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(短編集)

人喰いの時代



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人喰いの時代の評価: 3.14/5点 レビュー 7件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.14pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(4pt)

この道はいつか…

Reader Store版で再読。

盧溝橋事件前夜の小樽を舞台にした連作推理短編。ネタバレになるので具体的には書けませんが、
連作短編なりの仕掛けもちゃんと仕込んであります。

探偵小説的には各話はちょっと薄口かな。どちらかというと、探偵小説すら書けない時代へと
なだれ込んでいく世相が主役になっているように見えます。

それにしても、山田正紀氏はこの「世相」を本当に何十年も倦まず弛まず描いていますね。
その熱さだけでも圧倒されるものがあります。

この世代の作家がいなくなる時、戦後は最終的に終わるのでしょう。
人喰いの時代 (放浪探偵・呪師霊太郎)Amazon書評・レビュー:人喰いの時代 (放浪探偵・呪師霊太郎)より
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No.1:
(4pt)

過去の桎梏

終章はとりあえず措いといて、
「人喰い雪まつり」が良かったのではないかと思う。

特高の逆説的な脅しと母親から毎晩昔話を
きかされていた被害者の娘の行動が奇妙な死体発見現場を
生み、拷問の痕跡がない状況が謎として残り、霊太郎が
事件を解き明かす傑作であり、回想形式で何かしら哀感をも
漂わせている。

終章は現在と過去の事件を交錯させながら進行し、これまでの
チャプターを一気にまとめあげる。

過去に関しては特高なる権力への反発もさることながら、
それ以上に、こすからい資本家に対する憎悪を感じさせる。
その象徴である藤子義三を射殺せんとする秀助をひきとめた
霊太郎はまったくのリベラリスト、本物の遊民なのだと
再認識させられる。

現在の事件で推理の誤りを霊太郎に指摘され、やさしく諭された
秀助はやっと過去の桎梏、権力や資本家に対する恨みから
解放されたようである。
人喰いの時代 (放浪探偵・呪師霊太郎)Amazon書評・レビュー:人喰いの時代 (放浪探偵・呪師霊太郎)より
4191236121

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