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(短編集)
レインレイン・ボウ
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レインレイン・ボウの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.89pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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短編はあまり好きではありませんが、全体が繋がってる短編なら許容範囲なので読んでみました^_^ ちょっとした日常の謎解きも良くて楽しく読むことが出来ました。 個人的には第6話の「雨上がりの藍の空」が好きです! 貧乏レシピが役に立ちそうで、読書をしながらちょっとだけ得をした気分になりました^_^ 2016/12/4読了 | ||||
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高校時代に同じソフトボール部だった少女たちが、大人になってチームメイトの過労死を経験し、それをきっかけに再会し、それぞれの今を描く物語。7つの章に別れて、7人の女性たちの個性的な20代の生き様を、作者独特の優しい筆致で綴っている。各章の副題もタイトルの虹を連想させる色が入っておりニヤリとさせる。読む進めるとその副題の色の意味も解ってくる。細々した個々のエピソードが鮮やかなほどうねりを持ってラストへと収束していく。一見するとミステリーのようだが、実は女性の青春群像劇となっており、それぞれの章でそれぞれの主役たちが悩み苦しんでそれでも頑張って生きている姿を丹念に描いている。六章の由美子の描写がこの本の中の女性では特異でいて、私が一番気に入ったところだ。彼女の機転で、どうしても上手くいかなかった仕事が、段々動き始め、廻りの人間をも巻き込んで、やる気にさせるというのがとても心地良い。脇のオバサン軍団も味があって良いアクセントになっている。様々な事で迷いながら壁にぶつかりながら、それでも必死で「今を生きる女性たち」この作者の上手いところは、数々の細かい謎を各章に散りばめつつ、連作長編として、その謎を「優しさ、愛惜しさ」に収束させていく。人物造形も台詞も素晴らしく巧み。加納朋子は寡作な作家だが、一つ一つの作品は完成度が非常に高い。もっと評価されても良い作家の一人だと思う。ラストの一行がこの物語を鮮やかな結末へと導いている。未読の方は一度加納朋子の本を手にとって欲しいと思う。作者の力量の高さもさることながら、読後感がとても爽やかなので、良い気分転換になると思う。さほど重たい内容では無いので一章ずつ丹念に読んで欲しい。通勤のときに読む本としてお薦めの一冊。 | ||||
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『月曜日の水玉模様』の続編で、前作のヒロイン片桐陶子が高校時代にキャプテンをしていたソフトボール部のメンバーが、元部員の一人、「チーズ」こと牧知寿子の通夜の席で七年ぶりに顔を合わせることになった。だが、その席にはチーズと仲がよかった長瀬里穂は顔を見せなかった...。 前作同様、陶子とボーイフレンドの萩が、個々のストーリーに散りばめられた謎とその真相を明らかにするものと思っていたのだが、そうではなく、元部員たち一人一人のストーリーで構成され、その中に「チーズ」の影が添えられているというもので、陶子は一話目と最終話にしか登場しない。 ただ、その最終話で全体を貫く謎が解けるというのは、作者の従来作品と同様、連作短編集として落ち着くスタイルである。 『月曜日の水玉模様』の続編として陶子が活躍する話を期待していたのだが、その点、肩透かしであった。また、ミステリー色も薄い作品集である。 とくに六話目の「雨上がりの藍の色」は管理栄養士の三好由美子が派遣先で奮闘する話で、ミステリーでも何でもない。が、前作と比べると全体が暗めの作品が多い中、陽性キャラの由美子の話が、実のところ一番面白かった。そのキャラとは最も縁遠いはずの、おそらく本人さえも思わなかったであろうシンデレラ・ストーリーだったのも面白い。 | ||||
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小説は作者のメッセージやコンセプトを表現するための手段なのかも知れませんが、それ以前に、物語そのものや、文章そのものの面白さがないと魅力的な作品にはならないと思います。 日常の小さなミステリーをつむぐこの作品群には、文章芸術の基本とも言うべき語りの魅力を随所に感じます。また空想したり、文章を綴ることをこよなく愛する作者の姿が目に見えるようで好感が持てました。そのなかで、普通のことが普通に起こることがどれほど幸せなことなのか、シンプルですが大切なメッセージも静かに伝わりました。 | ||||
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高校時代の元ソフトボール部員たちの現在のそれぞれの物語が各章で描かれ、亡くなった元部員と失踪した元部員の謎解きの物語で全体がつながっていくという連作短編です。 ただ、読者が作品をどう読むかは自由ですが、おそらく作者としてはこの作品は、上記のような謎解きの体裁をとりながら、実はソフト部の元キャプテンであり、前作の「月曜日の水玉模様」の主人公である片桐陶子の物語として描いたのではないかと思います。正直、途中、多少中だるみしてると思わないでもない章もありましたが、「月曜日の水玉模様」から続けて片桐陶子の物語として読むと、ラストまで読んだときに全てのピースがハマって胸にグッとくるものがあり、とてもいい作品だと心から思えました。 それぞれの章に元部員たちが各章の主人公として出てきますが、全体をつなぐ一番重要なピースは失踪した長瀬理穂でもなく、亡くなった牧知寿子でもなく実はこの物語の真の主人公である片桐陶子だと思います。そして、それぞれの章で細やかに描かれていた元部員たちの生き方が、実は片桐陶子の生き方を逆照射のように照らし出していたのだとラストで分かるという実に見事な構成になっていると思います。このあたりはさすが名手・加納朋子だとしかいいようがないです。 それにしても、やはりラストの片桐陶子の章でほんの少しでも「月曜日の水玉模様」の準主役の萩広海君がでてくると、わくわくしてくるし、より温かい空気が醸し出されますね。最後の片桐陶子の章で、いつ萩クンが登場するだろうと思っていたけれど、やっぱり登場してほんの短い登場時間の間にとても重要な役を演じていきます。だから、この作品はぜひ「月曜日の水玉模様」を読んでから、読むことをオススメします。そうしなければ、数ページしか登場しない萩クンがなぜ重要な役割を演じるのかが充分に理解できないし、とくに最後の章では、片桐陶子の母親への想いや前著でのいきさつを踏まえてないと陶子の心の動きに感情移入できないまま終わってしまい、「うまいなぁ、加納朋子」とは思っても、胸にグッとくるところまではいかないかもしれません。ですから、まずは「月曜日の水玉模様」を先に読まれることをオススメします。こちらは今作のようなヘビーな要素はほとんどなく、片桐陶子と萩クンの二人が日常の謎解きをやっていくという連作短編で面白くてページを繰る手が止まらないといった感じでサクサクっと読めちゃいますので。 そして、ぜひその後の物語も読みたいなと思いますね。 | ||||
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虹の七色をモチーフにして,各人各様の女性たちの生き方を綴った短編連作集です。 高校時代の部活仲間の死の事実から,物語は出発します。唐突な始まりですが,加納さんのファンなら,ミステリーの伏線だなという予想はつくのではないでしょうか。 各話とも,高校卒業後の彼女たちの様々な日常生活が中心となっていますが,もちろん,彼女の死が直接・間接に関係してきます。そして,最終話に向かって,彼女の死をめぐる謎解きが加速されていきます。 もちろん,ミステリーの要素はあるのですが,一人の人間の死を通して,生きている者たちの様々な‘思い’を再確認する作業に重点が置かれている印象を受けます。特に,最終話の「青い空と小鳥」の中で,登場人物の「片桐陶子」を通してそれが雄弁に語られていると思います。 学生時代の自分と社会人になってからの自分―過去と現在の‘思い’を再確認しそれを意味づける作業は,案外つらいものかもしれません。そして,時には,取り返しのつかないこともあるのかもしれません…。 本作品は,‘爽やかな青春小説’と評価することも可能でしょう。しかし僕は,単なる爽やかさにとどまらず,過去と現在の自分に向き合うきっかけをつくってくれた深みのある作品と感じました。 読者諸氏(特に女性)が本作品に御自分を投影できた場合は,大変意義深い作品となること請け合いです。 | ||||
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高校のソフトボール部の仲間・チーズこと知寿子(ちづこ)が突然死んだ。 彼女の通夜に、高校時代女子ソフトボール部で一緒だった同期や後輩が集まる。 専業主婦、キャリアウーマン、保母、看護士、調理師…それぞれの場で それぞれの生き方をしていた彼女たちの会話は最初、どこかぎこちない。だけど、 それぞれ、高校時代の思い出をよみがえらせ、どうしてあんなに明るくて 活発だった知寿子が死んだのか思いを馳せる…そして、最大の謎が。 誰よりも知寿子を好きだったはずの里穂が弔問に来ていない。 そして、里穂の消息が途切れる… 知寿子の死と里穂の失踪の謎、という縦糸に、それぞれの 元ソフト部員たちの日常の小さなミステリーが横糸として 絡まって、見事な虹色のタペストリーのように1枚の絵として 最終章で完成する。見事な構成。 個人的には、その横糸の部分…それぞれの章の主人公たちの 日常ミステリーの部分のほうがより面白く感じた。 それぞれの職場が主な舞台になっているので、編集者、調理師、 保母など、様々な仕事の場面が出てきて興味深かった。 特に「誰が栄養士として派遣されてもすぐやめちゃう」 いわくありげな商社の社員食堂に管理栄養士として赴く由美子の 社食改革の章は、単独で読んでも痛快でした。 というわけで、血なまぐさくない読後感のよいライトミステリーとして なかなか楽しく読める1冊。1章1日読めば1週間でちょうど読めるので 通勤のお供にもいいかもです。 | ||||
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性格も容姿も職業もまったく違う女性たちが、それぞれの生き方で世の中を渡っていく様を描いた小説。 こう書くと、篠田節子の「女たちのジハード」を思い出す方も多いのではないでしょうか。 実際、女性筆者ならではの感受性あふれる描写、同性ゆえに逆に鋭い女性への視線など、似通った部分もあります。 だけど、似たような食材でも、この人が調理するとまた、違った味わいになるのです。 得意の日常の謎を、メインとしてでなく、スパイスとして各話にふりかけて、一話完結の短編集として成立させる。しかも、それぞれの<色>のお話が並ぶと、タイトルにもある<虹>のように一つの<謎>の答えも浮かび上がってくる。 この構成が見事です。 ちなみに、主要登場人物の一人は、実は別の作品「月曜日の水玉模様」の主人公だったりします。完全に別の話として独立しているので気にする必要はありませんが、合わせて読むとより楽しめるでしょう。 | ||||
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高校時代の部活動の仲間の死が色々な形で7人の生活に関わっていきます。7つの短編は、その部活動仲間1人に焦点をあて、進んでいきます。部活動の仲間といっても学生時代を終え、各々の道を歩む登場人物たちはそれぞれが微妙な距離を保っています。私は各編に描かれた7人それぞれの生き方に好感を持ちました。短編の並びは必ずしも時系列にそって並んではいません。私は読み進めていきながら、同時に自分の頭の中で物語を整頓していきました。各編で登場し、また、短編の1つで中心人物として焦点をあてられるのは『月曜日の水玉模様』の登場人物である片桐陶子です。同書の登場人物である萩広海も登場します。私の個人的な好みからですが『月曜日の水玉模様』を読んでからこの本を読むことをお勧めします。片桐陶子は加納朋子さんの作品の中でも特に私が好きな登場人物の1人です。 | ||||
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題名にふさわしく、虹の七色を七章の一つづつにとって、かつての高校同級生がひとりずつ語られていきます。いつもの加納さんのように、事件というか、謎が、さらりとでてきて、各章につながっていきます。読み手としては、ある程度まで話が進むまでは、目を光らせて、ここはしっかり抑えておかねばならんぞ・・・と、登場人物の言動にチェックを入れます。『レインレイン・ボウ』では、7年前、ソフトボール部で一緒だった牧知寿子の死をきっかけに、交流が途絶えていた7人の女性が、また関わりを持ち始め、過去・現在とをつないで語られるうちに知寿子の死の謎も明らかにされていく。それはもちろんおもしろいのだけれど、加納さんの持ち味の普通の女性を描き分ける鮮やかさに、ついつい呑まれてしまいます。またやられた!という嬉しい読後感。虹とは、死んだ知寿子も、過ぎ去った7年も、女性同士の移ろいやすい友情も、でも雨上がりの明るさも全て象徴しているのでしょう。 | ||||
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偶然にも、同じような構成の小説を読むことになった。高校時代に所属していた部活のメンバーの死を軸にした女の子たちの物語。女性の自立を謳う作品ではなく、卒業後の彼女らの軌跡と同級生と先輩らの人間関係を描かれている。物語の副題としての人格や生い立ちではなく、人との関わり合いと登場人物と他者を比較した心情が主な展開になるところが、女性作家にある特徴のひとつか。正反対な性格でありながらも、お互い他者依存しながら生きていく彼女らの姿は、卒業後努めて絡を取らず疎遠なっていくにも関わらず、心の片隅では他者との繋がりを願っている。その姿から、いつでも繋がれる携帯電話を持ちながら、孤独感が一層募っていく現代社会の一面を照らし出しているのだろうかと考えたりもした(それほど大げさに作家が考えていたのかは別にして)。経済小説や会社小説にありがちな重たい読後感はなく、通勤電車の中で楽しみながら読める本を探している人にはお勧めかも。 | ||||
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「ガラスの麒麟」で日本推理作家協会賞を最年少受賞した著者が最も得意とする連作短編集。帯の謳い文句いわく「7つの物語が交錯する、爽やかな青春群像」、ほんとうにこれほど「さわやか」という言葉がイヤミなく受け取れる人もいない。「コッペリア」では人形に憑かれた人々をめぐるやや耽美的な世界ということで持ち味と合わず、消化不良気味だったが今回はみごと。7人の女性も魅力的に書き分けられています。メインストリームで評価の高い小川洋子「博士の愛した数式」、森絵都「永遠の出口」といった作品と同質の繊細な感性が光ります。装丁も美しいです。 | ||||
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高校女子ソフトボール部仲間だった一人の死をきっかけに集まった7年後の7人の女性の生き様を虹の七色(赤橙黄緑青藍紫)にからめてつづる連作集。若すぎる死の真相はなんだったのか。練りに練った小説である。謎解きもあるのでミリテリー的ではあるが、著者の狙いは女性たちの人生を七色に書き分けるということなのだろう。かなり無理をして七色を作ってしまっているので、十分に書き分けられているとは言いがたく、なんとなく似たキャラクターになってしまっている。それでも藍色担当の栄養士の女性は魅力的に描かれていて、次回作はこれを主人公にすることを希望。「世界には虹が六色に見えている文化がある。本当は無数の色のグラデーションで構成される虹が人によっていろいろの色に見えているということ」という一節が印象的。途中から普通の青春小説風になってしまい、中だるみになるのが惜しいが、最後のオチまでいくと、この小説が良くできていることがわかるので最後まで読み通すことをお勧めします。 | ||||
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