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(短編集)
陰の季節
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陰の季節の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全109件 81~100 5/6ページ
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本作は警察を描いた作品であるが、犯罪捜査を主とする作品とは一線を隔す異色作である。 刑事が花形だとすると脇役の、つまり影の部分を勤める内勤の警察官に焦点が注がれているのである。 警察組織は純然たる縦社会である。その組織の中で交錯する謹厳さと野心の活写は、読後にすっきりした印象を残さないが、警察組織のエレメントがわれわれと同じ「人」であることをあらためて思い知らされる。 短篇ながらも、ひとつひとつの物語性はしっかりしており、また「半落ち」に用いられた連鎖短篇の手法も垣間見られる。 余談だが、第3篇「黒い線」は、短篇であるが故に根本的な問題が未解決のまま幕を閉じる。作者もそれを気にしたのかどうかわからないが、この短編の準主役平野婦警は同著者の作品「顔」で、再び登場する。 | ||||
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ミステリーかと思ったら、いやミステリーなんだけど、 なんだか藤沢周平の時代小説の世界に入ってしまった感じです。 つまり、十手持ちやら剣客やらが出てくるのが時代小説だと思っていたけど、 小藩の管理職や名もない藩士たちが主人公で、 野心や自負心や忠誠心の狭間の中で、人生の悲哀が展開される…… という時代小説もアリだったのね!という感じ。 警察の裏側、という感じで、 出世を巡る話が多く、どれも苦い。 ただし、 天下り先まで考慮に入れて人事パズルを組み立てている話。 その天下り先での豪華な待遇。 議会対策で菓子を持って挨拶回りをする警察官なんていうのも出てくる。 税金を払う側の一般庶民としては、ちょっとムカツク内容でもある。 | ||||
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着想とデティールはまあまあですが、種明かしまでの起承転結の 「転」が弱い。ブン屋出身の作者ゆえ、事実の積み上げはよいが、 ストリーテリングは不得意なんでしょうか。あまり関心できません。 さして面白くはないですが、こういう書き方もあるのだということ で、時間つぶしにはなるでしょう。 | ||||
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推理小説だから警察官が出てくるのは普通じゃん?と思いながら読み始めたんですが警察官は警察官でも・・・管理部門って!登場する人々がスーパーマンではなく実在していそうな感じなのでどんどん引き込まれて一気に読んでしまいました。 | ||||
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第5回松本清張賞受賞作&第120回直木賞候補作(この時の受賞作は宮部みゆき『理由』)である「陰の季節」他、3作品を収録するD県警シリーズ第1弾。 いわゆる警察小説だと思って本書を読んだら、面食らうと思います。 なぜなら、現場の刑事が事件解決に奔走するというようなところは一切ないからです。 本書で活躍するのは警察を裏で支えている管理部門の刑事達。 そう、外からしか警察の世界を見たことのない者にとっては、現場の刑事より遥かに想像しにくい存在にスポットが当てられているのです。 そんな人達の仕事は一見地味なようですが、体でいう背骨のように、警察という組織を支えていく上で必要不可欠なものであると感じました。 「彼らがいてこその現場の刑事という面もあるのでは…」とさえ思えてきます。 いわゆる警察小説、警察ドラマのような派手さは全くありませんが、“渋い”感じがヒシヒシと伝わってくる警察小説ではないような警察小説である本書を是非読んでみてください。 警察という組織の新しい一面に出会えること請け合いです。 ソレデハ… | ||||
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この作品、いわゆる「警察小説」などという表現で扱われている。私自身は、過去、『マークスの山』(高村薫)、『犯人に告ぐ』(雫井脩介)などの「警察小説」を読んできたけれども、大きく異なっている。上の作品は、あくまでも「外的な事件」が発生し、それに対する警察内部での手柄争いであったりとかが描かれているわけだけれども、この作品では「外的な」事件は発生しない。大物OBの天下りを巡る攻防を描いた『陰の季節』。ある警部へのスキャンダルが監察課へと届けられたことから始まる『地の声』。似顔絵捜査官の失踪にまつわる『黒い線』。そして、議会対策を描く『鞄』。どれも、外部の一般人は「事件」と感じないものばかりである。警察内部の人間関係の攻防を描いた作品群、それがこれだと思う。勿論、ただ警察内部での攻防が描かれているわけではない。ミステリ小説らしく、最後には見事にどんでん返しを決めている。確かに、これは面白い。 | ||||
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警察官も所詮サラリーマン。そのサラリーマンの悲哀を感じさせる珠玉の短編集なのだが、あまりにも身に包まされて再読したくなくなる。 | ||||
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元記者さんだけに、文章はデビュー作からプロのもの、といった趣。かなり硬質な文体だと思うのですが、リズム、テンポが抜群で、流れるようにスイスイ読めます。濃密にして軽快。一編読むのがあっという間です。その気になれば長編まで延ばせそうなプロットを、潔く引き締めて珠玉の短編に。重厚だけど、詩と叙情があって快い読後感。当代きっての短編の名手がデビューした、記念碑的作品です。 | ||||
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事件は警察内部で起こる。問題を起こしたのも警察官なら、それを調べるのも警察官だ。内部の事情を詳細に描いたこの作品は、作者の警察という組織に対する知識の深さを、まざまざと見せつける。殺人事件などの派手な事件を追うのではない。しかし、この作品から目を離せないのは、緊迫する人間の心理をたくみに描いているからだと思う。追い詰められた人間の息づかいが読み手まで伝わってくる。全てが終わった後に残る余韻・・。一味違うミステリーだった。 | ||||
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『動機』の次に読んだので、その続編の感あり(実際はこちらが先行)。この小説も、殺人などのセンセーショナルな事件を直接に扱ったわけではなく、従って舞台も捜査畑とはならず、すべてD県警本部の警務課、監察課、鑑識課、秘書課、という管理畑が舞台となる。人々の野心と野心のぶつかり合い、自分の中の野心と良心との確執が息詰まる程リアルに描かれ、ページを捲る手が止まらない。 | ||||
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一般的に警察小説というと、刑事が事件を追って犯人を捕まえるまで・・みたいな感じのものが多いのですが、横山さんの作品は、それとは違う内部の警察組織を管理しているデスクワーク組の小説という感じです。警察官もサラリーマンなんだなぁ・・と、そんな感じがする小説です。 | ||||
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名刑事が登場しない警察小説。もしかして記者時代に取材したことのある警察内部のドキュメンタリーでは?と思うくらい、一人一人の警察官の息づかい聞こえそう。市民の安全のため、家庭をかえりみない地味な警察官達の、ため息がきこえそう。さりげなく添えられている数行の、家族に対する「詫びの心境」が、読者の心にジーンとしみる。単なる謎解き物語ではない横山ワールド。この社会を支えている、どこにでもいそうな人間を、いとおしく切なく悲しく描いてみせる技に酔いしれて、一気読みさせられた。 | ||||
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私はこの本を出張の時間つぶしに、と思ってなんとなく買って電車の中で読んでいたのだが、続きが気になって思わずホテルでも読んでしまった。舞台は「警察署」がメインだが、警察もサラリーマンなんだ・・という当然の事に気づかされた。短編を読んでいくごとに、各主人公に悲壮感が漂ってくる。板ばさみにあっている主人公に思わず同情してしまう。同情というより共感というべきか。個人的に一番好きなのは「鞄」。ここまでじゃないにしても、濡れ衣を着させられた経験が全くない、という人は少ないはず。 | ||||
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横山秀夫のページターナーとしての筆が冴えわたる短編集。予定調和の人事異動を無視する男の真実 「陰の季節」監察官のもとに舞い込んだ密告に始まる驚愕のドラマ 「地の声」お手柄婦警はなぜ突如失踪したのか 「黒い線」「「爆弾質問」が出る」その謎を必死に追う男の悲劇 「鞄」憎悪、不信、陰謀、嫉妬、悲哀、こういった言葉がふさわしい人間のナマの感情がうずまくプロットと物語の最後におとずれる衝撃のカタルシス(浄化)一つ選ぶとしたら、やはり「地の声」、この結末は予想できなかった。 | ||||
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警察小説というとやはりまず事件ありきでそれを追う刑事が主人公となる場合がほとんであろう。しかしこの小説は大事件もなければそれを追う超人的な刑事も登場しない。登場するのは人事担当の警察官であり、監察官である。地味な役回りの警察官が自身の保身に汲々とする姿はしかし悲哀を感じさせ、親近感がわく。案外これが本当の警察官の姿なのかもしれないと思わせる。とにかく心理描写が卓越しておりどっぷり浸れる。短編集であるが、是非長編も読んでみたいと思った。 | ||||
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警察本部の管理部の人間を描いていて通常の警察小説とは印象が異なる。それでも人の心理の裏読みをしつつ、そこにあるのは自分自身の心象そのものである。言葉では語られない人間の内面を推理しながら、人間の陰に踏み行っていく。弱さも強さも時には陰であることを知らされる。 | ||||
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この小説では人は死なないで事件もおこらない。でも面白い。特に組織・人事に敏感なサラリーマンにはたまらないでしょう。いまや死語となりつつある官僚組織におけるエリートの悲哀が存分に織り込まれつつストーリ展開も読めない。人間の心理の奥深さを感じさせてくれます。 | ||||
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警察という組織の中で生きていく人間の物語。ミステリの形をとり、その中に登場人物の感情がにじんでいる。その感情は愛とかやさしさとかのやわらかいものではなく、ある意味での使命感や打算によって裏付けられた硬いもの。そしてその感情は誰の胸にも秘められている。そうした感情の描写に惹かれます。 | ||||
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人事に対する反抗、内部告発など、警察内部での事件を題材とした物語4つです。D県県警の管理部門の人々(人事の担当、監察官など)が主人公になります。どの話も、警察という村社会でおこる出世争い、権力闘争っぽい話で、勧善懲悪的な楽しさはないです。が、題材の珍しさ、本当にあってもおかしくないようなリアルさでに、引き込まれ、一気に、4つとも読みました。人間の醜い部分を読んで、読んだ後は、よかったような、悪かったような、妙な気分に襲われる、珍しい本でした。怖いものみたさ(?)と同じような感覚で、同じ筆者の別の本が読みたくなりました。 | ||||
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この”陰の季節”は今まで読んできた警察ものとはちがい、通常他の小説では無視されがちな部分にスポットライトがあてられている。それゆえか、この本は刑事を主人公とした小説に比べ新鮮に感じられるのだが……、結論へのもって行き方が少々強引ではないかと思われる。主人公の想像だけで結論に持って行ってしまう。特に表題作”陰の季節”と”地の声”。推理小説なのだから”推理”するのは当然なのだが、いまひとつ説得力に欠ける。”警察小説”としての斬新さは評価するが、ミステリとしてみた場合ツメが甘いような気がするのは私だけだろうか。 | ||||
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