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国境の南、太陽の西
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国境の南、太陽の西の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全233件 121~140 7/12ページ
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村上春樹さんの作品は、これまでほとんど読みましたが、もしも一つだけ選ぶとしたらダントツでこの作品を挙げます。 もちろん、『ノルウェイの森』や 『ねじまき鳥クロニクル』なども傑作だとは思います。 が、私は断然にこの『国境の南、太陽の西』です。 理由は至ってシンプルなもので、それは私が作中の主人公と同じように一人っ子だからです。 2012年には珍しくありませんが、私(現在、29歳)の子どもの頃はまだ、作中と同様に一人っ子は珍しく、クラスに一人か二人でした。 そのことに疎外感や劣等感を抱いて育ったわけではありませんが、作中で描かれる一人っ子の心情や考え方について、共感する部分は私自身とても多く、高校生の頃に初めて読んだ時には、一人っ子のことを言語化する作品にようやく出会うことができたのだと感銘を受けました。 それ以来、この作品は、母子家庭の少年を爽やかに描いた山田詠美さんの『僕は勉強ができない』と並び、私の読書史における金字塔的な存在となりました。 現在は、少子化の流れを受けて、一人っ子も市民権を獲得し、作中で描かれる一人っ子の持つ希少性(そうしたものがあるとしたらの場合ですが)は、わかりにくく、伝わりにくいものになりつつあります。 それは、一人っ子とはとても対照的な存在である子だくさんの大家族をテーマにしたドキュメンタリー番組が多く放送され、一般の耳目を集めていることからも明らかだと思われます。 現在は、一人っ子であることよりも、兄弟が多いことが特異性を獲得してしまったのです。 もう十年も経てば、一人っ子であることは、今以上に当たり前になり、集団における多数の地位を占めるでしょう。残念なことですが、この作品の時代性も序々に失われてしまうわけです。が、その時になったらなったで、私はまた、『国境の南、太陽の西』の描く一人っ子の希少性がわかる一人っ子として、自らに希少性を見い出すために再びこの本を手にとるのではないかと思っています。 | ||||
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基本的に村上春樹を読み始めたい人には「めくらやなぎと眠る女」や「象の消滅」あたりの短編集をオススメしていますが、初めてだけどどうしても長編を読みたい!という人にはこの作品をオススメします。 「ねじまき鳥クロニクル」から枝分かれして生まれた本作は、村上春樹の長編の中では珍しく“王道”で非常に読みやすいです。それでいて村上春樹らしさも薄味ながら溶け込んでいるので、入門編としてはベストなんじゃないでしょうか。(ちなみに濃い味をご所望の方には「ねじまき鳥クロニクル」をオススメしています) 終始暗い雰囲気はあるのですが、それでも描写は鮮やかなんですよね。 切ない物語ですが、どこか生命力を与えてくれます。 少し前には「秒速5センチメートル」というアニメーション映画が明らかにこの作品と似ていて(というか、全く同じセリフがあります)一部で話題になりました。 パクられるのも魅力があるからだと思います。 文句なくオススメです。 | ||||
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一人っ子だった主人公の少年時代、同じ一人っ子だった女の子との淡い初恋がスタートです。 主人公の性格やこだわりはこれまでの村上作品の主人公と共通するものがある。 恋人ができても初恋の人を忘れられず、それでもようやく何を感じた相手と結婚する。 仕事も家庭も順調だったある日、初恋の相手と再会した。 謎めいた美女になった彼女との関係は、仕事と家庭をすべて捨てる決意をした夜に終わりを迎える。 かなり露骨な性描写もあるけれど、それがあくまで肉体だけではなく精神的なものへと発展しているのが文学なのでしょうか。 心の中にある満たされないものをリアルに描き出していた。 それにしても初恋の人はあまりにミステリアスだったけどね。 | ||||
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主人公が最後に妻にむけて話す言葉が、最高に心を打つ。 本当に大好きな作品。 | ||||
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現実的なストーリーであるが、幻想的でもある。 恋愛で得る、感動と経験。失った代償としての欠落感、喪失感。 二度と会えないと思った人物と巡り合える奇跡と激情。 一見、分かりやすく、しかし読書後は何か見落としてしまった気がする。浅いのか深いのか、現実的なのか、幻想的なのか。よく分からないが、傑作であることはなんとなく分かった。 | ||||
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村上春樹の奥さんが、彼の作品の中で一番好きな作品と評した本。(の、はず。出典がわからなくて恐縮ですが・・。記憶違いだったらすみません。)で、それをきっかけに読みました。 村上春樹作品は「海辺のカフカ」「ねじまき鳥・・」以外は、ほぼ読んでいるのですが、これは読み逃していました。 村上春樹作品は、「幻想フィクション(設定が現実離れしている)」「現実フィクション(現実的な設定)」「エッセー・対談・ルポ等のノンフィクション」と大きく大別できるように思うのですが、この本は2番目の「現実フィクション」です。 「ノルウェーの森」も現実フィクションだったのでとっつきが良かったのですが、この「国境の南、太陽の西」も読みやすかったです。 女性は、「村上春樹作品は読みにくい」と思っている人が結構いるように思います。それは、村上春樹の「幻想フィクション」モノが苦手なのではないでしょうか? 実は、私も昔から村上春樹作品を読んでも読んでも面白さが腹に落ちず、「ノルウェイの森」で初めて「面白い!」とようやく思えた人間です。その後は「村上春樹ノンフィクションもの」を読んで、「幻想フィクションもの」もようやく面白いと思えるようになりました。 村上春樹の奥さんが「この本が好き」と言っていたのもの分かる気がします。 内容は非常に私小説めいています。太宰治が繰り返し自分をモデルにしたような作品を書いていますが、それに近いものを感じます。 この本を読む前に村上春樹 インタビュー集「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」を読みましたが、その中で、「様々な文体にチャレンジしながら作品を書いている」とありましたので、この作品は、いわば「私小説文体」とでもいうものではないかと。 結論としては、読みやすく、飽きることなく集中して楽しんで読めた本です。(別に楽しい内容ではないですが) 「村上春樹の面白さが分からない!」と周りの女性に言われてしまうムラカミファンの男性陣は、「ノルウェイの森」又はこの本を薦めてムラカミ作品とっつきにすることをお勧めします。 | ||||
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名誉だけでなく、経済的にも成功をおさめた日本では稀有の純文学作家・村上春樹の中編小説。 相変わらずおしゃれなイメージは完全。それでいて、いろんなことを思わせられ、考えさせられる。 例えるなら、とても綺麗で甘く飲みやすい、それでいてアルコール度数だけが高いカクテルのような小説。 味は覚えていないのに、酔った感覚だけははっきりと残ってる。 僕の中ではそんな感じで、物語は思い出せないのに面白かった印象だけが残ってます。 | ||||
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今更ですが、最近作中の曲をCDで聴いたりして3度読み返しました。 「国境の南、太陽の西」のモチーフが「1Q84」に受け継がれます。 最近出たインタビュー集を読むとすべての村上本がより楽しく読めますよ。 私のベスト3に入る村上春樹本です(^^ゞ。。 | ||||
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最近の村上春樹作品の摩訶不思議な世界観に慣れてしまった人の目にとって、この作品はかなり異色に映るだろう。春樹の他の小説の主人公に比べると、本作品の主人公は遥かに「まとも」である。結婚して子供もいるし、サラリーマン経験もあるし、仕事をして十分な収入を得ている。当たり前のことのように聞こえるかもしれないが、春樹の作品の中では極めて異例な主人公だと言っていい。物語の展開も分かりやすく、2000年以降の春樹作品に見られるような抽象的な難解さはほとんど感じられない。余りにも分かりやすい、悪く言えばベタなストーリーであり、下手すれば安っぽい恋愛小説になっていただろう。これを回避したのが、春樹作品の通奏低音である自我の危機というモチーフであり、これによって本書は通俗小説とは一線を画している。主人公が「まとも」で、物語もベタな分、感情移入できるという人も多いだろうが、感情移入の可否と芸術性の高低とは無関係であろう。読み物として本書を読むのであればそれでいいのかもしれないが、通俗小説を凌駕した作品を読もうと思った人にとってはやや物足りない本であろう。 | ||||
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どういう筋書きかというと、「ハジメ」という男が女たちと出会いつつ子供から37歳になるまでを描いた一代記である。 彼は小学生のときに「島本さん」に出会い、高校生のときに「大原イズミ」「大原イズミの従姉」と出会い、 大人になってから「有紀子」と出会って結婚する。 物語の山は、子供時代に出会った女たちの影が大人になったハジメの前にチラつき始めて云々……という下りである。 彼と女たちとの絡みがどういう具合になるのかは実際に読んで確かめて頂きたいのであるが、 私はとにかく、他作品に比べて救いようのある内容であることを強調しておきたい。 ラブストーリーとしては及第点だと思う。ムラカミ的衒学要素は抑え目である。 どうしても気になるのが主人公が最後に連発する「わからない」という台詞である。 37歳になっても、没主体性とボンヤリした自意識に捕らわれたままに見えるのがどうも……。 | ||||
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村上春樹の代表作ではないかもしれないけれど、読み出したら止まらないような鋭利なリズムのある文体と力強い物語の駆動力があって、僕はとても好きな作品です。大学時代以来、これを読むのは3回目になりますが、やはり物語の中にぐいぐいと引き込まれて、一気に読み終えました。 … 主人公の始(ハジメ)は、バーを2件経営し、愛する妻と娘2人に恵まれ、経済的にも成功を収め、幸福な家庭を築いていました。村上春樹の小説の中では異色の主人公です。 思春期の頃の恋、高校生のときの恋、乾いた心で過ごした20代、結婚し、幸福で裕福な家庭を築いた30代と、主人公の一生が時系列で語られます。これも、氏の小説にとっては珍しいことです。 37歳になって、経済的にも家庭的にも幸福そのものだった主人公の前に、かつて、12歳の時に特別な存在だった女性(島本さん)があらわれ、主人公の状況は一変します。主人公が無意識に抱えた欠落感と激しい愛への渇望とが、鮮やかに描出されています。 とても読みやすい小説です。一度読み出すときっと、物語にぐいぐい引き込まれて一気に読んじゃうと思います。おすすめ。 | ||||
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一人っ子で不倫をしていた自分と重なる。春樹さんの作品は全部読んでいて、だいたい自己中心的な主人公に腹立つけど、この作品はそんな自分と向き合い何度も自分をせめているところが大好き。春樹さんの作品の中で一番人物描写が繊細で精密と思う。だからなんか安心する。最初から最後まで考えまくる主人公の世界観に引き込まれまくって、すっごく共感して、切なくなる。それがたまらない。同じくらい、有紀子の目線の描写もたまらない。有紀子に感謝。お前自分どんだけ!ってもっと気づいたほうがいいから。最後の心が変わる様と終わり方もよかった。あとは春樹さんの考えられたれた文章で、不倫の話なのに韓流ぽくなく、飽きない。この本イケてる!大好き。何度も読みたいと思う大事な本。 | ||||
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この一人称小説、主要な登場人物は数人で、かつ図式化しやすい。言い換えれば、それぞれのキャラの役割分担が、 ハッキリしている。 「僕」・・・1951年生まれ。妻の父親の助けを得て、都内で二軒のバーを経営する。 島本さん・・・「僕」が小学校5年生の時に転校してきた同級生。結婚後に再会し、不倫関係に陥る。 有紀子・・・「僕」より5歳年下の「僕」の妻。 大原イズミ・・・「僕」の高校生時代の恋人。「僕」がイズミの従姉と関係をもった事が原因で破局する。 ストーリーの流れには淀みが無く、一気に読み進めることもできる。 表面上は不倫・不貞がテーマの小説と言ってもいい。「僕」と女性たちとの遣り取りの中身も、前面に倫理的な 問題が出てくる。実際、最終的には、命のやり取りみたいなところにまでストーリーが突き進んでいく。 奇妙に思えるのは、「島本さん」「大原イズミ」の描かれかたで、不倫話という、 非常に人間的なテーマを持ってきているのにもかかわらず、生身の人としての存在感が欠如している。 結構濃厚な性愛の場面も出てきたりする反面、全体的に見てみると、「幽霊」みたいな描かれかたがされている。 このギャップに混乱させられると同時に、単なる不倫話にとどまらない、より深い意図が、この小説には込められている のではないか、という疑念が生まれてくるのだ。 ここで、本作品にたいしても評価が分かれてくる面がある。「僕」と女性たちとの関係を読んで、人生の一回性や、 誰もが持っている喪失感について思いを馳せ、妻との関係を回復させる「僕」に共感することが出来るのであれば 何の問題もない。 ただ、作品から作者の顔が見えてきて、考え込んでしまうと、「僕」と女性たちとの関係も、どこか仕掛け的な、 作り話めいたものに思えてきてしまい、この作品に対する評価も微妙なものとなるのである。 実際、この小説は、作者が意図的に、仕掛け的なネタを作っている部分が少なくないように思えてならない。 たとえば、最後のシーン。 「僕」が疲れ果ててテーブルに突っ伏しているところで、「僕」の肩に、誰かがそっと手を置くのだが、 その、手を置いた人物が誰なのかが明示されていない。普通に読めば「僕」の妻なのだろうということになるのだが、 別の読みも出来るような通路も開いているのだ。 そういった意味で、これは、それほど単純な不倫小説ではないように思う。 奇妙な深みを持った、迷路みたいな小説だ。 | ||||
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今まで同じ本に戻ってくることがなかった私が初めて何度も読み直した本です。 読み直すたびに自分の成長を感じさせてくれます。 村上春樹氏の作品の中で、そんなにメジャーな方ではないと思いますが、 そこも私にとってツボです。 また、近々この作品に戻ってくることでしょう。 | ||||
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生きるって難しい。ましてや、人と人が共に生きていくっていうのはとてつもなく難しい。そして、だからこそ、生きる事に価値があり、有意義だ。人と共に生きていく事に価値があり、有意義だ。そんなふうに思わせてくれました。村上春樹さんの作品群を読んでいて、人生をより有意義だと思える事が多いです。特に、この作品は、40代男性の私にとって、自分にとっての人生を振り返らせてくれるものでした。10代の儚い恋、20代で結婚したいと思ったのに嫌われてしまった失敗s(複数)、そして、その後の結婚生活と子育て。好きになった彼女たちが本当の所何を思ったのかは分かりません。しかし、自分の中では、主人公と合い通じるような揺れがあったのは間違いありません。一度しかない人生、過去に戻ってやり直すことなんてできない。そのせつなさがあるからこそ、今の人生に価値があり、有意義なんだと思います。そんなことを考えさせてくれた村上春樹さんとこの作品に感謝です。 | ||||
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ハジメくんは、島本さん、イズミ、有紀子の3人を大きく傷つけてしまう不届き者であります。男子から見れば、自分の中では正当な苦悶、悩みが存在していて、それなりに理解し得るものではありますが、女子から見れば、こんなに面倒な人では幸せにしてくれないと思ってしまいます。周りの人を巻き込み、傷つけて、漸く40才近くになって、自分のやってきたことがなんであったかに気付くハジメくんの心の中を読み解くという点では非常に面白いですが、こんな男子ばかりがいれば、日本も終わりという感じがします。ハジメくんも死ぬというエンディングにしなかったということにおいても、人の心の葛藤の一部を切り取った鋭さは理解しますが、3人の女性を傷付けた罰を受けないまま終わったという感じがして、これでいいのか、世の中こんなもんだ、という印象も持ちました。 | ||||
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これはいわゆるMidlife Crisisの話です。日本語に翻訳しづらいのですが、中年になって「俺の人生これで良いのか、、、、これが俺の望んでいた人生なのか、、、、、」と一種のIdentity Crisisに陥ると、よくある話ですな。でもこれだけ凄腕の書き手に書かれるとそれがなにやらとても繊細で、読んだ後に自分の経験だったような読後感を感じさせる。その上手さ(=凄さ)以外に新しさはないですね。それからもう一つ、1950年生まれってとこにも意味があるんでしょうね。いわゆる団塊ではなく、Midlifeにバブルを経験する。日本社会の経験してきた(している)「獲得と喪失」を意味してるのかなぁぁーーーなどと思ったりもしたけど良く解らん。 | ||||
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著者の一人っ子洞察力の鋭さに何度となく感心しながら読破に至りました。私もいつしか自立心だけが際立っていったのは確かです。通信簿でも自立心の評価だけはピカイチでしたし、何より担任の洞察力も確かだったことに今更ながら驚いています。でも、その頃から現在に至るまでかかわり合った殆どの人は自立心の長けている人とは見ていない筈。ハジメや島本さんのような境遇ではないにしても、一人っ子は案外、損をしています。人として。私は一人っ子の異性と運命の出会いは経験していませんが、それよりもこの作品に出会えたことに運命を感じました。 | ||||
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表層的に読めば、かなり青臭い印象の話であって、受け容れ難い読者も少なくないのではないかと思う。 それでも自意識をとことん掘り下げているので、物語の根底には何らかの癒し、救いに繋がる要素が潜んでいるとも言える。 話が現実離れしないため、著者の作品にしては比較的読みやすく、その分、特異性という点ではやや弱い。 断ち切れない過去の面影や、それとは無関係に流れる時間、不可避な現実といったことがテーマに盛り込まれている。 無意識的な展開と夢から覚めたような結末は、読者にとって必ずしも納得のいくものとは限らない。 自意識に拘泥している感のある人、ネガティブな精神状態にある人には一読の価値あり(ただし、すっきりした解決を求める人には不向き)。 | ||||
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「ノルウェーの森」も「風の歌を聴け」もイマイチだったが、これは面白かった。 主人公は幸せな日々を送っている。 妻もいて、子供もいて、生活も安定していて。 それでも何かが足りない。 そんな欠落感・虚無感から、浮気・不倫を繰り返す。 最低な主人公なのだが、すごく共感できた。 自分の内に潜む欲望を正直に開放したら、こうなるかもしれない。 欲望を象徴化して、そのまま書いている。 村上春樹の作品はこれで3作目だが、ようやく面白さがわかってきた気がする。 たぶん、自分にある程度経験がないと、その面白さがわからないのかもしれない。 恋愛を綺麗なものだと思っているうちは、この作品は不快なだけだと思う。 また時間をおいて、読み返してみよう。 | ||||
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