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出口のない海
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出口のない海の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.21pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全116件 101~116 6/6ページ
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早咲きの人生と挫折の境遇で、次の活路を見出すために模索を続けた主人公:並木の生き様に多くの学びがありました。また、友情・恋・家族を大切にする姿には、深く考えされられる課題が少なくは無かった。 回天は変化球の回転とも捉え、その完成こそ次の活路であったのでしょう。 後ずさりの出来ない「出口のない海」への決意。友人の申告書の記入をカンニング、自分も二重○の決意。しかし、自分が二重○をしたときには、友人はグルグルっと消してしまっていた。この件はユーモア溢れているが、いっそう「出口のない海」に深刻さ補完する。 末期は、言うまでも無い。副旋律にあるボレロの話こそこそ、並木の命の姿の形容に他ならない。 | ||||
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平和な世の中なら、勉強に、スポーツにと、毎日の生活を楽しんでいる時期だろう。だが戦争は、並木やその仲間たちを戦場へと送り出す。そして並木は「回天」に乗ることを決意する。それは特攻兵器!一度それに乗って出撃すれば、二度と生きては戻れない。家族や恋人への思い、そして「生」への未練。並木の心は揺れる。その心情が痛いほど伝わってくる。最後まで魔球完成を夢見た並木。その思いを受け止めた仲間たち。戦争の悲惨さをあらためて思う。できれば、マウンドの上で魔球を投げさせてやりたかった。こんな悲劇がもう二度と起こらないようにと、願わずにはいられない。 | ||||
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本作はまずミステリーではないため、読み始めて戸惑う方もおられるでしょう。しかしそこはやはり横山秀夫、単純なドンパチものの戦争小説でもありません。どんなテーマでも「人間」を書かせたら横山氏は一流です。正直、本作の主人公は優等生すぎて感情移入し辛い感はありましたが、それでも殺伐とした戦争の中で夢を追い続ける主人公に涙せずにはいられないでしょう。決して多くはないページ数でこれだけのヒューマンドラマを展開できる才能はやはり尋常ではありません。寂寥感、怒り、恐怖、安堵、悦び、様々な感情を揺さぶられます。エンディングも極めて清々しく好感が持てます。 | ||||
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軍隊物を読んでいて一番頭にくるのが粛清だとか修正だとかもっともらしい名の下に、暴力を振るう人格も教養もない職業軍人。「陛下」、「上官の命令」、「お国の為」の名の下に、言われもない暴力を振るわれ、逃げることも出来ず、不本意ながら「愛する家族や友人や恋人のために」を心の支えに死んでいった若き人々を思うと、涙なくして読めなかった。憲法9条、靖国参拝についていろいろ言われているが、この作品を読みながらこれらの問題を考えると、この国の軍隊は、真に国を守るための心ある軍隊であってほしいと願い、今の生活があの戦争なくしてはもたらせなかったとしたら、彼らに哀悼の意を表して何が悪いと聴きたくなる。横山氏の警察ものとは違う作風の作品だが、あの若者たちが不条理に死に追いやられた無念さをそれなりに表現しているのではないだろうか。「半落ち」の最後にも涙したが、「出口のない海」の涙はそれとは違うものだったような気がする。 | ||||
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警察モノで虜になりそれ以外も最近よく読んでます。が、クラーマーズ・ハイ同様長編の横山先生の作品は数度読まなければ心の細かい描写が時系列的につかみにくいと感じてます。もちろんそこらへんの作家の長編によくある退屈さは無いのですが、やはり短編のぐいぐい相手を落としていく、身内の矛盾を突いていく等の心理描写のほうが切れ味良く万人好みかも知れません。最近の作品に無い横山先生のもので警察組織モノでない趣向で読みたい方にはお勧めかも。 | ||||
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大学野球の青年が突如戦争の波に巻き込まれ、人間魚雷に乗せられることになった。戦争の悲惨さや理不尽さはいろんな書物に書かれていますが、この小説に出てくる「回天」という存在は知りませんでした。主人公が何のために死ぬのかということに迷い、結論めいたことが最後に述べられます。そして最期のときはタイトルの「出口のない海」で。。オチは書けませんね。ヾ('▽`;)ゝ良い小説だと思いますよ。 | ||||
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最近の横山秀夫さんの作風からきわめて異例な印象を受けましたが、実は1996年に刊行されたものを、前面改稿したものということで納得。 まだ無名に近い時代に書かれたもので、現在のストーリーテラー的なものは余り感じられませんが、横山さんが描きたかったのは戦争の悲惨さと、その戦争に運命を翻弄される、ひとりの人間を描きたかったのではと思います。 文体的なものはいつもの横山テイストで無駄を極力省く文体で読みやすく、さくさく進みます。ただそれが難点となり、人物描写に主を置いたため、戦争物の悲壮感は若干影が薄く感じます。ただその時代に生きた人々の心理描写はさすがと言ったところ。自分がその時代に生きたらと少し考えました。 そしてある程度は知っていたつもりの「回天」の悲惨さも、この小説を読むことによってさらに考察が深まりました。そしてもう一つの氏のメッセージであろう、「回天」と言う人間兵器が存在したと言う事実を理解する事が、この小説のもう一つのテーマでしょう。 | ||||
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夢があるのに奪われてしまう人間としての人権をも略奪される人間兵器になろうとも、自分の夢を捨てずに生きた男並木あらすじよりも、実際読むとこの本は内容が薄い読後人に奨める以前に、印象に残らない横山秀夫の作品を回想する時にも、思い出せないような薄い作品 | ||||
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大東亜戦争(第二次世界大戦)の時代を描いた作品で有るが、戦後派の人間(私も含めて)に、当時の状況を理解するのは極めて困難で有ろうと思われるが、少なくともアジアの国々の中で植民地・半植民地に成っていなかった唯一の国と言っても決して過言では無いであろう日本が、米国との戦闘以外に進むべき途が有ったのか否かは定かでは無いにしても、有色人種の存亡をかけた戦いで有った事は歴史的に見ても間違った見解では無いと言えると思う。明日という日が来ることに何の疑問も持たないで生きてきた人間に、突きつけられる「死」を前にして、青年は生きることの意味と死することの意味を必死に探そうとする。読んでいて青年の胸中察するにあまりあるものが有る。今、日本は再び戦力を保持し海外での戦闘行為に走ろうとしている様に思えて成らない。歴史は繰り返すと言うけれど、悲惨な戦争で、この様な前途有る若者を犠牲にする事が二度と有ってはならないと思いながら読みました。 | ||||
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横山氏の作品なので 最後まで読みましたが、戦争小説としては、少し物足りなく(個人的には福井晴敏氏のほうが好き)量的にも 不満です。最後は 横山さんらしい、絶望の中にも 少しの光が見えるような終わり方で 後味は悪くないですが・・・。 | ||||
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太平洋戦争中の「自らの命と引き換えに相手に挑む作戦」といえば、陸軍の「神風特別攻撃隊」が知名だ。その一方で、海軍が隠密裏に行った「人間魚雷作戦」ともいうべき攻撃が「回天作戦」である。本書は、戦史の陰に隠れた殺人兵器回天を、学徒出陣で戦列に加わった大学生並木浩二の視点から描く作品だ。甲子園の優勝投手でA大学野球部に所属する並木浩二。利き腕のひじをいためたため試合の登板すらままならない彼は、「魔球」の完成に自身の野球人生を託す。しかし、日米開戦、ミッドウェーでの敗戦は並木から野球を、大学生からは勉学を奪う。「学徒出陣」で海軍に配属された並木は、やがて人間をもって機械の歯車となす恐怖の殺人兵器「回天」の乗組員となる。一度は装備故障により帰投した並木。しかし、その彼には、意外な運命が待っていた。平和主義的な心持の並木が、軍隊生活の不条理さに飲み込まれながらも最後まで自己の信ずるところを失わないという姿は、読者の共感を呼ぶだろう。だが、「魔球」の完成に取り組む並木をはじめとする登場人物の描き方が表面的で精彩を欠くのは否めない。野球部マネージャーの小畑は内気で喘息もち、捕手の剛原は豪快な気質と大きな声の持ち主、喫茶店「ボレロ」のマスターはいわくありげな赤いチョッキを着た剽悍な人物。「回天」という主題を選ぶ着眼点のよさをもちながら、この類型的で平板に過ぎる人物造形はどうだろう。もし、小説の面白さが、話の展開の妙味とあたかも生けるがごとき登場人物の描写にあるとすれば、本作はその二つを満たしきれいていない。画竜点睛を欠くとは、まさにこのことだろう。「出口のない海」という、実に意味深長で本書の内容に合致した題名も、登場人物の軽薄な存在感に相殺されてしまっているのが残念だ。 | ||||
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警察小説からはなれ、作者がどの様な作品を描くのか?期待と不安を持って読み始めた。最初の80ページぐらいは後悔した。しかし、「回天」と「美奈子」が出てきてからは、物語に引き込まれ、息つく暇もなく最後まで読むこととなった。「特殊兵器」とは名ばかりの兵器に乗り込み、「負けることが分かっている」戦争に立ち向かう。その世界観には圧倒された。しかし、たとえば作者の他の作品と比較した場合どうだろうか?「クライマーズ・ハイ」より感動するだろうか?また、戦争小説としてみた場合、たとえば「終戦のローレライ」を超える迫力をもち、メッセージを伝えているだろうか?私にとって、いずれも「ノー」であった。よい作品だとは思うが、友人にすすめたくなるほどの作品ではなかった。 | ||||
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学徒出陣や人間魚雷「回天」について知っていた。この本も、話の中身はある程度予想はついていた。にも関わらず、大きく心を揺さぶられた。好きな競技をやれずに、戦争で亡くなった若者達。彼らはどれほど無念だったろう。先日のアテネ五輪が示すように、スポーツはいつでも人々の楽しみなのに。ただ、これは何も昔の話だけではない。東京・ロンドン五輪は戦争で中止となった。それから約40年経ってモスクワ・ロサンゼルス五輪では参加国ボイコットが起きた。どちらも政治的理由が、選手を縛りつけた。「敵性競技」と言われ、沢村栄治や影浦将といったスター選手が戦場で亡くなり、窮地に陥ったプロ野球。戦後広く人気を集めたものの、現在は危急存亡の状態にある。こういう時こそ、思い出すべき想いがあるのでないか。本書を読んで、そう感じる。文章はとても読みやすく、読み終えた後に清々しさが残る。1つ不満を挙げると、それはこの本の題名。本文とはそぐわない気がした。 | ||||
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天を回らし、戦局の逆転を図る。名付けて回天である。甲子園の優勝投手が大学野球で肘の故障に泣き、魔球を作って復帰を目指すが、戦時下の特殊な条件下で、史上最悪の特攻兵器である人間魚雷の「回天」に乗るストーリー。事件ものや刑事物が多い横山秀夫さんの小説の中では、異色のストーリーだと思う。学徒出陣の心象風景や戦時下での大学野球、回天隊の軍隊生活など読み所満載です。4つ星なのは新作だと思ったら、1996年発表の作品の改稿版であることと小説のタイトルの「出口のない海」が、今ひとつピンとこない点です。しかし、神風特攻隊だけでなく、神潮とも呼ばれた最悪な特攻兵器があったことを認知できて嬉しかった。 | ||||
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横山作品が大好きで全て読んでいるが、今回の作品はちょっと・・・。横山秀夫の作品にはミステリとしての面白さももちろんあるが、しかし最大の魅力は、登場人物の「男」として、「人」としての生き様のかっこよさや切なさが描かれていることにあると思う。今回の作品でも、戦時下という特殊な状況下での人々の生き様が描かれており、「死」と背中合わせでの行き方は哀愁を誘うところもあるのだが、なんとなく今までの作品に比べると作者の良さが出ていないように感じた。横山作品が大好きだからこそ、厳しく星3つです。 | ||||
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さすがは横山先生、ご自身が常に締め切りに追われていらっしゃるだけあって瀬戸際の人間の描き方が相変わらずウマイ。抜群の知名度を振りかざし、昔の作品のリニューアルで小銭を稼ぐおつもりか? なーんて毒づく気持ちで購入するも、結局は横山節にフツウに感動!(反省も) 人間魚雷・・・海の特攻兵器「回天」・・・『出口のない海』。戦争の悲痛さがタイトルからも滲み出ている。『二十四の瞳』が愛読書である横山先生の描かれた戦争小説。徹底的な取材によって安易な泣かせ芸に走ることを巧みに回避しております。 「俺はな回天を伝えるために死のうと思う」 特攻による確実な死を前に、主人公の並木は自分の死の意味をそう見定めるのです。これがこの作品のすべてです。リアリティの面からいえば、人は死を前にそこまで悟れるのか。或いは、ただ「お母ちゃん」と叫びながら死んでいく方が説得力があるじゃないか。そんな反論もあるかもしれません。だけど、事実はそうであったとしても、戦争を知らない世代は「死んでいった人々の声をこのように聞き取る努力」をする必要があるのではないでしょうか。 満点でもいいんですが、甲子園の優勝光景の華やかさなどをもう少し書き込むとコントラストが一層鮮やかになる気がするので、さらなる期待を込めて4点。あと余談ですが横山先生の奥ゆかしい恋愛観はこの時代だとものすごくマッチすることを再確認した次第です(笑) | ||||
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