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生殖記



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【この小説が収録されている参考書籍】
生殖記

生殖記の評価: 3.88/5点 レビュー 24件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.88pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全15件 1~15 1/1ページ
No.15:
(5pt)

めっちゃよなった
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
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No.14:
(5pt)

さすがだった

うすぼんやりと思っていたことを清々しいぐらいに言語化してくれた
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
4093867305
No.13:
(5pt)

柔らかい語り口で、蒙を啓かれる

社会の不条理を、面白い語り部が、鮮やかに詳らかにします

不条理を当然視する側と、それに甘んじざるを得ない主人公との対比から、ヒトの課題を示しつつも

読後感は素晴らしく、とても面白いです!
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
4093867305
No.12:
(5pt)

揺さぶられる

人生観、幸福観、社会観として今までなんとな〜くゆっくり築かれてきたが、強固に築かれている(と気付いた)ものが揺さぶられる。
正欲と同じく、読む前の自分には戻れない。いや、戻るかもしれない。けど違うルートを辿るはず。
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
4093867305
No.11:
(5pt)

救いが無いけど面白い

すごい視点で書かれてて、声を出して笑うところもあれば、怖くなったり気味悪くなったり。
結末で救いがほしい!と思いながら読み進めるも、そう単純にはしてくれなかった。
問いを残してくれた本。暇と退屈の倫理学にもつながるかも。
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
4093867305
No.10:
(4pt)

浅井ワールドに二日酔い

この作家の批判覚悟の舌長な作風。テーマは見えているが、そこをどう料理するのかを楽しみながら読み進めた。奇妙奇天烈な設定に慣れるまで戸惑うが、それも一興。オチのつけ方は浅井リョウらしい、微妙な落とし方。現代の性の行方が今後こういう風になるかもしれない、という浅井説に、納得させられるのも愉快。この作者はいつもそうだが、曖昧模糊とした得体の知れないナニかが読後も残り続ける。だから好き嫌いは別として、浅井ワールドがもっと過激な分野に突入するのを待ちたい。
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
4093867305
No.9:
(4pt)

暇と退屈の倫理学×LGBTQ×SDGs

朝井さんの小説は、絶妙に流行りが昇華されていて必ず新刊を追ってしまう。
読みやすさ、適度な抜け感など、すごく上手い作家さんだと思う。稀有~
マイナスは、不必要に読みにくい漢字を多用する点(初回出現時のみ読み仮名ついていますが)、主人公の「私」呼びに最後まで違和感がぬぐえなかった点、主人公の内省なのか、生殖器の語りなのかが時々混乱する点。
でも、読んで損はしない一冊だと思います。
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
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No.8:
(5pt)

ちん● 哲学を語る

タイトルの『生殖記』
すなわち
生殖器が 語りべとなった
壮大なる 人生哲学!
欲のかたまりのような存在が
よくもまぁ
無欲の人間の 考えを
代弁出来たものだ(笑)
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
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No.7:
(4pt)

ちょうどよかった

これを読みながら、自分は社会人になってからは拡大・発展・成長を前提とした生き方を嬉々としてやってきたと思っていたが、思い込みであり、好きというより評価されたいゆえ半ば無理してたところもあるのかもな、本当はどうでもいいな、を押し込めて真面目に働いているんだ、と気づいてしまったところでなんだかさみしくなった
でも、次が決まってるってたしかにいいよなと整理がつき、投影して読んでただけあって、主人公が思考停止も前向きになってよかった、自分も次を決めることで楽に生きていこうと思う
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
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No.6:
(5pt)

面白い

主人公の心の動きに共感できるところがあって面白かった。
多様性への配慮が行われた結果、本当は土足で踏み込んで引っ張り出してほしい局面でも踏み込んでもらえなかったシーンが妙にリアルだった。
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
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No.5:
(5pt)

主人公・尚成がたどり着いた哲学が新鮮で強烈だった『生殖記』

答えのない問題提起を投げかけてくる朝井リョウさんらしい素晴らしい小説でした。読み終わった後に咀嚼して感想をまとめるのに少し時間がかかりましたが、いまのぼくが思うところをまとめてみました。

<拡大・発展・成長を前提とした社会にモヤモヤ>
本作の主人公・尚成は同性愛者です。尚成の生殖機能が人格をもっているという設定で、その生殖機能が尚成の生活を観察し解説しながら物語が進んでいきます。

現代社会は資本主義や異性愛を主軸としていますが、いずれも拡大・発展・成長を目指しています。この現代社会の中で主人公・尚成は、社会や個人の拡大・発展・成長には「どうでもいいなぁ」と興味関心がなく、達観した目線で生き延びることに専念しています。

ぼく自身としては、拡大・発展・成長が幸せに繋がるわけではないし、気候変動などの環境問題もあるわけで、会社や社会は拡大・発展・成長しなくても良いと考えています。拡大・発展・成長を前提とした資本主義社会はいずれ限界がくることはわかりきっているのに、限界がくるまで続けようとしている社会に多少はうんざりしつつも、その資本主義のゲームにしっかりと組み込まれて普通にプレイしながら生きているし、さらには拡大・発展・成長に貢献できて嬉しいと感じる時もある。

「本気で〝地球のために、できること〟をヒトに問うのならば、回答は一つ。絶滅です。」という本書の記載はその通りだと思ってます。一方で、絶滅まではちょっとなぁ…と、仮に絶滅するボタンがあっても押す勇気や気概はなく中途半端な感じです。会社や社会が変わる画期的なアイデアも力もないので、進み続けるしかない資本主義を進めつつ、いまある生を真っ当に生きようとモヤモヤしながら生きている。そんな感じです。

<モヤモヤした状態のまま拡大・発展・成長に寄与する>
本書に記載の通り、ヒトの特性として、ヒトは理由もなく初期設定として共同体の拡大・発展・成長を目指している。ヒトが現代社会で拡大・発展・成長に寄与するのは3通りあります。
- 1つ目は、子供を産んで育てていくこと。
- 2つ目は、労働により会社を発展させていくこと。
- 3つ目は、社会の成長や地球全体の改善に繋がる取り組みを行うこと。

ぼく自身の場合、1点目の子供については現在子供はいないのでスキップして、2点目・3点目に関連する労働について考えてみます。

ぼくが仕事で、特にマネジメント層の人たちと拡大・発展・成長を前提とした話をする時がありますが、そのたびにモヤがちょっとずつ溜まっていき、ある程度貯まるとモヤモヤしています。
ぼく自身としては、
- 会社や社会は拡大・発展・成長しなくても良い。
- 目の前に困っている人たちがたくさんいて、自分にはそれを改善できるアイデアと実行力があるから助けてあげる。
- その人たちも喜んでくれて、自分も嬉しい。
というようなロジックで仕事をしています。このロジックで仕事をしていても、結果的には会社や経済の拡大・発展・成長には寄与しているので、「ビジネスを維持・拡大していきます」って自分の心に嘘はつかず表面的に言っています。

本書の尚成はどうかと言うと、拡大・発展・成長とは別次元で生きるために、拡大・発展・成長の社会で無心でお金を稼いで自分の世界に金銭、食糧、生活必需品等を調達している、という考え方です。

<ヒトは走り続ける理由が欲しい>
また、別の重要なヒトの特性として「走り続ける理由が欲しい」というものがあります。

ヒトは、ただ今を生きることを続けていたら、何かを考える状態に入ってしまい、すぐに精神を病みがち。ちょうどいい目標や生きがいが欲しい、自分を人間や社会的動物であり続けるよう見張ってくれる監視カメラを欲しい、走っていたほうが楽ちん、という特性があります。

子供でも仕事でも社会貢献でも、それ以外でもなんでも、長い寿命の間にヒトが走り続けられる理由をずっと見つけ続けなければならないという大変な課題があります。

<尚成がたどり着いた哲学が新鮮で強烈だった>
ぼく自身はなんとなく折り合いをつけて、直接的には拡大・発展・成長に反対ながらも、間接的には仕事をしながら拡大・発展・成長に貢献して過ごしています。

本書で主人公・尚成がたどり着いた哲学が新鮮で強烈なものでした。

まずは、拡大・発展・成長のレールに乗らずに、ちょうど良い目標をこなし続ける。そのために、尚成は、徐々に難しいお菓子作りに挑戦しながら、ひたすら高カロリー食を作り摂取する。そして、カロリーを消費するためにトレーニングする。これをひたすら繰り返していくものでした。

さらに、こうやって時間を消費していく内に、テクノロジーが発展して生殖医療や体外発生が進めば、異性愛者にできて同性愛者にできないことがなくなっていく。そのような未来に向かっていくだけで尚成の幸福度は上がっていく。尚成自身の幸福度を〝異性愛個体から特権意識が引き剝がされる未来〟に司らせていると、自分が自身や社会の拡大・発展・成長をしようがしまいが関係なく、心身が時間的に前進することだけで純粋に幸福な状態になれるというものでした。

ぼく自身の例で考え直してみると、ロードバイクやトレーニングで、拡大・発展・成長とは別軸で、ちょうど良い目標をこなし続けていく。または、写真や読書でひたすらインプットしてアウトプットすることを繰り返していく。これらは、いまも実践してますし、それなりに達成感・幸福感を味わいながら、今後も時間を消費していけそうです。一方で、これだけでは、自分自身がどうなろうが時間が過ぎていくだけで純粋な幸福状態になるという境地までは辿り着けていません。その境地に辿り着けると無敵状態なんだろうなぁと思いまし、どうにかこうにかして見つけたいものです。
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
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No.4:
(5pt)

『正欲』の濃厚な部分をビュッと発射

ネタバレは避けますが、『正欲』の濃厚な部分をビュッと発射したような作品。ジャンルは分かりませんが、紛うことなき名作。読む前と後で世界の見える方が変わる。
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
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No.3:
(4pt)

思考を止めるという贅沢を手に入れた物語

主人公は性の特殊性故に幼い頃から生きづらさを感じており、マジョリティの有無を言わさぬ思考停止、こちらを視界に入れない圧倒的な排除性に怒りを感じ、また憧れてもいた。
主人公は、周りにそうとは気づかれぬよう、自分以外が自分にそうするように、周囲を排除して生きてきた。
図らずもそれが好意的に取られており、それを脱する機会も環境もあった。
しかし脱しなかった。脱する事が正しいわけではないからそれで良い。
主人公はこの状況を望んで、自己に関しては達成した。おめでとう、平穏。
だけどなんかさみしい。読んでいた私は。
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
4093867305
No.2:
(5pt)

軟投派作家が繰り出す多彩な変化球を表現した小説。どこまでもアイロニーの世界

朝井リョウさんの小説は、平易な言葉遣いだから読みやすいし、ちょっとしたジョークの入った
文章を織り交ぜていて、野球に例えるなら軟投派のピッチャーです。
二つほど洒落の入った文を挙げます。

・世紀の大誤算です。性器だけに。はい。
・ずっとがんばれ~と思っていました。箱根駅伝の沿道みたいな感じで。

そこに剛速球はありませんが、手元で変化するために捕らえられそうで捕らえられない難しさを
はらんでいます。

タイトル『生殖記』の延長線上で素直に読むと、LGBTQ+の物語です。”オス個体” の主人公が
周囲にいる人との関わりによって、”変化” していく様が描かれています。
それだけではありません。語り部の ”私” は、現在の日本(人)に向かって、中辛な皮肉をこれでも
かと繰り出します。
「思考停止」「表層的で中身のない発言」「空気を読む能力だけ上等」など。
LGBTQ+だけでなく、SDGs も多様性も、多くの人が唱える正論だからそれに従った発言をする
けれども、本音は自分に関係ないところでの無関心ぶりを炙り出しています。

面白いのは、主人公が単に自分のこと以外には無関心なだけなのに、近くにいる同僚や後輩からは
「受け止めてくれる人」と好意的に受け止められていることです。
これは何となくわかります。悩みを打ち明けたときに、こちらの感情以上に受け取って反応される
と、かえってわかってもらえていないなぁとか、シンドイ気持ちになったことは誰もが経験している
ことです。適度な感情の排除はよい聴き手の条件ですが、そんな技術を使う意図のない主人公を、
周囲がプラスに誤解していることも、現代のコミュニケーション不全を暗示しています。

朝井さんが表現したかった大きなテーマのひとつは、成熟しきっていて、これ以上の拡大、発展、
成長は企業も国家も個人も不可能だと気づいているのに、立ち止まることができなくなっている
ことへの警鐘です。
ある種、ひとりでこの風潮に抗っている主人公ですが、”その止められなさから出てくる発明に幸福
度を預ける” という皮肉な結末で物語を終えます。読み終えたあとに、モヤモヤが残ります。

最近の小説では、伏線回収や分かり易いストーリーが好まれています。
冒頭にも書きましたが、この小説は結構難解で、おそらく読み方の正解がありません。
ただただ、諧謔をいくつかのテーマについて提示している著者に対して、ここには答えがない
と困惑するのではなく、自分の頭で考えてみなよと挑発しているかのようです。
単純さが求められる時代に、こんな打ち返しにくいボールを投げてくる朝井リョウ。感謝です!
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
4093867305
No.1:
(4pt)

ヒトの正体を暴く

一人称でも三人称でもないある”主体”に語らせることで、ヒトという生き物の本質を、そこまで言わなくてもいいというくらい暴きまくる小説です。ヒトをヒトたらしめるのは高度に発達した知能と思考。けれど、知能がやたら発達してしまったおかげで、ヒトは感情をこじらせるという欲しくない能力まで手に入れてしまった。そのため、ヒト社会を縛る規範から逸脱してしまった個人は、自分の感情とどう折り合いをつけるかという問題を抱えてしまう。規範から自分を遮断するか。それとも、変化を求めて行動を起こすか。

多くの人が、多かれ少なかれ同じような悩みを抱えて生きながら、その衝動の正体を上手く理解することができていない。そんな「しっくりこない」感情が巧みに言語化されており、読んだ後に心が少し軽くなる感覚を得られる小説である。
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
4093867305

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