■スポンサードリンク


スプートニクの恋人



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
スプ-トニクの恋人
スプートニクの恋人 (講談社文庫)

スプートニクの恋人の評価: 3.94/5点 レビュー 188件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.94pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全132件 21~40 2/7ページ
No.112:
(4pt)

難易度MAXの小説

文字面や文章をそのまま追っていくだけではなにも得られないんだろうな。勿論、世界観や言葉遣いを楽しむことはできるけど。一つ一つの単語の意味、登場人物の言動の意図を自分なりに読み解く必要があるように思えた。一回読んだだけでは無理だ笑
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.111:
(4pt)

村上春樹さんの文章が好きだなぁ

普通の主人公(普通とはいっても皆何かしら変わったとこありますよね)の日常のなかで、何かが始まって何もわからないまま何かが変わって終わるという、それだけの小説。
違和感なくスラスラ読めて、ちょっと不思議な雰囲気なのですが安心できる、私にはぴったりくる内容でしたー
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.110:
(4pt)

面白く読めていろいろ考えさせられるが、ラストの意味合いが難解

突然消えてしまったレズビアンの女性をめぐる話は、非現実的だけど面白く読んでいろいろ考えさせられた。世界初の人工衛星「スプートニク」が、決して交わらないレズビアン女性を愛してしまった男性、彼女が性欲を覚える既婚の年上女性との、奇妙な関係を暗示して秀逸なイメージ。
 しかしながら消えた彼女が帰って来たラストの意味合いが難解でよく掴めなかった。主人公の小学校教諭が不倫して、その女性が非行に走る、という倫理的な面を問題にする気はないが、なぜこんな物語の構成にしたのか、個人的に理解が及ばなかったのは残念。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.109:
(4pt)

単なるラブストーリーではない

村上春樹は長編小説が素晴らしいが、本書のような中編小説も楽しめる。長編に比べると物語の広がりや奥行きは劣るが、構造はほとんど変わらない。内省的な登場人物、不可思議な出来事、交差する異次元の世界など。本書のタイトルにあるスプートニクは旧ソ連の衛星であり、原意は「旅の道連れ」。その名の通り、異なる人生の軌跡を描く三人がパートナーを求めて交錯する。ラブストーリーというと少し語感が軽く、孤独な魂の彷徨くらいがちょうど良い。
終盤に出てくる警備員が粘着質かつ負のオーラ全開で、1Q84の牛河を連想させる。夜の森から聞こえる音楽は、騎士団長殺しの鈴の音のよう。村上作品はそれぞれの物語世界が緩やかに繋がっているように感じられ、鼻筋の綺麗な父親やストーカーの西洋人も、どこか別の作品でひょっこり出てきそう。やはり、村上ワールドは唯一無二だ。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.108:
(5pt)

同胞

作中の外国籍をもちながら日本にすんでる人は優秀だなぁ。同胞としてとても喜ばしいことです。平凡な内容に難解な物語が隠されている小説のようですが私の頭ではそこまでは理解できませんが、とても面白い小説です。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.107:
(5pt)

おなじみの村上春樹ワールド

脆くて儚い現実、せつない喪失感、かすかな再生への予感。小説という形式でしか表現できない世界。おなじみの村上春樹ワールドがここにもある。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.106:
(4pt)

村上春樹の女性観

ことあるごとに読み返す一冊です。
いやもうほんとにおっしゃることごもっともです、って感じですよ。
人間って孤独なもんですよね、たとえ家族がいようと恋人がいようと。
それでも人は生きていけるしなんなら再生したり救われたりも可能だったりするし。
いやきれいにまとまってますよね。
文章もペロッと読めちゃうんですよ。
村上春樹の文章は基本的に超読みやすいと思っていて
中でもこれは短いしとびきり読みやすいうちの一冊に入ると思います。
また、主人公のKのご都合主義なセックス体験の描写が他の作品と比較すると
わりと控えめなので(一体どうしたんだ!?)読みやすいです。
短編集の「レキシントンの幽霊」(1996)もおそろしいほど読みやすいです。
余談ですがあまりにも読みやすいので引っ越しの時に売りました。

ところで、Kへの手紙やフロッピーディスクのなかのすみれの文章、
Kが言っているような心の震えを喚起されるような文章といった印象がないのが残念。
Kはすみれの表現力をいたく買っているんですよ。
そこまで魅力的な文章ならぜひ拝読したいものですが、
実際「これがすみれの文章なんですよ」って提示されたものは
その辺の馬鹿な女の子が書いたような文章、って感じなんですよね。
そのあたり村上春樹の女性観というかそういうものが透けて見えるように思います。
(逆説的に私自身の女性観を突き付けられることになっているわけですが)
断片的にはですが、陰毛がどうのこうの的な表現は独特だと思います。
そのあたりが作家志望者たるゆえんということでしょうか?

写真はロドス島のビーチにて、2018年7月。
残念ながらハルキ島に行く時間はありませんでした。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.105:
(4pt)

若さが

近年の作品に比べて、若さがあるなぁと思いました。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.104:
(5pt)

さぁ。

いいですねー・・・。
読み終えたあとボンヤリしながら、
「さぁ、これは、いったい何の話だったんだろう」と考えにふける心地よさ。
その余白が気持ちいい。
ストーリーだけ追っちゃダメ。現実視点の「あらすじ」でみたら、わけわかんない話というか、
特に何も大したこと起こってません。
にもかかわらず、膨大な比喩のなかに時折現れる、孤独や喪失についての美しい描写に、
思わず立ち止まってしまいます。目を閉じて、その文章が自分に染み込むのをじっと待つ。

僕は終盤に突然出てくる「にんじん」の話がすごく好きです。
彼が出てきてくれたことで、なんというか、この話に救いが生まれたような。

僕は小説は長けりゃ長いほど好きなんですが、これぐらいの中ぐらいサイズの小説にも、
長編には出せないクールな味わいがあって心地いいですね。
今から読まれる方、村上さんは日本ではナゾな批判を浴びているみたいですが、
彼はいまや正真正銘、世界最高峰の物書きの一人です。
周りは気にせず、ぜひ手にとって下さい。
こんな話、他の誰にも書けません。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.103:
(4pt)

この世界で目に見えるものがそのまま正しいわけじゃない。

すみれは 小説家志望だった。すみれの恋に落ちた相手は『ミュウ』という日本で育った韓国人。
英語とフランス語が堪能であるが 韓国語が話せない。ピアノは子供ときから習っていて、優秀だった。
フランスの音楽学校で勉強したが、父親の経営をついでからピアノはやめた。
僕は小学校の教師をしている。すみれの学年の2年上である。
ムラカミハルキは言う
『物語と言うのはある意味では、この世のものではないんだ。
本当の物語にはこっち側とあっち側を結びつけるための、呪術的な洗礼が必要とされる』
象徴とは 一方通行で 記号とは 相互通行。つまり交換可能。
ミュウは言う
『この世界で目に見えるものがそのまま正しいわけじゃない』
すみれはいう
『彼女の前に出ると、その耳の中の骨がからからと音を立てるの。
薄い貝殻でできた風鈴みたいに。そして私は強く彼女に抱きしめられたいと望む。
すべてを任せてしまいたいと思う。もしそれが性欲じゃないと言うなら、
私の血管を流れているのはトマトジュースよ』
この トマトジュースと言うのが とても印象的だった。
あぁ。こういう表現を使うのかと。
すみれは ミュウの会社の手伝いをはじめ
イタリア語を勉強し始める。そして、突然 ヨーロッパに旅行に行くのである。
読みながらいろいろなところで、はっとした言葉があった。
猫がニンゲンを食べる話。
観覧車にのって 自分の部屋を眺めたら、自分がそこで セックスしていた と言う話。
この二つのストーリーが 寓話のように入っている。
スプートニクとは ロシア語で taraveling companion
「旅の連れ」と言う意味である。
ミュウは言う
『どうして ロシア人は、人工衛星にそんな奇妙な名前を付けたのかしら。
一人ぼっちでぐるぐると地球の周りをまわっている。
気の毒な金属のかたまりに過ぎないのにね』
すみれはいう
『私はそのとき理解できたの。私たちは素敵な旅の連れであったけど、
結局はそれぞれの起動を描く孤独な金属のかたまりに過ぎなかったんだって、
遠くから見ると、それは流星のように美しく見える。
でも実際の私たちは一人づつそこに閉じ込められたまま、
どこに行くことも出来ない囚人のようなものに過ぎない。
私たちはまた絶対の孤独の中にいる。いつか燃え尽きてゼロになってしまうまではね』
ふーむ。スプートニクの恋人とは そういうことを言いたかったんですね。
文章のつむぎ方に 比喩を どうやって織り込むのか?
そのことに ためらいもなく 力を注いでいることがわかる。
トラがバターになるくらい の比喩が多い。それが ムラカミハルキ式なんだろう。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.102:
(5pt)

孤独の中の交差

ソクラテスは人間に知らないことがあることを知ること、すなわち無知の知を説いた。それは知らないことを「無知」とし、知ることを「(有)知」とするような二項対立をもたらした。一方、すみれはそのような知の有無比較による系統立てではなく、知それ自体にフォーカスして、知っていれば「知」、知っていなければ「非知」とするようなやり方で知を捉える。つまり、知と無知は両端に位置するような線ではなく、それぞれが独立した点として捉えられるのだが、そうした知の枠組みでは、知は身近な側(現実世界)に、そして非知は間遠な側(空想世界)に位置することになる。

すみれは小さい頃に母を亡くしたが、その母も含め、一旦、あらゆる事物を非知として捉えてきた。ところが、恋心を掻き立たせるミュウの出現は、状況を一変させる。恋人は遠いところにではなく、あくまで身近なところに置かれる存在であり、知の対象として捉えざるをえない。しかし、恋人のすべてを知ることは不可能であり、恋人という親密な関係があったとしても、我々は孤独から逃れられない。つまり、文字通りスプートニクのように我々はそれぞれ独自の軌道を描いて、生を送っていくしかないのだ。すみれの挫折と消失は、まさにその孤独な現実世界の虚しさを我々に投げかけているように思える。

ソクラテス、あるいはその弟子で知についての考察を題材にした作品を多く著したプラトンは、非知という斬新な知に対する捉え方についてどう考えるだろうか?あるいは、我々は究極的には恋人と結ばれない孤独な存在と考えるだろうか?本作品後半の舞台はギリシャの小さな島(島名は明らかにされないが、位置描写から作者の名前と同じのハルキ島であるらしい)だが、あたかも古代ギリシャの知の巨人ソクラテスと愛の哲学者プラトンを意識したかのような舞台設定である。

すみれ、ミュウ、そして主人公の「ぼく」が織り成すのは、ただただ孤独な軌道である。だが、軌道はどこかで一瞬交差することがある。恋というのはそのような一瞬のきらめきをいうのかもしれない。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.101:
(5pt)

こんな話だったんだ!

むかしむかしに読んだ話が長い年月を経て読み返すとまったく違う話にすり変わるということはよくあることだけど、これはまさに村上春樹の話のように、すり変わるどころかべつのはなしになっちゃいました❗
村上春樹は、オトクです❗
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.100:
(4pt)

大事なのは、他人の頭で考えられた大きなことより、自分の頭で考えた小さなこと

世の中はどうしようもならないことで溢れている。
例えば、誰かを愛すること、身体を求めること、想いが届かないこと、大切なものを失うこと。

目の前に広がる「’こちら側」の世界に固執するのと、よく分からない「あちら側」の世界に身を投げるのは、どちらが自分の求めることなのか。

自分が心から欲しているものは何か、言葉として、文章として形にすることで明瞭になり、そしてそれは行動に繋がる。
 そうだね? そのとおり!

...そんなことを感じた作品。ただ著者の作品は「自分で解釈を考えること」を強く求められるし、人により何を感じるか意見が割れるだろうな。
ただ少なくとも、本書は読みやすい長さで、異世界間が漂う著者の初期の作品より幾分か親近感を持てる世界観なので、村上春樹の作品を初めて読む人にはおすすめかもしれない。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.99:
(4pt)

冒頭の文章が印象深い1999年の作品

村上さんが、1999年4月に発表した長編小説である。この直前に発表した「ねじまき鳥クロニクル」が結局3巻と言う長い作品になったから、この作品はだいぶ短く感じられる。

冒頭の文章は数多くの村上さんの書き出しの中でもかなり印象深くて、暫らく読んでいなくとも再度本を開いた時には、そうだ、すごく勢いのある文章だった、と思い出すことができる。村上さんもどこかのエッセーで、ある日この冒頭部分が頭に浮かんで、そして書き留めておいて、こんなところが一流の作家と凡人の違いであるといつも思うのだが、この「スプートニク……」を書く時に使った、と書いていたことを思い出す。

それだけでなく冒頭の印象に残る文章の直後に、22歳の大学中退で作家志望の“すみれ”が、韓国人の既婚の39歳の女性に恋愛すると言う設定になっているのだから、ただでは済まないと言うことが読者にはすぐに明らかになるだろう。

“すみれ”がこの既婚女性に出合ったのは、従姉の結婚式であった。その時に会話に出てきたのがジャック・ケルアックと言うフランス系カナダ人で後にアメリカに移り、Beat Generationとして活躍した作家である。この作家は、1922年に生まれ、1967年に大量の飲酒が祟って、47歳で内部出血のために亡くなってしまった。村上さんのことだから、きっとケルアックに傾倒したこともあったのだろう。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.98:
(5pt)

美しい文章と精緻な人物描写、驚きのストーリー展開!

私たちは人生の途上で行き詰った時、自身のあり方に疑問を抱き、あるべき自己像を求めます。
どうすればその本来の姿を発見し、人生を再構築することができるのでしょうか?

内的世界に足を踏み入れるすみれと、外的世界で現実と向き合う主人公のぼく。
幻想的なギリシャの小島を舞台に、二人の自己再生の行方が描かれます。

【すみれの恋】
「22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。」

同性愛の衝動と亡き母への思慕が、すみれを新たな世界への挑戦に導きます。

【ミュウの喪失したもの】
「ここにいるわたしは本当のわたしじゃないの。今から14年前に、わたしは本当のわたしの半分になってしまったのよ。」

ミュウは自我の強さゆえに、大切な自分のたましいを失っていました。

【にんじんとの邂逅】
「ぼくは子供の頃からずっと一人で生きてきたようなものだった。家族の誰とも気持ちが通じ合わなかったんだ。」

にんじんとの対話を通じて、こころを失いかけた過去、ひとりぼっちの寂しさを振り返り、少年と心を重ね合わせます。
そして、かけがえのないすみれを失ってしまったことを改めて実感します。

「すべてのものごとはおそらく、どこか遠くの場所で前もってひそかに失われているのかもしれない」

村上作品の終盤で繰り返されてきたこのセリフに、物語がこのまま終りを迎える予感が漂います。

【すみれの生還】
「いろいろ大変だったけど、それでもなんとか帰ってきた。ホメロスの「オデッセイ」を50字以内の短縮版にすればそうなるように」

すみれは「あちら側」の世界に辿り着き、私たちの知らないところで物語を完結させていました。
失った魂を取り返し、自己を再構築し、そこから新たな人生を推し進める彼女の無限の可能性を秘めた生き方。
そんなこの世のものと思えない奇跡の物語が語られる時を、ぼくは静かに待ち続けます。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.97:
(4pt)

比較的読みやすい村上作品。

割とさらっと読了。
これ以前の村上作品と比べて、割と「わかりやすい」小説だったように思う。人に薦めやすくはある。今までだったらぼかしていただろう部分も丁寧に小説内で説明されていた。ねじまき鳥でもその傾向はあったが、よりその方向が明確になった。
初期作品は日本を舞台にしているにもかかわらず、全然違う異世界の話にしか感じられなかった。この小説の表現を借りるなら、「鏡の向こうの世界」「夢の世界」といった小説世界だった。でもこの「スプートニクの恋人」はちゃんとこちら側の世界にあるように感じられた。
個人的には前のテイストの方が好きだったので、少し残念。でもそれは比較の話で、この小説単体としてはとても面白く読めた。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.96:
(5pt)

高品質の完璧な製品です。

良質およびよいプロダクト 私はこの購入をしてうれしいです。 優れた経験 優れた品質の製品と超高速出荷! もし私がもっと必要ならば、私はこの店に来るだろう。 店主は非常に忍耐強い、約3日間の前に購入することを決定した。私は非常に満足している品物を受け取った。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.95:
(5pt)

2度目に読んだのだけど、やっぱり素敵だ。

どうしたらこんなに素敵な言葉を綴れるのだろうかと
いつも思ってしまう。とてもかなわない、当たり前な
のだけれど。
書棚を整理していたら「おや、『スプートニクの恋人』?と
思い手にとった」。数ページ読んで思い出したのだけど
最後まで読んでしまった。
こんな感じで、村上春樹氏の作品は繰り返して読むこと
が多い。なんど読んでも引き込まれてしまう。村上春樹
マジックで春樹ワールドに引き込まれてしまう。
内容に触れるのは野暮なので、この辺にしておこう。

帯より
『22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻の
ような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空
に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩き潰した。そして勢いをひとつま
みもゆるめることなく大洋を吹きわたり、アンコールワットを無慈悲に崩し、インドの
森を気の毒な一群の虎ごと熱で焼きつくし、ペルシャの砂漠の砂嵐となってどこかの
エキゾチックな城塞都市をまるごとひとつ砂に埋もれさせてしまった。みごとに記念碑的
な恋だった。恋に落ちた相手はすみれより17歳年上で、結婚していた。更に付け加えるなら
女性だった。それがすえての物事が始まった場所であり
(ほとんど)すべての物事が終わった場所だった。』
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.94:
(5pt)

大きなテーマである「孤独」

「どうしてこれほどまで孤独にならなくてはならないのだろう」「この惑星は人々の寂寥を滋養として回転をつづけているのか。」(p272)

今作の中で最も感服させられた部分。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579
No.93:
(4pt)

喪失、孤独、それでも想うという事

村上春樹の作品の中でも、特に好きな作品です。
小学校教師の僕に、僕が想いを寄せる作家志望の友人すみれ、そしてすみれが想いを寄せる実業家の年上の女性ミュウ。
物語はこの3人の一方通行的な想いを中心にして展開されます。
作中にある「すれ違い、別れていくばかりの孤独な人工衛星」の比喩が示す通り、「孤独」「喪失」「大切な人の不在」が根底にあり、所謂エンターテイメント的なハラハラドキドキストーリー!を期待するとやや退屈な内容になるかもしれません。

しかし、どこにも行けないことを知りながらも回り続けることを止められない僕と、思考し回り続けるのを止め、「あちら側」へと消えてしまったすみれ、そして自身の半分を残して「あちら側」に持って行かれたミュウが示す通り、「こちら側」と「あちら側」の対比が非常に印象的。

起伏のあるストーリー展開そのものよりも、そうしたテーマ自体に焦点が当てられていると言いましょうか、とにかく村上春樹の独特の世界観が濃縮され堪能出来る作品だと思います。
失って孤独になってそれでも大切な人を想うことは止められない。
美しい文章が胸をかきむしるようです。
好き嫌いは分かれるかもしれませんが、興味があれば是非手に取ってみて欲しい作品のひとつ。
スプ-トニクの恋人Amazon書評・レビュー:スプ-トニクの恋人より
4062096579

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!