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奇偶
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奇偶の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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ものすごく、ゆっくり、確実に読んでおりました。福田和也➡生ける屍の死=山口雅也のファン、になっており、作家のねうちの世代の文学好きです。 この作品は、内容は濃いし、じっくり面白い。慌てて読もうとすると萎えるので(この手のは、ほんとに長さに怯む。京極作品については分厚くてもすぐ読んでしまうのだが、それ以外は慣れてないせいか、萎える)理解の為にも じっくりゆっくりが楽しいです。 ずっと読みながら、色んな知識の連鎖とかあれこれ、 夢野久作のドグラマグラを思い出しました。かなり近いと思います。同時にその読んでいた時の学生時代も。飲み会で読んでて先輩に叱られました。 | ||||
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なんだかamazonレビューでは不当に低評価されている気がします。 確かに「読みやすい」本ではないですが大傑作だと思います アンチミステリという但し書きで売られているので 普通のミステリファンがこれはミステリではないといって怒るのは 筋違いだと思うんですが | ||||
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山口氏の長編大作の下巻となり、単行本から切りのいい箇所で上下巻に分けたためか、上巻が500ページあるのに対して下巻はその半分程度のボリューム。 下巻になり展開は急展開し、劇中作や密室殺人が登場するなか、最後の最後まで上巻の蘊蓄を引き継いでこれまた延々議論が展開する。 ダメな人はもう上巻で断念しているとも思われるので、ハマった人だけが下巻を手に取ることになろうが、好きな人には読む手がとまらないめくるめく衒学的趣向である。 密室殺人の普通のミステリーでは書こうとしても絶対に許されない究極の偶然による前代未聞のトリックが披露される。 この普通ならあり得ないネタを成立させるがためのここまでの大長編となっていることがよく分る趣向である。 山口雅也氏の著作としては賛否両論は間違いない作品だが、手に取って挑戦してみる価値はある意欲作である。 | ||||
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鬼才山口雅也氏による上下巻組の超大作作品で、作品の中身も従来の奇抜ながらユーモアも散りばめた作風とは異なり、重厚かつ陰鬱なシリアスな作風。 過剰なまでの偶然(ご都合主義とも思える)を重ねていくことでミステリーの構造そのものを崩壊させそうなミステリーに問題意識の強い氏ならではの異色の展開。 上下巻構成で上巻だけ500ページ超えの偏ったページ数振り分けになっており、本作は500ページにわたり、事件は起こるが所謂みっステリーらしい謎解き趣向は一切ないまま、ページ数の半分はあろうかというストーリーの進行上特に必要でもない衒学的知識、蘊蓄が延々と書きつづられる。ここで披露される問題意識に共感できれば全編興味の尽きない作品になり、共感できなければどうでもいいことが長々書きつづられているどうしょうもなく退屈な作品となる。 下巻は300ページほどとなり、ここからやっとミステリーらしい展開がくることとなる。 | ||||
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実際に眼病を患った作者の体験をもとにした、半自叙伝的小説であり、 大量のペダントリーを投入し、偶然と必然の関係を考察した思索ミステリ。 とりあえず、きちんと割り切れる、ごく普通のミステリを読みたい人は手に取る 必要のない作品です。しかし、それでもなお、本書に対し、何がしかの関心が ある人に向け、以下に二、三、言及したいと思います。 本書のテーマは「偶然の連鎖と必然の境目はどこか」というもの。 作中には、易経や確率論、ユングのシンクロニシティーにゲーデルの不完全性定理、 そして量子力学の不確定性原理や多世界解釈などのペダントリーが次々と投入され、 そのテーマが追究されていきます。 結果、導き出される結論は、 ――自然科学の法則でさえ、相対的、確率的、統計学的な真理に過ぎないもの である以上、この世で考えうることは、どんなに途方もないことでも起こりうる―― というもの。 「そんなの当たり前じゃん」とか「だからどうした」という声が聞こえてきそう ですが、そうした“常識的”反応の前提となっている根源を見極めようとする 姿勢において、作者は徹底しています。 それを踏まえた上で、真摯な思索の営為とみなすか、やっぱり取り留め のないホラ話に過ぎない、と切り捨てるかどうかは、読者次第でしょうね。 | ||||
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作家・火渡雅(ひわたり・みやび)の周辺では信じられないような事件・事故が続く。それらは偶然のなせる業なのか? 本書ではひたすら偶然が続く。荒唐無稽なほど。もしかしたら「偶然の連鎖=必然」なのではないかと思い至る火渡は、偶然のからくりを解明しようとする。それは他の登場人物たちとのトマス・マン「魔の山」を思わせる教理問答という形で表現されており、その会話は物理、数学、哲学、宇宙など多岐に亘るフィールドを縦横無尽に展開する。読み始めたら一気呵成にそのパートを読み終えないと、論旨が不明瞭になり混乱に陥るかも知れない。本書はメタフィクションの入れ子構造にもなっていて、偶然の不可思議性がさらに深まっていると感じた。名探偵の推理のように「スカッ」と竹を割ったような読後感がないのは、私も偶然の底なし沼に沈み込んでしまったからなのだろうか。 | ||||
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《偶然》を定義する、この直感的には簡単そうな命題がかくも存在の原理まで広がるものだとは思ってもいず、自分の人間としての存在意義が揺さぶられる感慨が残りました。 本作の主題としては『宇宙消失』グレッグ・イーガン(著)などからくる既視感が大きいのですが、グレッグ・イーガン氏が試みたような人間宇宙論への開き直りではなく、地に足を付けたままで更に洞察を深められています。その理由の多くが、現代の量子力学との共通な視点までもが散見される『易経』についての洞察に寄せられると思います。 そういう意味では、本著でも記述があるとおり「作品の背景と前景とがまったく転倒」しているというように、推理小説としてのスタイルをとりながらも《偶然》に対する形而上的な議論が主題として浮上しています。 では推理小説として低レベルであるという訳ではなく、《偶然》が形而上的に議論されることで、密室トリックの蓋然性が一点に集約されていく様は圧巻といって良いでしょう。 少なくとも、これまでに読んだことの無いミステリーが味わえる名著であることは疑いのないことだと思います。 | ||||
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なんとデビュー作『生ける屍の死』(実はその前に『13人目の探偵士』というゲームブックがある)以来の長編作品という事で、従来の山口作品を知る人間にとっては目を疑うほどの分量となってしまった(?)大作。 「キッド・ピストルズ」シリーズのファンにはお馴染みの、例のシューレディンガー(シュレーディンガー)の猫を使った量子力学、もとい並行世界の説明は、従来のシリーズだと要するに「パラレル英国」の概要を説明するマクラとして使われているにとどまり、肝心な小説の内容は、なかなか独特ではあるものの、基本的には本格パズラーとして成立していると思うわけです。 で、『奇偶』ですが、これが量子力学的世界観そのものを全面にフューチャーした、おそらく初めての作品だと、私の頼りない記憶によれば思います。 多くの頁を埋めているのは、物理学、確率論などの膨大な薀蓄。ストーリー展開よりもそのアカデミックなレトリック自体がメインという趣でもあります。 然しそれが、じっくりと読み込めば決して退屈ではなく、寧ろ京極夏彦作品にも共通するような(と私は思う)奇妙な脳のトランス感を引き起こしてくれます、多分。 若し(多分そうだと思いますが)構想した時点で結末まで一気にインスピレーションが結実していたのだとすれば、まるで中井英夫『虚無への供物』みたいだ、と思いました。 で。 解決は―― さあ、どういう感想を貴方は抱くでしょうか。 | ||||
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なんとデビュー作『生ける屍の死』(実はその前に『13人目の探偵士』というゲームブックがある)以来の長編作品という事で、従来の山口作品を知る人間にとっては目を疑うほどの分量となってしまった(?)大作。「キッド・ピストルズ」シリーズのファンにはお馴染みの、例のシューレディンガー(シュレーディンガー)の猫を使った量子力学、もとい並行世界の説明は、従来のシリーズだと要するに「パラレル英国」の概要を説明するマクラとして使われているにとどまり、肝心な小説の内容は、なかなか独特ではあるものの、基本的には本格パズラーとして成立していると思うわけです。で、『奇偶』ですが、これが量子力学的世界観そのものを全面にフューチャーした、おそらく初めての作品だと、私の頼りない記憶によれば思います。多くの頁を埋めているのは、物理学、確率論などの膨大な薀蓄。ストーリー展開よりもそのアカデミックなレトリック自体がメインという趣でもあります。然しそれが、じっくりと読み込めば決して退屈ではなく、寧ろ京極夏彦作品にも共通するような(と私は思う)奇妙な脳のトランス感を引き起こしてくれます、多分。若し(多分そうだと思いますが)構想した時点で結末まで一気にインスピレーションが結実していたのだとすれば、まるで中井英夫『虚無への供物』みたいだ、と思いました。で。解決は――さあ、どういう感想を貴方は抱くでしょうか。 | ||||
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本作は推理小説といえるかどうか…。ミステリ的にいえば○○が犯人のメタミステリといえるのでしょうが、それよりも思弁的SFか、『黒死館殺人事件』のような衒学的探偵小説とでもいうべき作品です。サイコロの出目に6ばかり続く現象、量子論の不確定性原理、宇宙論などが次々出てくるので、文系読者にはツライかもしれません。理系ネタ好きの私には全然抵抗・障害はありませんでしたが。SFでいえばグレッグ・イーガン『宇宙消失』や、ミステリでは『不確定性原理殺人事件』『姑獲鳥の夏』が何の抵抗もなく読める人、あるいは湯川薫や倉阪鬼一郎が好きな人は本作を最も楽しめるタイプの人だと思います(森博嗣とはちょっと違うかも)。逆に本格好きには欲求不満が残りそうですね。どちらにせよ、ミステリファンは一読して損はない作品だと思います。大作ですし。ただ、宇宙論・物理科学ファンとしては、最後の半密室殺人の真相には納得いきませんでしたが…。 | ||||
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自分の身に降りかかった不測の事態の因果関係を検証しようとすると、必ず理屈では解明できないものにぶち当たる。そこで「なぜ?」とか「どうして」とか考えるのは、ナンセンスなのだろうか? 作者はこの本でこの因果関係を深く追求した。読むとその苦悩の様子が伝わってくるような気がする。運命論者的に、「偶然」の名の下に処理してしまうのが一番安易な方法だ。しかし作者としては、それでは納得できなかったのだろう。 これは、推理小説ではないと思う。かといってピッタリと収まるようなジャンル分けはできないと思う。この本を読んだ後、他の本の中に、「偶然」という言葉出てくるたびにこの本のことを思い出す。 | ||||
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自分の身に降りかかった不測の事態の因果関係を検証しようとすると、必ず理屈では解明できないものにぶち当たる。そこで「なぜ?」とか「どうして」とか考えるのは、ナンセンスなのだろうか? 作者はこの本でこの因果関係を深く追求した。読むとその苦悩の様子が伝わってくるような気がする。運命論者的に、「偶然」の名の下に処理してしまうのが一番安易な方法だ。しかし作者としては、それでは納得できなかったのだろう。 これは、推理小説ではないと思う。かといってピッタリと収まるようなジャンル分けはできないと思う。この本を読んだ後、他の本の中に、「偶然」という言葉出てくるたびにこの本のことを思い出す。 | ||||
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著者の長編はかなり久しぶりの登場だったので(生ける屍の死以来)、かなり期待しつつも、生ける屍の死が大傑作だったこともあって、かなりその出来栄えに心配してもいました。 でも、杞憂。 冒頭、ストーリーの骨格がナカナカ見えてこなくてのめりこめない点と、やや衒学趣味の披露の仕方がベッタリしてしまっている点を除けば、それ以外に何の文句もない傑作。破天荒な結末まで含めて、すべてが山口雅也の仕事らしいヌケヌケとした野放図ぶりで最高。 | ||||
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ドグラマグラ、黒死館殺人事件、虚無への供物、匣の中の失楽。四大(アンチ)ミステリーと呼ばれている作品がありますが、この奇偶も、それらの作品に、優るとも劣らぬ作品だと思います。というより、ミステリーらしくないミステリーである点など、四大ミステリーの作品と、似た印象があるので、この作品を含めて、五大ミステリーと言われる日も、遠くないかもしれません。その意味で、コアなミステリーファンなら、この作品は、一読の価値があると思います。また、量子力学や、人間原理など、色々な蘊蓄がちりばめられているので、ウンベルト・エーコ辺りの、衒学趣味的な作品の好きな方にも、オススメできそうです。 | ||||
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偶然をめぐる物語は、ミステリにとどまらず、物理学、心理学、易など様々な断片を少しずつ見せながら進んで行きます。かなり重厚感あるハードカバーですが、「次は何が来るんだろ、まだこんなにあるなぁ、楽しませてくれそう」とぺージをめくるのが楽しいです。そして終盤間際までたどり着けたなら、そこから畳み掛けるようなテンポ、迫力、圧倒感に凄いの一言です。ある程度読む人を選ぶ気もしますが、お勧め。著者ご本人に起きた不幸が元になっているようですが、それを乗り越え良く書いてくださいましたという作品でした。 | ||||
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