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凍りのくじら
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凍りのくじらの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.72pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全111件 101~111 6/6ページ
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2作目、「子どもたちは〜」で辻村さんにハマり、「冷たい校舎〜」を読んでからこれを手にしました。 前作を読んでそれはそれは興奮して大ファンになったので期待は十分高まっていたのですがその期待以上に満足できました。 読み始めたら止まらず、結局深夜3時か4時までかけて一気読みして、そして最後には泣きました。 辻村さんが、自分が漫画やいろんなものから感じたものをこうして表現できるのが嬉しいとかなんとかいっていましたが、まさしくこれはそのとおりでしょう。 彼女の大好きな「ドラえもん」。 本作の主人公でもある理帆子もドラえもんが好きで。 些細なことばかりが書いてあります。 些細なことが、見落とされてしまう日々に、 気づかずに人との間に距離や壁ができてしまうのでしょう。身内であれ他人であれ。 この本では、私は3人の人物が理帆子にちいさなちいさなしあわせを感じさせていると思います。 それはちいさいしあわせですが、それをきちんと受け止められたときおおきなしあわせ、心が満たされるのではないかと思います。 読んだあと、静かな波音の様に心は穏やかに満たされます。 ぜひ、一読してみてください。 | ||||
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いつものように、一気に読みました。辻村さんの作品は途中でやめるということをさせてくれません。 主人公の元彼、若尾がとにかく痛かった……。「あーそれはだめだよ」というようなことを次々とやらかしてくれる。でも、それらのダメ要素を他人事として切って捨てられないのが悲しいところ。もしかして自分もああいう風になっているのでは??と考えさせられた。自分で自分の面倒を見ることができずに、責任を他人に押し付けるっていうのは誰でも陥りやすい状況じゃないかな。誰だって辛い時は「自分のせいじゃない! あの人のせいだ!」って逃げたくなるだろう。 主人公には十分共感できる部分があると思う。人間を遠目で観察しているところも、どこか冷めているところも、自分は傍観者だという感覚も、完璧にじゃないが分かる気がする。 面白いけど、辛い。途中でやめたいけど、やめられない。 そんな作品でした。 | ||||
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少し不思議な物語。 ストーリー展開も文句なし。主人公に共感することは出来ないが、十分に理解は出来ます。 一つ一つのエピソードの作り方も非常にうまく、文学としても十分に通用する内容だと思います。 ミステリとしての要素もきっちりと盛り込んでおり、読み進む上での微妙な違和感は、最後に氷解します。 辻村深月、恐るべし。これからも非常に楽しみです。 | ||||
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理帆子が見出しているS・F(少し不思議…、。少し不完全)な部分を持っていて、それを見抜かれたくないために鎧を着ているハズ。 思春期の少女の自己愛と社会への関わり方をドラえもんの道具を使って現したのは見事だ | ||||
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読み進めていくと恐ろしいくらいに「イタイ」。 ウチがもう少し若い時分に捨ててしまった……いや、今も隠しているだけかもしれない……本質が描かれていて本当に「イタイ」。辻村深月さんの作品はとにかく感情表現、心の機微の表現が深くて豊かなので読むと心の奥底まで揺さぶられてしまう。 主人公の高校生・理帆子の性格や考え方が嫌いだという意見があるのも当然。一見して分かる理帆子の元彼・若尾の「イタイ」所よりも理帆子の方が質の悪い「イタイ」所を抱えている。 それだけにラストのカタルシスは強烈。鬱屈としていた心が一気に開放されて、目の前にぱっと広い空間が広がったような気持ちを感じさせる。 すごいですよ、これ。下手すると自分自身の鬱屈を吐露するだけの自慰小説になってしまいかねない作品……参りました。 藤子・F・不二雄さんの「ドラえもん」に登場する道具をそれぞれの章のタイトルにしていたり、それぞれの道具の説明とストーリーが微妙にリンクしていたり、SF(Sukoshi Fushigi)小説として、大事な人に「読んでみて」と薦めたい小説。……薦めたい人は大体鬱屈としているだろうから読み進めるのはウチと同じで「イタイ」だろうけどね。 | ||||
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前作、前々作と比較して、主人公のヒロイズムが大分脱却されたようなところに、まず好感が持てた。 それでも、やっぱり好きな性格じゃないけど。 ただ、何というか「頭の良さ」というところにかなりの偏向(あたかも作者自身の執着のような)が見られ、 「こういう人物」という型にはまった人物像が直訳的に表されている部分が未だにあって、 ちょっとそこに馴染めなかった。 天才を「天才」と云ってみるような陳腐さというか。 なので、美也や別所のような、いかにも「いそう」な個性よりも寧ろ 私は、若尾や前作で言うなら浅葱といった飛躍的なキャラのほうが好きだったりする。(全く個人的な問題だけど) それでも、後半にかけての盛り上がりは素晴らしく、 符号が次第に一致していくさまとか、主人公の感情の動きとかが物語を大いに面白くしていて そこはやはり流石だと感じた。 涙も出た。 それにしても、第一作目から今まで、主人公の対峙している問題が、 人間関係における人間の個人的な歪みというところに収束されるような気がするので そろそろ別のテーマの話が読んでみたいかも。 | ||||
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今まで読んできたミステリーと違って、「少し不思議」な話。はじめ、主人公の妙に達観している考え方にあまり好感は持てなかったけど、中盤からどんどん引き込まれていきました。章ごとに登場するドラえもんの道具や話は、けっこう知っているものがあったりして妙に嬉しく思ったり!その道具がまたうまく話に繋がっていて、色々と人の繋がりについて考えさせられました。後半は少し泣いてしまいました。 あっと驚く結末は用意されていないものの、読み終わったあとは心が暖かくなる、そんな不思議なお話です。一度は読んでみても、損はないと思います。 | ||||
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この本の読了後、真っ先に思ったのは文章の上手さに驚きを覚えました。 作者はまだ若い女性(1980/02/29生まれ)で、それがこれだけの文章が書けるとは先が楽しみです。 藤子・F・不二雄作『ドラえもん』の道具が章タイトルにつけられているのですが、その道具が章と全体の話に結びついて主人公・理帆子の心理やその取り巻く人物たちのとの距離感を上手く演出している。 最初は現代のどこか無気力な若者たちを描いた小説かと思っていましたが、いい意味で裏切られた作品です。 別所あきらという“少し不思議”な少年との出会いが周囲の友人・知人との関係、そして何より家族との関係を理帆子に見つめ直させるきっかけを与え、そこから成長していく過程がなんとも言えない優しい味わいがあります。 歌い文句の通り“少し不思議”な物語でした。 | ||||
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この著者は人間を書くのがとても上手だと思う。 主人公視点からの目線は、物語が進むにつれて手に汗握るものがあった。 主人公の彼氏は、読んでいくうちに異常な人間だと思っていたのだが、 あの描写は誰にでもありうることなんだろうな。 読むごとにいつも考えさせられます。 ミステリィとしても、ドラえもんファンの方も満足できる作品ではないかな、と思いますよ。 | ||||
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家族の形と藤子・F・不二雄の世界がとても上手く絡んでいます。主人公・理帆子の幼い頃からの趣味・・・人の性格をSFで現すんですが、実に様々なSFを持つ人が現れます。(辻村先生の描く主人公キャラは少し理屈っぽい子が多い気が・・・)でも読むに連れてどっぷり辻村ワールドにはまっていきます。理帆子の元彼が徐々に壊れ始めていく様子がとても怖く、この作品が3作品の中で一番怖いように思えました。2作目「子どもたちは夜と遊ぶ」でも泣かされましたが、今回もまた泣かされました。最後まで読んでようやく「SFな(少し不思議な)家族の物語」と言うキャッチフレーズの意味が分かります。後半に出てくる母親の夫と娘へのラブレターそして最後の父親の言葉儚い残酷さと感動を秘めた異色のミステリーです! | ||||
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前作より半年で新作が発表され嬉しい。今回もやはり心理描写がすばらしく、作者の大きな特徴と言えるだろう。また、何度も読み返したくなるのも特徴だと思う。読み返したとき、あちらこちら自然に張られた伏線を見つけるのが楽しい。これからもどんどん書いて欲しい、本当に楽しみな作家である。 | ||||
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