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風の墓碑銘
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風の墓碑銘の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.61pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全49件 41~49 3/3ページ
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乃南作品はほとんど読んでいますが、音道刑事シリーズは大好きな作品のひとつでしたので 読む前から期待大でした。 今回も登場人物がとても魅力的に描かれています。音道刑事はもちろんのこと、私は相方の 滝沢刑事の人間臭さが好きです。どこの組織にもひとりはいそうなオヤジですが何だか憎めない人です。 20数年も前に殺されたと思われる白骨死体が発見され、さらにその鍵を握っていると思われる老人が撲殺されるという展開で、小説の前半にボリュームがあったので、半分以上読み進めた時点で「この残りページ数で完結できるのか?」と心配になるほどでしたが、さすが乃南アサと言えるあざやかな結末でした。 今回は今までの音道シリーズと違ってハラハラ感は少なく、地道に犯人をつきとめていくという感じでしたが、これはこれでとても楽しめました。 そして以前の音道刑事の話を、もう一度読み返してみたくなるそんな気分にさせられました。 | ||||
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前作の短篇から下町の隅田川東署勤務になった音道貴子の活躍を描くシリーズ第六弾。 首筋をつたう汗が目に浮かぶ茹だるような暑さの中、今回貴子が追うのは撲殺事件がらみの24年間地中に忘れ去られていた三体の白骨の謎。地道な聴き取り捜査の果てに真実に行き着く過程を、最後まで一気に読ませる筆力には本作もまた見事と言うしかない。推測出来る怪しい人物の影は途中で何となく判るのだが、どうそこに繋がっていくのか、構成力、人物描写の巧みさで違和感無く魅せてくれるのである。 主人公同様、乃南さん御自身も滝沢刑事と向き合うのはどうも苦手ということだが、その時々で微妙に変化する貴子と滝沢の遣り取り、心理描写は、やはりこのシリーズの大きな魅力だと言える。前作では良い印象だった同僚の意外な面が明らかになったり、私生活の悩みを抱えて貴子の今後も多事多難の予感。そんな中で刑事としても人間としても成長し、周りから認められる存在になった貴子の姿に出会えるのは、読者として大変嬉しいことなのである。 | ||||
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ボクはこのシリーズを初めて読みました。 面白かったです。 人間臭い。 泥臭い。 そんな刑事物です。 ちょっと生活臭が強いところもありますが 謎解きだけに終わらない人物的な魅力が この物語の魅力の一つとなっています。 物語の謎解きの妙も心憎い気がします。 こう来るのか。 たくさん流した汗が報われて良かったと 共感できる物語です。 横山秀夫の警察ものも人間臭いドラマですが ちょっと異質な感じがしました。 横山秀夫の背後にはいつも 「組織」の影がちらつくような気がするのですが こちらはそうではなかったような。 やはり女性が主人公っていうところも 大きいのかな。 | ||||
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「おなじみのコンビ復活」と帯封に大きくあり、はりきって読み始めたのですが、期待しすぎたかもしれません。 出だしはナゾがナゾを呼んで次々読み進めたくなる感じでした。 ただ音道と滝沢の再会あたりから、 あまりにもふたりの絡みに重点を置きすぎて、 本筋の謎解きが少しおろそかになった気がします。 ”早く本題に入ろうよ〜”と思ってしまいました。 そうかと思ったら、最後は報告のように事件が解決してしまって。 本格ミステリーと思って読んだら期待はずれかも。 音道刑事が大好きで、 彼女の登場する作品が読みたい方には面白かったのかもしれませんが、 単純に推理小説を読みたいと思って手に取った方は、 少し疑問点が残るかもしれません。 | ||||
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作品の組み立て方がとてもしっかりとしていた。また、音道、滝沢、そのほかの 登場人物たちもきっちりと描かれていて、作品自体を深みのある濃厚なものに している。当人同士は最悪のコンビだと思っているが、周りの目からは絶妙の コンビに見える二人の微妙な関係。それにからむ音道、滝沢、それぞれが抱える 私的な悩み。それらが作品をより面白くしている。殺人の動機には、音道と同じ ように私も怒りを覚えた。被害者や被害者の家族が哀れでならない。現代社会が 抱える介護の問題などもおりまぜ、最初から最後まで読み手を飽きさせない。 読みごたえがあるとても面白い作品だった。 | ||||
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このたび、新作が出るということで(しかも音道シリーズの)ワクワクしながら 発売を待っていました。 乃南さんの作品は、はっきり言って昔のものを読むと???と 感じるものもあるのですが、 この作品は、非の打ち所のない完璧なものだったと感じました。 人物描写がすばらしく、まるで実在の人物を見ているようです。 そして前作から数年ありますが、その間に登場人物が 過ごして来た(であろう、乃南さんが創造された)時間 までもがにじみ出ている点。 最近さまざまな作者のいろんな作品で使われている題材「介護」に ついてもリアリティを持たせ、追及されている点。 言うまでもなくストーリー全体の隙のなさ。 全てにおいて、読んで良かった!と読後感満点の 名作です。 | ||||
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この小説は週刊新潮に六月まで連載されていたものです。 連載中は新潮がでるのを今か今かと待っていました。 それくらい読者を飽かせない緊張感ある小説です。 「下町の古家の解体工事現場からでる2体の古い白骨体とボケ老人 殺人が絡みあいほぐれて行く」。 この事件を担当するのが直木賞受賞作「凍える牙」でコンビを組んだ 音道・滝沢コンビです。 乃南さんの人物造形の確かさ、警察内部の詳細は小説にしっかりとした ボディを与え真実みがあり、読む者を小説の中に引きずりこみます。 音道・滝沢コンビのお馴染みのふきょう和音は2人が真剣なほど おかしく、重く暗い物語りに彩りをそえますし、音道の恋人の存在 や滝沢の髪の薄さは「カイシャ」と共に生きてきた月日を感じさせます。 作中人物の「長尾」君に幸あれと肩入れしたくなります。 お読みになれば共感をいただけるとおもいます。 福田和也さんの乃南アサさんへの評価の低さがどうしても合点いきません! | ||||
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乃南アサによる音道貴子シリーズ最新作である。本シリーズに駄作は一つとしてないが,作者はまた新たなる傑作をものにしたという評価を行うことが出来るだろう。とにかく一気に最後まで読ませる筆力は立派の一言。結末への持っていき方や複雑に交錯する登場人物群の設定にはやや無理があるようにも思えるが,全編を通じての構成や各々の人物描写は素晴らしいので,読んでいる最中には問題を感じない。主人公と音道と相方の滝沢の意地の張り合いも楽しく,更なるシリーズの継続を期待させる一冊である。 | ||||
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今回の『風の墓碑銘』は『凍える牙』『鎖』に続いての久しぶりの長編。 貴子も滝沢もそれなりに年齢を重ねて(滝沢は頭がより薄くなって、病気もしちゃうし)、それぞれを取り巻く状況は変わってはいるのだけど、ちゃんと貴子は貴子だし、滝沢は滝沢のまま、再びあたしたちの前に戻ってきてくれた。 そのことが何にも増してうれしい。 もちろん、ミステリー作品としてとても秀逸な内容であることは言うまでもありません。そして地味な地取り操作の中から部分的に浮かんでくる事と、ごく自然に張られた伏線が一気にではなくて、徐々に繋がってきて最後に完全形になるまでの過程の描き方が巧いのです。 そして、居酒屋や聞き込み途中で立ち寄る喫茶店での何気ない会話や、滝沢と貴子との口論、先輩婦警奈苗とのトラブルなどなど、物語の本編とは直接関係ないエピソードや風景が物語のリアリティを増してくれるのですけど、物語が一定のスピードで流れているように感じさせる効果があったと思います-----つまり一気に時計が進まないから、捜査が進まないときはエピソードが多くなったり----。 こういう箇所も手を抜かないで、でもうるさくならない程度にちゃんと描いてるから、単に事件だけを追うのじゃなくて、ちゃんと本の中の人物から息使いまで聞えてくるかのように、リアルに感じてしまうのです。 前作までの作品を全部読んでないと最初は正直つらいかもしれません。でもこれだけ作品を重ねてきて、今回発売されたこの作品は、音道貴子シリーズの完成形といっても過言じゃないくらい、素晴らしい作品に仕上がっています。 まさに音道貴子シリーズ、ここに極まれり!って言うほかありません。 | ||||
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