■スポンサードリンク
贋作師
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
贋作師の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1991年の初期作品ゆえかお得意の人間描写のえぐさは控えめで、「ハルモニア」「弥勒」などを書くための習作という感じです。 贋作師が宛がわれた師匠の妻を愛した結果自分の絵が描けるようになった…というのはちょっと俗っぽい展開のように思ってしまいました。 そこに至るまでの経緯、さらに言えばいくら華族といえど白痴で色狂いの雅代を大作家の高岡が嫁にした理由にもっと納得できるような描写が欲しかったです。 才一が語った安直なメロドラマから更にひとひねり展開があるかと思っていたのですが、結局その通りだったのには肩透かしを食らいました。 また個人的に知的障害者を聖人になぞらえるのはどうにも好きになれなかったです…。 高岡・雅代・慧の人物像にあまり奥行きを感じられず、三人とも割とわかりやすい類の人間だったというか、想像できる範囲内で終わってしまったのが残念です。 特に高岡の過去(弟を銛で突いて殺したとき、煉瓦を削って画材にしたとき、贋作師を立てたとき等々)は、のちのち壮絶な心理描写が描かれると思って読み進めたのですが特に何もなく…。 ただ雅代の造形が微妙に醜女なのは生々しくてよかったです。 これがよくある悲劇の白痴美女だったらさらに白けたかも…。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
まだ、何ページかです。その先が楽しみです。ありがとうございます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
贋作師という「裏方」。 決して世に出ない「役割」の人間。 なぜ贋作師としての道を選んだのか? 「創造性」「芸術性」のなさを自覚する。 師匠のものを真似て、書いたという「方法論」の踏襲。 「スライドを絵にしていく手法。」 本当に魂のある絵になるんだろうか? こういうのを贋作というのだろうか? しかし、贋作師というのは、著名なヒトの絵を 描くヒトで、さしずめ「ゴーストライター」 ということになるんでしょうね。 「風景画」ということ。 と、人間の中に深く入っていく画家。 「宗教画」に到達していく心境が大切。 「可能性が、どこにでもありそうなんだけど 全部ふさがれている、何をやったらいいのか わからないみたいな状況」篠田節子。 そんな人間がどのような行動をつくりだしていくのか? 自分であるということへの自信。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一つ一つのシーンが鮮明に色濃く印象に残っています。特に、漁で使われる銛とピラニア、弟との過去そして慧、荘三郎の自殺。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
マエストロ(変身)が、バイオリンの贋作の話だったのに対して、 贋作師は、巨匠の絵の下請け(代作)の話。 修復の依頼を受けたのは、代作をしていた人の学生時代の同級生。 関係者の死の原因調査から、芸術村の壮大な構想の裏側まで、 推理小説風な恐怖小説。 社会的な問題に対する姿勢が厳しいところが篠田節子風なのだろうか。 依頼に忠実な修復師の真摯な態度が篠田節子風なのだろうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
美術界の醜い側面と、画家達の超えにくい壁が描かれている。 完璧な技術を有していても、オリジナリティを発揮出来ない画家達にとって、 どの様に描こうと他人の作風に似てしまう、というあたりは、悲劇そのものだと思う。 著者の作品は、ずっしりと重いものから、少々軽妙なものまで、多彩だ。 この作品はずっしりと、重いものの部類に入る。 物語は、慧の実質的な遺作である「聖女テレサ」の素晴らしさに収斂する。 一連の騒動の後、美術評論誌で取り上げられるのが、慧に対するせめてもの鎮魂だろう。 成美は女一人でよく頑張るが、彼女を支えたゲイの才一が、良い味を出している。 心が大きく揺さぶられる作品だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ことは面識もなかった日本洋画界の大御所の遺作の修理を依頼されたことから始まる。成美は自分が指名されたことに不満を抱きつつ仕事をうける。そこには、学生時代同じ悩みを共有した唯一の男が彼の弟子だったから。しかし遺作をみているうちに成美は不審な点を感じ始める。洋画界の大御所、そして成美と悩みを共有していたあの男の死は本当に自殺なのか。そして大御所の残した遺作は本当に全て彼の作品なのか。真実を知りたくて最後まで読み進めるのですがなかなか面白かったです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
完璧な資質は授かりながら、肝心の描くべきものを見つけられない若い苦悩と、夢の実現のためとはいえ、既に名を遂げ洋画界に君臨した後も拡大志向を止めない老いた権勢欲、さらには投機商品でもある老画家作品への思惑、彼の妻である女性をめぐる愛憎等々…が一邸宅で衝突した。そのために生じた悲劇と謎に関わることになった主人公が直面した結末に、本書を読む者は救いを見出すことが出来るだろうか。…と書くと何やら安直なサスペンス・ドラマのようだが、中身は硬質で圧倒的な緊迫感がある。重層的な謎解きの部分は登場する小道具である程度予測可能(それでも十二分に楽しめる)だが、世に出ることもなく若くして死んだ画家の悲痛な一生が、美大時代に同じ悩みを共有していた主人公によって明かされ!るからである。新境地を開くために弟子入りした先で、彼は最終的に「自分の絵」を手に入れるが、そのために支払った代償と絡みついた桎梏は余りに重かった。タイトルにもある「贋作」をめぐる謀が無かったとしても、自作への賛辞を直接受けられなかっただろう…などと考えてしまう。なお、蛇足ではあるが、脇役として登場する彫刻家兼修復家と美術館学芸員がイイ。美術業界における制作側以外の視点を提供し、バランサーの役割を果たしている。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!