残虐記

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評判

残虐記の評価:

3.40/5点 レビュー 99件。 D ランク

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平均点3.40pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

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全146件 121〜140 7/8ページ
No.26
(4pt)

リアルな描写は圧巻

新潟で起こった少女監禁事件を下敷きにした本書。桐野夏生の本の中では比較的読みやすい本だと思います。量もそこまで多くなく、中身もそこまでえぐくない。(ただし内容自体は衝撃的ですが…)文章全体が失踪した作家の手記という形を取っており、主人公の記憶や妄想が混じり、読んでて、結局のところ真実は何なのか、というあたりがわかんなくなってきたりもします。すっきりとした読後感を味わうような作品ではないので、読書にそういうものを求めている人にはちょっと面白くない作品かもしれませんね。ただ、主人公の心情、葛藤を描いたリアルな描写は一読の価値ありだと思います。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.25
(2pt)

何が『残虐』なのか?

 『週刊文春』2004ミステリーベスト10国内部門第6位。 どうしてこれが6位なんだろう? と思った。 『残虐記』とは、小説内小説のタイトルだ。その作者名は、『小海鳴海』という。 小海鳴海は、25年前、10歳のとき、25歳の男に拉致され、1年余りの間、監禁された。 小海鳴海の書いた『残虐記』は、その事件の一部始終を、虚実まじえながら書き綴ったものだ。もちろん、桐野夏生が書いた小説『残虐記』の中での虚実であり、虚も実もフィクションである。 フィクションではあるが、男が少女を拉致・監禁するという事件は、現実の世界で実際に起こっている。その実際の事件に接した桐野夏生が、事件に触発されて想像したことをただつらつらと書いた、という感じがしてならない。 盛り上がりも感動もなく、答えのない謎に付き合う気持ちも起こらないまま、淡淡と読み終わってしまった。 作者の伝えたいメッセージが、見えなかった。単なるエンターテイメントとして、書いたようだ。 が、単なるエンターテイメントとするには、題材が生生しく、重過ぎるように思う。 拉致・監禁した犯罪よりも、興味本位や好奇心、ずれた同情などで被害者を傷付けてしまうことよりも、エンターテイメント小説の題材にしてしまうことが、最も『残虐』であるとさえ感じてしまった。(もちろん、拉致・監禁した犯罪者が最も残虐であり、その犯罪者を生かし、保護し、社会に戻してしまう日本の司法システムもまた同じぐらい残虐であると思う)
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.24
(3pt)

グロテスクと同じ構造だが....。

複数の語りによるスタイルで重厚かつ重層的に人間を描いた「グロテスク」同様の芥川龍之介の藪の中を彷彿させる「いったい何が真実か」をコアとして作品は進む。しかし、行為・具体化という描写を中核として高い完成度を達した「グロテスク」と比較すると、その重層性は薄い。~作中作家による過去の分析が妄想とリンクして夢を作るあたりの設計は上手いのだが、監禁者と主人公の関係性の本質に到達するポイントがあっさり前半に頻出しすぎ、その結果、サスペンスのストーリテリングとして安易な結果も多い。全体として過去への分析そのものがストーリーの核を成す形態である事が裏目にでて「語るに落ちる」に至り、単純に言えば、平坦な分かりやす過ぎる説明的作品になってしまっている。~本作は2002年に雑誌連載であったようだが、制作実行は「グロテスク」とどちらが先であったのか?正直、「グロテスク」に到る、実験習作、といった印象が拭えない。~平凡な作家であれば「力作」と認知されてしかるべきかもしれないが、「OUT」「グロテスク」といった卓越した完成度を達成した著者ほどの実力作家からすると、本作を『桐野夏生のマスターピースの一つ』とは言いがたく、まだまだ高い到達点を望みたい。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.23
(1pt)

気持ち悪くて、読めなくなった

新潟県人ということもあり、あの女児監禁事件との関連を思わせる題材にひかれ、手にとってみたものの、こんなに重い気持ちになるとは。ものすごいスピードで読み終わり、再び手にする気にはなれない。本当は星1つも、やりたくない気持ち。読みながら、私は少女の気持ちになり、母親の気持ちになり、成長した被害者の気持ちになり、犯人の倒錯した擬似恋愛にもいくらか共感を示しながらも、今まで感じたことのない、吐き気すら覚える胸くその悪さと、怒りを覚えた。想像力、妄想はひとの自由かもしれない。でも、この本は、色んな性犯罪被害者の心を二度傷つける内容ではないのか?これを読んで初めて、遅くも、被害者の気持ちになりかわることができたような気がする。現実の事件に傷つき、事件の終わった後も周囲の好奇のまなざし、詮索との戦いが待っている。この本を読んだ私も、好奇心で被害者を傷つけた気になった。私には幼い娘がいる。娘を守れるだろうか。もしも娘が被害者になったら(そう考えてしまうほど、世間には幼女を狙った犯罪が多すぎる!)、私は娘の盾になるほど強い人間になれるだろうか。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.22
(3pt)

泉鏡花賞後の第一作ですが・・・

「柔らかな頬」を再読し、これを次は有香の視点で読めればと考えた矢先の残虐記。たまらず買って読んではみましたが、そこまで話はうまくいくわけもありません。新潟少女監禁事件と繋げて読んでしまうと心が痛んでなりませんが、今すべてをゼロにして読み進めてみると桐野夏生らしさが存分に出た作品だと思います。結末の部分が何ともひどく曖昧なのも彼女の策略だと考えれば、泉鏡花賞後の第一作にふさわしい作品ではないでしょうか。しかし、事件当事者の立場となればどうなのでしょうか。当事者を中心に描いた著者は、この作品を書いていてどう感じ、なぜ刊行するに至ったのでしょうか。事件や読者の反応のせいかどうかは別としても、著者のHPにおいて、この作品の作者のコメントがないのは残念でなりません。文庫版発売の際には事件に対するコメントを包み隠さずはなしていただきたいものです。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.21
(3pt)

あまりにもリアル

数年前に実際に新潟で起きた少女監禁事件を下敷きにしているようです。あれは本当に残酷な忘れることのできない事件でした。あの事件を知ったときと同じ衝撃と痛みがあり、だからこそ「単なる本の中のお話」としては片付けられない作品です。残酷で汚くて寒気のするような負の部分においてのリアルだけが非常に強いです。少女の心が変な風に大人になっていくのも切なかったです。そして犯人は本当に知能の少ない大人なのか、それともそういう部分にだけ頭のいいものすごく計画性のある犯行をしたのか、私には判断がつかなかったのがただ悔しいです。それにしてもまだあの事件からたった数年。こんなにはやくあの事件を彷彿とさせるような本が出版されたなんて、被害者や周囲の方のことを思うと複雑です。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.20
(4pt)

“想像”の本来持つとてつもない力を信じようとする作者の意思

  桐野夏生は、「グロテスク」で東電OL殺人事件、「残虐記」で新潟少女監禁事件と、ここのところ、“あえて”現実の猟奇的事件をモチーフとした作品を手がけている。それはなぜだろうか?  最近、現実に起こる事件には“想像”をはるかに凌ぐものが多い。あるいは、こうした事件は“想像”と“現実”が綯い交ぜになることで起こっているのかもしれないが。現実が想像を凌駕していくということは、想像、もしくは文学の敗北である。現実が想像を超えていくのではなく、想像が陳腐なものに成り下がっているのだ。桐野夏生は、そのことに大変自覚的な作家であり、最近の作品は“現実を超えていく想像”という図式にこだわっている気がする。少なくとも作者は、“想像”の本来持つとてつもない力を信じようとしている。  「残虐記」は“想像の愉楽”を反復的に読者に供するための、創作上のたくらみを持つ。小説には、語り手は嘘をつかないという暗黙の了解があるが、「残虐記」は語り手がウソをつくのだ。ほかにも小説の中に小説を組み込むというメタ的な手法や夢世界の挿入など、様々な手を尽くして、何重にも“想像の愉楽”を反芻させてくれる。作中の言葉で言えば“性的人間”、つまり想像によって生きる人間で自分もありたい、自分もなりたい、と強く思わせる作品だ。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.19
(1pt)

創作活動してほしいです。

グロテスクの後、ほぼ間をおかず読んだせいでしょうか、とても嫌な読後感を持ちました。2作品とも実際にあった事件がモチーフとしか考えられず、いかに小説といえども、こんなふうに事件を描写してよいのかと思えました。何人にも表現の自由というものはありますが、事件の関係者が読めば憤り、また哀しくなる内容だと思うのです。桐野さんの作品はそんなに読むほうではないので断じてはいけないとは思いますが、そろそろ真の創作活動に、何もないところからお話を紡ぐ作業に励んで欲しいなと思った次第です。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.18
(1pt)

あなたに愚弄された全ての者から。

モチーフは、著者がなんと言おうと、例の事件なのだろう。この事件を知ったとき、被害者はどれほど好奇の眼に耐えて、人生を送らなければならないだろう、と胸の裂ける思いがした。そして、この本を手にとって、これはもしや、この本を手にした者こそ、その好奇の眼差しの送り本なのだと、自戒したりもした。しかし、読みすすめていくうちに、一番の好奇の眼差しの持ち主は、著者であることを悟った。著者の功名心のみに立脚した作品だ。我を恥じた者すらを、愚弄する作品であった。全てが、好奇の視点により紡ぎだされたストーリーだ。被害者に、新たなる好奇の視点を背負わせるだけの作品だ。読後、どのような心境で書いたのか、たくさんのサイトを渡り歩いた。そして、それを証明する台詞を著者自身が語っていたところに行きついた。「あの事件は、“たまたま”、重なっただけです」著者にとって、モチーフにないでしろ、被害者の暗黒史は、“たまたま”と言う言葉ですまされるものらしい。“言葉”を生業としているはずなのに、それへの感性の欠如に、今後一切、あなたの作品なんて手にするか、と思ったしだいです。果たして、モチーフではない相手であるなら、喚起の対象になる人物と、この作品を間にして、正対できるのだろうか?星ゼロ個を設けてもらえないだろうか?
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.17
(3pt)

犯人きもい

桐野夏生、、クールすぎる。流れるような文体から醸し出す、恐ろしいほど現実的な描写。しかし、タイトルの残虐記といわれるほど、何も残虐なことはないと思うが。残虐ものを期待して読むのは進めません。でもでも、桐野作品は85%ハズレなし!それにしても犯人の男の描写はリアルだったなー。うそ臭いハッタリミステリーが多い中、彼女の作品は常に何か大事なことを含めた作品だと思います。☆3つなのは彼女ならもっとレベルの高い小説を他で書いてるし、書けるから。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.16
(3pt)

残虐というより残酷

初めて読んだ桐野作品でしたが、本作だけ読んで桐野夏生を理解するのは非常に難しいですね。それはそうと、タイトルから察するにどんなグロい話しかと身構えて読み進めましたが、むしろピュアな話で予想は裏切られました。しかし失望ではなく、恐怖と切なさが漂うサスペンスミステリーとして引き込まれ、一気に読み切りました。作中に手記と小説を取り込んでいるあたり非常に技巧的で、文章も巧い為、一気に読めるのですが、読者に対し解答を用意していないというところ、非常に歯痒いです。明るい未来に向って行動しているわけではないので、主人公(被害者)がどう決断したのかというヒントがもう少しないと収まりが悪いと言うか、読後感が悪いです。まあ、ハッピーエンドなど望むべくもないテーマだけに、当然そのあたり計算ずくのはずですが、現実の事件をモチーフにしている事もあって、拒否反応を起こす方もきっとおられるでしょう。創作と割り切って読んだ私は、他の桐野作品もチャレンジするつもりになっています。作家としての力量にはさすがに感心しました。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.15
(2pt)

チャチなコラージュ

多くの方がレビューで書いてる様に監禁されてた期間はずっと短いもののあの事件がモデル、というのがすぐ分かる文章内容。ケンジの性に対する倒錯描写なんかは多少面白いと感じましたが、OUTの主婦とヤクザの心理描写には到底及ばないです。それよりも冒頭の、ケンジが成人した主人公に送ってくる手紙の文章が某超有名画家の文体とそっくりなのが気になります。内容も文体も何処かから持ってきてすごく適当につぎはぎした様にしか見えません。書き上げるまでの苦労に免じて本来星1つの所を2つにしておきます。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.14
(4pt)

アンドウミノルというトラウマ

 ケンジの,ヤタベとの関係に,心が痛みました.私自身の体験との相似点に,豪快な涙を流してしまいました.これは「少女誘拐」の話ではなく,ケンジとヤタベのラブ・ストーリーであるような気さえしました.そしてケンジとアナとのセックス・シーンの描写は,どんな台詞よりも,どんな悲しい暴力よりも切なく,愛情に満ちたケンジ・ヤタベ間に於ける恍惚を感じさせたのです. 母と景子の関係,父と景子の関係,母と父の関係,景子と夫の関係,ケンジとヤタベの関係,ケンジと景子の関係,景子と久美子の関係.全ての関係が,狂気に満ちて,俗に言えば,「歪んだ性」に見えます.しかし.それこそが,人間が生きる日常であり,私たちが隠蔽することに躍起になっている「性」でしょう.「歪んでいない性」など,存在し得ないのではないでしょうか.景子は,私であり,あなたであります.同時に,ケンジも,どの登場人物も,我々から離れた存在ではあり得ません. これから読まれる方に申し上げたい. 『残虐記』は,愛と性の物語です.
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.13
(5pt)

グロテスク以上の衝撃を私はうけました。

桐野さんの本を読むと 夢にでてきます。グロテスクも心に突き刺さる一冊ですが、この残虐着も何日も夢にそのまま、また飛躍し膨らみ切った状態ででてきそうです。 グロテスクより文章が、私には読み進みやすかったです。しかし内容にはより大きなショックを受けました。身近でもっと恐かった。深い淵にすいこまれそうです…
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.12
(4pt)

想像という化け物に 魂を奪われる人生

  大人は相手の心を読み、起き得る出来事を予想するが、  それはすでに適応ではない。(文中64ページより)成人男性でありながら、幼児を誘拐する原因が上記に集約されている。精神の成熟に達しないまま、適応可能な少女を求める歪んだ性。相手に自分の心を読まれることを嫌悪し、言う通り適応する少女を欲する。歪んだ性に執りつかれてしまう人の悲しさ。セックスの過大評価そんな男に一年もの間監禁生活を余儀なくされた、少女の背負う人生の負い目桐野夏生の文筆力に引き込まれすぐ読めるが、こういう事件には解決策が無いような結末に女としてやるせない    
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.11
(1pt)

実際の事件を題材に・・

「グロテスク」もそうですが、実際の事件を題材にして誰が読んでも「あ、あの事件のことでしょ!」とわかる題材を選んで、でもディテールは、作者の想像、というのはどうなんでしょうか?読者は「フィクション」とはいっても文字にされると、「ああ、そうだったんだ」と現実と混同してしまいませんか?犯人のことを好きになった、とか、現実にいる被害者家族を傷つけませんかね?「グロテスク」を読んだときは被害者の家族から抗議がこないのだろうか?と疑問だったのですがまた、この手法を作者が使ったところを見ると、その手の批判はないのですかね・・。被害者を二度貶めるような気がします
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.10
(3pt)

時間つぶしにはなったけど.....

この作家、顔に似合わず悪趣味だな......
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.9
(5pt)

薮の中

東電OL殺人事件に続き、桐野夏生が挑んだのはなんと新潟少女監禁事件。世の作家が書きたいと切望しながらもあまりの醜聞性に立ちすくむ題材に桐野は敢然と挑む。「手記の中の小説」という小説、という多重入れ子の構造に、夢と空想と現実が判然とせずに絡み合い、一度提示された仮説が次々と打ち砕かれていく。「意外な真実」であるように思えたことがどれも真実ではないようになる。「柔らかな頬」とおなじく結末はない。どれが真実かも明らかではない。それでも読者は途中で読むのをやめることはできない。そして、世の誰もが思いながらも口にできないこと、「監禁者と被監禁者の間に愛はなかったのか」という疑問に正面から答えたこと。桐野夏生の真骨頂はここにある。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.8
(4pt)

とり戻せない月日

たまたまこの本を読んだあとでデニス・ルヘインの「ミスティック・リバー」を読んだ。事件があった子どもがその後周囲の好奇心のなかで成長していくことの重さ。「残虐記」では語り手のつづる内容がどこまで事実なのか創作なのかというところも、「グロテスク」を思い起こした。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013
No.7
(4pt)

現実の複雑さを丹念に描いた好作。

正直に告白する。というのは意外に難しいもので、大概の場合、人は自分の内面を正直に告白しようとしても、得てして何処か(瑣末な部分で)自分の都合の良いように脚色することがほとんどだ。間違いない。じゃあそれは他人に対する欺きなのかというと実はそうでもなくて、既に自分がいつしかその脚色を真実だと信じてたりするから事は単純な話ではないのである。というか厳密に言えば、語ろうとする内容の中に「判断」という要素が介在する時点で、(いかに誠実な「判断」だとしても)、「真実」にはヒビが入ってるということになる。こないだ見た「仮面ライダー龍騎」の中に、「事実は一つだが、真実は一つではない」というセリフがあったが、端的に言えばそういうことだ。かように我々の対面する現実というものは多元的に構成されておるものなのです。ややこしいなあ。面倒くさいなあ。桐野夏生は、そのややこしくて面倒くさいものに真っ向勝負を挑み、しかもちゃんと勝ち負けになっている(もしかしたら勝ってるかもしれない)希少な作家である。彼女の著作で俺が読んだのは今作と前作「グロテスク」の2作だけなのだが、どちらの作品にしても「事件が起こって謎が深まってそしてまた別の謎が出てきて最後で意外な犯人が分かってその動機が語られる」タイプの作品ではない。カテゴリーとしてはミステリーに属していると思うが、すごいトリックがあるとか事件が二転三転するとか、そういう要素は比較的少ないほうだろう。あえて「ミステリー」という言葉で説明するなら「現実の多元性が持つミステリー性」を描いている、ということになる。そして本の中でそれは解決されない。最終的に読者の「判断」に委ねられるのだ。
残虐記 Amazon書評・レビュー: 残虐記より
4104667013