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生殖記



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【この小説が収録されている参考書籍】
生殖記

生殖記の評価: 3.88/5点 レビュー 24件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.88pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全24件 21~24 2/2ページ
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No.4:
(4pt)

思考を止めるという贅沢を手に入れた物語

主人公は性の特殊性故に幼い頃から生きづらさを感じており、マジョリティの有無を言わさぬ思考停止、こちらを視界に入れない圧倒的な排除性に怒りを感じ、また憧れてもいた。
主人公は、周りにそうとは気づかれぬよう、自分以外が自分にそうするように、周囲を排除して生きてきた。
図らずもそれが好意的に取られており、それを脱する機会も環境もあった。
しかし脱しなかった。脱する事が正しいわけではないからそれで良い。
主人公はこの状況を望んで、自己に関しては達成した。おめでとう、平穏。
だけどなんかさみしい。読んでいた私は。
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
4093867305
No.3:
(5pt)

軟投派作家が繰り出す多彩な変化球を表現した小説。どこまでもアイロニーの世界

朝井リョウさんの小説は、平易な言葉遣いだから読みやすいし、ちょっとしたジョークの入った
文章を織り交ぜていて、野球に例えるなら軟投派のピッチャーです。
二つほど洒落の入った文を挙げます。

・世紀の大誤算です。性器だけに。はい。
・ずっとがんばれ~と思っていました。箱根駅伝の沿道みたいな感じで。

そこに剛速球はありませんが、手元で変化するために捕らえられそうで捕らえられない難しさを
はらんでいます。

タイトル『生殖記』の延長線上で素直に読むと、LGBTQ+の物語です。”オス個体” の主人公が
周囲にいる人との関わりによって、”変化” していく様が描かれています。
それだけではありません。語り部の ”私” は、現在の日本(人)に向かって、中辛な皮肉をこれでも
かと繰り出します。
「思考停止」「表層的で中身のない発言」「空気を読む能力だけ上等」など。
LGBTQ+だけでなく、SDGs も多様性も、多くの人が唱える正論だからそれに従った発言をする
けれども、本音は自分に関係ないところでの無関心ぶりを炙り出しています。

面白いのは、主人公が単に自分のこと以外には無関心なだけなのに、近くにいる同僚や後輩からは
「受け止めてくれる人」と好意的に受け止められていることです。
これは何となくわかります。悩みを打ち明けたときに、こちらの感情以上に受け取って反応される
と、かえってわかってもらえていないなぁとか、シンドイ気持ちになったことは誰もが経験している
ことです。適度な感情の排除はよい聴き手の条件ですが、そんな技術を使う意図のない主人公を、
周囲がプラスに誤解していることも、現代のコミュニケーション不全を暗示しています。

朝井さんが表現したかった大きなテーマのひとつは、成熟しきっていて、これ以上の拡大、発展、
成長は企業も国家も個人も不可能だと気づいているのに、立ち止まることができなくなっている
ことへの警鐘です。
ある種、ひとりでこの風潮に抗っている主人公ですが、”その止められなさから出てくる発明に幸福
度を預ける” という皮肉な結末で物語を終えます。読み終えたあとに、モヤモヤが残ります。

最近の小説では、伏線回収や分かり易いストーリーが好まれています。
冒頭にも書きましたが、この小説は結構難解で、おそらく読み方の正解がありません。
ただただ、諧謔をいくつかのテーマについて提示している著者に対して、ここには答えがない
と困惑するのではなく、自分の頭で考えてみなよと挑発しているかのようです。
単純さが求められる時代に、こんな打ち返しにくいボールを投げてくる朝井リョウ。感謝です!
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
4093867305
No.2:
(4pt)

ヒトの正体を暴く

一人称でも三人称でもないある”主体”に語らせることで、ヒトという生き物の本質を、そこまで言わなくてもいいというくらい暴きまくる小説です。ヒトをヒトたらしめるのは高度に発達した知能と思考。けれど、知能がやたら発達してしまったおかげで、ヒトは感情をこじらせるという欲しくない能力まで手に入れてしまった。そのため、ヒト社会を縛る規範から逸脱してしまった個人は、自分の感情とどう折り合いをつけるかという問題を抱えてしまう。規範から自分を遮断するか。それとも、変化を求めて行動を起こすか。

多くの人が、多かれ少なかれ同じような悩みを抱えて生きながら、その衝動の正体を上手く理解することができていない。そんな「しっくりこない」感情が巧みに言語化されており、読んだ後に心が少し軽くなる感覚を得られる小説である。
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
4093867305
No.1:
(3pt)

薄まった感

出だしはとても濃厚で感動して読みました。
生殖記Amazon書評・レビュー:生殖記より
4093867305

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