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終戦のローレライ



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終戦のローレライの評価: 4.43/5点 レビュー 187件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.43pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全187件 81~100 5/10ページ
No.107:
(4pt)

違うパターンも読みたい

とりあえず読んでみて下さい。(レビューではなく愚痴です)ローレライだけを読まれた人は、またかという感想は無いのかもしれませんが・・・心を閉ざした青年、熱い中年、美少女(超能力)、展開も・・・そろそろマンネリなのかな。比較しなければ面白いです。映画化を意識して書かれているからか画像が浮かんでくるし、個々の人物は良く描かれてるし、泣かせ処は、ちゃんとあるし・・・でも他のパターンを読んでみたい
終戦のローレライ(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(1) (講談社文庫)より
4062749661
No.106:
(5pt)

感動の作品!

泣けた。とにかく泣けた。戦争は悲惨だ。生きることの意味も、死ぬことの意味も分からぬまま、次々に消えていく命。大切なものを守るために、男たちは戦う。自分たちの思いが未来につながるという希望を胸に、男たちは戦う。何のために始めた戦争なのか?止めることは出来なかったのか?様々な思いが胸をよぎる。多くの犠牲により守られた日本という国家。果たして今の日本は、その数々の犠牲になった命に対し、恥ずかしくない国家だと言えるのか。そう思ったとき、涙があふれた。いつの世も無くならない戦争。これだけ戦争を繰り返しても、まだ足りないというのだろうか。改めて「平和」という言葉の、重さを感じた。
終戦のローレライ(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(1) (講談社文庫)より
4062749661
No.105:
(5pt)

読書の喜びを実感できた作品

第24回吉川英治文学賞受賞2004年度 このミス2位、文春2003ミステリーベスト10で5位。
本作品をまだ読んでいない方のためにあえてジャンルを分けると、「女王陛下のユリシーズ号」に代表される、「海洋冒険小説」というのが一番近いだろうか?(異論もあると思うが・・・)。しかし、戦争の意味を我々に問いかけ、閉塞した現代社会へエールを送る本作品は、そのジャンルにとどまることのない大作である。 1945年8月、終戦を間近に控えた日本では、未だにあるべき終戦の形が見えないでいた。その中で、ドイツが開発した秘密兵器「ローレライ」の存在が明らかとなり、一足早く敗戦したドイツから、「ローレライ」が極秘裏に日本に運ばれることとなる。本編中で主人公・折笠征人の叫ぶ、「戦争だからって、なんでも許されるわけじゃないでしょう」ということが、本作品のメインテーマのひとつであろう。 先に書いた「亡国のイージス」だが、私にとっては文章を読みづらく感じ、世間の評判ほど面白いとは思わなかった。しかしながら、私と同様の感想を持った方も、心配することなく是非購入して頂きたい。最初の51ページ(序章)は、前作同様若干読みがたいが、ここをすぎるとあとは本を置くことが困難になる。(ただし一晩くらいの徹夜では読み終わらないと思うが・・・)このような素晴らしい作品に出会えるから、読書はやめられない。久しぶりに読書の喜びを実感できた作品であった。
終戦のローレライ(2) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(2) (講談社文庫)より
4062749718
No.104:
(3pt)

ちょっと長過ぎ

映画が非常に気に入ったので原作を読んでみる気になりました。映画は五つ星です(野球少年の死に様以外は)。小説はちょっとダレますね。映画ではあまり触れられていなかった 人と人との繋がり・触れ合いの大切さというのはよくわかるのですが、ちょっと同じような心理描写が多すぎます。いいところは、テニアン島での決戦は映画を超える迫力シーンで 素直に興奮しました。それとフリッツ少尉。私がもっとも気に入った登場人物はフリッツ少尉です。フリッツ少尉の存在を知っただけでも、原作を読んで良かったと思いました。
終戦のローレライ(4) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(4) (講談社文庫)より
4062750031
No.103:
(5pt)

生かされている自分

僕がこの作品で一番感動したのは終章です。これは必読です。蛇足だという意見もありますが、僕は涙が出そうになりました。終章は「伊507」から脱出して生き残った征人とパウラのその後の人生と、日本が戦後辿ってきた歩みが話の中心になります。征人は幸福を得るたびに肩の重石が増える思いを味わい、自分がただ生きているのではなく、生かされている身である事を自覚して苦しそうな顔をします。命を犠牲にして、若い自分達を生かしてくれた「伊507」の乗員に対し、申し訳なさでいっぱいになるのです。征人は晩年「せっかく与えられた自由を腐らせてしまったのかもしれんな…」とつぶやきます。見せかけだけの豊かさを手に入れ、利己主義、拝金主義が蔓延する堕落した戦後日本を思い、「子に誇れる国をつくれ」と言って死んでいった上官との約束を果たせなかった事に涙を流し、日本の未来を託して死んでいった人達に詫びます。僕は自分自身を振り返り、いたたまれない気持ちになりました。僕が生まれてきた時、日本は既に経済大国で、何不自由なく育てられ、戦争や飢餓とは全く無縁の生活を送ってきました。この豊かさを当たり前のように享受し、何の疑問も持ってきませんでした。しかし、我々が今こうして生きていられるのは、先人の尊い犠牲の上にあるのです。必死で日本を守ろうとしてくれた人達によって生かされているのです。その事に改めて気づかされました。彼等が命がけで守ろうとしたもの、未来へ伝えたかったもの、それらを今の日本人は受け止めているでしょうか?それを思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになります。せめて、今も生きている祖父・祖母達に対して感謝の念を伝え、多くの犠牲者に哀悼の意を表したいと痛感しました。それは日本人として当然の責務だと思います。娯楽小説ですが、多くの事を考えさせられる名作です。
終戦のローレライ(4) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(4) (講談社文庫)より
4062750031
No.102:
(5pt)

生かされている自分

僕がこの作品で一番感動したのは終章です。これは必読です。
蛇足だという意見もありますが、僕は涙が出そうになりました。
終章は「伊507」から脱出して生き残った征人とパウラのその後の人生と、日本が戦後辿ってきた歩みが話の中心になります。
征人は幸福を得るたびに肩の重石が増える思いを味わい、自分がただ生きているのではなく、生かされている身である事を自覚して苦しそうな顔をします。
命を犠牲にして、若い自分達を生かしてくれた「伊507」の乗員に対し、申し訳なさでいっぱいになるのです。
征人は晩年「せっかく与えられた自由を腐らせてしまったのかもしれんな…」とつぶやきます。
見せかけだけの豊かさを手に入れ、利己主義、拝金主義が蔓延する堕落した戦後日本を思い、「子に誇れる国をつくれ」と言って死んでいった上官との約束を果たせなかった事に涙を流し、日本の未来を託して死んでいった人達に詫びます。
僕は自分自身を振り返り、いたたまれない気持ちになりました。
僕が生まれてきた時、日本は既に経済大国で、何不自由なく育てられ、戦争や飢餓とは全く無縁の生活を送ってきました。
この豊かさを当たり前のように享受し、何の疑問も持ってきませんでした。
しかし、我々が今こうして生きていられるのは、先人の尊い犠牲の上にあるのです。必死で日本を守ろうとしてくれた人達によって生かされているのです。
その事に改めて気づかされました。
彼等が命がけで守ろうとしたもの、未来へ伝えたかったもの、それらを今の日本人は受け止めているでしょうか?
それを思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
せめて、今も生きている祖父・祖母達に対して感謝の念を伝え、多くの犠牲者に哀悼の意を表したいと痛感しました。
それは日本人として当然の責務だと思います。
娯楽小説ですが、多くの事を考えさせられる名作です。
終戦のローレライ(4) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(4) (講談社文庫)より
4062750031
No.101:
(5pt)

よかったです

1巻のはじめはとっつきにくかったのですが、そこを越えればあとは…って感じです。登場人物をここまで書きこむとまあ、4巻はしょうがないなって思いました。終章もいいと思います。征人とパウラの2人の子供達の名前(真史と徳子)は、パウラの兄と艦長、掌砲長から1文字いただいたのかな?
終戦のローレライ(4) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(4) (講談社文庫)より
4062750031
No.100:
(5pt)

質も値段も文句なし

数百冊と本は読んできた。面白い作品も沢山あった。それでもこれだけの量に質が伴う作品、上下合わせればいい値段になるも読後全く気にならなかった作品は本書を含めて片手に余る。上下を考慮しての値段設定とは思うが同程度のボリュームの本と比較してもこの低価格はうれしい。量で2分の1以下、質が100分の1以下それでいて超高額駄作ばかりが目立つ中自信を持って推薦できる作品。
終戦のローレライ 上Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ 上より
406211528X
No.99:
(5pt)

すごい量なのにとても読みやすかった

数百冊と本は読んできた。面白い作品も沢山あった。それでもこれだけの量に質が伴う作品、上下合わせればいい値段になるも読後全く気にならなかった作品は本書を含めて片手に余る。上下を考慮しての値段設定とは思うが同程度のボリュームの本と比較してもこの低価格はうれしい。量で2分の1以下、質が100分の1以下それでいて超高額駄作ばかりが目立つ中自信を持って推薦できる作品。
終戦のローレライ 下Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ 下より
4062115298
No.98:
(4pt)

”揺れ”

~ローレライの回収に成功し、追いすがる敵艦をやっつけ、しばしの静寂の中で響き渡る椰子の実の歌と唱和する潜水艦員。心が一つになったかに見えたのにやがて作戦の真の目的が見えてきます。壮絶な経験をし、固めた信念が揺れるさまをじっくり描いていますし、艦内での息をもつかせぬ戦い、純粋な若者の心は読んでいて心の底から熱いものがこみ上げて来ました~~。~
終戦のローレライ(3) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(3) (講談社文庫)より
4062750023
No.97:
(5pt)

映画よりもっといろいろな感動があります♪

4巻では浅倉大佐の最後の動きと米艦体との決戦シーンが主ですが、ずっとすごいですよ。それといろいろ感想文が出ていますが、映画でイ507と別れて航行していったナーバル・N式の征人とパウラのその後も・・・。大枠ではエンタテイメントなのですが、宇宙戦艦ヤマト的ノリの映画よりずっとずっと深いと思いましたよ。
終戦のローレライ(4) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(4) (講談社文庫)より
4062750031
No.96:
(1pt)

442部隊を知らないのか

土谷の設定に、疑問無限大。
作者は、442部隊を知らないのだろうか。
日本はどうのこうのと、大言壮語する前に、
基本的な歴史の勉強をして欲しい。
再度、繰り返す。
442部隊を知らないのか。
稚拙な歴史観に、★、100個。
終戦のローレライ(3) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(3) (講談社文庫)より
4062750023
No.95:
(5pt)

作者の思いは伝わります!

 戦争への作者の思いや、戦争の無意味さが伝わってきます。(戦争への歴史観は作者の思い込みの部分が多少ありますが)また、膨大な人物描写が少し、くどいようには思いますが、本はいっきに読めます。久しぶりに面白い小説で、映画も見てしまいました。(映画と本ではかなりギャップはあります)買って損しない本と思います。
終戦のローレライ(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(1) (講談社文庫)より
4062749661
No.94:
(5pt)

ローレライとは・・・

この巻では、特殊兵器ローレライの回収任務に折笠が抜擢された理由、ローレライの実体、絹見艦長と弟の関わり、フリッツとパウラの壮絶な過去、米軍潜水艦との緊迫した闘いが描かれています。潜水艦という狭い空間に急きょ寄せ集められた個性の強い兵士達は何のために命をかけるのか。生きて帰れる見込みがない状況でぶつかり合いますが、そんななかで若い折笠の行動は少しずつ何かを変えて行きます。想像以上の目まぐるしい展開、そこで起こったことがまるで見えているように錯覚さえするすぐれた描写、特にナチスがパウラにしたことは驚くばかりですが美しいかすかな歌声が残酷さと対比し、続巻も読まずにはいられません。
終戦のローレライ(2) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(2) (講談社文庫)より
4062749718
No.93:
(3pt)

ウーン微妙

3連休で4冊を一気に読破しました。レビューは大変良い評点のものが多いのですが、私は辛口の評点です。それはクランシーの戦争ものと比べてリアリティーに乏しい、感情を揺さぶるのは浅田次郎が数段上で、非常に中途半端な作品と思えたからです。また、浅倉大佐など脇役が多すぎて話しを冗長にしている感じもしました。 同じ原爆阻止潜水艦ものでは、雷撃深度一九・五 (池上 司)の方が楽しめました。 今年は終戦・被爆60周年。 日輪の遺産(浅田次郎)で涙のうちに平和のありがたさを感じ、夕凪の街桜の国(こうの史代)で原爆の恐ろしさを考えたら如何でしょうか?ただ、主題歌CDのモーツアルトの子守唄は5星のお奨めです。映画は、エンターテインメントとして面白そうなので見るつもり。そうしたら評価が変わるかもしれません。
終戦のローレライ(4) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(4) (講談社文庫)より
4062750031
No.92:
(5pt)

引き込まれます

普段はむしろ避けている戦争物ですが、序章の部分を読んだだけでぐいぐい引き込まれてしまいました。「彼女」の正体が明かされるのは次の巻以降になりますが、その発想は新鮮で、壮絶な闘いの中で一筋の希望の光になります。登場人物の描写も巧みで、戦利潜水艦伊507に関わるにふさわしい人物ばかり、また主人公をとりまく景色、過去の記憶、音楽、出あった人達との会話、これらには無駄がありません。夢中になれる作品です。
終戦のローレライ(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(1) (講談社文庫)より
4062749661
No.91:
(5pt)

矢は、はなたれた

こんな本を書いて良いのだろうか。迫真の筆使いに、引き込まれてしまう。仲田大尉の死を、無駄してはならない。自分も戦わなくては。折笠上工に共感してしまう。夜のごとく静かに、、無性に買いたくなる。江田島のパルテノン神殿を見に行く。呉に潜水艦を見に行く。タイムスリップのような高揚感。戦争を如何描くか。二巻以降に期待特大。当然、☆、5つ。
終戦のローレライ(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(1) (講談社文庫)より
4062749661
No.90:
(5pt)

矢は、はなたれた

こんな本を書いて良いのだろうか。
迫真の筆使いに、引き込まれてしまう。
仲田大尉の死を、無駄してはならない。
自分も戦わなくては。
折笠上工に共感してしまう。
夜のごとく静かに、、無性に買いたくなる。
江田島のパルテノン神殿を見に行く。
呉に潜水艦を見に行く。
タイムスリップのような高揚感。
戦争を如何描くか。
二巻以降に期待特大。
当然、☆、5つ。
終戦のローレライ(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(1) (講談社文庫)より
4062749661
No.89:
(3pt)

行間を読ませてくれれば

~潜水艦を舞台とする堅気な海戦小説と思って読み始め、圧倒的な文章力に押されて引き込まれていったのは2巻の途中まで、ローレライシステムの全貌が明らかにされたところで一気に熱が冷める。そりゃねーよ、視覚を遮断されたところに潜水艦の魅力があるのに、百歩譲って出来たとしてもそんなからくりはやめて欲しい、というのが正直な感想。もう読むのやめよう~~かなとふと思いながらそれでも読み続けることを推したのは筆者の潜水艦に対する情熱がほとばしる機器操行の描写と書いてなお足らない癖の強いキャラクター達の心理描写。特に後者についてはこの小説の大半を占めるんじゃないかと思わせるボリュームと気迫がある。でもキツイのは3巻、4巻と読み進むにつれてこれが仇となり、くどくなってしまったこと、要するに~~行間がない。印象に残る小説って風景、展開、セリフ、表情、感情のバランスが絶妙で読む人に頭の中でストーリーを色づける余地が残されてるのに、この小説にはその隙間がないどころか贅肉がつき過ぎてしまった感じがあり、漏れなく断固たる意志を持つ登場人物の感情と言うよりむしろ妄想の洪水を押し付けられているようで疲れる。南洋諸島戦線で餓鬼と化~~した人間の本性、身の丈を知らず意味のない死を美化し戦争の大儀さえろくに持たなかった軍部の本質を今という視点、小説という切り口で迫った部分の迫力は凄まじく、著者の研究心と表現力は純粋に尊敬できる。もう少しシェイプアップして、空想科学的な素材を落とせば万人受けしそうなのに。~
終戦のローレライ 上Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ 上より
406211528X
No.88:
(5pt)

映画を観たなら、原作は必読!深さとスケールが違います

全4巻、一気に読破してから映画を見に行きました。映画は映画として楽しめるものに仕上がっており、映画版ゆえのよい所(絹見艦長と先任将校の絶妙な呼吸や、ビジュアル化されて迫力満点の急速潜航、木崎の最期と、それを許した絹見の苦悶など)もあるのですが、小説版の方は深みもスケールも違います。映画化されたのは2巻の1/3を過ぎたあたりから、4巻の2/3位までの部分、と考えていただいていいと思います。割愛されてしまっている部分には折笠や絹見、浅倉や田口、パウラの背負っている過去や事情が描かれており、これらを知ると、このストーリーの深さは2倍にも3倍にも感じられることでしょう。浅倉のもつ独特の妖しさ、田口の持つ心の傷と葛藤、そして映画版には出てこない重要人物、飽くまで冷徹なフリッツの変化。テーマとして流れる歌も、映画版よりは小説版の方が泣けます。作戦を完了し、歌を歌いながらも帰投してゆく男達...。読みながら涙が出てきます。そして、映画では描かれなかった、第4巻の終章。戦闘の終わりで、感動的なラストシーンを用意しておきながら、終章でその後を語るのは蛇足か?とも感じたのですが、読み進めていくうちに、作者が一番語りたかったのは、実はこの部分ではないのか?とすら思えてきます。「川の深さは」「Twelve Y.O」、「亡国のイージス」と共通して流れる、日本人への問いかけ。一方の絶望と対照的に描かれる希望。福井氏の作品を読み続けている読者には、毎回の類似の問いかけは多少しつこく感じられるかも知れませんが、語りたいことをもつ小説というのは、やはり深みが違ってきます。多数の福井ファンと同じく、私もトム・クランシーの昔からのファンですが、テクノロジーや危機管理の現実が主体のクランシーの小説にあって、最前線の兵士を人間として描いたものとして傑作にあたる「レッドストーム作戦発動」にも勝る描写だと感じらました。息の詰まる戦闘シーンも、作戦の複雑さ、事態の急速転回、単純に善玉・悪玉で割り切れない登場人物など、小説のほうは満載です。特に戦闘シーンは、CG映像中心の映画のクライマックスが「あまりに現実味に欠け、攻防もあっさりしすぎている」と感じられるほどです。ただ、惜しむらくは、第一巻の最期に何故か解説がついており、ここに第二巻以降の流れについてヒントが書かれてしまっていること。ここを読んでしまうと後が面白くないので、最初に封印しておきましょう(「本は最初から飛ばさず順番に」の習慣の私は、こんなところに解説をつけた出版社を本気で恨んだものです)。また、第4巻の「解説」は、是非読んでほしいところです。この小説を書き上げるにあたっての福井氏の思いを再確認してください。「亡国のイージス」「Twelve Y.O」「川の深さは」と共に、自信を持ってお勧めできます。私はこれから3度目の読み返しに入ります...。
終戦のローレライ(1) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:終戦のローレライ(1) (講談社文庫)より
4062749661

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