同じことを考えるだろうし、するかもしれない。人間にはある種の危うさ、悪を悪とは想わない弱さがどこかしらある。その醜くも決して目を背けてはいけない現実を、この作品は生々しく見事に描いていた。特に秀逸なのは、最後だ。後味は最高に悪く、ハッピーエンドでは終わらない。 | ||||
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主人公の大学生は、ある日、偶然、銃を手に入れる。 銃を手に入れる前の情景描写は、ほとんどが暗闇、雨といったネガティブなもので、彼の行動も頼りなく、ボウフラのよう。 銃を手に入れると、とたんに生き生きとしだす主人公と、周囲の光景。 もしかしたら物語はポジティブな方向へ動いていくのかな、と思いきや・・・。 無関心で、どこか優柔不断な「私」の隠された衝動が、胸の中から腕、そして手、指先を伝って、銃身からほとばしるように具現化され、排泄される過程が描かれています。 とても恐ろしい結末に、結構ショックを受けました。 | ||||
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最近、中村文則さんの芥川賞受賞作『土の中の子供』と、『銃』を読んだのですが、人間の誰でもが持つ心の暗部というものを実感、痛感させられました。 人間、誰しも、暗い気持ちに傾きかけることが有ります。 誰も、自分のそんな暗い気持ちやトラウマに目を向けないで普通に生活してゆこうとするのですが、中村文則さんの書くものには、その暗い気持ちそのものが実に正確に描かれています。 短いセンテンスの文が段落になった時に、彼(中村文則さん)の文章は、その筆力を発揮します。 視野が限定され、さらに限定され、読者の気分も主人公の想いに一致させられる。 悩んだ末に答えが見つからない悪夢、いや、現実の僕たちの生活でも、ひょっとすると陥りかねないシチュエーションを、そして、その気分を見事に再現されています。 これには、感服しました。 | ||||
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「暗い」とか「重い」とか語られがちな作家だが、ちょっと違うような気がする。この人の小説は最近読み始めて、すごく共感するところがあるので全部読み、最後にこの文庫化された『銃』を手にとった。やはり「暗い」とか「重い」とかではこの人の小説の魅力は語れないような気がする。 そのギャップをポーカーフェイスでたんたんと描いているように思える著者の姿勢に、つまりこの小説の「作風」に、そこはかとない明るさを読み取れるのだ。確かに表面的には「暗い」し「思い」。彼のカミュ風の古色蒼然とした文体もその理由の一つだろう。カビくさく感じることもある。けれど、その表面を書きながら、というより何かに書かされながら、その文章の展開に、にんまり、としていそうな小説の裏にある顔、その顔の存在に気づくと、この小説には他の誰も進まない方向に突き抜けたような明るさがあることを実感できるはずだ。 | ||||
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この著者はどれも人の陰部の潜むものを陰部そのものから見て描くようなものが多い。 本作品も人の陰部を描写しているが、どうも「遮光」に比べて文章のテンポや表現力は劣る気がする。 クレイジーさで劣るということだ。 著者はそういうものを描こうとしているのだからもっとドロリとしていていいはずだ。 それでも本作品のテーマが今の日本のどこかの街で本書のような出来事が起きないとも限らないと思えるだけでも怖さがある。 著者にはある一定の自身の中での固執物があるような気がする。 それは著者の他作品を読めば共通したこだわりが明らかにわかる。 「どうでもいいのだが、、、」などの描写をどの作品でも執拗に使う。 きっと作品の主人公の光景は同時に著者に潜む心の闇なのかもな、と思えてならない。 | ||||
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ネガティブな作品の多い中村さんですが、本作は中でも1、2を争う暗い暗いお話でした。 普通の大学生が銃を拾うことから始まる物語。ただ普通とは書きましたがこの主人公である大学生が、典型的中村作品主人公。見た目はあけぬけたイケメン風の大学生。しかし精神の中身は空っぽの中に暗黒があるという、ちょっと救いの無い男。中村作を読んでいる人なら、またいつものパターンかと思われる主人公です(笑)。 確かに文学的に暗いお話。徹底した主人公の心理描写でたんたんと進む物語はいつもの中村節。そのなかに出てくる表現は現代ならではの病んでいる一面を現していることは確か。 好き嫌いがはっきりする作品、作者です。ヘビーな心理小説が読みたい方にはお勧めです。中村作をこよなく愛する人にはぴか一なお勧めです。後味は最高に悪いですけどね(笑)。 | ||||
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芥川賞受賞ということで、まぁ、芥川作品はあんまり読む気がしないので、こっちを取ってみたのだが、これは面白い。 主人公が銃に引き込まれていく様子が丹念に描かれているし、文章も美しい。地の文と主人公の口調のギャップがまたよい。 銃は人を殺すための道具であり、主人公は銃を撃ちたいという欲望にかられるが、だが、それでも主人公は人を撃つことなど半ばどうでもいいと考えている。 銃は主人公のまわりの現実を打ち砕いていく。なるほど、主人公のすべてどうだっていいんだという投げやりなようで、切実な心情とそれにいたるまでの描写が激うま。 | ||||
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なんか凄くいいレビューだったので私も近くの書店を探して購入してみたのですが、、、正直立ち読みで充分て感じでした。なんだかなー、凄く重い文章なんですが、そのなかに孕んでいるものが軽いんですよね。で、プロフィールを拝見してなるほど、まだ若干27歳なんだとか。蛇ピアスにしてもこの方にしても若者の中に鬱積しているものを文章にして訴えたって言う感情の迸りみたいなものはわかるのですが、なんとなく年輪の重みを感じない文章は、美術大学出の岡本太郎似の絵を見せられたような感じで、どうもその現実離れした世界には私自身、入っていけません。申し訳ないのですが私はこれ以上の点は差し上げられませんでした。 | ||||
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拳銃を拾い、それによって日常が変化していくという類の小説はたくさんあります。それでも、この中村文則という作家は「文学」として新しい「拳銃小説」を書いてみせました。新潮新人賞を受賞したデビュー作であり、芥川賞候補にもなった作品です。この歯ごたえのある文体は、咀嚼するたびに確かな感触と旨みを感じることができます。少し暗い小説ですが、オススメです。主人公の大学生「私」の行き着く先を堪能しました。この作品のことは、一生忘れません。 | ||||
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