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出口のない海
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出口のない海の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全120件 81~100 5/6ページ
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| 甲子園の優勝投手の並木は、肘の故障で大学野球ではほとんど投げていない。だが、諦めずにリハビリをし、魔球を投げると宣言する。並木が求めた魔球とは、いままでにない変化を見せる新しい変化球のことだ。 折しも、日本は真珠湾を攻撃し、大平洋戦争へと突入。やがて大学野球は閉鎖、大学生も召集され、並木は海軍に志願する。劣勢の巻き返しを図る海軍は神潮特攻隊の人間魚雷「回天」を考案。回天の搭乗員に野球部マネージャーの小畑が志願したと思い込んでしまった並木は、自分も志願することしたのだが…。 果たして魔球は完成するのか? 並木が辿った末路とは!? 出撃日が決定し、死が決められた上での数日間、前夜の送別会、出陣での心理状態とはどういったものなのか。死を突き付けられ狂態していく様、生と死を行き来する心理状態は壮絶なもので、攻撃海域に向う潜水艦の場面を読んでいるときには呼吸をするのを忘れるほどだった。 | ||||
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| 戦争映画や、特に特攻隊の本などを読むたびに思います。 近いうちに必ず死ぬと分かって生きるって どんな気持ちなんだろう。 毎日死ぬ為の訓練をして、 自分の夢も好きな人との未来も全て諦めなければならないって。 主人公は、死ぬ理由を探します。 お国の為、好きな人を守る為、友の敵をとるため・・・。 建前の理由はたくさん見つかるけど、 主人公が見つけた自分なりの理由を知った時、 胸がつまりました。 感動とか辛いとかじゃなくて、 しばらくは何も考えられないくらい心が痛みました。 忘れてはいけない事実だと思いました。 | ||||
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| 第二次大戦中,つまり戦争を扱った作品なのですが, 派手や,血なまぐさい戦闘の場面などはいっさいなく, 『死』へ向かう特攻隊員の心理や成長が描かれています. しかしそれが,明日にも出撃しなければならない恐怖感や, 暗くて深い海から出撃する,圧迫感や緊張感を強くさせます. そんな中,狭い艦内で『そのとき』を待つ心境は想像もできず, 『出口のない海』へ深い想いを落とす主人公には胸が詰まります. また,ちょっと予想外のラストもとても不運でつらく, それでも絶望と恐怖の中,残された人たちを想う姿に…. | ||||
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| 戦争は同じ戦争の時代に生きても、実際に敵と戦ったり、防空壕で過ごしたり、様々であるから、共通した戦争観を持つことはきわめて困難である。 本書は回天の特攻隊員の主人公を中心に、物語が展開する。主人公は大学の野球部に所属していて、その日々の平穏な大学生活と激しい戦争が対照的で戦争が際立って感じた。回天についても良くわかるように書かれている。 私が、一番印象に残った箇所は「国や両親のために、敵艦に突っ込むのではなく、「回天」を後世に伝えていくため」というところである。 | ||||
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| 作者は力量のある作家だと思いますが、何でも自分を前提と して書かれる。それが新聞記者であったり警察官であったり ならば、著者略歴からもわかるようにリアリティをもって書 けるのでしょうが、ちょっとこれは・・・ 「歴史相対主義」ってご存じですか? その時代の感性で向かわなければ、まずその時代を理解はで きないのです。仁徳天皇陵(近頃はこういわないようですが) 造営工事を辻本清美元議員が糾弾しているような、この本は そんな感じでした。 | ||||
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| 映画化もされ、回天隊の存在を世の中に伝えてくれる作品という事で星2つの評価をした。 又、フィクションではあるが、史実に基づいた展開でその時代の背景を思い浮かべながら読み進められるので、ストーリーにリアリティが増せたと思う。 ただ、残念だったのが主人公の人物像設定である。 というのは、当時を生きた人間の感性や感覚をもう少し反映させて描いて頂きたかった。 これは恐らく現代にはありえない「死を約束する任務」という状況下において、主人公の心境を現代人の感覚で設定する事により「死へ向かうリアリティ」を現代人にも分かり易く付加させる狙いがあるのだろう。 確かにこれにより、その任務に立ちはだかった主人公の感情を存分に感じ取れる事が出来る。 しかし、この主人公とは対照的に「特攻をすれば祖国や家族や恋人を必ず救える」と固く信じ、純粋な想いで散華した回天搭乗員も居た事は周知の事実である。 私はこの一転の曇りもない切なる想いを抱いて散った搭乗員らを無視する事は決して出来ない。 本作では結果として特攻をしなければならないという状況に軍部が追い込んでいったという印象が強調され過ぎてはしないだろうか? もちろん当時の軍部を擁護するつもりで言っているのではない。 ただ、平和な状況下と祖国を防衛している状況下では物事に対する価値観は想像を絶する異なりがあるのではないだろうか? 余談だが、回天特別攻撃隊を創設する過程に、海軍上層部は当初は断固反対をしていた事実や、その回天を開発した2人の将校らの祖国防衛という鬼気迫った切なる願い、そしてその2人の将校も壮絶な死を遂げたという事などについても触れて頂きたかった。 | ||||
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| 甲子園優勝投手であるにもかかわらず、その後訓練中の怪我もあり投げられなくなる、ちょっとした誤解がもとで特攻を志願せざるを得ない状況に追い込まれる、敵陣に攻めるはずがそれができなくなる、なんと不運な人生であったろうか。いたたまれない思いを起こさせるに十二分だ。 | ||||
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| ひたすら戦争批判を終始わめき散らすようなことはせず、 タイムスリップなど奇抜な設定の人物を登場させるようなこともせず。 この作品の中で著者は、 “戦争”と“平和” “夢”と“現実”を、その狭間で悩み苦しむ主人公達を通して 丁寧に且つ冷静に描いている。 しかし、冷静だといってもストーリー性に欠けることなく、そこに著者の力量が窺える。 私は、特攻兵やその周りの人たちの気持ちや年齢を考えると そのあまりにも若すぎる登場人物達の苦しみに涙が止まらなかった。 是非、手にとって時間のあるときにじっくりと一気に読んでほしい。 著者の、若者達を包み込むような“想い”を感じられると思います。 | ||||
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| 人間魚雷で特攻という、堪え難い運命に翻弄されながらも、いつも潔く、力強く生きた主人公とまわりの青年たちに、戦争ものでありながらも爽やかさをかんじた一冊でした。 | ||||
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| 特攻といえばゼロ戦による体当たりと思いがちだが 「剣」「橘花」「桜花」「震洋」「伏龍」そして「回天」と よくもこれだけ考え出したなと驚くような特攻兵器があった。 魚雷に操縦席を取り付けただけの”人間魚雷”回天と 青春を散らしていった若者達を描くドラマだが、 さすが横山秀夫、最後まで飽きずに読ませてくれる。 どうしてもこの手の物語は 気持ちが暗くなって読み進めるのが辛くなってくるものだが 一流の作家にかかるとこうなるのか、と感心。 主人公が「回天を後世に伝えたい」というセリフがあるが 著者はそれを見事に果たしたといえるだろう。 | ||||
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| 映画化にあわせて文庫化され、大ヒットしている作品。読み始めた当初、すこし言葉使いや感覚が、その時代の雰囲気よりも軽め明るめで、そぐわないかな、と思ったが、段々その違和感が消えていった。 よく調べ、戦争の哀しさを伝えている。その時代に生きた若者達の、痛切な青春が感じられた。私は作品の中盤くらい、戦局が悪化し、徴兵猶予が撤回され、学徒動員に並木などのナインが掛かり、郷里のみんなに励まされ押し出されて、入営したあたりで、ボロボロ、ボロボロ、泣いてしまった。誰がなんと言っても、私はこの中盤あたりが好きだ! この作品の主人公は、「敵艦に勇猛果敢に突っ込んでいって、敢然悲壮なる最期を遂げる」のではない。読まれる方の楽しみを奪えないので、これ以上は書けないが、戦争賛美でもない、かといって頭からの反戦・戦前日本批判でもない、当代最高作家である横山秀夫ならではの、鋭い筆によって、物語は終わっている。この物語の終結は、この物語を描く以上、これ以上はない最上のものではないか。流石の一言に尽きる。 時代の悲しみを、突き放して批判するのではなく、主人公に対する大きな暖かな優しい目を失わないまま、毅然として「戦争批判」は、誰よりもしている素晴らしい傑作だ。 | ||||
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| 時速30ノット(50Km程度)走行中の艦船に数秒の目視で、 将来の位置を推測して、そこにぶつかって行く。 たった一人で、尚且つ、失敗時には自爆しかない・・・。 そんな兵器といえない兵器が現実に使われたとは、怒りを感じました。 こんなに怒りが湧いたのは何故なんだろう。 それは、職業軍人でない、野球に夢を持った主人公が夢を取り上げられ、 それでも、夢に向けて努力した主人公に感動したからかも、 反戦というより、「夢」を持つことの大切さを教えてくれている小説です。 こんど、映画が公開されますが、観て見たい映画になりました。 監督も「山田洋次監督」だし、どの様に映像化されるか楽しみです。 それと、回天は靖国神社の遊就館の1Fに展示されています。 興味をもたれた方は観に行ってください。 より、小説のリアリティが増します。 | ||||
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| 序盤は退屈だ−野球部というよくあるグループ付け、高校野球で大きな注目を浴びた天才ピッチャー並木とその挫折というよくあるエピソード、並木に絡んでくる幼馴染の女性というよくある恋愛談。それに対して妙に詳しくてそこだけ浮いている兵器の描写。 ところが後半、話は俄かに重たいリアリティを持って迫ってくる。並木は回天隊に入隊し、戦局は悪化し、いつ出撃するとも知れない状況になる。その事実を結婚を約束した幼馴染に伝えるべきなのか。機体故障で出撃できなかったことを逃げたと詰られる理不尽な状況。そしてこんなことでは愛する人を守れないと判っていながらも回天隊という場所から離れることなど出来ない状況。一億総玉砕に対して、「それでは身を呈する意味がないではないか」と考える並木。回天に乗り込み自分の命を差し出すのは、愛する人を守りたいからなのに、回天で敵艦に多少のダメージを与えたところで戦局はもはや変わるはずもなく、ましてや一億総玉砕なら愛する人も死ぬことを意味する。なら何のために自分は命を差し出すー?並木はひたすらに考え抜き、ひとつの結論を出す。そしてその結論を実行に移すのだ。 何となれば柵やらルールやらで「どうしようもない」「しようがない」という言葉が蔓延する世の中だけど、そうそう簡単に諦めてはいけないとこの本を読んでほんとうに感じた。どうしようもなくてもしようがなくても何かやれることは絶対にあるはずなのだ。そしてそんな簡単なだけど大切なことを、ほんとうに平易な言葉だけで語った物語で読者に強く迫ってくる。 | ||||
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| 死と青春、海(海底)と青空、潜水艦とグラウンド、回転と野球(魔球)などなど暗と明がうまく対比されていて暗いだけの戦争小説ではなく爽やかさも感じられた。 前半部分のマスターの子ども時代の父との別れのシーンで早くもウルウルしてしまった。後半にも胸にウッとくる場面が多く、早くページをめくりたいという気持ちと読むのがほんとちょっとつらいという気持ち両方の感情があった。 | ||||
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| あの時代の日本。世界に楯突いてどうにも引き下がれなくなってしまった日本。愛国の名のもとに神を信じ無敵を信じ戦場に散っていった多くの命。 戦争が人類最大の愚劣きわまりない行為だとしたら、そこで亡くなっていった尊い命はいったいなんだったのか。 人間魚雷「回天」は、戦況悪化を打破するため海軍が極秘で開発した特攻兵器である。しかし、この搭乗者もろとも吹っ飛んでしまう人間魚雷は開発から実用までの期間もないため、訓練事故で命を落としたり発射間際になって不具合がでたりと問題も多かった。 そうまでして勝たなくてはいけない戦争とは、いったいなんなのか。 特攻というあまりにも無残で無謀な作戦に参加しなくてはいけなかった人たちは、ほんとうに喜んでお国のために散っていったのだろうか。 野球を愛する仲間たち、郷里にいる家族と恋人、馴染みの喫茶店のマスター、海軍でできた仲間。彼らの並木に対する思いが残酷な死の決意の前にあざやかに照らしだされる。しかし、理不尽な戦争の犠牲を描いているにも関わらず本書の読後感は重くない。むしろ、大泣きしたあとのように清々しい気分にさえなる。暗澹たる史実と青春のさわやかさを対比させ、苦悩しながらも逃げることなく正々堂々と立向っていった一人の男を描くことによって、成しえる読後感だと思う。読んでよかった。 | ||||
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| 9月に映画が公開されるので、その前に読んでみました。 警察モノとは全く違う横山秀夫作品なのですが、細かな心理描写は筆者らしいと感じられ、お盆休みの間にノンストップで読み終えました。 あらすじは、甲子園の優勝投手であった主人公が大学で肩を壊し、それでも投げることをあきらめずトレーニングを続け希望の火が見えてきたときに、戦局の悪化によって野球が禁止になり、学徒動員され回天の特攻隊員に志願し、敗戦を予測しながらも死に自分の使命を見つけて散っていく、というものです。 人間であれば誰でも死にたくはない、しかし死ぬことが使命の特攻隊員としての心の葛藤が見事に描かれていると思います。 映画でそれがどの程度伝わるか楽しみです。 | ||||
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| 今度公開される映画「出口のない海」の脚本を担当した山田洋次監督が、解説の中で書いているように人間魚雷「回天」という言葉は知っていても、その構造を含めて知らないことばかりでした。そのあたりが、この本で氷解した感があります。 物語は、戦争を扱ったものですが、むしろ「青春小説」の趣がかなり強くあります。甲子園の優勝投手が肘を痛めて投げられず、それでも「夢」を捨てず、「魔球」の考案にかけています。それを陰日なたに支えるチーム・メートたちがいます。それに、オリンピックを目指すマラソン選手が登場し、ここと言う所で的確な助言を与えます。それに、幼馴染の女性も登場し、「青春小説」の道具立ては全部揃っています。 そうした青年の「夢」を襲う残酷な「戦争」という局面、それも極限の人間魚雷の搭乗者ということで、ぎりぎりまで突き詰めた状況での小説になっていて非常に良かったと思います。それと、もう一つは、青空のイメージのある甲子園の高校野球と出口のない「回天」の対照もなかなか効果的だったと思います。 何よりも、「戦争」を扱った小説というと暗くなり勝ちなのですが、それを「青春小説」として扱い良かったと思います。 | ||||
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| 警察、新聞社と男中心社会の人間ドラマを好んで書いてきた横山秀夫氏が、本書で選んだの舞台は「海軍」。第2次大戦末期、人間魚雷「回天」乗員として志願した特攻隊員たちの物語です。氏のテイストがはたして軍物にマッチするのかなぁと思いつつ読み始めたのですが、心配無用。横山氏お得意の短編集ではない長編物ですが、最後まで一気に読ませる文章の切れ味は健在でした。 魔球への夢を断ち切れない肘を壊した元甲子園優勝投手・並木をはじめとする登場人物は皆、戦争という波に乗り遅れまいとひたすら死に急ぐ。性能にもともと問題のある「回天」が次々と故障し特攻の順番が繰り上がっていく場面は、ディアハンターのロシアンルーレットのシーンを連想させるほど迫力満点でした。 読者をあっと言わせるどんでん返しは無いものの、そろそろ直木賞をねらってもいい著者が取り組んだ新境地の作品として、十分に評価できる仕上りになっていると思います。映画化決定ということですが、同じテーマを扱った「ローレライ」以上の出来を是非期待しています。 | ||||
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| 人間魚雷「回天」をご存知だろうか。特攻隊といえば空、海の特攻隊の認知度は空のそれには程遠いだろう。しかし海には「回天」という特攻兵器が存在したのだった。 「回天」とは、人間を歯車のひとつとして組み込む、約15mの一人乗り人間魚雷。脱出装置のない自爆兵器。皆に見送られて乗り込む時に、生きて自分の葬式を見せつけられる鉄の棺桶・・・・・ 本書の主人公は甲子園優勝投手・並木。大学野球では故障のため再起を図っていた。彼とその仲間の群像がさわやかなだけに、戦争に巻き込まれていく姿が殊に悲惨にうつる。 つい少し前まで青春の只中にいた青年が特攻兵になった時、どのように死と向かい合うのか想像もつかない。ひとつの事例がここに提示されている。「国のため」だけでは折り合いがつかず、「自分から死ぬためには理由がいる」としてそれを模索していた並木。その答えに思い至るまでの彼の心を推し量ると、胸が詰まりそうになる。むろん、極限下における感情の変化のありようが並木やその他の人物のとおりなのかそうでないのか実際はわからない。きれいに作り過ぎと思える箇所や、もっと掘り下げてほしいと感じた部分もある。だが「回天」を知り、戦争に翻弄された若者の存在を知る意味は大きい。この悲惨さ、無念さ。ぜひ読んでいただきたい。 著者の端正な短編ミステリーはもちろんすばらしいが、筆の力を他のいろいろなテーマにも振り向けてほしい。そう思った一冊でもあった。 | ||||
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| 横山秀夫といえば、今をときめく警察小説の第一人者である。 ’02年『半落ち』が「このミステリーがすごい!」国内編で第1位となり大ブレイク。その後も出す作品はほとんど「このミス」ランキングの常連で、いまや日本のミステリー界をリードする存在である。 そんな著者が、ミステリー作家として世に出る以前に、本書の元になる作品を書いていた。’96年発表の『出口のない海---人間魚雷回天特攻作戦の悲劇』である。この本は作画を『語り継がれる戦争の記憶』などのコミックを描いた三枝義浩が担当したマガジン・ノベルズ・ドキュメントと呼ばれるコミックスだったようである。本書はその全面改稿版だそうだ。 甲子園の優勝投手、並木浩二は、大学入学後、ヒジの故障を克服すべく、<魔球>の完成にすべてをかけていた。しかし、時代は並木の夢を、大きな黒いうねりの中にのみこんで、翻弄する・・・。太平洋戦争が始まったのだ。戦局の悪化による「学徒出陣」で海軍に入り、やがて “回天”特攻隊に志願する並木。そこで彼を待ちうけていたのは、真っ暗な“出口のない海”だった・・・。 戦争という過酷な状況下にあって、そのうえ、「国を、愛する人を、家族を守る」ために人の命そのものが武器である“回天”特攻隊員という‘先のない’運命にありながらも、<魔球>の完成を最後まであきらめない並木の姿は感動的である。戦争を「ああいう時代だった。時代が悪かったから仕方がない」だけでは済まされないものを感じた。 終戦から数十年経ったが、当時の記憶も記録も決して風化してはならない。 著者は’95年にも広島の原爆をモチーフにした感動のノンフィクション、『平和の芽---語りつぐ原爆・沼田鈴子ものがたり』を著しており、この時期の著者が反戦・平和への祈りに傾倒していたことがうかがえる。 本書によって読者は、ミステリー作家としてブレイクする以前の、横山秀夫の原点を垣間見ることができる。 | ||||
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