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私の家では何も起こらない
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私の家では何も起こらないの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全26件 21~26 2/2ページ
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『幽』に連載された作品を加筆修正したものに書下ろしを加えた、10本の連作短編を収録小さな丘の上の家を舞台とした、幽霊屋敷もの「私の家では何も起こらない」アップルパイを焼いているキッチンで殺しあった姉妹が住んでいた屋敷が舞台死者の特権が静寂なら、生者の特権は喧騒か 幸福も、そして不幸も生者のみに与えられたものなのかもしれない「私は嵐の音に耳を澄ます」丘の上の屋敷で起きた攫ってきた子供を調理し、旦那様に食べさせる使用人の事件攫われた少女の視点で書かれますかなり猟奇的な内容ですが、死者の穏やかな視点で書かれている為グロテスクな描写は殆ど無く抑えられた文体で書かれているそこが、逆に恐怖感を倍増させる恩田さんはヒトが悪い(これは褒めているのです)「我々は失敗しつつある」死者が幽霊屋敷に留まれるのは、その場所に対して因縁があるからなのか幽霊として留まり続けるには、やっぱり深い業が必要なのか「あたしたちは互いの影を踏む」アップルパイが焼けるキッチンで殺しあった姉妹彼女達の惨劇の模様が描かれるその引き金は、屋敷で起きた過去の事件の面影だったのかそれとも彼女達自身の過去にあったのか「僕の可愛いお気に入り」理知的で、大人びた性格ゆえ、世間に絶望している美少年彼には秘密が2つあった丘の上の屋敷の地下にいる少女との親交そして、彼は連続殺人鬼であった彼は地下の動かない少女の傍らで自殺することで自らの短い人生に決着をつける「奴らは夜に這ってくる」古代から言い伝わる「這う奴ら」という怪物怪物は、本当に存在するのかそれとも、それは不幸の連鎖なのか不幸とは世代が変っても繰り返し感染していくものなのか静寂の内に幕を開けた物語は、どんどん、剣呑さを増していく「素敵なあなた」この丘の上の屋敷を建てた家族の物語最初から不幸が付き纏っていたことが明かされるやはり、この土地自体にも何かの因縁があるようだ「俺と彼らと彼女たち」新しく小説家がこの丘の上の屋敷に住むことになり、大工の親子が家を修繕することになる彼らは、この家で多くの死者達を目撃する家が取り壊されることを心配する死者達も、彼ら大工たちの目的が修繕であることを察すると自ら傷んでいる箇所を教えるなど、協力的となる和やかなテイストだった「私の家へようこそ」人の生活空間で、過去に人が死んでいるのは当たり前であるそれなら、人のいる殆どの土地には死者がいるはずだ世の中全体が幽霊屋敷なのかもしれない土地に積み重なった人間の記憶が外側に作用すると幽霊となり内側に作用するとデジャ・ビュとなるこの考えは、非常におもしろかった「附記・われらの時代」SF的な壮大なヴィジョンを感じさせる結末だった予想外の終着をむかえた | ||||
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自分の中に密かに潜む狂気が、いつの間にか、忍び寄ってくるような、静かな怖さを感じる作品です。 全体を通して、過去と現在の事象が、淡々と乾いた視点で描かれている所が、一層怖かった。 主人公達は、過去の屋敷の幻影によって絡め捕られていくと思いきや、過去の亡霊はただそこに留まるだけ。自ら狂ったのは・・。 | ||||
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楽しみにしていたこの本。 他の方も書かれていますが、まずタイトルからして! 「私の家では何も起こらない」。 起こるに決まってんだろう、とほくそ笑みながら読みましたが、 やはり良い。 丘に建つ、ある幽霊屋敷にまつわるお話で、 幽霊屋敷という言葉に少なからずときめく人ならハズレはないです。 説明が自然になされていて、どんどん読める。 静かな怖さ満載で、また適度に(?)猟奇的なのですが、 この方の場合 書き方がとても上手い。 ただもうやたらに残酷な描写を続けるのでなく、 整った文章でとんでもないことがさらりと描かれているので、 読み流してから「え?」と目を見開くことしばしば。 恐怖の美化が適度で、気取りすぎず心地好い。 一気に読んでしまいました。 恩田氏のホラー作品を何冊か読み、 とにかく「引っ張りの名手」であると痛感。 核心をなかなか明かさない小説はごまんとありますが、 恩田氏の作品は「出し惜しみ感」が皆無に感じられます。 いいから早く明かしてよ、という気分にならない。 フィナーレのために冗長な文章を追わなきゃならないのではなく、 今読んでいる箇所が面白いのに、猛烈に先が気になる。 故に、この方の作品はいつも切り上げ所が難しいのです。 あと1ページだけ、この章が終わるまで…と読んでいると、 気になる部分が次から次へと現れて、どうしても先が知りたくなる。 結局夜明けまで、なんてことも何度か。 ただ、引っ張ってるだけあって結末には納得いかない時もある。 途中までこれだけ夢中にさせてくれれば文句ないですが。 文章が上手いので、 頭の中にイメージが浮かぶまで先に進めない私は非常に助かっています。 世にこれだけ恐怖モノが溢れている中で、全く陳腐にならないのは流石の一言。 装丁も含め、ツボに入りすぎの一作でした。 怖いモノ好きな方は是非。 長文失礼致しました。 | ||||
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恩田陸氏は、私が最も好きな作家の一人です。『六番目の小夜子』を読んで、すぐに虜になりました。 ミステリ、SF、恋愛、青春小説……氏が書かれるどのジャンルの作品も好きですが、やはり最も好きなのはホラー要素を含んだ作品です。氏の書かれるホラーを読むと、まるで幼い頃に見聞きして以来、忘れることなく胸にしまわれていた、美しい残酷な童話に再び巡り会えたような感覚にとらわれます。 この作品もそうです。丘の上に建つ、あたたかい日差しに包まれた古風な洋館をめぐる、十の短編連作小説。平易ながら繊細な、考え抜かれた文章で紡がれる穏やかな雰囲気の物語。しかしその温もりの裏には、背筋を震わせる凄惨な事象が隠されています。 氏は「ノスタルジアの魔術師」と呼ばれているとのこと。最高の表現だと思います。その魔術師の手で紡がれる優しくて怖い童話を、ぜひお読みください。 | ||||
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この本を手に取った時、可愛らしいお話なのかなと漠然と思ったのですが、 これがまさかのホラーで、意表を突かれました。 わかりやすく読みやすい作品です。 一軒の家にまつわる10のお話で、それぞれ主人公の違う連作です。 凄惨な事件が軽い口調で語られるので、 コミカルな感じもしてサラッと読めると思います。 難点はやはり10番目のお話ですか。 これは本書を発行するにあたり加筆修正されたものとのことですが、 蛇足だったような気がします。 9つのお話だけでまとまっていて余韻もあって、 久々に気持ちよく読み終えたような気がしていたのに、 最後の章で焦点がぼけたというか、 急に哲学的で難しい本になってしまいました。 そこが残念でした。 | ||||
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恩田陸さんの小説はジャンルが多岐にわたっているので正直当たり外れがあるのですが、 個人的にひさびさの大当たりでした。 装丁も申し分なく綺麗だし、何よりタイトルが良い。 「私の家では何も起こらない」 …え?何も起こらないの?と思って帯を見てみれば、 「この家、あたししかいないのに、人がいっぱいいるような気がする…」 うわあぁ!めちゃめちゃ起こりそうだよ!! 暖房のガンガンきいた本屋で、ぞくっと背すじに寒気が走りました。 見事なホラーです。 淡々とした語り口が逆に恐怖を煽ります。 謎が謎を呼ぶ連作短編形式で、一気に読んでしまいました。 書き下ろされた最後の附記にも恩田さんらしさが滲み出ていて、 終わらない物語の中に放り込まれたような、不思議な余韻に包まれました。 この本は、夜読んではならない。 | ||||
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