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チャイルド44
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チャイルド44の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全91件 81~91 5/5ページ
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従順な愛らしい妻から脱皮して、 ヒロイズムに酔う夫を突き放し、 対等のパートナーになる夫婦の関係がいい! ジェンダー観も素晴しい大傑作! そして、夫のエリート捜査官は国家の反逆者になっても、 連続殺人犯に挑む! 人肉食いネタもうんこネタもあるが、 レイプシーンだけは無い上品で清々しい大傑作! | ||||
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舞台は旧ソ連の話である。当たり前の話しだが登場するロシア語の名前を覚えがたいせいもあって、それぞれの人物の結びつきにとまどったりする。だから最初の方はちょっとイライラするかもしれない、それにとっても暗い話ばかりである。憂鬱な気分にもなるかもしれない。だから途中で投げ出す人もいるだろう。 しかし、作者独特の場面の切り替え(まさにハリウッドを意識した構成)が素晴らしくて、主人公レオが罠に落とし入れられるところまで読み進むことができればもう大丈夫だ。そこまでくれば作者のしかけたワナに次々とはまりこんでしまうから、そのままめり込んでしまって最後まで読まずにはいられないだろう。面白い作品であることは間違いない。 巧みな人物描写もなかなかの評判のようだ。主人公レオは、まるでディック・フランシス作品の主人公かと思えてしまうくらいに相当痛めつけられてしまうから、心理描写が延々と続く場面も決して読者をあきさせるものではない。多少説明的なところはあるが、ダメージを受けたロシア人の気持ちを理解するんだと思えばいいだろう?。 でも、レオだけではない妻ラィーサも主役である。映画化されたあかつきは、彼女の描き方次第で、作品の価値が大きく左右されるのではないかなどと勝手なことを考えてしまうくらい彼女は重要なポストを占めてないか。ただ、最後に善良な人達がたくさん出てきて・・・・といったところはもう一工夫ほしかった。 でも贅沢は言えないかもしれない。これほど興奮しながら読み終えた作品は自分にとっては非常に珍しい。もちろん翻訳が素晴らしいからであることはいうまでもない。だからこの田口訳を手元に英語でも原書でも読みたくなった。著者がイギリス人であるところがポイントではないだろうか、旧ロシアの体制について英国ほど熟知し、狡猾な国もないだろうから。 | ||||
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スターリン政権下、 粛正の嵐が吹き荒れる理想の世界。 子供が殺されたのは、殺人が起こってはいけない世界だった。 とても大きな背景を最後には破綻無く包み込んでしまう、 とてつもなく良く出来た構成の本書。 品があり、あざとさもなく、しかもここまで読ませるとは。 筆力も十分ながら、テーマの選び方と、妥協せず様々な要素を語り尽くす 真摯さが出色。 傑作 必読。 褒め言葉すら邪魔になりそうだ。 自分なりの感想を一つ付け加えるなら、 社会主義という実験はやはり失敗だったのだろうと・・・。 人間の理想通りに人間はうまれつかないのだから。 スターリン政権下の社会描写がとにかく圧巻。 | ||||
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前評判通りの傑作である。きな臭いソ連邦のスパイ小説であるが、物語の行き詰る展開と魅力溢れる主人公、脇役たちの人物造詣の冥利は極上の冒険小説にも仕上がっている。 まさにページ一枚々を早く読みたくなる、わくわくするようなストーリー展開の冥利は新人ながらも途轍もない才能を感じるし、海外ものの評価を分けるであろう翻訳家(田口俊樹氏)との愛称も抜群のようである。さすが田口さん、良い仕事を今回もしています。つまりは何拍子も重なったような傑作である。週間ブックレビューで北上次郎氏が大絶賛していたが、今回は100点満点で同調したい。 | ||||
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これはとてつもなく面白い!! 上下巻と2冊なのですが、長さを全く感じさせません。人物造形の確かさ、社会背景の的確な描写、スリリングな展開と、殆ど完璧な小説です。訳も読みやすく素晴らしいです。 北上次郎氏は「今年度ベストワン」と絶賛しています(NHKBS2週刊ブックレビュー10/18)。それを信じて一読、納得です。 2008年度英国推理作家協会賞・スリラー部門を受賞。著者はまだ28歳で、これが処女作だというのだから驚きます。なんという完成度。 「子供たちは森に消えた」というノンフィクションがあります(未読ですが)。だいぶ前に出た本で、ソ連で70〜80年代に発生した大量連続児童殺人事件を扱ったものですが、西側社会ではありきたりなシリアルキラー(快楽殺人者)がソ連にも居た、ということは別に意外でもなく、興味を惹かれなかったので、読もうとはしませんでした。しかし、事情が違うということを本書を読んで初めて知ったのです。 この作品は、そのソ連での事件をベースに、時代をスターリン時代に変えて舞台設定をして再構成するという離れ業をやってのけました。 スターリン時代というもののおぞましさ、苛烈さについてはある程度知っていたとはいうものの、その認識は極めて不十分でした。数百万人が粛清されたり、強制移住させられたり、餓死したり、強制収容所に入れられたり、というのは聞いていましたし、ソルジェニーツィンの「イワン・デニーソビッチの1日」も読んだことはあります。しかし、この、考証の確かな、多くの参考文献の基礎の上に構築された作品で描かれる恐怖政治社会、密告社会の庶民の日常はすさまじいもので、いやはやここまで酷い状況だったのかと今更ながら知らされた、というのは我ながら不明と言うべきでちょっと恥ずかしくもあります。ここには小説というものが持ち得る、尋常でない迫力、事実ではなくとも真実(への接近)があります。 この作品の価値は、そういう歴史的事実をフィクションの形で明らかにする、ということが第一としても、それだけでなく、ミステリ/サスペンスとしての娯楽性も超一級です。人間心理の機微、その醜さ、愚かさ、逆にけなげさ、気高さなどなど、についての様々な描写の豊かさ、興味深さは特筆すべきだし、過酷な境遇での冒険に次ぐ冒険の手に汗握る興奮ももたらします。普通、探偵は自由に捜査し情報を得ることの出来る特権的な立場にある(安楽椅子探偵にしても)ものですが、この作品ほど悪条件で逆境に追いつめられた探偵というのは空前じゃないでしょうか? 絶対のお薦めです。 巻頭に折り込みの地図、最初はなんじゃこりゃ、これでも地図なのか!と呆れるくらいあっさりとした情報量の少ないものなのですが、読み進むにつれ、その恐ろしい意味が浮かび上がって来ます。 ところで、ソ連崩壊後の今のロシアって、またプーチン(KGB出身)が元に戻そうとしているんじゃないか、という危惧がしてなりません。やたらとジャーナリストや元スパイの殺害が横行してるらしいですし。 | ||||
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貫井徳郎さん、道尾秀介さんのデビュー作を読んだ時も驚いた(まだお若いのに、いきなりこれほどのものを書いてしまうのか!)ものですが、本書にはさらに驚かされました。テンポの良いストーリー展開、スリルの盛り上げ方、堅牢なプロット、と多くの美点がありますが、主人公夫婦の心の機微など、たった29年しか生きていない人の描き方ではないですよ。この作者は、一体どれほど濃い人生経験を積んできたのだ? と不思議に思えてなりません。 訳者が絶賛している、連続殺人犯の再登場の場面など「老獪」と言いたくなるほどの巧みさ。これが本当に「デビュー作」なのでしょうか? 読む前はサイコ・スリラーかと思っていたのですが、実際に読んでみると冒険小説だなと思いました。事件の真相については、手がかりが実にあからさまに示されていたのに、全く気がつきませんでした。僕はカタカナ名が苦手で、翻訳ミステリはいつも、登場人物表を見返し見返ししながら読んでいるのですが、そういう読者ほど真相を明かされた時の驚きが大きいのではないのでしょうか。「こんな事に、どうして気づかなかったんだ、俺(あるいは私)!」と。これはある意味、造本の勝利かもしれません。新潮社さん、やってくれましたね。(苦笑) てっきり意味があると思っていたある事に、あまり意味が無かった点が残念ですが、それは僕が本格ミステリ好きなせいでしょう。ともあれ、驚くべき完成度のデビュー作である事は間違いありません。おすすめです。 | ||||
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前半の展開には圧倒される。犯罪の全体像が明らかになる後半からは、ありきたりな展開に。しかし、娯楽作品としては、十分な出来栄え。リドリースコットが映画化するとのこと。いい映画になりそうだ。 | ||||
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最近文庫本ってめっきり手に取る事が減ったのだが、CWA賞受賞、まだ20歳代の若さである新鋭の作家への興味、そして、このジャンルでは稀と思える旧ソビエト、特にスターリン体制下を舞台に展開されるサスペンス・スリラーとなれば、やはり触手が動いてしまう。 いきなり、この世の果てと思える飢餓と喰うか喰われるかの極限状況の中、S・キングを想起させるひりひりした心理描写と背筋が凍るような恐怖描写に、これはと期待に胸を弾ませながら読み続けた。 主人公レオは眉目秀麗、沈着冷静と評される国家保安省捜査官。恐怖は必要悪、無慈悲こそ美徳との信念でスターリン体制を支える冷徹者、革命後の現体制に何ら懐疑も持たないものの、体制堅持の為に手段を選ばぬそのやり方には罪悪感を感じるエリートだが、狡猾で卑劣な部下に嵌められてしまう。 氷のように硬質で冷たく画一的な国家をイメージさせるモスクワの堅牢の建物、その恐怖政治を補完する保安省の不気味さにおののきながら、その地で息を潜め脅えながら生きる人々の生活観、恐怖のシステムの中枢にいながらも疑心暗鬼を覚える主人公、更に妻との関係が実はずっと以前から○○だった事へのどうしようもない虚無感と喪失感、正にスターリン時代のソビエトの底知れぬ恐怖と自らが罠に嵌って追われていく不安、緊迫感が、心理サスペンスとして切々と迫ってきて、本当にゾッとする怖さ、そして面白さなのだ。 実話を元にした幼児連続殺人のサイコ・スリラーとしては、後編への絶妙の予告編的役割を持つ今作、文句なくお薦め。 | ||||
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物語の背景となる「ソヴィエト世界」と「そこで生きる恐ろしさ」をたっぷり伝えている分、謎の展開までちょっと時間が掛かるが、上巻の中盤から一気に読めた。最後を読み終えてこんな時間!と気が付くくらい、久々にのめり込んだ。これは本当に面白い。 | ||||
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これは、旧ソ連で1980年代に起きた事件を素材にしています。その事件に対するソヴィエト当局の対応に怒りを抱いた作者が、フィクションの形で取り上げたのが、この作品です。時代をスターリンの時代に変えたこともあり、社会性の高い、非常に優れた小説になっています。参考にした文献はすべて巻末にリストアップされていますし、重要な登場人物の名前も、一部は実在の人物名から取っています。ただしこの作者には、文章に癖があります。それは、何かを叙述して、次の文で順接で受けて、三度目は逆説で受ける、というものです。それが原文では独特の香気を放っていますが、翻訳では、「、が。」で文章を終えるという、同じパターンを繰り返していて、非常に安易に感じられます。その分、1点減点としました。 | ||||
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前評判があまりにすごいとちょっと身構えたくなるものですが、それはよけいなことでした。プロット、ストーリーテリング、人物造形、すべて超一級。こんな小説が出てくるかぎり、まだまだフィクションも捨てたものではないと思わされます。それにしても、これがデビュー作で、作者はまだ29歳とか。大変な才能の出現です。今年の海外ミステリー・ベスト・ワンという書評を見かけましたが、当方も異存ありません。翻訳ミステリーは冬の時代と言われていますが、こういう作品が次々と出て、翻訳ミステリー界がまた活気づくことをオールドファンのひとりとしては願いたいもの。とにもかくにもおススメです。 | ||||
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