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乱反射
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乱反射の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全102件 81~100 5/6ページ
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普通ならプロローグのあとに1章、2章、3章・・・とすすんでいくものだけど、この本は「−44」からはじまります。 残すところ3分の1までも読んだ頃にやっと「0」となり「1」がきて、 ここではじめて事件が起こるというカウントダウン形式が盛り上げてくれます。 つまり、3分の2は事件の序章にすぎないのだけど、さきにそれぞれの人物像をしっかり綴ることに大きな意味のある作品なのです。 犬のフンを放置したり、ちょっとだけ仕事の手を抜いたり、 誰にも迷惑をかけないと思ってほんのちょっとズルをするなんて誰にだってあること。 でも、それが誰かの運命を大きく変えているかもしれない・・・。読めば読むほどに気が滅入る話でした。 たとえ知らない誰かの人生が崩壊してしまったとしても「あなたが犬のフンを始末しなかったから子供は死んだ」なんて・・・。 ほとんど言いがかりとしか思えない・・・。 ここで謝ったら自分の穏やかな人生までもが終わってしまうかもしれない、なのに素直に頭を下げられますか? その答えは考えても考えても出てきませんでした。 この程度のルール違反、誰でもやってしまうでしょ???だから謝ることをしない人たちの気持ちもわかるんです。 とりあえず、モラルについてもじっくり考えてみるきっかけにはなりました。 普段の無意識やエゴがとんでもないことを引き起こしてるのかもしれないんですね。 今日からこういうことにもっと気をつけるようにします。 | ||||
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普通ならプロローグのあとに1章、2章、3章・・・とすすんでいくものだけど、この本は「−44」からはじまります。 残すところ3分の1までも読んだ頃にやっと「0」となり「1」がきて、 ここではじめて事件が起こるというカウントダウン形式が盛り上げてくれます。 つまり、3分の2は事件の序章にすぎないのだけど、さきにそれぞれの人物像をしっかり綴ることに大きな意味のある作品なのです。 犬のフンを放置したり、ちょっとだけ仕事の手を抜いたり、 誰にも迷惑をかけないと思ってほんのちょっとズルをするなんて誰にだってあること。 でも、それが誰かの運命を大きく変えているかもしれない・・・。読めば読むほどに気が滅入る話でした。 たとえ知らない誰かの人生が崩壊してしまったとしても「あなたが犬のフンを始末しなかったから子供は死んだ」なんて・・・。 ほとんど言いがかりとしか思えない・・・。 ここで謝ったら自分の穏やかな人生までもが終わってしまうかもしれない、なのに素直に頭を下げられますか? その答えは考えても考えても出てきませんでした。 この程度のルール違反、誰でもやってしまうでしょ???だから謝ることをしない人たちの気持ちもわかるんです。 とりあえず、モラルについてもじっくり考えてみるきっかけにはなりました。 普段の無意識やエゴがとんでもないことを引き起こしてるのかもしれないんですね。 今日からこういうことにもっと気をつけるようにします。 | ||||
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普通の人間の些細なモラル違反が一人の子供の死につながった。日中は混んでいるという理由だけで夜間診療に通う学生、犬のフンを放置する老人、車の車庫入れができず道路に車を置きっぱなしにする女性、人から認められたいという理由で周りの状況も考えずに環境保護活動を行う主婦など、日常にあふれているモラル違反だが、誰にでもありそうな話で他人事には感じられず、最後まで読み応えがあった。 最後まで読み終わってから、「自分だったら謝ることができただろうか」と考えるが、やはり人の死の責任を認めるのは容易ではない。誰もが自己弁護をする中、最後は被害者のやるせない想いが痛いほど伝わってきた。 | ||||
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普通の人間の些細なモラル違反が一人の子供の死につながった。日中は混んでいるという理由だけで夜間診療に通う学生、犬のフンを放置する老人、車の車庫入れができず道路に車を置きっぱなしにする女性、人から認められたいという理由で周りの状況も考えずに環境保護活動を行う主婦など、日常にあふれているモラル違反だが、誰にでもありそうな話で他人事には感じられず、最後まで読み応えがあった。 最後まで読み終わってから、「自分だったら謝ることができただろうか」と考えるが、やはり人の死の責任を認めるのは容易ではない。誰もが自己弁護をする中、最後は被害者のやるせない想いが痛いほど伝わってきた。 | ||||
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『愚行録』で一度直木賞候補になった貫井氏であるが、今回もいかにも貫井徳郎というべき作品で第141回の直木賞候補になった。今夜、(平成21年7月15日)直木賞が発表されるが果たして本作品は受賞するだろうか。 貫井徳郎という人がいかなる人生を歩んでこられたのか知らないが、どうしてこんな風に人間の側面をとらえられるのかといつもながら舌を巻く。 人間はある部分で非常に正義感と高い理想や倫理観をもちながらも、どこかで利己的で我儘でそして弱い部分がある。当たり前のことであって、何も不思議はない。家族という存在も必ずしも悪的なものではないし、善的なものでもない。毒にもなるし、薬にもなる。 そんな分かりきったことながら小説に表現することが難しいテーマでもあることをこうもいとも簡単に書ききってしまうところにこの作家の恐ろしさを感じる。 | ||||
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『愚行録』で一度直木賞候補になった貫井氏であるが、今回もいかにも貫井徳郎というべき作品で第141回の直木賞候補になった。今夜、(平成21年7月15日)直木賞が発表されるが果たして本作品は受賞するだろうか。 貫井徳郎という人がいかなる人生を歩んでこられたのか知らないが、どうしてこんな風に人間の側面をとらえられるのかといつもながら舌を巻く。 人間はある部分で非常に正義感と高い理想や倫理観をもちながらも、どこかで利己的で我儘でそして弱い部分がある。当たり前のことであって、何も不思議はない。家族という存在も必ずしも悪的なものではないし、善的なものでもない。毒にもなるし、薬にもなる。 そんな分かりきったことながら小説に表現することが難しいテーマでもあることをこうもいとも簡単に書ききってしまうところにこの作家の恐ろしさを感じる。 | ||||
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途中でてくる言葉であるが、昨今の歪んだ権利施行主義とでも言うべき主張や求めるばかりを誇示する風潮の根底には自己愛に染まった姿があると考えられる。自己愛という名の自己解釈と自己チューから形成される魔物の増加。自分もなりかねない環境の中で、やはりこれを目の当たりにすると憤慨したくなる。そんな危ういバランスの世相をしっかり反映させた話で怖いもの見たさに似た感覚に陥り、読む手が止まらなかった | ||||
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途中でてくる言葉であるが、昨今の歪んだ権利施行主義とでも言うべき主張や求めるばかりを誇示する風潮の根底には自己愛に染まった姿があると考えられる。自己愛という名の自己解釈と自己チューから形成される魔物の増加。 自分もなりかねない環境の中で、やはりこれを目の当たりにすると憤慨したくなる。そんな危ういバランスの世相をしっかり反映させた話で怖いもの見たさに似た感覚に陥り、読む手が止まらなかった | ||||
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★社会派ストーリーです。とある不遇の事故で1人の子供が亡くなってしまうのですが…。表面的に見れば誰もが「運が悪かったのだ」と思うにとどまると思うですが…。実は、被害者側から見るとこんなにも表には出ない犯人がいると言うお話です。 ★ 今までになかった展開だったのでラストは、こう落ち着くのかと…。あれだけいろんな人が出て来ると「ラストはどう落ち着くのか?」そして「この現実は、どう関与して人に受け入れられて行くの?」と読み手えとしては思うのです。この物語が異様にリアルだと思えるのは、関係している人物達がどこにでも居る人ってこと!普通の人のちょっとした自分寄りな、行為や考えが死亡事故に至ってしまうのが怖いと思う。誰もが口にする言葉は自分に責任はないという事。被害者の父加山はただ素直な謝罪の言葉が欲しかったの過ぎないのに…。やるせない気持ちになってしまった。 | ||||
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★社会派ストーリーです。とある不遇の事故で1人の子供が亡くなってしまうのですが…。表面的に見れば誰もが「運が悪かったのだ」と思うにとどまると思うですが…。実は、被害者側から見るとこんなにも表には出ない犯人がいると言うお話です。 ★ 今までになかった展開だったのでラストは、こう落ち着くのかと…。あれだけいろんな人が出て来ると「ラストはどう落ち着くのか?」そして「この現実は、どう関与して人に受け入れられて行くの?」と読み手えとしては思うのです。この物語が異様にリアルだと思えるのは、関係している人物達がどこにでも居る人ってこと!普通の人のちょっとした自分寄りな、行為や考えが死亡事故に至ってしまうのが怖いと思う。誰もが口にする言葉は自分に責任はないという事。被害者の父加山はただ素直な謝罪の言葉が欲しかったの過ぎないのに…。やるせない気持ちになってしまった。 | ||||
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「放置した犬のフン」が人を殺す... 些細なルール違反が重なって取り返しのつかない事故へと繋がる 痛ましい結果に反して前半はありふれた日常としてむしろのんびりと描かれています。 が 読み手は「犬のフン」に言い表されるそれぞれの身勝手な自己弁護が いつどういうかたちで事故に繋がるのか常に意識しながら読み進めることになります。 ひとつひとつのエピソードは眉をひそめることはあっても 事が起きなければ誰もが自分とは関係なく見過ごすことであり 日常ありふれて行われているであろう現実です。 子を失った新聞記者である加山は直接の加害者のうらに潜む 様々な「加害者」をみつけ自己責任を追及し謝罪をもとめますが そこに現れたのは社会ともいうべき得体のしれない大きなモノの不条理です。 おれは世間の痛いところを突いたのだ...という加山の思いは さまざまな身勝手さ(一見正当な自己弁護のついた)にあふれている現実社会に 声を上げる難しさ、怖さ、無力感を端的に言い表していて それでも生きて行かなければならない私たちの窮状を代弁しています。 正体のない複数の加害者とも呼べない加害者。 個人という顔に行きつかない行政の厚い壁。 私たちが日頃なにげなく犯しているであろう過ちと 世情に対して時折感じる憤り、やり場のないやるせなさを 描いて秀逸です。 ひとつ難をいえば最後のエピソードはむしろなかったほうがよかったか。 | ||||
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「放置した犬のフン」が人を殺す... 些細なルール違反が重なって取り返しのつかない事故へと繋がる 痛ましい結果に反して前半はありふれた日常としてむしろのんびりと描かれています。 が 読み手は「犬のフン」に言い表されるそれぞれの身勝手な自己弁護が いつどういうかたちで事故に繋がるのか常に意識しながら読み進めることになります。 ひとつひとつのエピソードは眉をひそめることはあっても 事が起きなければ誰もが自分とは関係なく見過ごすことであり 日常ありふれて行われているであろう現実です。 子を失った新聞記者である加山は直接の加害者のうらに潜む 様々な「加害者」をみつけ自己責任を追及し謝罪をもとめますが そこに現れたのは社会ともいうべき得体のしれない大きなモノの不条理です。 おれは世間の痛いところを突いたのだ...という加山の思いは さまざまな身勝手さ(一見正当な自己弁護のついた)にあふれている現実社会に 声を上げる難しさ、怖さ、無力感を端的に言い表していて それでも生きて行かなければならない私たちの窮状を代弁しています。 正体のない複数の加害者とも呼べない加害者。 個人という顔に行きつかない行政の厚い壁。 私たちが日頃なにげなく犯しているであろう過ちと 世情に対して時折感じる憤り、やり場のないやるせなさを 描いて秀逸です。 ひとつ難をいえば最後のエピソードはむしろなかったほうがよかったか。 | ||||
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さすが貫井徳郎、相変わらず読ませます。最後までページをめくる手を止めさせない書きっぷりでした。 1人の幼児の事故死を語るこの物語。(事故と言っていいのかは微妙ですが。) はじめの2ページで、どういう結末かはおおまかに解ってしまいます。 普通の人々のちょっとした行動が恐ろしい事故を引き起こす。 事故が起こるまでのかかわる人々の、小市民的感情と行動。 みんな何処にもいそうな人で、多少モラルにかけていたり、 自己顕示欲が強かったり、もしくは心に病を負っていたり。 読んでいる側も、共感したり、憤ったり。 でも、いったいこの人の行動がどう「幼児の死」につながるのか? それが予想がつかず、正直面白くてたまりませんでした。 おお!そう来たか。 あっ!こっちはこうか!ってな感じで。 でも、確かに読後感が良いとはいえません。 じゃぁ私だったらどうしたらいい? 全く一点の曇りもなく、モラルに反しない人生なんて あすはずもなく。 否、モラルに反していなくても、回りまわって 自分の行動が他人の不幸につながることは ありえることで、 それに責任を感じろとか、罪を背負えといわれても無理な話で。 被害者の父親に責められたら私も 「私のせいではない!」と言い放ってしまうでしょう。 多分作者が言いたいことはそんな事ではないんでしょうが。 じゃぁ私はどうしたらいいのだ? という思いが頭をぐるぐると回ってしまうのでした。 ラストの、夫婦が再生に向かって行きそうなエピソードが 少々安っぽいと思ってしまったのは、 読み方が意地悪でしょうか? とりあえず、今までも、これからも、 愛犬のウンチは絶対拾います!(だから、作者が言いたいのはそういうことではないって...) | ||||
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さすが貫井徳郎、相変わらず読ませます。最後までページをめくる手を止めさせない書きっぷりでした。 1人の幼児の事故死を語るこの物語。(事故と言っていいのかは微妙ですが。) はじめの2ページで、どういう結末かはおおまかに解ってしまいます。 普通の人々のちょっとした行動が恐ろしい事故を引き起こす。 事故が起こるまでのかかわる人々の、小市民的感情と行動。 みんな何処にもいそうな人で、多少モラルにかけていたり、 自己顕示欲が強かったり、もしくは心に病を負っていたり。 読んでいる側も、共感したり、憤ったり。 でも、いったいこの人の行動がどう「幼児の死」につながるのか? それが予想がつかず、正直面白くてたまりませんでした。 おお!そう来たか。 あっ!こっちはこうか!ってな感じで。 でも、確かに読後感が良いとはいえません。 じゃぁ私だったらどうしたらいい? 全く一点の曇りもなく、モラルに反しない人生なんて あすはずもなく。 否、モラルに反していなくても、回りまわって 自分の行動が他人の不幸につながることは ありえることで、 それに責任を感じろとか、罪を背負えといわれても無理な話で。 被害者の父親に責められたら私も 「私のせいではない!」と言い放ってしまうでしょう。 多分作者が言いたいことはそんな事ではないんでしょうが。 じゃぁ私はどうしたらいいのだ? という思いが頭をぐるぐると回ってしまうのでした。 ラストの、夫婦が再生に向かって行きそうなエピソードが 少々安っぽいと思ってしまったのは、 読み方が意地悪でしょうか? とりあえず、今までも、これからも、 愛犬のウンチは絶対拾います!(だから、作者が言いたいのはそういうことではないって...) | ||||
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プロローグの次は「−44」から始まる本作。 前半は市井の人々をそれぞれ主役にした短いストーリが続きます。 事件とも言えないような小さな日々の暮らしが丁寧に描かれ、 嵐の前の静けさと分かっていながらも、 一人ひとりの人生を覗き見しているような、 そんな楽しさがありました。 が、「0」からはすべての人々が絡み合って展開していきます。 「人間として正しいのは誰なのか。」 「こういう反応ははたして正しいのか。」 「あの時本当はこうすべきではなかったのか。」 そんな叫びが聞こえてきて、息苦しいほどでした。 これは自分の生き方を考えさせられる小説といえます。 ラストは胸に迫りました。 主人公夫婦の未来が明るいことを祈って、本を閉じました。 | ||||
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プロローグの次は「−44」から始まる本作。 前半は市井の人々をそれぞれ主役にした短いストーリが続きます。 事件とも言えないような小さな日々の暮らしが丁寧に描かれ、 嵐の前の静けさと分かっていながらも、 一人ひとりの人生を覗き見しているような、 そんな楽しさがありました。 が、「0」からはすべての人々が絡み合って展開していきます。 「人間として正しいのは誰なのか。」 「こういう反応ははたして正しいのか。」 「あの時本当はこうすべきではなかったのか。」 そんな叫びが聞こえてきて、息苦しいほどでした。 これは自分の生き方を考えさせられる小説といえます。 ラストは胸に迫りました。 主人公夫婦の未来が明るいことを祈って、本を閉じました。 | ||||
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些細なモラル違反を犯した人たちの連なりにより、二歳の男の子が亡くなる。 自覚が無い罪を背負った人たちが事件に繋がった日常を描いたこの本、正直気が滅入る。 読んでいて気が滅入るのは、本人も心の奥底では負い目があるのを押し隠して自分の都合を言い訳にしているからだ。作品の主体がその言い訳なので、読者としては言い訳に付き合うことになる。 突然事件の当事者になった新聞記者の加山が真実を知るために自覚の無い罪を背負った人たちの所に出向くことで、自覚のない罪をつきつけられてゆく。加山のしている糾弾が救われないのは、加山に責められている人達が皆本心では罪の意識を感じているが故に、態度は恐怖から一言も謝罪の言葉を出せないことにある。 モラルと人の命を同じ土俵に考えていない人達を糾弾していた加山が辿りつく真実も、読んでいて重苦しい気分にさせる。 犬のフンや家庭ゴミの小さなことから事件に繋げて、全編通して陰湿に書けるのも貫井徳郎カラー全開だが、これまでの貫井徳郎作品と比べるとアクは薄い。 | ||||
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些細なモラル違反を犯した人たちの連なりにより、二歳の男の子が亡くなる。 自覚が無い罪を背負った人たちが事件に繋がった日常を描いたこの本、正直気が滅入る。 読んでいて気が滅入るのは、本人も心の奥底では負い目があるのを押し隠して自分の都合を言い訳にしているからだ。作品の主体がその言い訳なので、読者としては言い訳に付き合うことになる。 突然事件の当事者になった新聞記者の加山が真実を知るために自覚の無い罪を背負った人たちの所に出向くことで、自覚のない罪をつきつけられてゆく。加山のしている糾弾が救われないのは、加山に責められている人達が皆本心では罪の意識を感じているが故に、態度は恐怖から一言も謝罪の言葉を出せないことにある。 モラルと人の命を同じ土俵に考えていない人達を糾弾していた加山が辿りつく真実も、読んでいて重苦しい気分にさせる。 犬のフンや家庭ゴミの小さなことから事件に繋げて、全編通して陰湿に書けるのも貫井徳郎カラー全開だが、これまでの貫井徳郎作品と比べるとアクは薄い。 | ||||
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人々の心理をつぶさに描くことに定評のある著者の最新作は、 普通の人々の些細な行動が、 思いがけない方向へと乱反射し『悲劇』をもたらす様子を 重厚な筆致でえがいた作品です。 本書は、細かく節に分けられており それぞれのタイトルは−44から0へ減り そこから35まで増える構成をとります。 察しのよい方はわかるかもしれませんが、 −44から0までで事件のきっかけとなる人々の日常が、0で事件そのもの、 そして、0から35で事件後の人々の対応が描かれます 事件が起きる前までの描写も 現代社会の諸相を鋭く切り取っており、それだけでもおもしろいのですが、 なんといっても本作の見所は、事件後の人々の描写。 あるものは憔悴しきり、 あるものは無関係と主張し 他のあるものは、他者に怒りを転化する 自分の何気ない行動が 他者の死を引き起こしてしまったことを知った人々の様子は 非常に読み応えがあると同時に、他人事ではすまない怖さを感じます。 その一方、誰を非難してよいのか途方に暮れる遺族は 被害者の死の原因を追究しはじめます。 しかし、やり場のない怒りに駆られ 執拗に、そして、理不尽なほどに原因探しをする彼らの様子と それを冷静に見つめる周囲や他者の対比は どうしようもなく哀れであり、ある種の喜劇すら帯びてしまいます。 とはいえ、マイナスから0へ そして0からプラスへと向かう節が暗示するように、 ラストは決して暗いものではなく、読後感に絶望的な気分は残りません。 日常のさまざまな問題だけでなく 罪や責任という深刻なテーマまでも扱いながら 決してエンターテイメント性を失わない本作。 読んでいて楽しくなることはありませんが 臆せず、気軽に楽しんでいただければ―と思います☆☆☆ | ||||
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人々の心理をつぶさに描くことに定評のある著者の最新作は、 普通の人々の些細な行動が、 思いがけない方向へと乱反射し『悲劇』をもたらす様子を 重厚な筆致でえがいた作品です。 本書は、細かく節に分けられており それぞれのタイトルは−44から0へ減り そこから35まで増える構成をとります。 察しのよい方はわかるかもしれませんが、 −44から0までで事件のきっかけとなる人々の日常が、0で事件そのもの、 そして、0から35で事件後の人々の対応が描かれます 事件が起きる前までの描写も 現代社会の諸相を鋭く切り取っており、それだけでもおもしろいのですが、 なんといっても本作の見所は、事件後の人々の描写。 あるものは憔悴しきり、 あるものは無関係と主張し 他のあるものは、他者に怒りを転化する 自分の何気ない行動が 他者の死を引き起こしてしまったことを知った人々の様子は 非常に読み応えがあると同時に、他人事ではすまない怖さを感じます。 その一方、誰を非難してよいのか途方に暮れる遺族は 被害者の死の原因を追究しはじめます。 しかし、やり場のない怒りに駆られ 執拗に、そして、理不尽なほどに原因探しをする彼らの様子と それを冷静に見つめる周囲や他者の対比は どうしようもなく哀れであり、ある種の喜劇すら帯びてしまいます。 とはいえ、マイナスから0へ そして0からプラスへと向かう節が暗示するように、 ラストは決して暗いものではなく、読後感に絶望的な気分は残りません。 日常のさまざまな問題だけでなく 罪や責任という深刻なテーマまでも扱いながら 決してエンターテイメント性を失わない本作。 読んでいて楽しくなることはありませんが 臆せず、気軽に楽しんでいただければ―と思います☆☆☆ | ||||
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